2010年8月25日発売
映画化で話題になったハロルド作石作コミック『BECK』のインスパイアード・アルバム。90年代の英米ロック・シーンを再現したラインナップに、幸福だった洋楽全盛期を思い起こされる本作は、新しいアプローチのアラフォー向けコンピ盤か。とはいえ、こうやってレジェンドは作られていくのだとしみじみ。
オーケストラのしなやかで美しい響きを駆使し、求心的に、真摯に音楽を進めるジンマン。バーンスタインのような荒れ狂った灼熱はないが、その分細部の濃密さが光る。ふっくらと豊かに響く録音もうまく味方につけて、新時代のマーラー像を描いている。
2010年8月発表のシングル。TBS系金曜ドラマ『うぬぼれ刑事』挿入歌に起用の、繊細なメロディ・ワークと伸びやかな歌声が絶妙にマッチした名曲だ。カップリングにはREGGAE DISCO RODKERSによるリミックスを収録。
東京で活動する若手アイリッシュ・ミュージシャンのコンピレーション・アルバム。伝統的な楽曲もオリジナル曲も、それぞれのミュージシャンが実に楽しそうに演奏している。その思いがストレートに伝わってきて、東京発のアイリッシュ音楽の魅力がタップリ味わえる。おおたか静流がゲスト参加。
EXILEのATSUSHI率いるR&Bコーラス・グループ、COLORの元メンバーで、その見事な歌声でソロ・シンガーとして確固たる地位を築き上げてきたYORKの2年ぶりのアルバム。盟友AK-69をはじめ、多彩なゲストを迎えて制作された本作でも、ミディアム・チューンを中心に、聴き手に惚れさせる歌声を披露してくれる。
ジョン・コルトレーン、ブライアン・ウィルソンなど、多くのアーティストに影響を受けたという米三人組、ホースバックの日本デビュー作。ブルータルなヴォーカル、強烈なリフが繰り返されじわじわと泥沼化するドゥーム/ドローン系のサウンドだ。ポスト・ロックっぽい「ヘイトクラウド・ディゾルヴィング・イントゥー・ナッシング」も聴かせる。
2009年にガンで他界したベースのmiya38を追悼すべく、かつて彼が在籍して歌詞も書いたthe fantastic designsの3曲をカヴァー。グルーヴィな音も歌心に満ちたヴォーカルも得体の知れないものが宿り、彼らを知らない人の胸も打つこと必至である。8ページのブックレットも鮮やかで、ファン必携。★
3ピース・ロック・バンドのマキシ。ハードに押しまくる「Confusion The Live」、動と静の振幅が妙なトランス感を生みだす「Creep Head」、プロデューサーでもある上杉昇とのコラボ作であるアコースティック・バラード「Never Come Again」と、曲ごとに多彩な表情を見せる懐の深さには大物感さえ漂う。三人とは思えぬ音圧も魅力だ。
伊豆発のお茶の間密着型エンタテインメント楽団のミニ・アルバム。仮性包茎をテーマにした1曲目でドギモを抜き、合コンでのミジメ体験、食い物にされる友情、可愛い子どもの行く末を案じ、ついには自分をゴキブリと歌う。見た目ユーモラスだけど、実は切なく、ホロリとする曲ばかり。
カタラクトのサイモン・フュレマンやボーン・フロム・ペインのシェ・スネルディングを擁する5ピース・パンドによる“終末論”を題材にしたコンセプト・アルバム。プリミティヴなメタルコアの様相を呈した音楽は、グルーヴにも饒舌で、コンセプトに基づいた物語性を幾重にも豊かなものへとしていく。
カンニバル・コープスのメンバーも大絶賛する米テクニカル・デス・メタル4人組の2作目。各人が密室で押しくらまんじゅうをしているかのようなブルータルでプログレッシヴなプレイの応酬は、さらなる進&深化を遂げた模様。とはいえ、あまりに超絶すぎて思わず笑っちゃう瞬間も。
スペイン・メタルのニュー・カマー、ディアブラス・イン・ムジカのデビュー・アルバム。オペラ界のトップ・シンガーをゲストに迎え、スクリーム・ヴォイスとの好対照が、幻想的なシンフォニック・メタルに天使と悪魔の競演のような絶妙なコントラストを生み出している。
ピッツバーグ出身の3ピース・ポップ・パンク・バンドのセカンド・アルバム。シーン全体としてはあまり元気がないが、この三人は例外。とにかく活きがいい。疾走感あふれるグルーヴと、シンプルながらポップでキャッチーなメロディが魅力。ヴォーカルにも熱さが感じられる。かっこいいぜ。
90年代に“JACK”と親しまれ、伝説のバンドと呼ばれたスカ・バンドがついに復活。本作はそれを記念し、彼らがかつて発表した名盤2タイトルをセットにしたお得な2枚組。洗練されたスムース&カジュアルなサウンドは今でも新鮮で、カッコよく聴きごたえ十分。日本盤ボーナス・トラックあり。
2008年に英国で結成され、程なく活動拠点を北米に移した5人組のデビュー作(オリジナル・リリースは2009年秋)。重量級のリフ&グルーヴにエモ・パートを組み込んだメタルコアの典型とも言えるサウンドながら、エレクトロ要素の導入で何とか個性を出そうと頑張っている。
the generousで活動していた女性のソロ・デビュー作。“矢沢永吉の娘”ということを表現者としても受け入れたような本名名義だが、彼女の歌声も歌詞も何かから解放されたみたいな佇まいを感じる。作風的には米国の女性ポップス系ロック・シンガーを思い出すリラックスした風情で、フレッシュだ。