2010年8月発売
それぞれ2枚組として発表された2つのアルバムを、CD3枚組としてコンパイル。今回のリリースにあたって、第9番は初めてSACDハイブリッド化を施している。いずれもレコード・アカデミー賞を受賞した、小澤の代表的なマーラー録音である。
これは名盤である。メシアンと武満の代表作の組み合わせながら、30代半ばの小澤の覇気と才気が漲った熱演が最大の魅力。「トゥーランガリラ」での熱狂と陶酔、「ノヴェンバー・ステップス」でのフレージングのなまめかしさと音響美など一期一会的な感動がある。必聴必携盤だ。★
80年代半ばの録音。プレートルはビゼーの作品を自在に楽しんでいる。交響曲で小粋な演奏を披露したかと思うと、「カルメン」ではノリの良い演奏を展開。「アルルの女」では味わい深い演奏が聴ける。バンベルク響(特に木管楽器)は素朴な音色が魅力的だ。
第1ヴァイオリンが原田幸一郎からウンジャンに変わった第3期の東京SQによる、名演として名高い全集だ。見事な求心力をもって揺るぎのない演奏を繰り広げた一枚で、ズーカーマンとの五重奏曲ほかも面白い。
近年は表舞台から遠ざかっているティーポの逸品。どの曲も指の腹でやさしく鍵盤を撫でるような柔らかさと温かさがあふれている。けれども決して音楽は停滞せず、正攻法に端整に流れていく。シャイーのRCA録音は珍しいが、どれも明るくセンス満点で理想的伴奏。
制作・出演
アラン・タイトス / アーヴィン・ゲージ / カール・ハウプトマン / クルト・アイヒホルン / バイエルン放送合唱団 / バンベルク交響楽団 / ホルスト・シュタイン / ミュンヘン放送管弦楽団 / モーツァルト / ルチア・ポップスロヴァキア出身の名歌手ポップ。コロラトゥーラから次第にリリコへと変貌し、深みのある歌唱を聴かせるようになった80年代後半から91年の録音である。どれも見事な歌唱だが、懐かしい舞台姿が目に浮かぶシュトラウスのアリア集がひときわ光彩を放つ。
人気コンピレーション“パーフェクト!R&B”の第3弾。テーマはワイルド&セクシー。ケシャやビヨンセらアッパーなアーバン・ポップから、アッシャーやR.ケリーといったメロウで洗練されたR&Bまでを2枚組に収録。トレンドのチェックにも最適だ。
定番コンピ“パーフェクト!R&B”シリーズの90年代編。DJ ICEによるキラー・トラック、大ネタ使い連発の選曲はまさにパーフェクト。フロアを熱く盛り上げるダンス・ナンバーから明け方のクラブを思い出すメロウ・チューンまでどっぷり浸れる。
映画化で話題になったハロルド作石作コミック『BECK』のインスパイアード・アルバム。90年代の英米ロック・シーンを再現したラインナップに、幸福だった洋楽全盛期を思い起こされる本作は、新しいアプローチのアラフォー向けコンピ盤か。とはいえ、こうやってレジェンドは作られていくのだとしみじみ。
オーケストラのしなやかで美しい響きを駆使し、求心的に、真摯に音楽を進めるジンマン。バーンスタインのような荒れ狂った灼熱はないが、その分細部の濃密さが光る。ふっくらと豊かに響く録音もうまく味方につけて、新時代のマーラー像を描いている。
2010年8月発表のシングル。TBS系金曜ドラマ『うぬぼれ刑事』挿入歌に起用の、繊細なメロディ・ワークと伸びやかな歌声が絶妙にマッチした名曲だ。カップリングにはREGGAE DISCO RODKERSによるリミックスを収録。
東京で活動する若手アイリッシュ・ミュージシャンのコンピレーション・アルバム。伝統的な楽曲もオリジナル曲も、それぞれのミュージシャンが実に楽しそうに演奏している。その思いがストレートに伝わってきて、東京発のアイリッシュ音楽の魅力がタップリ味わえる。おおたか静流がゲスト参加。
EXILEのATSUSHI率いるR&Bコーラス・グループ、COLORの元メンバーで、その見事な歌声でソロ・シンガーとして確固たる地位を築き上げてきたYORKの2年ぶりのアルバム。盟友AK-69をはじめ、多彩なゲストを迎えて制作された本作でも、ミディアム・チューンを中心に、聴き手に惚れさせる歌声を披露してくれる。
ジョン・コルトレーン、ブライアン・ウィルソンなど、多くのアーティストに影響を受けたという米三人組、ホースバックの日本デビュー作。ブルータルなヴォーカル、強烈なリフが繰り返されじわじわと泥沼化するドゥーム/ドローン系のサウンドだ。ポスト・ロックっぽい「ヘイトクラウド・ディゾルヴィング・イントゥー・ナッシング」も聴かせる。
2009年にガンで他界したベースのmiya38を追悼すべく、かつて彼が在籍して歌詞も書いたthe fantastic designsの3曲をカヴァー。グルーヴィな音も歌心に満ちたヴォーカルも得体の知れないものが宿り、彼らを知らない人の胸も打つこと必至である。8ページのブックレットも鮮やかで、ファン必携。★
3ピース・ロック・バンドのマキシ。ハードに押しまくる「Confusion The Live」、動と静の振幅が妙なトランス感を生みだす「Creep Head」、プロデューサーでもある上杉昇とのコラボ作であるアコースティック・バラード「Never Come Again」と、曲ごとに多彩な表情を見せる懐の深さには大物感さえ漂う。三人とは思えぬ音圧も魅力だ。
伊豆発のお茶の間密着型エンタテインメント楽団のミニ・アルバム。仮性包茎をテーマにした1曲目でドギモを抜き、合コンでのミジメ体験、食い物にされる友情、可愛い子どもの行く末を案じ、ついには自分をゴキブリと歌う。見た目ユーモラスだけど、実は切なく、ホロリとする曲ばかり。