音楽むすび | 2020年10月発売

2020年10月発売

スクリプチャーズスクリプチャーズ

ナパーム・デスのヴォーカリスト、マーク”バーニー”グリーンウェイを輩出したイギリスのデス・メタル・バンド、ベネディクション。 12年ぶりのニュー・アルバムとなる本作では、2代目ヴォーカリスト、デイヴ・イングラムが20 年ぶりに復帰。イギリスらしいクラスト風味あふれるデス・メタルを聞かせる。 【日本語解説書封入】 イギリスのデス・メタル・バンド、ベネディクション。 その結成は89年にまでさかのぼる。当時まだ新進気鋭のレ -ベルであったニュークリア・ブラスト・レコードと契約し、90年に『Subconscious Terror』でアルバム・デビュ -。 ベネディクションがこうもスムーズにアルバム・デビューを果たした理由の1つに、マーク”バーニー”グリーンウ ェイの存在がある。 89年、当時世界最高速のバンドとしてエクストリーム・メタル界の話題をさらっていたナパーム・ デスからリー・ドリアンが脱退。 その後任に、ベネディクションのヴォーカリスト、バーニーが抜擢されたのだ。 バーニー脱退後、デイヴ・イングラムが後任として加入。 『The Grand Leveller』( 91年)、『 Transcend the Rubicon』( 93年)、『 The Dreams You Dread』( 95年)、『 Grind Bastard』( 98年)の4枚のアルバムをリリースした。 98年にデイヴが脱退し、後釜としてアナール・ナスラックのデイヴ・ハントを迎えたベネディクションであるが、 21世紀に入ると活動ペースがダウン。 ツアーは続けていたものの、リリースしたアルバムは、『Organised Chaos』( 01 年)、『 Killing Music』( 08年)の2枚のみ。もう12年間も新作を発表していない状態が続いていたのである。 だが、 彼らもついに重い腰を上げた。 昨年、博士号取得のため、そしてアナール・ナスラックに専念するため、20年間連れ添ったデイヴ・ハントが脱退。 すると、ギタリストのダレン・ブルックスはすぐに前任のデイヴ・ハントに電話をかけた。 まったく予期しないバンド 復帰の誘いであったが、デイヴはその場で快諾。20年ぶりにベネディクションへの復帰が決まったのだ。そして、つ いにヴェールを脱ぐニュー・アルバム『スクリプチャーズ』。 12年ぶりのニュー・アルバム、そして20年ぶりの2代 目ヴォーカリストの復帰であるが、ベネディクションはやはりベネディクション。 イギリスのデス・メタル特有の、ク ラストやアナーコ・パンクからの影響を感じさせるデス・メタルをプレイし続けてきた彼ら。 その信念は、30年間一 度もブレたことがない。ブルータル・デス・メタル、メロディック・デス・メタルなど、さまざまな方向へと枝分かれしてきたデス・メタル。 だが、ベネディションがプレイしているようなスタイルこそ、本来デス・メタルが目指してい たものだ。オールドスクール・デスのファンならば、これを聴いてアガらぬはずはない。 クレイドル・オブ・フィルスやヴェイダーなどを手がけたスコット・アトキンスによるミックスも見事。 元デス、マ サカーのカム・リーがゲスト参加しているのもオールドスクール・デス・メタル・ファンには嬉しいところ。

スルー・ザ・ホロウスルー・ザ・ホロウ

かつて女性ヴォーカル・オカルト・ロック・ブームを引き起こしたオランダのザ・デヴィルズ・ブラッド。 13年の 突如の解散から7年。ヴォーカリストのファリーダがかつての仲間を率いて帰って来た。 サイケデリック、オカルティ ック、プログレッシヴな本作はブームの再興を予感させる会心の出来!【日本語解説書封入/歌詞対訳付】 10年ほど前、女性ヴォーカルをフィーチャしたオカルト・ロックがちょっとしたブームになった。 このムーヴメン トの中心にいたのが、オランダのザ・デヴィルズ・ブラッド。ブラック・ウィドウやコヴェンといった 60年代後半〜 70年代初頭のバンドから影響を受けたサイケデリックでオカルティックなスタイルで、 ドゥーム/ストーナーからエ クストリーム・メタルに至るまで幅広いファンを獲得していた彼女らであったが、 わずか2枚のアルバム(『The Tie of No Time Evermore』( 09年)、『 The Thousandfold Epicentre』( 11年))をリリースしたところで、 突如解散を発 表。多くのファンを落胆させた。(解散後にサード・アルバム『III: Tabula Rasa or Death and the Seven Pillars』 (13年)を リリース。)さらに、14年にはバンドのリーダーであり、ヴォーカリスト、ファリーダの兄弟でもあるセ リム が自殺。 シーンに大きな衝撃を与えた。 この度デビュー・アルバムをリリースするモラセスは、ファリーダがかつてのバンド・メンバーらとともに 組んだバ ンド。つまり、ザ・デヴィルズ・ブラッドという伝説を継承する存在と言える。 11分超の大曲で幕を開ける『スルー・ ザ・ホロウ』は、ザ・デヴィルズ・ブラッドで聞かせたサイケデリックで不気味なオカルト・ロックを ベースにしつつ も、プログレッシヴなアプローチを強化。単なる懐古趣味でない新たなる世界観を提示している。 19年には本国オラ ンダのロードバーン・フェスティヴァルにも登場し、アルバム・デビュー前からすでに大きな話題となっている モラセ ス。その全貌がついに明らかとなる時が来た。 ますます磨きがかかったファリーダの歌唱も素晴らしく、再び女性ヴォ -カル・オカルト・ロック・ムーヴメントが起こることを 予感させる素晴らしい内容に仕上がっている。 【メンバー】 ファリーダ・レムーシ(ヴォーカル) ウズ・ベイダルス(ギター) ロン・ヴァン・ヘルペン(ギター) ヨブ・ファン・デ・ザンデ(ベース) マタイス・ストロンクス(キーボード) ボブ・ホーゲネイスト(ドラム / パーカッション)

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