音楽むすび | 2020年3月6日発売

2020年3月6日発売

ザ・ゴースト・オブ・オライオンザ・ゴースト・オブ・オライオン

絶望・苦悶・悲哀の向こうに見える一筋の光。英国デス/ドゥーム・メタルの重鎮マイ・ダイイング・ブライドが放つ矢が魂を射貫く、記念すべき第十三教典。 1990年に結成、パラダイス・ロスト、アナセマと共に英国デス/ドゥーム・メタルの黄金三角形を成してきたのがマイ・ダイイング・ブライドだ。 アンドリュー・クレイハン(ギター)とアーロン・ステインソープ(ヴォーカル)をバンドの軸として活動してきた彼らは深く沈み込むヘヴィネスで世界のファンの信頼を勝ち得てきた。 他2バンドが初期のデス/ドゥーム・サウンドから逸脱していく一方で、彼らは漆黒の世界観を頑ななまでに貫いている。 13作目のアルバム『ザ・ゴースト・オブ・オライオン』は、苦悩の中で作られた作品だ。前作『フィール・ザ・ミゼリー』(2015)発表後、アーロンの5歳になる愛嬢の癌が発覚。 彼が“神の苦く愛なき、最も残虐な創造物”と表現する病魔との戦いを強いられることになった(幸い、快調に向かっている)。 さらにメンバー2人が突如脱退するという事件にも見舞われている。だがバンドは長く暗いトンネルを経て、新メンバーを迎えながらニュー・アルバムを完成。 長年の古巣だった“ピースヴィル・レコーズ”を離れ、世界最大のメタル・レーベルのひとつ“ニュークリア・ブラスト”から発表することになった。 アーロンは新作をこう語る。「マイ・ダイイング・ブライドのみが創り方を知る豊潤な旅路。攻撃的で美的、過去になかった陰鬱なハーモニーで彩られている。 ドラマチックな展開に乗せて、内臓を冒す狂気と怒りを込めたデス・メタル・ヴォーカルが恐るべきエッジをもたらす」 ギリシャ神話で女神アルテミスの放つ矢に射られて死んだ神の子オリオン(オライオン)の霊をタイトルに冠した本作。 アルバムに先駆けてリーダー・トラックとして発表された「ユア・ブロークン・ショア」は息の詰まる重低音と哀感溢れるストリングスが交錯する、結成30年にして生まれた新しい代表曲のひとつだ。 ヴァードゥルナのヴォーカリスト、リンディ=ファイ・ヘラが呪術的な女声の詠唱を聴かせる「ザ・ソレス」、10分を超える暗黒の叙事詩「ザ・ロング・ブラック・ランド」「ジ・オールド・アース」など、一瞬たりとも緊張感が途切れることがない。 アーロンは「最も思慮深いヘヴィ・ミュージックを創り出すべく、すべての情熱とパワー、不屈の精神を傾けた」と説明するが、それは見事に功を奏している。 パラダイス・ロストやロッティング・クライストを手がけてきたマーク・マイネットがプロデュース・エンジニア・ミックスを担当。 ジャケット・アートはテスタメント、フレッシュゴッド・アポカリプス、SIGHなどを手がけてきたエリラン・カントルによるものだ。 ひたすら重く激しく、そして哀しく。マイ・ダイイング・ブライドの闇の覇権は、2020年代においても揺らぐことがない。 【メンバー】 アーロン・ステインソープ(ヴォーカル) アンドリュー・クレイハン (ギター) レナ・アベ (ベース) ショーン・マガウアン (キーボード/ヴァイオリン) ジェフ・シンガー (ドラムス)

ザ・サーペント・リングスザ・サーペント・リングス

元ピンク・クリーム69のデニス・ワードを新たに迎えた、英国産ハード・ロックの至宝、マグナムが21枚目のアルバム『ザ・サーペント・リングス』をリリース! トビアス・サメットも敬愛するボブ・カトレイの圧倒的な歌唱を武器にした楽曲は、優雅かつドラマティック。ブリティッシュ・ロックの誇りと伝統を感じさせる傑作がここに完成!ロドニー・マシューズによる幻想的なアートワークも必見。 1972年にイギリスのバーミンガムで結成され、1978年にアルバム『KINGDOM OF MADNESS』でデビューを果たしたマグナム。 80年代から90年代の初頭にかけて、3rdアルバム『CHASE THE DRAGON』(1982年:全英チャート最高17位)や『WINGS OF HEAVEN』(1988年:最高5位、8thアルバム『GOODNIGHT L.A.』(1990年:最高位9位)など、数々のヒット作を生み出した彼らは1996年に音楽シーンの変化もあって解散。 しかし、2001年に再結成を実現させると、その後は約2年に1枚のペースでスタジオ・アルバムをリリースし続けている。  2012年に発表した17thアルバムの『ON THE 13TH DAY』が久しぶりにイギリス・チャート・トップ50(最高43位)にランク・インすると、続く18thアルバム『ESCAPE FROM THE SHADOW GARDEN』(2014年)が最高38位、19thアルバム『SACRED BLOOD “DIVINE” LIES』(2016年)が最高31位、20thアルバム『LOST ON THE ROAD TO ETERNITY』(2018年)が最高15位とアルバム枚にチャートの順位がアップ。 バンドの人気が拡大し続ける中、約2年ぶりに完成させたのがこの21thアルバムの『ザ・サーペント・リングス』である。   ボブ・カトレイ(ヴォーカル)とトニー・ラーキン(ギター)のオリジナル・メンバー2人と、今作が2作目の参加となるリック・ベントン(キーボード)とリー・モリス(ドラム)、さらに再結成以降、長きに渡ってベースをプレイしていたアル・バロウが2019年に脱退したため、新たに元ピンク・クリーム69のデニス・ワード(ベース)を迎えた新体制で制作された本作は、近作同様にドラマティックなハード・ロック・チューンのオン・パレードとなっており、幻想的なムードもあるのが特徴となっている。 オーケストラ・サウンドが入った「ホエア・アー・ユー・エデン」や「ジ・アーチウェイ・オブ・ティアーズ」、優雅な「ザ・サーペント・リングス」や「ザ・グレイト・アンノウン」、メロウな「ザ・ラスト・ワン・オン・アース」といった気品溢れる楽曲を中心にしつつ、小気味のいいロック・チューンの「ノット・フォーギヴン」もあるなど、ロックの醍醐味も存分に味わえるような楽曲が並んでおり、アルバム全編でトニーの抜群のソングライター力が発揮されている。 英国のバンドらしいウエットな質感のある叙情派のヴォーカル・メロディ、ボブのエモーショナルな歌唱も素晴らしく、まさにヴェテランの風格を感じさせる傑作が登場したと言えるだろう。尚、アルバムのアートワークはロドニー・マシューズが手掛けている。 【メンバー】 ボブ・カトレイ(ヴォーカル) トニー・クラーキン(ギター) デニス・ワード(ベース) リック・ベントン(キーボード) リー・モリス(ドラムス)

ラッシュ・オブ・デスラッシュ・オブ・デス

レイジのメンバーとして活躍したヴィクター・スモールスキによるプロジェクト、アルマナックの3rdアルバム『ラッシュ・オブ・デス』が登場!  レイジ時代を思い出させるような攻撃性と要所にオーケストラを交えた楽曲は実にドラマティックで、テクニカルなヴィクターのギター・プレイも圧巻! 1999年から2015年までレイジに在籍し、ギタリスト、コンポーザーとして数々の名作を生み出したヴィクター・スモールスキ。 旧ソビエト連邦、現ベラルーシ共和国の首都ミンスクにて、著名な作曲家であるドミストリー・スモールスキの息子として生まれた彼は、幼少の頃から音楽の英才教育を受けて育ち、オーケストラのスコアが書けるほどの音楽の知識を持っていることでも知られる。 そんな彼はレイジ時代にリングア・モーティス・オーケストラfeat.レイジ名義でリリースしたアルバム『リングア・モーティス・オーケストラfeat.レイジ』(2013年)の作曲、オーケストラ・アレンジを自身で行ない、驚くほどの才能と実力を発揮していたが、レイジ脱退後に立ち上げたアルマナックは、その『リングア・モーティス・オーケストラfeat.レイジ』のコンセプトを継承するプロジェクトとしてスタートしている。 2016年にリリースしたアルマナックの1stアルバムの『ツァー』は、『リングア・モーティス・オーケストラfeat.レイジ』に参加していたオーケストラ・バルセロナ・フィルハーモニア、女性シンガーのジャネット・マルヒェフカ(ヴォーカル)をそのまま起用してレコーディングを実施。アルバムはメロディックなパワー・メタルに要所でオーケストラを取り入れたスタイルの楽曲が並んでおり、ストーリーに合わせて、ピンク・クリーム69のデイヴィッド・リードマン(vo)、ブレインストームのアンディ・B・フランク(vo)と、タイプの異なるシンガーも参加していたのも特徴になっていた。 アルバム・リリース後、10ヵ国で50回を超えるライヴを行なった彼らは、バンドとしての手応えを掴むと、ジャネット、デイヴィッド、アンディの3人のシンガー、新加入のリズム隊と共に2ndアルバム『キングスレイヤー』を発表する。 この作品でもオーケストラも交えつつ、前作以上に攻撃性のあるメロディック・パワー・メタルを展開すると、2017〜2019年に新メンバーを迎えてライヴ活動を行ない、その新体制で3rdアルバムのレコーディングを実施。完成したのがこの3rdアルバム『ラッシュ・オブ・デス』である。 ジャネットと2018年に加入した元GUN BARRELのパトリック・サール(ヴォーカル)の男女混合ヴォーカルを擁し、ヴィクターらしい切れ味鋭いギター・リフを軸にしたメロディック・パワー・メタルは、今作ではさらにヘヴィでかつアグレッシヴに進化。 レイジの『ユニティ』(2002年)や『サウンドチェイサー』(2003年)辺りを思わせるような曲もある。 随所に取り入れたオーケストラもアルバムをドラマティックに演出しており、強靭でかつ劇的なヘヴィ・メタル・アルバムが完成したと言える。 尚、ゲスト・ヴォーカルとしてガンマ・レイのフランク・ベック、元MORTAL REMAINSのマーセル・ジャンカーが参加している。 【メンバー】 ヴィクター・スモールスキ(ギター) パトリック・サール(ヴォーカル) ジャネット・マルヒェフカ(ヴォーカル) ティム・ラシッド(ベース) ケヴィン・コット(ドラムス)

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