著者 : 瀬名秀明
“メグレ警視”シリーズの作家が、人間であることの病いをどこまでも灰色に、“イヤミス”以上にほろ苦く描くーシムノン初期の、「純文学」志向の“硬い小説”の傑作2篇がついに本邦初訳で登場!シムノン研究家の顔をもつ小説家・瀬名秀明による、決定版シムノン「解説」を収録。
医療ロボット技術は日進月歩。遂に自律型AIを搭載した医療ロボットが完成。その開発チームの医師の言葉は、あたかもB・Jへの挑戦状だった(『B・J vs.AI』)。フライト前のB・Jに、青年は「弟は、いまも一四歳のままです」と言った。iPS細胞の新たな可能性を信じ、時が止まった命と対峙するB・J(『命の贈りもの』)。ある夏届いた手紙に誘われ、中東の街を訪れたB・J。同時期、遠く離れた診療所の中、留守番するピノコの目前で小さな命の灯が消えかけていた!(『ピノコ手術する』)。B・Jの友人で医師の手塚は、中学生の息子を持つ行きつけの呑み屋の女将が心配だ。わが身を顧みず働く母を思い、息子から手塚に驚愕の提案が(『女将と少年』)。母の仇かつ身体と心に消えない傷を残した男の居所を掴んだB・J。たどり着いたその場所で、「死神の化身」と呼ばれる男、ドクター・キリコと遭遇(『三人目の幸福』)。医学界に一石を投じるヒューマンドラマ!
新米飛行教官と一年ぶりに飛ぶ小説家の航空経路は、ある記憶を辿る旅だった(『ホリデイズ』)。仙台の空を通過する、制御不能になった衛星を捉えた大学院生の冬の日(『真夜中の通過』)。脳から脳へ言葉を送る“フラッシュ”が浸透した今、13年後の自分から届いたメッセージ。(『未来からの声』)。恋人からの連絡が途絶えた。彼女を支えていた篤志家は、実は敵だったのかもしれない(『瞬きよりも速く』)。皆既日食とともに世界を巡る、美しい双生児。彼らの果たす“夢”とは。未来に歩む僕らの物語、五編を収録。
ヒト型ロボットが実用化された社会。ロボット学者の祐輔と進化心理学者の玲奈は、ロボットのケンイチと共に暮らしている。三人が出席した人工知能のコンテストで起こった事件から、悪夢のようなできごとは始まった。連続する殺人と、その背後に見え隠れする怜悧な意思が、三人を異世界へ引き寄せるー。人間と機械の境界は何か、機械は心を持つのか。未来へ問いかける科学ミステリ。
事故で亡くなった愛妻の肝細胞を密かに培養する生化学者・利明。Eve 1と名付けられたその細胞は、恐るべき未知の生命体へと変貌し、利明を求めて暴走をはじめるー。空前絶後の着想と圧倒的迫力に満ちた描写で、読書界を席巻したバイオ・ホラー小説の傑作。新装版刊行に際して、発表時に研究者でもあった著者から、科学者あるいは小説家を志す人達に贈る、熱いロングメッセージを収録。
イギリスで一人旅を続けるケンイチが迷い込んだ「永遠の町」は、人間のいない、ロボットだけの町だった-。なぜ、ぼくたちは、痛みを感じないのか?「心」は神の奇跡なのか?AIとロボティクスの近未来を描いて、瀬名秀明が永遠の命題に挑む、畢生の恋愛科学小説!憧れと驚き、そして歓び。いま、豊穣なる「物語」の力が、世界を救う。
魂を感じさせる妻そっくりのヒューマノイド、幼い日の記憶のなかで語る科学館のロボ次郎、地雷撤去のため、探知犬と共にタイ東部国境をゆくデミル2、玩具として売られたロビター機械と人間をむすぶ切なく感動的なドラマが、現代科学の周到な知識のもと熱を孕んだ筆で描かれる。間近に迫る「あした」の物語。
人類最後の秘境=脳。その研究のために、各分野の気鋭の学者が巨大施設「ブレインテック」に集められた。脳科学者・孝岡護弘もその一人だ。だが彼は赴任早々より、奇怪な現象に次々遭遇する。白き光芒を放つ女、幽体離脱体験、そしてエイリアンによる誘拐。孝岡の身に起きた出来事の意味は?そして、このプロジェクトの真の目的とは何なのかー。超弩級エンターテインメント。
神ー。その存在をめぐり、古今の賢者が懊悩し夥しい血が流された。科学者・孝岡は、ブレインテックに赴任した日から、大いなる謎の深奥へと引き寄せられてゆく。高度なメッセージを発する類人猿、爆発的に進化する人工生命、死後の光景を語った少年。すべてが、あの男の望みのもとに昇華されるとき、神はその姿を現すのか。小説の新たなる可能性を切り拓いた、記念碑的大作。