ジャンル : 外国の小説
「親愛なる女の子たち、私たちには決死のストライキが必要だよ。生きていることが耐えがたくなったよ」 プーチン政権下で「国の道具」にされてきた 非正規雇用の〈女の子〉たちが覚醒する。 ウクライナ侵攻前夜に書かれた、フェミニスト誕生小説 ロシアの作家でフェミニスト、反戦活動家であるダリア・セレンコが描く、プーチン政権下の「公的機関」で働く非正規雇用の女の子たちの物語。国家にとっては安上がりな道具に過ぎないけれど、私たちがいなければこの国は動かないのでは? 国家と社会の歪みを、日々、身体で受け止めていた彼女たちは、ついにその理不尽さに気づき……。 反戦活動による政権からの弾圧を経て、現在出国中の著者による「日本語版のためのまえがき」掲載。
著者は1939年生まれ、韓国・小鹿島のハンセン病療養所に暮らすハンセン病回復者で、小鹿島における人権運動の中心的存在。その著者が自らの少年期から青年期までを描いた自伝である。日本の植民地支配から解放後、8歳でハンセン病者であった母とともに小鹿島のハンセン病療養所に入ったこと、そこでの生活やハンセン病にかかったこと、先人から聞いた日帝時代の小鹿島の実態、医学講習所を卒業後、小鹿島を出て、「定着村」で医師として活動を始めるまでを書いている。 著者が小鹿島のハンセン病療養所に入ったのは解放後だが、その運営には日帝時代の慣習が色濃く残っていた。また、著者は先輩から日帝時代の小鹿島の様子をいろいろ聞かされている。幼い時から青年時代まで小鹿島で育った著者の体験として、小鹿島の状況がつぶさに描かれている。また、韓国では解放後、ハンセン病回復者が集住して自立生活を営む「定着村」政策が進められたが、その定着村の実態も著者の体験を通じて描かれている。 日本の読者のみなさまに はじめにー再刊に当たって 一 賤国への道 二 賤国の人たちが願う天国 三 賤国市民になるということ 四 それでも生きなければならない人たち 五 聞こえないこだま 六 あなたたちの天国、私たちの賤国 七 世間のなかの賤国 八 人間らしく生きるために エピローグ 訳者註 三度お目にかかった姜善奉さんー解説に代えて 福岡安則 訳者あとがき
恋人がSNSで有名な陰謀論者だと知った「わたし」。2つのかけ離れた言動のどちらが彼の本当の姿なのだろうか。「わたし」が本心を問い質そうとした直前に、彼が事故死したという報せが届く。彼の謎を追いかけるうちに「わたし」は、衝撃の事実に直面する。
一九三五年、エチオピア。孤児になった少女ヒルトは、貴族のキダネとアステル夫妻の家で使用人として暮らすことになる。そんな中、ムッソリーニ率いるイタリア軍侵攻の足音が近づいてきて……。武器を手にして祖国を守った、知られざるエチオピアの女性兵士たちの物語
オランダの酪農家一家に育った10歳のヤスは、クリスマスの晩餐用に殺されるかもしれない自分のウサギの代わりに兄が死にますようにと神に祈る。その祈りが現実となった時、不穏な空想の闇がヤスを襲う。史上最年少でのブッカー国際賞受賞作。解説/鴻巣友季子
ネットへの視覚的なアクセスを遮断する規制が敷かれた香川県からやってきた女子高生の大阪観光サイバーパンクの表題作、百合SFアンソロジーや『異常論文』へ書き下ろしとして発表された短篇群など、『元年春之祭』著者による知性と感情を揺さぶる小説全8篇
囚われの令嬢ルシンダ・ヴァン・ヘルシングを助け出すため、ウィーンヘとわたったメアリ・ジキルら"モンスター娘"たち。だがまたも彼女たちの前に"錬金術師教会"に属するマッド・サイエンティストたちが立ちはだかり……!? 三部作の第二部、堂々の完結篇
【国書刊行会 創業50周年記念復刊】 〈ちがうね、諸君、もう一度言うが、それはちがう。君たちは若いし、頬っぺたにも熟れた林檎みたいな赤みがさしている。ジーンズだって擦りきれ、声も明るく甲高い。だがね、ステパン・イリイチ・モロゾフが恋人のワレンチーナを愛したような愛し方はどのみち絶対にできっこないんだ・・・・・・〉 愛の物語を一切省き突然の狂気へと読者をひきずりこむ、ゼロ形式の恋愛小説ともいうべき表題作「愛」。女教師と教え子のアブノーマルな〈授業〉を即物的に描いた「自習」。故人に関する驚愕の事実が友人によって明かされる「弔辞」。 そのほか「真夜中の客」「競争」など、日常の風景のさなかに悪意を投げ込んで練りあげた文学的オブジェの数々。あまりの過激さに植字工が活字を組むことを拒否したとされる、最もスキャンダラスな作家が放つ、グロテスクかつアンチ・モラルな短篇集。 ◎装幀=松本久木(松本工房) *本書は、1999年に小社より刊行した『愛』を、若干の改訂を行った上で、新装版として刊行したものです。
農園主とその労働者たちの生きる姿を 圧倒的な筆致で描き出す名作! 舞台は1960年代スペイン。 荘園制の残り香かおるスペイン南西エストレマドゥーラの大農園で、還暦を過ぎ、 認知症を患ったアサリアスは暇を出され、義弟の家へやっかいになる。 義弟はすぐれた嗅覚をもち、主人の狩りのお供にと重宝されていたが、 ある日、事故で足を骨折してしまう。義弟のかわりにアサリアスがお供をするも、 いつもどおりとはいかない。 狩りの調子は振るわず、苛立った主人が怒りをぶつけた先は…… 第一巻 アサリアス 第二巻 ちび・パコ 第三巻 トンビちゃん 第四巻 狩猟助手 第五巻 事故 第六巻 犯罪 訳者あとがき
オランダの文豪が描き出す、日本の原風景 大正時代、五か月にわたって日本を旅したオランダを代表する世界的な作家が、各地で見聞・採集した民話・神話・伝承や絵画などから広げたイメージをもとに描いた物語、全30話。 著者没後100年記念出版! 浄福と慈悲の阿弥陀、高く伸びた茎の先に花を咲かせ、陽ざしを浴びてきらめく幾千もの蓮華の池を越えて、至福の涅槃(ねはん)に入ることをみずからは望まなかった阿弥陀、その阿弥陀が東の水平線の上に、あるいは高みから波打つように下方に向かう山々の広大な稜線の合間に姿を現わすとき、その両眼は、胸元は、指先は光り輝く。 そして、その光とともに首の周囲の〈慈悲の糸〉を摘(つま)みあげる。死後の世界に阿弥陀のそばへ寄るすべての者たち、たとえ、ちっぽけな、とるに足らぬ者であれ、今こうして、両眼に光輝をたたえたその姿を仰ぎ見るすべての者たちへ向けて。いかにちっぽけでとるに足らなくとも、苦難に満ちた現世の生を終えたすべての者たちがその糸をつかみ、胸にしかと抱くようにと、首に三重(みえ)に巻いた糸を持ち上げるのである。(本書「序奏」より) 序奏 第一話 女流歌人たち 第二話 岩塊 第三話 扇 第四話 蛍 第五話 草雲雀(くさひばり) 第六話 蟻 第七話 明かり障子 第八話 篠突く雨 第九話 野分のあとの百合 第十話 枯葉と松の葉 第十一話 鯉のいる池と滝 第十二話 着物 第十三話 花魁(おいらん)たち 第十四話 屏風 第十五話 ニシキとミカン 第十六話 歌麿の浮世絵 『青楼絵抄年中行事』下之巻より 第十七話 吉凶のおみくじ 第十八話 源平 第十九話 蚕 第二十話 狐たち 第二十一話 鏡 第二十二話 若き巡礼者 第二十三話 蛇乙女と梵鐘 第二十四話 波濤 第二十五話 審美眼の人 第二十六話 雲助 日本奇譚一 権八と小紫 激情の日本奇譚 日本奇譚二 雪の精 親孝行の日本奇譚 日本奇譚三 苦行者 智慧の日本奇譚 日本奇譚四 銀色にやわらかく昇りゆく月 憂愁の日本奇譚 訳者あとがき
散歩を愛し、猫と一緒に暮らす詩人ハン・ジョンウォンが綴るエッセイ 雪の降る日や澄んだ明け方に、ひとり静かに読みたい珠玉の25編 オクタビオ・パス、フェルナンド・ペソア、ローベルト・ヴァルザー、シモーヌ・ヴェイユ、パウル・ツェラン、エミリー・ディキンソン、ライナー・マリア・リルケ、シルヴィア・プラス、金子みすゞ、ボルヘス…… 『詩と散策』は、著者のハン・ジョンウォンがひとり詩を読み、ひとり散歩にでかけ、日々の生活の中で感じたことを記している、澄みきった水晶のようなエッセイ集だ。読者は、彼女の愛した詩人たちとともに、彼女が時折口ずさむ詩とともに、ゆっくりと散歩に出かける。 【本文中に出てくる詩人や作家たち】 オクタビオ・パス/フェルナンド・ペソア/ウォレス・スティーヴンズ/アーチボルト・マクリーシュ/ローベルト・ヴァルザー/シモーヌ・ヴェイユ/パウル・ツェラン/セサル・バジェホ/ガブリエラ・ミストラル/ヘンリー・デイヴィッド・ソロー/カミュ/源信明/ウラフ・H・ハウゲ/エミリー・ディキンソン/アンナ・アフマートヴァ/ライナー・マリア・リルケ/フォルーグ・ファッロフザード/シルヴィア・プラス/チェ・ヨンミ/金子みすゞ/ジョージ・ゴードン・バイロン/ボルヘス 宇宙よりもっと大きな 寒い季節の始まりを信じてみよう 散歩が詩になるとき 幸福を信じますか? 11月のフーガ 悲しみ、咳をする存在 果物がまるいのは 夏に似た愛 心のかぎりを尽くして来たから 永遠のなかの一日 海から海のあいだに なにも知りません よく歩き、よく転びます 国境を越えること みんなきれいなのに、わたしだけカンガルー ひと晩のうちにも冬はやってくる 夢とおなじ材料でできている 夕暮れただけ 窓が一つあれば十分 灰色の力 真実はゆっくりとまぶしくなければ 猫は花の中に いくつかの丘と、一点の雲 今日はわたしに、明日はあなたに 彼女の歩く姿は美しい(送らない手紙) 日本の読者のみなさんへ 訳者あとがき
二度の追放を経て、八百年ぶりに神官に復帰した謝憐(シエ・リェン)は、 下界で三郎(サンラン)という少年に出会い、ほんの数日の間に親しくなる。 謝憐(シエ・リェン)のことを「兄さん」と呼び、常に悠然と笑っている 三郎(サンラン)。しかしその正体は、天界の神々ですら恐れるほどの絶大な 力を持つ鬼王、花城(ホワチョン)だったーー! 再会を約束するかのように、 指輪を一つ残して姿を消した花城(ホワチョン)。一方、天界に戻った謝憐 (シエ・リェン)だったが、失踪した神官の捜索という任務を受けて鬼市に潜入 することになる。そこはまさに花城(ホワチョン)の縄張りで、彼の住処に招か れた謝憐(シエ・リェン)は、少年ではない真の姿で現れた彼に「会えて嬉しい」と歓迎されて!?
◆「赤ずきん」「シンデレラ」「眠れる森の美女」。大人も子供も、世界中の誰もが知っている昔話のすべてを、グラビアンスキーのかわいいイラストとともにお届けします。 ◆グラビアンスキーは若くして亡くなりましたが、残された絵本はいまも世界中で愛され続けています。しかしこの『ペローの昔話』絵本にまさるものはありません。 ◆グラビアンスキーのイラストは、ヴェルサイユの宮廷人ペローの洒落ていながら、ちょっと残酷な世界によく似合います。 1 過ぎし昔の物語とその教訓 ・姫君(シャルロット・ドルレアン)への手紙 ・眠れる森の美女 ・赤ずきんちゃん ・青ひげ ・猫の親方、あるいは 長靴をはいた猫 ・妖精たち ・サンドリヨン または 小さなガラスの靴 ・巻き毛のリケ ・親指小僧 2 韻文による物語 ・序文 ・グリゼリディス ・ロバの皮 L***(ランベール)侯爵夫人へ ・おろかな願い ・ド・ラ・C***(フィリス・ド・ラ・シャルス)嬢へ 解説 1 シャルル・ペローとは誰か 2 ペロー昔話集の成り立ち 主要参考文献
ペレストロイカの自由な風のもと、ファンの熱い想いから創設された「カレル・チャペック賞」。アシモフもディックも知らぬまま書かれた、その応募作を中心とする独創的な13編。
なぜ、今になって戻ってきたの? 娘にどう告げようーー父親はあなただと。 セバスチャンーー? フェリシティは我が目を疑った。 16年前、自分を捨てて消えた恋人が、目の前にいる。 今や世界的ホテル王となったセバスチャン・デュボワーー 忘れえぬ初恋の人が、16年ぶりに村を訪れたのだった。 フェリシティは胸を締めつける痛みをこらえた。 この16年、いったいどこにいたの? ああ、どんなにあなたが恋しかったか! セバスチャンは結婚指輪はしていなかった。恋人はいるのかしら。 ききたいことは山ほどあった。でもその前に話すべきことがある……。 「私、子供がいるのーー私たちの子よ」 かつて愛した男性との予期せぬ再会に、驚愕し、怯えるヒロインをかたわらでなだめる愛娘は、まさかその男性が自分の父親とは知るよしもなく……。気鋭の新作家レイチェル・スチュアートが16年越しの愛の形を描く、感動のシークレットベビー物語!
サビナは18歳で養護施設を出たあと、貧しい日々を生き抜いてきた。そんな彼女をずっと支え続けてくれた親友の片想いがようやく成就しそうだと聞いて、サビナは喜んだ。ところが二人の恋路を相手の兄が邪魔しているという。血も涙もない冷血漢の悪名を持つ、石油会社社長のソーンー次から次に女性とつき合っては無情に捨てると噂される大富豪らしい。政略結婚させるために弟の恋を阻もうとするなんて、ひどすぎるわ!ある日、親友のホームパーティに出かけたサビナは、尊大な男性に強引に誘惑をしかけられ、体に電流が走るのを感じた。サビナは夢にも思わなかった…彼こそが、ソーンであるとは!
重大な秘密を抱えたまま、ビリーはアレクセイと結婚した。結婚初夜、花嫁が無垢ではないと気づいたアレクセイは、激怒してビリーを責め立て、追いつめられた彼女は、ようやくすべてを語り始めたー純潔を捧げた夜のこと、妊娠し、息子が生まれたこと。そして何より、アレクセイが記憶を失ったために真実を伝えることもできず、どれほど惨めでつらかったかを。だが何も思い出せない彼は嘘だと断じると、怒りにまかせて部屋から飛び出していった。これで終わり?もう二度と、あの愛の記憶は戻らないの?傷心のビリーは家を出て、息子のもとへ向かった。数週間後、アレクセイが突然、ビリー母子の前に現れて…。
切なさを胸の奥に封じこめ、 片想いの乙女は今日、花嫁になった。 ウエディングドレスはみごとに仕上がった。 サテンにレースを飾った、優美でかわいいドレス。 それは、はつかねずみの一家の物語を描いた絵本の中で、 ねずみの花嫁が着ているドレスとそっくり同じものだった。 看護師のフランはこれを着て、花嫁に、いや、リサのママになるのだ。 そう、愛されていないと知りながら、 今日、フランは憧れのオランダ人医師リトリックと結婚するーー 彼の余命わずかな一人娘リサの最期の日々を幸せにするために、 リサの願いどおり、絵本そっくりのドレスを着て。 これは、やがて小さな命とともに終わりを告げる、切なすぎる契約結婚。 両親亡きフランは看護学校を首席で卒業した努力家ですが、実は学生時代、講師だったリトリックの授業で居眠りをしてこっぴどく叱られて以来、彼を恐れていました。病院で再会したあと、恐れは憧れへと変わったのに、形ばかりの愛されない妻になろうとは……。