ジャンル : 外国の小説
私たちは共に、絶えず声を上げ、 お互いを思いやり、 しっかりと手を携えて生きていける 韓国SFの話題作『となりのヨンヒさん』著者チョン・ソヨンによる初の邦訳エッセイ集 「この社会で女性として生きるには、 絶えず自分を奮い立たせなければならない。 自分の発するほぼすべての社会的発言に「女だから」という フィルターをかけられることを覚悟しなければならない。 韓国で発言する女性として生きるということは、 そんな覚悟を持って、それでも次の世代のために 女性の居場所をひとつでも多く確保できるように、 発言し、主張し続けるということだ。 世間が耳を傾けずにはいられなくなるまで」 ーー本書より はじめに 第一部 信念を軽んじる世界で 第二部 発言する女性として生きるということ 第三部 私たちが物語になるとき 終わりに これが私の遺言 日本の読者の皆様へ 訳者あとがき
通りを、アスファルトを、山道を、海岸沿いを、並んで、ひとりで、知覚を冴え渡らせ、無と化し、鳥の声に耳を澄ませ、寡黙に、饒舌に、物悲しく、意気揚々と、自由を求めー歩く。自分の人生を、主体的に歩き続けるとはどういうことだろう?古今東西の作家、音楽家、思想家たちの言葉に触れながら思策を深める渉猟の記録。現代ノルウェー文学の金字塔的作品、ついに邦訳!!
過保護に育てられたレデヴン館の相続人ビル・レデヴン少年は、同年代の少女のいる知人宅で休暇を過ごすよう親に命じられ、気乗りしないまま、シルバーのロールスロイスに乗せられ目的地に向かっていた。ところが、霧が濃くたちこめた荒れ地の途中で、いきなり、意味も分からないまま、お抱え運転手のブランドンに車からつまみ出されてしまう。同じころ、周到な計画のもとに、〈ナイフ〉と呼ばれる若者がボースタル少年院から逃亡する。 ビルは荒れ地をさまよううちに少年パッチと知り合い、行動をともにするようになる。二人はビルが思わぬ形で手に入れた暗号で書かれた文書を解読しながら、〈にやついた若者〉、〈ヴァイオリン〉、片手が鉤爪の男との、追いつ追われつの冒険へと踏み出してゆく。 オールタイムベスト級の傑作を次々と発表し、いわゆる英国ミステリ小説の黄金時代最後の作家としてゆるぎない地位を築いたクリスチアナ・ブランドが、すべての少年少女のために、みずみずしい筆致で、荒涼とした大地と海が広がるイギリス南部のダートムアを舞台に繰り広げられる冒険を描いたジュヴナイルの傑作。 【炉辺談話】『濃霧は危険』(山口雅也) 濃霧は危険
【国書刊行会 創業50周年記念復刊】 《現代ロシア文学のモンスター》ソローキンの傑作長編が復活!! 〈彼女が目を上げ、二人の目は出会った。「どうか教えて下さい」彼女の視線に胸の内に熱い波がわきたち、思わず身が震えるのを感じながら、ロマンは言った。「教えて……」彼が繰り返すと、彼女はすべてを悟ってまた目を外した。その頬がさっと赤く染まった。「ああ、なんと早く!」ロマンの頭にそんな思いがよぎった……〉 優秀な弁護士としての首都での暮らしにピリオドをうった青年ロマンは、画家として第二の人生を歩むために、故郷の村クルトイ・ヤールへと戻ることにした。旧知の友や親類に囲まれた素晴らしく愉快な日々。都会では忘れていた人間としての生活に、彼は大きな喜びを感じる。そして、やがて彼は運命の女性にめぐり会う…… 「現代文学のモンスター」の異名をとる作者が、ツルゲーネフ、チェーホフ、ゴーゴリといった十九世紀ロシア文学の精髄を戯画化しながら描く、衝撃のスプラッター・ノヴェル。 「創造的破壊とはこのことか。 文学界きってのデストロイヤーが小説《ロマン》をぶっ壊し、フィクションの未来を切り拓く衝撃的な大傑作」 ーー豊崎由美(書評家) ◎装幀=松本久木(松本工房) Роман, 1994 *本書は、1998年に小社より刊行した『ロマン』1・2を合本し、若干の改訂を行った上で、新装版として刊行したものです。
「小さな黒いノート」に記録された実生活の断片 『分解する』『ほとんど記憶のない女』につづく、「アメリカ文学の静かな巨人」の3作目の短編集。内容もジャンルも形式も長さも何もかもが多様なまま自在に紡がれることばたちは、軽やかに、鋭敏に「小説」の結構を越えていく。作家が触れた本から生まれたミニマルな表題作「サミュエル・ジョンソンが怒っている」をはじめ、肌身離さず作家が持ち歩くという「小さな黒いノート」から立ち現れたとおぼしき作品など、鋭くも愛おしい56篇を収録。 「それらはいわば、彼女という人の「自分観察日誌」だ。[…]結晶となった言葉は硬く乾いてひんやりとして、元の感情からは慎重に隔てられているように見えて、目を凝らしてみると、行間から血のしたたるような感情が、生の痕跡が、透けて見える」(「訳者あとがき」より)。強靭な知性に支えられた作家の本領を味わえる1冊。
国家崩壊を神話的に描く、21世紀の『魔の山』 1989年夏、東ドイツで⽂学を学ぶエドは、恋⼈を事故で亡くして絶望し、人生からの逃亡を決意する。向かったのはバルト海に浮かぶ小さな島、ヒッデンゼー。対岸にデンマークを望むこの島は、自由を求める人々の憧れの地だ。島に到着したエドは、さしあたり⼀夏を過ごそうと「隠者亭」の⽫洗いの職に就く。実質、島はクルーゾーというカリスマ的な男によって統治されていた。強烈な影響力で周囲を動かすクルーゾーに、エドは畏怖と憧れを抱く。やがて、クルーゾーは詩への情熱からエドを特別な存在として認め、二人は心を通わせ、深い絆で結ばれていく。だが、夏が終わり、秘かに国境を越えようと住人が一人また一人と去っていくと、平穏な日々に亀裂が……。 最後に一人、島に残った男が知る世界の大転換と、友との約束とは? 極限で見出した、真の自由と友情とは? いまドイツで最も注目され、《バッハマン賞》《ライプツィヒ書籍見本市賞》など、数多の文学賞の栄誉に輝く詩人が、夢と現実の境界を溶かす語りで、国家の終焉を神話に昇華させた長篇。本書で《ドイツ書籍賞》を受賞している。
コロナ後を生き抜く キーワードは「やさしさ」 ユーモア溢れる筆致で多くの読者を魅了した『女の答えはピッチにある』(サッカー本大賞2021受賞)の著者による、韓国で大反響のエッセイ、日本上陸! 新型コロナウィルスの世界的な流行で生活は一変し、人と関わらない日々が普通になりつつある。今まであたりまえだと思っていたことが、そうではなかったと思い知った著者が、日常生活を振り返り、自分がつらかったとき、困難に直面したとき、他者の大小さまざまな「やさしさ」がいかに自分自身を立ち上がらせてくれていたのか、しみじみと実感したエピソードが本書には詰まっている。 『多情所感』とは、 韓国の四字熟語「多情多感 (思いやりが深いこと )」にちなんだ造語。コロナ前には気づかなかった、女子サッカーチームの先輩たちから自然に受けていた励まし、偽善的な上司からの悟り、客室乗務員時代の女性たちの連帯、社会にはびこるマウントや偏見、SNSの言葉の落とし穴、塞ぎ込んでいたときに救ってくれた友人の料理のあたたかさ…。タイトルの通り、著者の繊細な感受性が日常生活や社会の様々な層の感情を掬いあげていくが、それには秘密がある。著者が小学校3年生の時に、大人たちが何気なく使う言葉や表現でクラスメートが深く傷つけられていると感じた記憶が明かされる。その姿が自らの深い傷になり、今も反芻し、差別する側の目が自らの内にないか常に問いかけている著者の繊細さがあるからこそ、本書の言葉は人を包みこむやさしさをもつ。 大きく感情を揺さぶられながら、相手の立場で考える想像力を取り戻す力を与えてくれる、心の点滴のような一冊。 日本の読者のみなさんへ 第一部 海苔刷毛置き、みたいな文が書きたい 旅に正解はありますか 逆さま人間たち サッカーと大家 虚飾に関して 自分だけを信じるわけには、いかないから 先祖嫌悪はおやめください 納涼特集 私の幽霊年代記 スーパーで、ようやく 彼のSNSを見た 本で人生が変わるということ Dが笑えば私もうれしい──#私がもう使わない言葉 第二部 ひとつの季節を越えさせてくれた 扉の前で、今は そんな私たちが、いたんだってば 飛行機はわるくなかった あるミニマリストの試練 wkw/tk/1996@7'55"/hk.net プーパッポンカレーの喜びと悲しみ ひょっとして、これは私のソウルフード あとで会おうね、オンラインで コーヒーと酒、コロナ時代のスポーツ 旬の食べ物をしっかり摂ること ひとつの季節を越えさせてくれた あとがき──コロナ時代の近況と、書かれていないやさしさについて 訳者あとがき
捨てられたのに、愛してる。 嫌いになりたいのに、愛してる。 ジェニスがこの世でいちばん会いたくない男性、ルーク・ラスビー。 8年前、外科医のルークはジェニスと婚約していながら、 突然一方的に婚約を解消してほかの女性と結婚してしまったのだ。 いま故郷に戻り、親友の結婚式に出席したジェニスは、 目を疑うような光景に出合い、胸がつぶれそうになったーー 昔と変わらぬ、黒髪に深い緑色の美しい瞳をしたルーク。 あのとき結婚した妻を失い、かわいらしい幼い娘を連れている……。 ルークと別れて8年も経つのにジェニスにいまだ恋人がいないのは、 じつは、いまもまだ彼を忘れられないから。愛しているから。 その事実がつらくて、その場を逃げようとするジェニスだったが……。 心は純粋なのに素直になれないヒロインを描き、共感を誘う名作家ペニー・ジョーダン。本作でもルークへの愛の深さと、失恋の深手ゆえ、8年も立ち止まったままのジェニスの切ない心情が巧みに描かれます。そしてやがて明かされる、ルークの結婚の真相とはーー?
花嫁を醜いほうの娘にすり替えるとは、 我が氏族を侮辱するつもりか! 女子修道院に暮らすイリサは突然、非情な父の命令により連れ戻された。 「お前は結婚することになった。相手には花嫁が、私には同盟が必要だ」 政略結婚の相手はマクミラン氏族の支族長、ロス・マクミラン。 視界を遮るようなベールをかぶせられ、式に臨んだイリサが知ったのは、 相手方からは、花婿本人ではなく代理人しか現れなかったこと。 そして、本当はイリサの姉が花嫁になる約束だったが、どういうわけか 日陰の妹である自分が代わりに差し出されるという事実だった! 修道女のような私に、美しい姉の代わりなんて務まらないのに……。 一方のロスは、醜いと噂のイリサをあてがわれたと知って憤慨した。 やがて、目の前に連れてこられた花嫁がベールを脱いだとき、 ロスと氏族の者は一斉に息をのんだーー花嫁の、その無垢な美しさに! じつは左腕が不自由なイリサは、冷酷無慈悲な父からお荷物扱いされて修道院に送られていたのでした。それなのに、今度は都合よく連れ戻され、騙し討ちのようにマクミラン氏族の花嫁にさせられた真相は? そして夫となったロスの、妻に対する意外すぎる反応は?
19人目の求婚者を断り、ポリーは憂鬱な気分に沈んでいた。5年前、社交界で注目の的だったヘンリー卿に熱烈に求愛され、彼女自身も魅力的な彼への想いに胸を焦がしていた。しかし放蕩者で通る彼は、ポリーの親からすれば“要注意人物”。まだ若すぎた彼女は親の言いなりで逆らうこともできず、ヘンリー卿からの駆け落ちの誘いを泣く泣く拒んだのだった。あのとき、もしも彼の胸に飛び込む勇気があったら…。その後のヘンリー卿はといえば、さらに放蕩に拍車がかかった様子だ。ある夜、舞踏会で誤って飲酒したポリーは酔った勢いのままにヘンリー卿との過去を清算しようとして、逆に彼にキスされてしまう!
世界的大企業リオネデス・エンタープライズの社長ドラコンに、ジェミニは強引に面会を求めた。必死の思いだった。彼女の父が半年前に亡くなり、ロンドンの一等地にある大邸宅が、義母によってドラコンの会社に売り渡されようとしている。大切な屋敷を取り戻すには、ドラコンと交渉するしかない。なんとか会うことができた彼は、ブロンズ色の肌に黒い髪、長身でたくましいギリシア神話の神のようだった。その圧倒的な存在感と魅力に、ジェミニは一瞬、言葉を失った。ジェミニは心の中で抗ったー再婚相手を探す義母の誘惑に平気で乗るような彼の魅力なんて認めない!認めたくない。でも…。
頭脳明晰、容姿端麗、独身主義。 彼なら完璧ーー理想的な父親だわ! 救急救命士のサマンサは、ある日、偶然妊婦の出産に立ち会い、 赤ん坊の誕生に心を強く揺さぶられた。幼いころ失った母との絆。 私も子供を産み育ててみたいけれど、恋愛も結婚も怖い……。 サマンサは悩んだすえ、人工授精で子供を産もうと思いつく。 容姿端麗で優秀な同僚で、独身主義者のプレイボーイーー アレックス。でも、こんな頼み事、聞いてくれるかしら? ためらいがちに切り出したもののあっさり拒まれてしまった。 落胆したサマンサだったが、やがて彼は前言を翻し、 とんでもない条件をつけてきた。「普通の方法で子供を作るなら」 それって……あなたとベッドをともにするという意味? 驚いたヒロインは咄嗟に彼の提案を拒みましたが、急に互いを異性として強く意識しだした二人。そしてある日、命の危険にさらされたあと、思いがけず情熱を交わしてしまいーー!? かわいい赤ちゃんを授かるまでの、もどかしい恋愛模様をお楽しみください。
こんなにも胸が切ないなんてーー 恋をしても。恋をあきらめても。 ヨットで航海中に父が急逝し、天涯孤独になった18歳のクレシダ。 ただひとり気丈に荒波と闘う彼女を救ったのは、 目をみはるほどの美貌とたくましさを併せ持つ大人の男性ルークだった。 ためらいもせず救助船から海に飛び込んで助けてくれた彼はまさに、 クレシダのヒーロー、そして密かに想いを寄せる初恋の人となった。 その後、裕福なルークに引き取られたクレシダは、 これはたんなる思春期の恋心にすぎないと自分に言い聞かせた。 けれど、ルークとヨットで出かけて嵐に見舞われた夜、 島陰で急接近したふたりは、ついに結ばれるーー 家に帰れば、ルークと親しくしている美女が、 妊娠の知らせを持って待っているなど夢にも思わずに……。 ルークに身を投げかけた美女がもたらした衝撃告白。失意のクレシダはその夜のうちにルークの家を出るのでした。ハーレクイン黎明期から活躍した名作家ロビン・ドナルドのクラシックな年の差ロマンスをお贈りします。うら若きヒロインの切ない初恋の行方は?
ギリシア富豪の忘れ形見を育てること。 それが私の生きがいだったのに……。 富豪ニコスは敵を欺くべく自らの死を装って1年半を過ごした後、 スペインにやってきた。そこで待ち受けていた驚愕の事実は、 かつて交際していた女性マリサが彼の息子を産んでいたこと。 僕の跡継ぎとなるあの子は絶対誰にも渡すものか! 純潔と情熱を捧げた男性ニコスが突然目の前に現れ、 マリサは激しい衝撃を受けた。彼が生きていたなんて! 安堵と歓喜もつかの間、マリサはニコスの言動から思い知る。 彼が必要としているのは私ではなく、私の産んだ子供……。 人気沸騰中の作家M・スマートが息もつかせぬテンポで描くシークレットベビーの物語をお贈りします。新たな生活を始めようとするヒロインの人生に再登場したプレイボーイのギリシア富豪ヒーロー。失われた愛のゆくえは? 『スペイン富豪と傷心の乙女』関連作。
もしも夫を愛してしまったら、 偽りの妻は去るしかない。 亡父の借金のせいでギャングに追われているクレアは、 女性の噂が絶えない大富豪デーヴの豪華クルーザーに逃げこみ、 彼のキャビンのクローゼットに身を隠した。 数時間後、眠りこんでしまったクレアは、激怒したデーヴに 叩き起こされ、追いだされそうになって、涙ながらに懇願した。 見捨てられたら、お金だけでなく命の危険もあるのだ、と。 考えを巡らせたデーヴが持ちかけたのは契約結婚だった。 「きみの安全は保障され、僕は放蕩者の汚名を返上できる」 彼を愛さなければ問題ないはず。だがなぜかクレアの心は揺れた。 話題作の続くタラ・パミーが渾身の情熱で描く、契約結婚から始まるスリリングなロマンス! プレイボーイで知られるヒーローの思いがけない素顔を知り、どんどん惹かれていくヒロイン。しかし無情にも結婚契約の期限は刻一刻と近づいてきて……。
余命いくばくもない彼女の前に、 “魂の片割れ”が現れて……。 出会ったばかりの男性にボディガードを頼むなんて。 アニーは自身の思いがけない行動に驚いていた。 悪党に絡まれているところを救ってくれた、ゲイブと名乗る 謎めいた放浪者に、ひと目で強烈に惹かれてしまったのだ。 その日以来、ゲイブは片時もアニーのそばを離れることなく、 ときに厳しく見守り、またときに情熱の炎で包みこんでくれた。 じつはアニーは不治の病を患っていた。残された時間はあと僅か。 どうか1日でも長く、彼と一緒にいられますように。 アニーはまだ知らなかった──ゲイブの驚くべき正体も、 彼がアニーを救うためにすべてを投げ打とうとしていることも。 “癒やしの作家”の原点ともいうべき、不朽の名作をお贈りします。風前の灯となったヒロインの命に、献身的に寄り添おうとするヒーロー。ところが彼もまた秘密を抱えていて……。感涙とともに胸がじんわりと温かくなる、シャロン・サラの真骨頂!
苦しい生活を支えるため、ある調査の仕事を引き受けたジェシー。別人に変装して、調査対象者がよく通うバーに出向いたところ、一人でカウンターにいる青い瞳の魅力的な男性に否応なく惹かれた。彼こそが、調査対象者のミスター・マーシャル。なんてセクシーな人!ジェシーは危うく彼の誘惑に屈しかけたが、なんとか理性を取り戻し、その場から逃げおおせた。数日後、長年望んでいた仕事につくチャンスがおとずれ、その会社のボスと面談をすることになったジェシーは、現れた男性を見て絶句する。あの夜のセクシーな彼がなぜここに?
この記憶は いつまで わたしに残るのだろうか 天皇の庭師だったアリトモと、日本軍の強制収容所のトラウマを抱えるユンリン 1950年代、英国統治時代のマラヤ連邦(現マレーシア) 日本庭園「夕霧」を介して、ふたりの人生が交錯する── 同名映画『夕霧花園』【トム・リン監督/リー・シンジエ、阿部寛出演】原作 (2019年映画化、2021年7月24日、日本公開)。http://yuugiri-kaen.com/ マン・ブッカー賞最終候補に選ばれ、現代アジア文学で最も優れた小説に贈られるマン・アジア文学賞等を受賞。17ヵ国語に翻訳され、高い評価を受けている。 【あらすじ】 封印していた数々の記憶が、「夕霧」でふたたび流れ出す── 1980年代のマレーシア。 連邦裁判所判事の職を離れたテオ・ユンリンは、キャメロン高原の日本庭園「夕霧」を再訪する。 そこは、30数年前、日本庭園を愛する姉の慰霊のために、日本人庭師ナカムラ・アリトモに弟子入りした場所だった。 日本軍のマレー半島侵攻、戦後マラヤの「非常事態」を背景に、戦争で傷ついた人びとの思いが錯綜する。 夕霧花園 著者による注釈 訳注 訳者解説 訳者あとがき
1961年10月23日の朝、二人の青年アンヘル・レトとマテマティコが“街”の目抜き通り21ブロックを一時間ほど共に散歩する。両者とも出席が叶わなかった詩人ワシントンの誕生日会の詳細を耳にしたマテマティコは、散歩のさなかその真相をレトに語って聞かせるが…プラトン、ジョイス、フロベール、ボルヘスら巨人たちの文業を受け止めつつ“同一の場所、同一の一度”を語り明かそうと試みる、ひとつの広大な物語世界。