ジャンル : 外国の小説
一夜で授かった天使が、 愛の奇跡を呼び覚ました。 婚約者が急死し、プリヤは悲嘆に暮れていたが、 婚約者の親友クリスチャンの献身的な支えで立ち直った。 ほどなく二人は友情を保ったままの便宜結婚に合意し、 暮らし始めるが、吹雪の夜、情熱に抗えず一線を越えてしまう。 私は夫を愛し始めている──プリヤは妊娠と同時に確信した。 だがその直後、クリスチャンも飛行機事故で帰らぬ人に。 彼女は泣く暇もなく、夫の忘れ形見を独りで育てるほかなかった。 8年後、プリヤと息子の前に見覚えのある男性が現れた。 クリスチャン! 嘘でしょう。いったい何が起こったの? “禍福はあざなえる縄の如し”という言葉をそのまま体現したようなヒロインの人生を、タラ・パミーが生き生きと描きます。何度つらい目に遭おうとも、愛を信じるヒロインのピュアな想いは揺らぎません。ヒロインを思わず応援したくなるロマンスです。
「ぼくはきみとベッドはともにしない」 それが元婚約者との契約結婚のルール。 エロディは最愛の人との挙式直前、教会から逃げ出した。 花婿ーーハンサムで完璧な大富豪リンカーンを置き去りにして。 なぜなら彼に愛されていないと感じたから……。 あれから7年。彼を忘れたくて仕事に打ち込んできたが、 仕事で必要な資金の調達ができず頭を悩ませていたとき、 謎の援助者から連絡が入った。一縷の望みをかけて 会いに行くと、現れたのは誰あろうリンカーンだった! 「結婚してほしいんだーー」 なんですって? エロディは耳を疑った。 「余命いくばくもない母のために」 かつて深く愛したリンカーンとの幸せな日々が胸に甦り、半年だけの契約結婚を承諾してしまったエロディ。本社おすすめのダイバーシティ企画作として話題をさらった『恋を忘れた無垢な薔薇』のヒロインの双子の姉が失読症を乗り越え愛を手にする感動作!
18歳の夏のプロポーズは、 今もなお、苦く切ない記憶のまま。 姉の結婚式で花嫁付添人を務めていたソーチャは、 最後列に座る招待客を見て、心臓がとまりそうになった。 チェーザレ・ディ・アルカンジェロ! なぜ彼がここに? 7年前の夏、18歳のソーチャは彼に夢中だった。想いが叶い、 ついに求婚されるが、それは愛の欠片もない冷酷なものだった。 傷ついた彼女は拒絶し、泣く泣く姿を消したのだ。 チェーザレが不敵な笑みを浮かべて近づき、思いがけない提案を 持ちかけた。傾きかけた会社を立て直すため、きみの協力が ぜひ必要だという。いったいチェーザレは何を企んでいるの? 疑いの目を向けた彼女は次の瞬間、強引に唇を奪われて……。 人気のシャロン・ケンドリックの知られざる珠玉作の登場です。兄の親友であるヒーローに、ひと夏の恋をしたヒロイン。愛なきプロポーズから7年、再会した彼は相変わらず魅力的で……。ヒロインの一途な想いが通じる日は来るのでしょうか?
スペイン富豪との偶然の再会に、 おとぎ話のような結末は訪れないの? 大企業で働くアンドレアは、ある日突然の呼び出しを受けた。 会社を率いる雲の上の若き社長、ガブリエル・クルスによって。 そして彼との初対面を果たしたとたん、あやうく気を失いかけた。 5年前、恋に落ちたスペイン人男性に瓜二つだったのだ。 でも名前が違う。まさか、彼は大富豪という素性を偽っていたの? それなら、逃げなければ! あの秘密を知られる前に。 ガブリエルの前から姿を消そうとしたアンドレアだったが、 自宅までやってきた彼に、見られてしまう。 まだあどけない、だが彼にそっくりの、4歳の男の子を。 長年にわたり活躍を続ける大作家キャシー・ウィリアムズ。彼女の描くラテンヒーローはとびきり魅力的で、本作でも圧倒的なパワーでヒロインを振り回します。スペイン富豪ヒーローから子供のためだけの結婚を申し込まれたヒロインに幸せは訪れるのでしょうか?
世界的に大ヒットしたハリウッド映画「慕情」の原作。国共内戦によって大陸を追われた外国人や資本家、多数の難民が流入した香港の様子が詳細に描かれ、国共内戦の終盤期の中国や香港の情勢や、運命に翻弄される人々を描いた貴重な小説の一面を持つ。下巻では1949年10月から1950年8月まで、誕生直後の新中国や、マークが派遣された朝鮮戦争の戦場の様子などが描かれている。
秘密主義のFBI、背信行為を働く弁護士、食べ物を冒涜する犯罪者。怒りに燃える巨漢の名探偵は三つの難事件を解き明かせるか? 腹に据えかねる数々の事件がウルフを悩ませる。 悪い連“左” 犯人、だれにしようかな(イニ・ミニ・マーダー・モ) 苦い話 訳者あとがき
それからの『水滸伝』。民衆の英雄『水滸伝』の生き残りたちが、運命の糸にあやつられて再び大同団結し、戦いに斃れ、あるいは讒言によって殺された不運な兄弟たちの無念を晴らそうと、大陸と海を舞台に痛快極まりない縦横無尽の大活躍を繰り広げる。民衆の願望の中に今もなお生きつづけるこれら英雄たちの復活劇を、快テンポの筆で見事に活写した『水滸伝』の続篇。
「幽霊語」を生み出す辞書編纂者の正義、儀式で絶命することが名誉な一家の恥さらしな叔父、社会に辟易しデジタルデータになる決意をした息子と母親の葛藤、幸せな日々を送る男の封印された終身刑の記憶、生物園の男と逢瀬を重ねる女、女王陛下と揶揄された少女の絶望と幸福の告白、空っぽの肉体をもつ新生児が生まれはじめた世界の恐るべき魂の争奪戦、合衆国から独立したテキサスの町「アメリカ」の群像悲喜劇、逆回転する世界に生まれた僕の四次元的物語ーー 現代アメリカの暗部と矛盾、恐れと欲望、親密さと優しさ。 奇想天外な世界の住人たちのリアルな情動に息を呑む、驚異的作品集。 【目次】 売り言葉 儀 式 変 転 終身刑 楽園の凶日 女王陛下の告白 スポンサー 幸せな大家族 出 現 魂の争奪戦 ツアー アメリカへようこそ 逆回転 訳者あとがき
『WORLD WAR Z』で全世界のホラー・ファンを歓喜させ、 ゲーム『マインクラフト』の世界を小説化してみせた才人ブルックス。 待望のモンスター・パニック・スリラー登場! 火山噴火で孤絶した集落。 森の中から彼らに忍び寄る群れーー 作家マックス・ブルックスのもとに手記が届けられた。それはレーニア山の噴火による被災地のひとつ、廃墟となったエココミュニティで発見された住人の日記だった。廃墟には生存者がおらず、二名の住人が行方不明となっている。すべての通信手段も脱出ルートも失われたコミュニティで、いったい何が起きたのか? 未だ原因が明かされていない集落全滅の真相とは? 武器も食糧もないひとびと。地面に刻まれた人間そっくりの巨大な足跡。闇にひびく咆哮。そして森の中に散乱した動物の死骸。そして牙を剝いて襲い来る凶暴な群れ。傷だらけになった人間たちの反撃、果たして成るか? 怪物との壮絶な死闘は、どんなに恐るべきものを呼び起こしてしまったのか?
かつてのベストセラー作家ジェイコブは、どうしても新作を書けずにいた。小説創作講座で教えるだけの日々に鬱々とし、受講生のエヴァンに怒りと嫉妬の炎を燃やしていた。授業を受ける意義がないとうそぶきながらも、彼の語る小説のプロットは素晴らしいものだったからだ。その三年後、ふとしたことからジェイコブはエヴァンが死んだことを知る。彼は、エヴァンが自分に語ったプロットを盗用して小説を書くことを決意する。かくして、新作『クリブ』はべストセラーとなるが、そこに何者かから脅迫メールが届き…
フランスの地方に暮らす幸せな一家。ある日、第三子が重い障がいを抱えていることが分かった。長男はかいがいしく第三子の世話に明け暮れるが、長女は彼の存在に徹底的に反発する。障がいのある子どもが誕生した家庭の心の変化を、静謐な筆致で描く感動長篇。
消費文化の光と影。ゾラが24年をかけて完成させた「ルーゴン=マッカール叢書」(全20巻)中の『ボヌール・デ・ダム百貨店』は、消費社会を“贅沢・労働・恋愛”の視座から描いて先駆的な作品!
《『ジャン・クリストフ』はぼくにとって、読書の喜びに目覚めさせてくれた一冊だ》--野崎歓 音楽家の家系に生まれたジャン・クリストフ。 しかし楽団員の父は酒におぼれ、やがて真面目な祖父が亡くなると、少年は働いて一家を支えなければならなくなる……。 つらく退屈な日常の仕事と、思うように上手にならない作曲。 彼は音楽家の才能を開花させることができるのか? ベートーヴェンをモデルに書かれた傑作大河小説の少年時代編を平易な言葉でコンパクトにまとめた、 子供たちのための縮約版『ジャン・クリストフ』。 『ジャン・クリストフ』との出会い 野崎歓 ジャン・クリストフ物語 あけぼの 朝 あとがき 宮本ヱイ子
“切れぎれの回想、現在のノアの心理、オーパルからの手紙、ノアの父ヴァージルや母ルービーをめぐる一連の奇妙な逸話…。 事実は見えなくても、ノアの胸に満ちる強い喪失感は、一ページ目からはっきり伝わってくる。その静かな哀しみが、ノアと猫たちとのどこかとぼけたやりとりや、ノアの父親ヴァージルのやたらと衒学的な物言いなどから浮かび上がる淡いユーモアと絶妙に混じりあい、それらすべてが、文章教室的規範から逸脱することを恐れない自在の文章で語られることによって、この作品を、昨今の小説には稀な、とても美しい小説にしている。”(訳者・柴田元幸) 哀しみを抱えるすべての人へ。 2006年刊行の「とても美しい小説」を復刊しました。
振り返ると、そこに忘れ得ぬ「あの日」の色がある。ドイツのベテラン作家の円熟作。年齢を重ねた今だからわかる、あの日の別れへの後悔、そしてその本当の意味をーー。男と女、親と子、友だち、隣人。『朗読者』で世界中の読者を魅了したドイツの人気作家が、「人生の秋」を迎えた自らの心象風景にも重ねて、さまざまな人々のあの日への思いを綴る。色調豊かな紅葉の山々を渡り歩くかのような味わいに包まれる短篇集。
【国書刊行会 創業50周年記念復刊】 〈真の創造の奇跡〉を、ここにふたたび。 〈この家はいつも地獄だった。みんな死んでもないのに、もうここでは死んだ人たちの話ばっかり。……でも暮らしがほんとに悪くなったときだった。セレスティーノが詩を書こうと思いついたのは。かわいそうなセレスティーノ! いまぼくには彼が見える。居間のドアの陰に坐って両腕を引き抜いている……〉 母親は井戸に飛びこみ、祖父は自分を殺そうとする。 寒村に生きる少年の目に鮮やかに映しだされる、現実と未分化なもう一つの世界。 ラテンアメリカの魔術的空間に、少年期の幻想と悲痛な叫びが炸裂する! 『めくるめく世界』『夜になるまえに』のアレナスが、さまざまな手法を駆使して作り出した奇跡の傑作。 『夜明け前のセレスティーノ』はリズムである。 ちょうどその著者がリズムであったようにーーファン・アブレウ *** 〈アチャス アチャス アチャス アチャス アチャス アチャス アチャス アチャス アチャス アチャス アチャス アチャス アチャス アチャス アチャス アチャス アチャス アチャス アチャス アチャス…… 斧(アチャス)の音がしないとぼくは眠れない。止まるな! 止まるな! 止まるな!〉 〈「斧(アチャス)はどんな音たてる?」 「パスッって音、まるで空中で鳴きつづけてる霊みたいに」 「斧(アチャス)はどんな音たてる?」 「パスって音……。パスッ……」〉 *** 少年期を、そしてキューバの生活を描いた最も美しい小説の一つ。 カルロス・フエンテス(作家) この並外れた小説を読むことは創造の真の奇跡と接触することだった。新鮮な爽やかさへ、旧態を打破するような恐れを知らない屈託のなさへと通じる空間にわたしを近づけてくれたのだ。危険にみちた領域に。 ……いま日本の読者の手に届くこの本は、思春期の輝かしい時代に、このうえない教訓をわたしに与えてくれた。つまり、「本当の文学とはわたしたちを変わり者にする文学、わたしたちを危険にさらす文学である。書くことはひとつの仕事ではなく、呪わしい儀式なのだ」という。 フアン・アブレウ(作家/画家) --本書日本語版のための特別エッセイ「ハバナの奇跡」より 『夜明け前のセレスティーノ』をどう語ったらいいか。濃緑の草がしゃべり出したような本だ。木の幹に詩を書くセレスティーノと、彼のいとこ「ぼく」。むきだしの生と死、暴力と抑圧。自由と抵抗の根っこには「詩」がある。叩きつけるリズムが日本語に乗り移った。 小池昌代(詩人/作家) --『私が選ぶ国書刊行会の3冊 国書刊行会創業50周年記念小冊子』より 夜明け前のセレスティーノ ハバナの奇跡(フアン・アブレウ) 訳者あとがき(安藤哲行) 新装版に寄せて(安藤哲行)
斬新な構成、独特な心理描写で、彫刻家である主人公の、三代にわたる女性への愛情が赤裸に描かれるーー唯美主義、ダーウィニズムの思想を取り込み、〈性愛と芸術〉の関係を探究し続けた英国ヴィクトリア朝の詩人・小説家トマス・ハーディが最後に著したロマンス・ファンタジー。
本を読めば、何かが変わるの? 本は、どこでだって誰にだって読まれうる。 120年前に書かれたコンラッドの“問題作”『闇の奥』を、 いま、この日常の喧騒のなかで読んでみる。 「ふつうの読書」と「批評」を行ったり来たりして、 「読書」という営為について考えてみよう。 ============= 【目次】 序 章 『闇の奥』には辿りつかない長い道のり 本と出逢う/いかに読むべきか/道草としての読書/失われた「作者」を求めて/本書の取扱説明書 /付記/註 第一章 本はどこでだって書ける ふまじめな作者/ポーランド、より正確にはウクライナ/大人になったら、そこへ行くんだ/コンラッドと女性たち/英語という「選択」/註 第二章 コンラッド、コンゴへ行く コンゴで知ったこと/歴史から小説へ/「小説は歴史である」/註 第三章 『闇の奥』への旅を始める プロットを読む/物語の外側の物語/風景の陰謀プロット/イクチオサウルスの正体/註 第四章 「意図されたもの」とは何か 読書にゴールはあるか/遅延と妨害/真実のクルツ氏を求めて/マーロウに逆らって読む/註 第五章 女として読む 想定されていない読者/女たちの美しい世界?/アフリカの女/そして物語は破綻する/経験と読書 /註 第六章 誤読の効用 読むべきか、読まざるべきか、批評をするか/アフリカの歪んだイメージ/コンラッドはレイシストか/読むべきではないのか/よく読まなければならない?/註 第七章 ポケットに『闇の奥』を 余白に書かれた暗号/ロシア人の若者/『闇の奥』とともにアフリカへ/註 第八章 余白に書く 『闇の奥』と『暗い河』/模倣する世界/「暗号」を読み解く/『闇の奥』はもういらない?/註 終 章 日常の読書学 日常と非日常/小説のなかの日常/『闇の奥』の日常/二つの読書法/日常の読書学/明日もまた太陽は東から昇る/註 あとがき 索引