ジャンル : 外国の小説
母の死後、いつも妹の後始末をしてきたエマは頭を抱えた。敏腕実業家として知られるドレイクの車を、妹が壊したのだ。代償に、エマは扇情的な雑誌に出るよう求められ愕然とする。断れば訴訟を起こすと脅され、承諾するほかなかった。実際には、彼が要求したのは婚約者のふりをすることだった。共に過ごすドレイクの男性的魅力が息苦しいほどでも、エマは愛のない関係を結ぶ気はなかった。ある日、街へ出たエマは暴漢に襲われて頭を打ち、記憶を失う。退院したあと、情熱が導くまま“婚約者”と枕を交わすがー。
1816年、レマン湖畔。バイロン卿の別荘では、5人の男女がそれぞれ怪奇譚を披露することになる。そこで幼い子を亡くしたばかりのメアリー・シェリーは、生命の禁忌に触れる怪物を夢想しはじめた。いっぽう現代の英国。若きトランスジェンダーの医師ライ・シェリーは、人体冷凍保存施設で出会った気鋭の人工知能研究者ヴィクター・スタインと関係を持つ。しかし謎多き彼は、秘密裏に危うい研究を進めていた…。繰り返される人類の見果てぬ夢が叶う日はくるのか?混沌と狂騒の時代におくる、最も危険なラブストーリー。
魔的な戦慄に満ち充ちた傑作ドッペルゲンガー長編『悪魔の美酒』、緑金の小蛇のメルヒェン『黄金宝壺』、鏡影綺譚『歳晩祭夜話』他、『ちび助ツァッヒェス』『ドン・ジュアン』『狂楽人クライスラアの手記より』『音の秘密』の全7編を収録。様々な分野で影響を与え続ける天才芸術家E・T・A・ホフマンの幻妖美につつまれた幻想小説。クービンほかの挿絵を多数収録。 【目次】 悪魔の美酒 ちび助ツァッヒェス カロ風の幻想曲(抄) 黄金宝壺 ドン・ジュアン 歳晩祭夜話 狂楽人クライスラアの手記より 音の秘密 ★ 「悪魔の美酒」とホフマン(石川道雄) 「ちび助ツァッヒェス」解説(石川道雄) ホフマニアーナ(石川道雄) 悪魔の美酒 ちび助ツァッヒェス カロ風の幻想曲(抄) 黄金宝壺 ドン・ジュアン 歳晩祭夜話 狂楽人クライスラアの手記より 音の秘密 ★ 「悪魔の美酒」とホフマン(石川道雄) 「ちび助ツァッヒェス」解説(石川道雄) ホフマニアーナ(石川道雄)
土地固有のかたちとフランス語の多様性を追求し続けたスイス・ロマンドの国民作家C・F・ラミュ──ラヴォー地域の村落を理想郷として描く詩的小説の表題作、故郷の地勢から発する文学を決意した「存在理由」、「手本としてのセザンヌ」「ベルナール・グラッセへの手紙」を収録。本邦初訳。
ロシア革命の不安を背景に現れる美貌の密偵と放浪インテリ乞食集団……奔放過激な幻想や黒いユーモアが爆発する幻視的予言の書『世界を駆けるヴィーナス』。夜と海と砂丘の探偵小説『北の橋の舞踏会』。推理小説の要素を兼ね備えた傑作長編2編に、澁澤龍彦が短編『マドンナの真珠』の藍本とした幽霊船綺譚『薔薇王』を併録。
20世紀スイスロマンド文学を代表する女性作家アリス・リヴァーー告白体の軽快な「女性の文体」で〈女の生〉を赤裸々に綴った、時代に先駆けたフェミニズム小説の表題作と、名もなき者たちの沈黙に言葉を与える詩的散文『残された日々を指折り数えよ』の2篇を収録。本邦初訳。
《君に会いたくて、二万光年を飛びこえたんだ。》 人間と宇宙人の、想像を超え、時空を越えた、一途でさわやかなSFラブストーリー。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー やさしい心を持つハナは、つき合って11年になるキョンミンに振り回されてばかり。 この夏休みだってハナを置いて、流星群を見にカナダへひとりで出かけてしまう。 そしてカナダで隕石落下事故が起こり音信不通に。 心配をよそに無事帰国したキョンミンだが、どうも様子がおかしい。 いつもとは違ってハナを思いやり、言葉づかいだってやさしい。 嫌いだったナスも食べている。 ついには……口から青いビームを出しはじめて……。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー もう二度とこれほど甘い話を書くことはできないと思います。 ーーチョン・セラン
南北分断と朝鮮戦争をめぐる若者群像 いつの時代も戦争で被害に遭わない若者はいない。戦地に送られ生死の境をさまよったあげく、除隊後も不安定な精神状態から逃れられないのだ。残され、ただ待ち続けた女性たちも例外ではない。 廉想渉につづき、韓国の現代文学への橋渡しをした大物作家の一人、黄順元は、廉想渉よりも十八歳年下で、南朝鮮に越南してきた。創作の質と量から見ても廉想渉に匹敵する大作家と言って差し支えない。性描写がかなり露骨であるのも当時の韓国小説としては異色である。本作を読み終えたとき、きれいごとではないどぎつい臨場感に圧倒された。戦場での苦しみは、消えることがない。日本文学ともまた違う、この時代の朝鮮文学によって、外国文学を読む意義と醍醐味を再認識したのもこの作品だった。(訳者) 【あらすじ】 戦争前はエリート候補のはずだった大学生3人は学徒兵に。一番不器用なドンホは最前線の歩哨に立って自殺。除隊後、飲み歩くヒョンテは娼婦の自殺幇助で収監される。ただ一人、ユングだけは養鶏業を始めて何とか生き抜いていこうとするが……。 第一部 第二部 「木々、坂に立つ」解説
台北の女子高に入学した「私」は、先輩の小游と惹かれ合い、戸惑いながらも付き合うことに。しかし、小游には親の無理解で入院させられていた元恋人・小莫がいた。台湾大学に合格した小游と小莫は、大学近くのアパートで同居を始める。一年後、「私」も台湾大学に合格するが、二人とは距離を取ってしまう。大学を卒業した小游と小莫は渡米し大学院へ。翌年卒業した「私」は台北で会社員になる。時は流れ数年後、小莫から国際電話で「心臓の手術をするため帰国する」と連絡があり…。今を生きる少女たちの揺れ動く青春の日々を、繊細かつ誠実に描き出した傑作。
西暦2257年。異生物学者のキラは、異星人が造った地下室を見つけ、そこで全身を奇妙な埃に覆われ意識を失った。キラは巡航船の中で、体を覆う異生物を調べるための執拗な実験に苦しめられていた。その異生物を手に入れようとするエイリアンに巡航船を襲撃され、宇宙を漂っていたキラは<ウォールフィッシュ>号という宇宙船に助けられる。そこで<ジェリー>と呼ばれる異星人が最近船や惑星を襲って、人類とエイリアンの宇宙戦争が勃発していることを知る。体を覆う異生物の能力により、エイリアンの考えていることを理解できるようになっていたキラは、この戦いを止められるのは自分しかいないと気がつき、〈ウォールフィッシュ〉号の乗組員たちとともに、仲間や家族、宇宙を守るために、ある星を目指して旅立った。
宇宙を制するために必要とされる〈蒼き杖〉を目指すウォールフィッシュ号。しかしジェリーのほかに、ナイトメアという新たなエイリアンとも戦わなくてはいけなくなったキラとクルーたち。ソフト・ブレイドの扱いに徐々に慣れてきたキラは、その自身の体を覆った特殊なスーツを使ってナイトメアたちを相手に戦っていく。そしてエイリアンたちとの抗争を繰り広げながらも、たどり着いた惑星で手に入れたかった〈蒼き杖〉をようやく発見したが……。さらに、キラたちがこれまで宇宙で犯してきた違反行為により、UMCに捕まってしまう。彼らの宇宙船に拘束されたキラとウォールフィッシュ号のクルーたちは、果たしてこの宇宙戦争を止められるのか!?
宇宙の平和のために強敵ジェリーの戦艦に乗り込んでいくキラとウォールフィッシュ号のクルー。キラとソフト・ブレイドは完全体となり、さまざまなピンチを乗り越えていく。さらに現れる新たな敵、仲間との再会。自分達が選んだ道は正しかったのか……と迷いながらも敵に立ち向かっていく。そしてキラは最後の選択を迫られ、本当に自分がやるべきことの答えを出す。愛する家族や大切な仲間たち、この果てしない宇宙のために諦めかけた心を再び目覚めさせる。––––この狂った宇宙に平和は訪れるのか、キラたちは穏やかな暮らしを取り戻せるのか。超大作の物語がついに完結。
ゴールドラッシュが過ぎ去った黄昏のアメリカ。かつて黄金が埋まっていたこの地を、今は乾いた金色の草だけが覆っている。炭坑の町で暮らす中国系移民一家の子供、11歳のサムと12歳のルーシーは、明け方に〓(ちち)が亡くなっていることに気づいた。媽を数年前に失った二人には、もう居場所はない。だから町から逃げ出し、〓の亡骸を葬る旅に出る。現実的で、協調性を重んじるルーシーと、奔放で、自らの信念を貫こうとするサム。二人で始めたはずの旅はやがて、それぞれの居場所を問うものへと変わっていくー現実と幻想、歴史と神話を織り交ぜながら、ある移民一家の喪失と再生を描く長篇。
韓国文学の新シリーズ〈キム・エランの本〉刊行スタート! 《BTSのRMさんも愛読、韓国で17万部の大ベストセラー小説集》 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー タクシー運転手のヨンデは、車内で、中国語のテープを聴いている。 数ヶ国語を話せた、死んだ妻が吹き込んでくれたものだ。 何をしても長続きせず、「家族の恥」と周囲に疎まれ、三十六歳で逃げるように上京した彼は、中国の地方から出稼ぎに来ていた親切な女ミンファと出会い、結婚し、貧しいながらも肩を寄せ合うように暮らしていた。 だが、やがて彼女はがんを患って……(「かの地に夜、ここに歌」)。 裏切り。罪。喪失。悲しみ。 韓国文学の騎手が贈る、哀切な8つの物語。 ーーこの空の向こうに、幸せはきっとある。 ■日本の読者の皆さんへ ■そっちの夏はどう? ■虫 ■水中のゴリアテ ■かの地に夜、ここに歌 ■一日の軸 ■キューティクル ■ホテル ネアックター ■三十歳 ■あとがき ■訳者あとがき
八百年、貴方に焦がれ続けた。 仙楽国の太子・謝憐(シエ・リェン)は、十七歳の若さで飛昇し天界の武神となった。 しかし、自らの行動が原因で二度も天界を追放されてしまう。 それから八百年後ーー。三度目の飛昇を果たし天界に復帰したものの、 今や謝憐(シエ・リェン)の信徒は残っておらず、 他の神官たちからもはみ出し者扱いされてしまうのだった。 地道に信徒を獲得しようと下界で一人奮闘する謝憐(シエ・リェン)は、 ある日、三郎(サンラン)と名乗る美しい少年に出会う。 行くあてがないと言われともに過ごすようになり、 慕ってくれる彼と仲を深める謝憐(シエ・リェン)。 だが、なぜか天界や鬼界に詳しい三郎(サンラン)には秘密があるようでーー?
豪華グッズ付きの特装版! 仙楽国の太子・謝憐(シエ・リェン)は、十七歳の若さで飛昇し天界の武神となった。 しかし、自らの行動が原因で二度も天界を追放されてしまう。 それから八百年後ーー。三度目の飛昇を果たし天界に復帰したものの、 今や謝憐(シエ・リェン)の信徒は残っておらず、 他の神官たちからもはみ出し者扱いされてしまうのだった。 地道に信徒を獲得しようと下界で一人奮闘する謝憐(シエ・リェン)は、 ある日、三郎(サンラン)と名乗る美しい少年に出会う。 行くあてがないと言われともに過ごすようになり、 慕ってくれる彼と仲を深める謝憐(シエ・リェン)。 だが、なぜか天界や鬼界に詳しい三郎(サンラン)には秘密があるようでーー?
画商ヴィクトル・アルデルヘイムは計画を実行した。令嬢イェンニからすべてを奪い、息子ケヴィンをサバンナに置き去りにしたのだ。そこには、マサイ族の呪医がいた。 「あの極悪人に復讐を!」スウィートスウィート・リベンジ株式会社の社長フーゴに依頼が舞い込む。ギャラリーの地下室に罠を仕掛けよう……。巧妙なアイデアが膨らんできた。 ヨナス・ヨナソン最新作、笑撃の第5弾! ●海外書評より 復讐計画はあれよあれよという間に予期せぬ方向へ。口からでまかせの茶番劇に、ページをめくる手が止まらない。 パブリッシャーズ・ウィークリー 悪徳美術商、怠け者のスウェーデン人警察官、泌尿器科医のせいで妻に捨てられた眼科医など、ヨナソンお得意のキャラクターが続々登場。華麗な娯楽作品。 デイリー・ミラー 笑いを交えながら、芸術、政治、ロマンス、そして仕返しの哲学に関する皮肉な視線など、荒唐無稽な物語をこれでもかと詰め込んでくる。独創的な作家である。 タイムズ ●デビュー作『窓から逃げた100歳老人』 は45カ国で刊行され、1000万部を突破するベストセラー。 2014年11月映画公開(邦題「100歳の華麗なる冒険」)、2015年 本屋大賞翻訳小説部門 第3位。