小説むすび | ジャンル : 外国の小説

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スター作家傑作選〜小さな秘密の宝物〜スター作家傑作選〜小さな秘密の宝物〜

メリッサは暴漢に襲われ、隣家の跡取り息子ディエゴに救われた。それを機に二人は結ばれて夫婦となったが、この結婚はメリッサの罠と信じ込む彼と、その家族の仕打ちに耐えられず、彼女は妊娠を告げぬまま姿を消した。5年後、事故で瀕死状態に陥ったメリッサは、面会に来た夫に言い張った。「息子はあなたの子じゃない」と(『もう一度抱きしめて』)。孤児として育ったフェイスは運命の人との出会いを待ちわびていた。だから、誘拐犯から彼女を救ってくれたワースに純潔を捧げたのだ。“2カ月後のクリスマスに町の広場にあるツリーの下で会おう”そう約束して別れたが、当日、いくら待てどもワースは現れない。フェイスは絶望に打ちひしがれたーお腹に宿る、彼の子とともに(『星降る夜の出来事』)。レオン!アラーナはギリシア大富豪との予期せぬ再会に驚愕した。5年前、たった半年だったけれど、貧しかった彼女に夢のような愛と贅に満ちた日々を与えてくれた人。でも最後には誤解がもとで、ひどく罵られながら彼のもとを去ったのだった。今もまだ冷たい彼の瞳に、アラーナは震えた。もし彼に息子の存在を知られたら…(『愛人の秘密』)。切なく胸に迫る、シークレットベビー&再会愛。

冷酷王子と秘密の子冷酷王子と秘密の子

遅すぎるプロポーズは虚しいだけ── 王子が欲しいのは息子だけなのだから。 もうすぐ5歳になる息子を連れて街へ出かけたエマは愕然とした。 5年半前、彼女を不用品のように捨てた相手がいたのだ。 コンスタンチン! 美女との噂が絶えないミルス王国の王子。 1年付き合った末、彼は許婚がいるからと一方的に別れを告げた。 その後妊娠に気づいたエマは、厳格な両親に家を追いだされ、 強盗に全財産を奪われ、コンスタンチンには連絡すら拒否されて、 住み込みで働きながら一人で必死に我が子を育ててきたのだった。 「その子は僕の子だな?」こちらを睨みつけ、彼が詰め寄った。 お願い、私の宝物を奪わないで。エマは息子を胸にかき抱いた。 『ガラスの靴の片想い』に続く、ミニシリーズ〈愛と継承のはざまで〉の関連作をお届けします。王家の血を引く息子の幸せのため、王子からの求婚を受け入れたヒロイン。なぜか愛の言葉ひとつも口にしようとしない冷たい王子との生活はあまりに虚しくて……。

神の子を宿した罪神の子を宿した罪

なぜ愛してしまったの……? 私はお金で買われたも同然なのに。 なんて逞しい人。まるで海の神(ポセイドン)ね。無人の浜で出会った男性は、 コーラに、「ここは僕の秘密の避難所なんだ」と言った。 そこは彼女が一人になりたいときに行く隠れ場所でもあった。 翌日、コーラの実家が営む小さなホテルに、その男性が現れた。 彼が沖合に浮かぶ豪華クルーザーの持ち主のストラトだと知り、 コーラは驚愕する。ギリシア屈指の実業家がなんの用かしら? 「僕と、1カ月で世界中を回るクルージングを楽しまないか?」 昨日会ったばかりの、ハンサムな大富豪と? そんなの無理よ! だが、経営難の実家のホテルを助けてやると言われてしまい……。 ピュアなヒロインを描いて人気のアニー・ウエスト。実家を助けるため、お金持ちの道楽につきあうことに。ところがストラトが放つカリスマ性と男性的な魅力に絡め取られ、コーラは身も心も捧げてしまいます。彼の深い闇に気づいたのは、身ごもったあとで……。

百五十年秘めた愛百五十年秘めた愛

一族に伝わるダイヤモンドは、 150年間、恋の成就を待っていた。 スカイは闘病中の母に代わり、祖父の葬儀に参列した。 祖父とは、母が17歳で家を追い出されたきり、会ったこともなかった。 だが遺言で、広大な館とダイヤのネックレスが遺されたことがわかる。 ただし、そのネックレスは150年以上も前から行方不明で、 2カ月以内に見つけないと遺産はすべて寄付されてしまうという。 スカイは遺産を相続して母の治療費に充てようと、 ネックレスを捜す決心をし、手がかりの人物に会いに行く。 ブノワ・シャランダールは、若き富豪でプレイボーイのようだが、 スカイはまさか彼を愛することになるとは思いもしなかった。 ましてや、自分たちが150年前の悲恋を繰り返すことになるなんて。 ピッパ・ロスコーによる壮大な愛のサーガをお贈りします。150年前のソームズ家とシャランダール家の祖先のように、スカイたちも運命に導かれるように恋に落ちていきます。はたしてダイヤモンドはどこに? 続くスカイの妹たちの物語も併せてお楽しみください。

百年目の『ユリシーズ』百年目の『ユリシーズ』

20世紀を代表する文学作品『ユリシーズ』。ジェイムズ・ジョイスがこの傑作を世に送り出してからちょうど百年目にあたる2022年、ジョイス研究の枠を越えて気鋭の論者が結集した。多様な視点から、『ユリシーズ』の「百年目にふさわしい読み」を提示する論考群。 前口上(下楠昌哉) 『ユリシーズ』梗概+『オデュッセイア』との対応表(宮原駿) 『ユリシーズ』主要登場人物一覧(宮原駿) ジェイムズ・ジョイス評伝(田村章) 1.横たわり尖がって『ユリシーズ』を読む 横たわる妻を想う──ジェイムズ・ジョイスと〈横臥〉の詩学(小島基洋) 眼を閉じるスティーヴン、横たわるベラックワ──「子宮」イメージの変容とアリストテレスの思考の継承(深谷公宣) 違法無鑑札放浪犬の咆哮──『ユリシーズ』における犬恐怖と狂犬病言説(南谷奉良) 「キュクロプス」挿話のインターポレーション再考(小野瀬宗一郎) ジェイムズ・ジョイス作品における排泄物──古典的スカトロジーから身体の思考へ(宮原駿) 2.『ユリシーズ』を開く──舞踏・演劇・映画・笑い ニンフの布──ニジンスキー『牧神の午後』と「キルケ」挿話の比較考察(桐山恵子) ハムレットを演じる若者たちのダブリン──「スキュレとカリュブディス」挿話におけるスティーヴンの即興演技(岩田美喜) 『ユリシーズ』とヴォルタ座の映画(須川いずみ) 『ユリシーズ』のユグノー表象に見る移民像と共同体(岩下いずみ) 『ボヴァリー夫人』のパロディとしての『ユリシーズ』──笑い・パロディ・輪廻転生(新名桂子) 3.『ユリシーズ』と日本 『ユリシーズ』和読の試み 『太陽を追いかけて』日出処へ──ブッダ・マリガンと京都の芸妓はん(伊東栄志郎) 海の記憶──山本太郎の『ユリシィズ』からジョイスの『ユリシーズ』へ(横内一雄) 4.さらに『ユリシーズ』を読む 恋歌に牙突き立てる吸血鬼──スティーヴンの四行詩とゲーリック・リヴァイヴァルへの抵抗(田多良俊樹) 『ユリシーズ』で再現される夜の街─夢幻劇として読まない「キルケ」挿話(小田井勝彦) 「エウマイオス」挿話をめぐる「ファクト」と「フィクション」(田村章) 限りなく極小の数を求めて──「イタケ」挿話における数字に関わる疑似崇高性について(下楠昌哉) デダラス夫人からモリーへ──スティーヴンの鎮魂(中尾真理) あとがき(須川いずみ)

スモモの木の啓示スモモの木の啓示

1988年8月18日午後2時35分に、村を見下ろす丘にあるいちばん背の高いスモモの木の上で母さんは啓示を受けた。まさにそれと同じ瞬間、兄さんのソフラーブは絞首刑になった。それを遡ること9年、イスラーム革命の最中に、テヘランで幸せに暮らしていた私たち一家は熱狂した革命支持者たちによって家に火を放たれ、かけがえのないものを失った。私たちは道なき道を分け入り、ようやく外界から隔絶された村ラーザーンにたどり着く。そこは奇しくも1400年前、アラブ人の来襲から逃れたゾロアスター教徒が隠れ住んだ土地だった。静かな暮らしを取り戻したと思ったのもつかの間、ラーザーンにも革命の波が押し寄せる。ある日ソフラーブが連行されると、母さんのロザー、父さんのフーシャング、姉さんのビーターの身にも次々に試練が降りかかる…。13歳の末娘バハールの目を通して、イスラーム革命に翻弄される一家の姿が、時に生々しく、時に幻想的に描かれる。『千一夜物語』的な挿話、死者や幽鬼との交わり、SNSなどの現代世界が融合した魔術的リアリズムの傑作長篇。国際ブッカー賞、全米図書賞最終候補作品。

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