ジャンル : 外国の小説
エピソード1から200年前、ジェダイ黄金期を描く新シリーズ、待望の翻訳刊行! 新たなジェダイたちの登場、 それぞれが放つフォース、 平和を脅かす邪悪な存在の台頭ーー ジェダイ黄金期の知られざる側面が詳細に描かれた スター・ウォーズファン必読の書! ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ アウター・リムで頻発する”出現”に疑問を深める共和国とアヴァー・クリスらジェダイたち。 一方、惑星エルフローナで、とある一家の誘拐事件が発生し、 ローデン・グレイトストーム、ベル・ゼティファーらが救出に向かう。 だが、これは大きな陰謀の始まりに過ぎなかった。 邪悪な無法集団ナイヒルを率いるマーシオン・ローの真の目的とはーー? ソフトカバー 288p
ノーベル賞作家スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ推薦! 「デビュー後すぐに“真剣な"文学作品を描きはじめた稀有な作家」 青年が引っ越し先のアパートで出会った、90歳の老女。 アルツハイマー病を患う彼女は隣人に、自らの戦争の記憶を唐突に語り始めた。 モスクワの公的機関で書類翻訳をしていたこと、捕虜リストに夫の名前を見つけたこと、 ソ連が赤十字社からの捕虜交換の呼びかけを無視していたことーー ベラルーシ気鋭の小説家が描く、忘れ去られる過去への抵抗、そして未来への決意。 【著者略歴】 サーシャ・フィリペンコ 1984年、ベラルーシのミンスク生まれ。サンクトペテルブルグ大学で文学を学ぶ。テレビ局でジャーナリストや脚本家として活動し、2014年に『理不尽ゲーム』で長編デビュー、「ルースカヤ・プレミヤ」(ロシア国外に在住するロシア語作家に与えられる賞)を受賞した。『赤い十字』は4作目にあたる。 現在も母国を離れて執筆を続けており、ノーベル賞作家スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチからも高く評価されている。 【訳者略歴】 奈倉有里 (なぐら・ゆり) 1982年東京生まれ。ロシア国立ゴーリキー文学大学卒業、文学従事者の学士資格を取得。東京大学大学院博士課程満期退学。博士(文学)。2021年、博士論文が東京大学而立賞を受賞。著書に『夕暮れに夜明けの歌を』(イースト・プレス)、訳書にミハイル・シーシキン『手紙』、リュドミラ・ウリツカヤ『陽気なお葬式』(以上新潮クレスト・ブックス)、ボリス・アクーニン『トルコ捨駒スパイ事件』(岩波書店)、サーシャ・フィリペンコ『理不尽ゲーム』(集英社)など。
1918年、アイルランド・ダブリン。スペイン風邪のパンデミックと世界大戦で疲弊しきったこの街の病院に設けられた“産科/発熱”病室には、スペイン風邪に罹患した妊婦が隔離されていた。孤軍奮闘する看護師のジュリア・パワーのもとへやってきたのは、秘密を抱えたボランティアのブライディ・スウィーニーと、テロリストと疑われる医師のキャスリーン・リン。死がすぐそばで手招きする、急ごしらえの小さな一室で、彼女たちは生命の尊厳を守るために闘いつづけたー名手エマ・ドナヒュー(『部屋』)が描ききった、パンデミック・ケアギバー小説の金字塔。
母と姉に金を持ち逃げされた娘の苦境(「爪」)、かつて受けた暴力の消えない傷跡(「稀薄な心」)、正規と非正規の狭間で翻弄される期間制教師(「向こう」)、神様を信じる母と息子の残酷な友人たち(「友達」)…社会の歪みの底をさまよう、家族をめぐる珠玉の八篇。
ホノーラは十代のころからずっと、庭師の祖父の雇い主でイタリア富豪のニコに片想いをしていた。だからクリスマスの夜、彼にいきなりベッドへ誘われたときは驚いたけれど、天にものぼる心地で純潔を捧げた。だがその後数カ月たっても、ニコからはなんの音沙汰もなく、妊娠を告げに行っても、彼は君など名前も知らないと言った。私は愛の告白さえしたのに。嵐の中をひた走ってきたのに。しかし、彼女がいちばん傷ついたのはニコの冷たい一言だった。「だから、君のおなかの子の父親のわけがないんだ」
「子どもたちを認知してもらうために、裁判所に訴えるわ」 ベルは震えながら、冷酷な大富豪クリストに宣言した。 幼いベルを連れ、クリストの父の別荘で住み込み家政婦となった母は、 雇主を愛し、5人の子をもうけたーー日陰の身にずっと甘んじたまま。 その母も雇主も亡くなった今、父親違いの弟妹たちと遺され、 途方に暮れるベルの前に現れたのが、クリストだった。 隠し子の存在を一族の恥とし、養子に出すよう迫る彼に、 ベルは弟妹たちを守りたい一心で、とっさに裁判の話を持ち出したのだ。 醜聞を避けたいクリストは、思惑を秘めた目でベルを見据え、言った。 「ならば子どもの面倒は僕が見よう。ただし、君が妻になるのが条件だ」 愛などこの世に存在しない。女性とは割り切った関係しか持たない。そんな愛を知らない大富豪が、傲慢な言動でヒロインを振りまわします。うぶな彼女は反発心を覚えると同時に彼の魅力に圧倒され、弟妹のためと自分に言い聞かせて唐突な求婚を承諾してしまい……。
中世さながらの古風な乙女は、 伯爵に導かれ、華麗なロンドン社交界へーー マデリンは筋金入りの中世研究者である父のもと、 すべてが中世のまま時が止まったような生活をしてきた。 だが父が亡くなり、要塞のような城に一人きりになった彼女には、 父が生前に計画していた政略結婚の道だけが残された。 相手は、ジャック・ランサム。第五代ダーシントン伯爵だ。 荒野を越えて花嫁を迎えに来た彼は、さながら黒馬の騎士ーー 年老いた偏屈な父親しか知らなかったマデリンにとって、 初めて出会う、若く、たくましく、ハンサムな生身の男性だった。 怖れとときめきに思わず目を伏せた彼女に、冷たい声が降ってきた。 「あいにく僕は、時代錯誤な変人の娘と結婚するつもりはない」 マデリンの父親が用意した周到かつ狡猾な計画により、結婚せざるを得なくなった二人ですが、一匹狼の伯爵ジャックと浮世離れした無垢な乙女マデリンは、ロンドン社交界でも噂の的に。最新流行のドレスに身を包み、華麗な変身を遂げた妻の姿に、ジャックはーー。
シスターになって、一生、修道院で穏やかに暮らしたい。ベスの敬虔な願いは、娘の財産を使いこんだ母によって断たれ、彼女は侍女として、さる伯爵家に仕えることになった。ある日、ベスが早朝に城の礼拝堂で祈りを捧げていると、男らしい低い声が響いた。「神が天使を遣わしたとみえる」青い瞳と尊大な態度のその男性は、次期国王の親族グリフィスだった。だがベスは相手が誰かを知らず、彼に湯浴みの世話を望まれたとき、恥じらいと背徳の念をおぼえ、すかさず断ってその場を去ろうとした。「それなら仕置きをせねば!」グリフィスの顔色が変わり、彼は立ちすくんだベスの唇を、うむを言わさず奪った…。
夫にとって“本物の結婚”は、 愛はなくてもベッドを共にすること。 アレクシスには、1年前から形だけの夫がいた。 上司である弁護士クリストスの願いで契約結婚に応じたのだ。 彼が祖父の財産を相続するための事務的な結婚だったが、 二人はある夜、ふとしたきっかけで熱く体を重ねてしまう。 互いに過ちと認めて結婚を続けることにするも、アレクシスは、 あの情熱を忘れられないのは私だけなのかと苦しむ。 そんな折、祖父に結婚が本物だと証明する必要に迫られる。 祖父の前では熱々の夫婦を演じ、寝室ではよそよそしい夫が、 ふいに彼女に言った。「この結婚を、本当のものにしないか?」 愛なのか、欲望なのか……互いに悶々とするヒーローとヒロインの心の内を鮮やかに描き出して魅せる人気実力派作家マヤ・ブレイク。心に傷を持つ二人は、書類上の結婚から、夫婦として夜を共にする結婚へと駒を進めますが、愛を認めることだけはできなくて……。
彼は愛を知らない冷酷な仕事人間。 だからこれは、つかの間の甘い夢ーー この人とふたりきり、修復中のホテルで夜を明かすなんて。 大雪のせいで仕事の現場から帰れなくなったエリンは、 ささやかな夕食と憧れの男性を前に、信じられない思いだった。 セクシーな独身主義の大富豪ヒューゴ・ハリントンーー 彼を最重要顧客とするイベントプランナーのエリンは、 この2年半、ひそかな想いをひた隠しにしてきた。 幼子を独りで育てる母親にとって、この恋は危険すぎるから……。 しかしエリンは、魅惑的な灰色の瞳にとらわれたまま、 突然の口づけをなすすべもなく迎え入れる。 夢のような一夜を境に、エリンは彼の一挙一動に振り回されて……。 期間限定と知りながら、甘い蜜月に溺れるエリン。複雑で繊細な心の内を垣間見て、彼を愛さずにいることが辛くなり……。無慈悲な大富豪と健気なシングルマザーに降り注ぐ、クリスマスの愛の奇跡。『泣きぬれたシンデレラ』『南十字星のシンデレラ』の関連作です。
かわいい息子のことは言えない。 彼にはもう、別の女性がいるのだから。 ローレンはハンサムな上司マット・チャンドラーと恋に落ちた。 彼の所有する豪勢なヨットで初めて体を重ね、愛を誓ったが、 なぜかチャンドラー家を忌み嫌う母に猛反対される。 毒親の巧みな嘘に翻弄されているとは気づきもせず、 若くうぶだったローレンはマットの愛を疑い、別れてしまう。 傷心のまま故郷を離れ、母から彼が結婚したことを聞いた。 再会は3年後ーー。母の葬儀に、なぜかマットが現れたのだ。 彼は別れたときよりさらに魅力的に見え、胸が苦しくなる。 豊かな黒髪とブルーの瞳。3歳の息子と、そっくり同じ……。 S・マートンによる感動のシークレットベビー・ロマンス。冒頭の再会場面から、過去を遡るかたちで二人の愛の軌跡と別れが描かれます。彼が結婚したことも親の嘘と知らないローレンは、息子のことを伝えられるのでしょうか?
“赤ちゃん嫌い”のアリスーー 心の奥にしまい込まれた涙と愛。 アリスは元夫に階段から突き落とされ、お腹の子を失った過去があった。 そんな彼女は今、伯爵家の末裔で理解のある城主のもと古城に暮らし、 自分と同じく傷つけられた女性たちの手助けをしていた。 だが城主が急逝し、新城主リーアムの登場に、アリスは不安を抱く。 前伯爵の婚外子であり大富豪でもある彼にとって、 行き場のない女性たちを追い出すことなど造作もないことかもしれない。 案の定、彼は城を大々的に造り変えると言いだした。 一触即発というそのとき、二人はクリスマスツリーの下に 置き去りの赤ん坊と、驚くべき書き置きを見つけた! 〈この子の名はジェイミー。アリスとリーアムに託します〉 小さな命の喪失と悲しみを身をもって知り、赤ちゃんを避けるように生きてきたアリス。けれども、突如現れた捨て子の面倒を見たいという気持ちが不思議と湧いてくるのでした。そして、リーアムもまた、思うところがあり、一緒に子育てをしたいと申し出て……。
いつか温かな家庭を持つのが夢── でも、愛したのは永遠の愛を拒む富豪。 30歳の誕生日を目前に控えたアイヴィーは悩んでいた。 奔放な母の影響で男性不信になり、心を閉ざしてきたけれど、 このままでは愛も結婚も子どもも望めない。 ふと兄の親友でプレイボーイの建築家、ルイの顔が浮かんだ。 勇気を出して彼に純潔を捧げ、新たな一歩を踏みだせたら……。 親友の妹の懇願をルイは訝りながらも受け入れ、別荘へ伴うと、 一夜かぎりと約束して、アイヴィーを甘美な炎で包みこんだ。 翌朝、ルイが目覚める前に彼女はうろたえ、逃げだした── “本当は彼を愛しているのでしょう?”心の声に耳をふさいで。 ヒロインの気持ちに寄り添い、丁寧に機微を綴るメラニー・ミルバーン。今作も読みごたえのある作品に仕上がっています。ヒロインに惹かれながらも、親友の妹ゆえ自制してきたヒーローでしたが、一夜の余韻が冷めやらず、彼女を追ってパリへ向かい……。
寒く寂しい聖夜になるはずだった。 まさか愛に出会うなんて。 カトリオーナは心を病んだ兄の療養を支えるため、 クリスマス間近、イングランド北部の海沿いの町へ越してきた。 ある日出先で吹雪に遭った彼女は、一晩ホテルに泊まることに。 ベッドに入ったとき、ふいに見知らぬ大柄な男が入ってきて、 ここは自分の部屋だと言うと、隣でさっさと寝てしまった。 なんて人なの……! 信じられない思いで男を見つめる。 寝顔すら精悍な男の、静かに上下する逞しい肩と胸ーー いつしか寝入った彼女が目覚めたとき、彼はもういなかった。 まさか彼が兄の共同経営者で、再び出会うことになろうとは。 ブレットの無防備な寝姿が蘇り、彼女の胸が激しく高鳴った。 ハーレクイン・マスターピース《特選ペニー・ジョーダン》。1985年初版の、シェトランド地方を舞台にしたクリスマス・ロマンスをお贈りします。兄の共同経営者となったブレットは、寡黙ながらも裕福で大人の魅力を放つ男性。カトリオーナには興味がないようで……。
ボルヘスやビオイ・カサーレスに高く評価され、「アルゼンチン文学の秘宝」とも称された短編小説の名手シルビナ・オカンポは、日常生活に隠された不思議から奇想天外な物語を引き出した。幻想的リアリズムの頂点をなす怪奇短編集『復讐の女』と『招かれた女たち』の全78篇を収録。本邦初訳。 日常的儀礼の内側に存在する魔法や、鏡には映らない禁断の顔、秘密の顔をこれほど見事に捉えた作家は、他に誰も思いつかない。 ──イタロ・カルヴィーノ シルビナ・オカンポの詩と短編小説が読者に暴き出す世界は驚異的なほど豊かな光を放つ。 この豊かさは語彙の産物ではなく、繊細で明敏な感受性に由来する。 ──ホルヘ・ルイス・ボルヘス シルビナは必然的とさえ言えるほどの独創性を備えていた。 ──アドルフォ・ビオイ・カサーレス 日常生活の小さなホラーに目を留める作家は少なく、日々の不思議に目を向ける作家はもっと少ない。 これほど知的で優雅なユーモアを添えて両者を記録した作家は、時代や言語を問わず、シルビナ・オカンポ以外に誰も思いつかない。 ──アルベルト・マングエル ボルヘス、ガルシア・マルケスと並び、シルビナ・オカンポはスペイン語圏をリードする作家だ。 ──ジョルジェ・アマード ■復讐の女 金の野兎 続き 病 後裔 砂糖の家 時計の家 ミモソ ノート 巫女 地下室 写真 マグシュ 土地 品々 私たち 復讐の女 引き出しに紛れ込んだ手紙 死刑執行人 黒アサバチエ玉 最後の午後 ビロードのドレス レオポルディーナの夢 周波 結婚式 女性患者と医師 電話の声 罰 お祈り 創造(自伝的物語) 吐き気 快楽と罰 友達同士 天国と地獄の報告 絶滅しない人種 ■招かれた女たち あんな顔つきだった 雄牛の娘 脱走 ベッドの下の手紙 現像 アメリア・シクータ 黒雑貨屋 階段 結婚式 科学の進歩 幻視 寝床 煙の輪 檻の外 イシス 復讐 シビュラの恋人 モーロ エクアドルの不吉な男 魔法の医師 近親相姦 手の平の顔 愛人たち ティルテ温泉 地下生活 鬘 贖罪 亡霊 マルメロの牝鶏 セレスティーナ イセラ 完全犯罪 結び目 愛 致命的罪悪 ラダマンテュス 穀物倉庫 刻印の木 別れの手紙 魔法のペン ポルフィリア・ベルナルの日記 ミス・アントニア・フィールディングの話 招かれた女たち 石 アドラーノ寺院のマスチフ犬 シルビナ・オカンポ(1903–93)年譜
フランコ政権下の一九六九年、左翼思想を持った大学院生で作家志望のミナヤは、二七年世代の幻の詩人、ハシント・ソラナの散逸した作品の調査を行い、博士論文にすることを思いつくのだが…。過去・現在・未来の物語が反射し合い、ひとつの殺人事件の真実が浮かびあがる、実験的推理小説。
新発見! ため息のように美しい 中国文学・珠玉の名作 華語文学メディア大賞(年度傑出成果賞 2004) 鼎鈞双年文学賞(2005) 茅盾文学賞受賞(2015) 全米図書賞・翻訳文学部門 ファイナリスト選出(Peach Blossom Paradise)(2021) 「普済(プージー)にもうじき雨が降るぞ」そう言い残して失踪した父、心をざわめかせる謎の男の登場、そし琥珀の眼を持つ金の蝉……。 外の世界には自分の知らない無数の奥深い秘密があるが、みんな口を閉じて、自分には何ひとつ漏らそうとしない……。 十五歳の秀米(シュウミー)は世の中の全てにいらだっていた。 【あらすじ】 ●第一章:時は清朝末期。主人公秀米(シュウミー)は江南の裕福な地主のひとり娘。初潮を迎えるシーンから物語は始まる。まさにその日、精神に異常をきたしていた父が失踪する。入れ替わるように謎の男性・張季元(ジャン・ジーユエン)を家に迎え入れる母。自分とは別のところで世界の秘密が動いていくと苛立ち焦れる秀米。やがて不思議な事件が次々と起き、張季元が死体で発見される。全てを操っているかに思える不気味な金の蝉。 ●第二章:亡き張季元の日記を手に、希望のない婚礼の花駕籠に乗る秀米。途中、匪賊(ひぞく)に襲われ誘拐され、匪賊の隠れ家「花家舎(ホアジャーシャ)」で、先の見えない暮らしが始まる。この地は理想郷実現を目指した匪賊の総元締めの、壮大な実験の地であった。その夢敗れた、激しい闘争の日々。見え隠れする革命への希望と挫折。秀米は女性としての転機をこの地で受け入れ、やがて自身の魂に眠る熱情に気づいていく。 ●第三章:この章は老虎(ラオフー)と呼ばれる思春期の青年の視点を通して描かれる。誘拐され死んだと思われていた秀米が、突然、日本の東京から、江南のこの村へ戻ってきた。彼女は横浜や仙台でも活動していたらしい。ミステリアスで寡黙な「校長」と呼ばれる謎の女性として描かれる秀米は、普済学堂に村人を集め、指導者として理想社会を画策し挫折を繰り返す。彼女が連れ帰った名前のない「ちびっ子」と呼ばれる男の子と老虎の交流。そして、最大の悲劇が起きる。 ●第四章:理想社会の夢敗れ、犯罪者として捉えられた秀米。獄中で出産し、生まれたばかりの我が子は獄吏に奪われる。死刑前夜に辛亥革命が起こり死を免れたが、そのまま獄中で忘れ去られ、やがて放擲されるように釈放される。みすぼらしい姿で故郷の村に戻った彼女は、自分自身を罰するように、語ることを自らに禁じる。やがて人々を襲う大飢饉、餓死寸前の村で奇跡のように理想の共同体が出現する。そこで彼女にもたらされた幸福とは何か。死の直前、彼女は父の遺した不思議な素焼きの釜に映る未来を見つめた。 第一章 六本の指 第二章 花家舎(ホワジャーシャ) 第三章 小東西(シャオドンシ)、ちびっ子 第四章 禁じられた語り 日本語版刊行に寄せて 格 非 解説 精神的な高みで求め合う魂が織りなす格非の「桃源郷」 関根 謙 Glossary(訳者による用語解説)
米国の人気作家が贈る感動のオマージュ小説 1986年のアラバマ。開催中のマスターズで、J・ニクラウスが伝説の勝利を収める直前。40歳のランディは、テネシー川の橋から身を投げようとしていた。若かりし日、今は亡き父親から現実的に生きるように諭され、夢を諦めたランディ。幸せな家庭を築いていたものの、幼い息子を病気で亡くし、治療費による借金苦に陥った彼は、愛する妻とプロゴルファーを目指す娘のためには自分が死ぬしかない、と思いつめていた。そんな彼の前に、かつて共にプロゴルファーを目指し、事故で亡くなったばかりの親友の幽霊が現れ「4人のヒーロー、4つのラウンド」を贈るという。ボビー・ジョーンズ、ベン・ホーガン、アーノルド・パーマーら往年の名プレイヤーたちとの不思議なレッスンを経た先にランディが見つけたものとは…。 親子とは、夢とは、人生にもっとも大切なこととはーー胸アツ法廷シリーズ『ザ・プロフェッサー』シリーズの著者が、80年代のゴルフシーンを背景にあたたかくファンタジックに描く、名作『クリスマス・キャロル』のオマージュ小説。
B T S のR Mが投稿した 話題の韓国エッセイ 待望の邦訳! しばらく立ち止まってしまっていたあなたへ。 スケッチブックにつづられた「あらたな視点」をもたらす言葉たち <著者のことば> 芸術家は、ほとんどの時を 沈黙のなかで、 事物と対話をつづけながら過ごしている。 木を削りながら素材と語り合い、 絵を描きながら左手と右手が対話する。 この無言の会話がふと途切れ、 静寂が流れるとき、 事物はささやきはじめ、 それぞれの物語がたちあがる。 ーーアン・ギュチョル <本文 植物の時間 より抜粋> 花木だけでなく、冬はあらゆる草、虫、雑草までもが 変わらぬ姿で厳しい時間を耐えている。 だが、わたしたちには、それらを憐れむ資格があるだろうか。 その小さなものたちが無慈悲な自然にあらがわず、 岩のように黙々とときを待っているのに、 わたしたちはなぜときを待てずに苦悶し、葛藤するのか。 虚しさを何かで埋めるために、じっとしていられないわたしたちの焦りは、 植物たちからしたら滑稽に映ることだろう。
未来のイングランド。大洪水のあと、わずかに生き残った町と、その周辺の無人地帯(ワイルズ)が、物語の舞台。スカーレットは、荒れ果てた国をわたり歩く、無法者の少女。今日も銀行から札束を盗むと、ワイルズの森に逃げ込んだ。そこで出会ったのが、アルバート・ブラウン。横転したバスの中、野獣の餌食になるのを免れ、唯一生き残った男の子だった。スカーレットは仕方なく、頼りなげな少年を、次の町まで連れていくことにした。森の中で二人は、クマに突進されたり、追っ手に攻撃されたり、いくつもの危機一髪のピンチを乗り越えていく。しかし、追われているのは、スカーレットではなく、ブラウンだった!? 謎めいたブラウン少年の正体は……? 痛快アドベンチャー・ファンタジー2冊シリーズのPart1。