ジャンル : 外国の小説
異邦の大富豪を演じる船乗り、エドモン・ダンテス。「シンドバッド」として恩人一家を救ったのち、奴隷をしたがえ、舞台はパリへ。無尽蔵の富と滔々たる弁を武器に人心を惑わし、モンテ・クリスト伯として、かつて己を陥れた人物たちと再会する。謎のギリシャ美女、毒薬の秘法、血腥い館…… 巧妙に仕掛けられる復讐の罠に、社交界の名士たちの運命が狂いはじめる。 【目次】 46 無制限融資 47 連銭葦毛の馬 48 観念論 49 エデ 50 モレル一家 51 ビラムスとティスベ 52 毒物学 53 悪魔のロベール 54 高値と安値 55 カヴァルカンティ少佐 56 アンドレア・カヴァルカンティ 57 ウマゴヤシの囲い地 58 ノワルティエ・ド・ヴィルフォール氏 59 遺言 60 通信機 61 桃を食べるオオヤマネから果樹園主を守る方法 62 幽霊 63 晩餐 64 乞食 65 夫婦喧嘩 66 縁談 67 王室検事の執務室 68 夏の舞踏会 69 情報 訳注 46 無制限融資 47 連銭葦毛の馬 48 観念論 49 エデ 50 モレル一家 51 ビラムスとティスベ 52 毒物学 53 悪魔のロベール 54 高値と安値 55 カヴァルカンティ少佐 56 アンドレア・カヴァルカンティ 57 ウマゴヤシの囲い地 58 ノワルティエ・ド・ヴィルフォール氏 59 遺言 60 通信機 61 桃を食べるオオヤマネから果樹園主を守る方法 62 幽霊 63 晩餐 64 乞食 65 夫婦喧嘩 66 縁談 67 王室検事の執務室 68 夏の舞踏会 69 情報 訳注
韓国文学界で大きな存在感を放つ作家ソ・ユミによる小説6編をまとめた待望の短編集。6作品の主人公たちは貧困、失業、借金、離婚、夫の失踪、身近な死、母親との別れなどを経験し、以前とは違う状態に移る瞬間を経験する。変化は不可逆的で、人生は過去の自分との別れの蓄積だ。誰にでも訪れる不安と危機の断面を解剖し、時代と社会の病を敏感に捉え平凡な人間群像を暖かく包み込む、篤実なリアリズム小説。 エートル 犬の日々 休暇 後ろ姿の発見 その後の人生 変わっていく 解説 ついに立ち上がる人々 作家のことば 訳者あとがき1 訳者あとがき2
英国の作家サミュエル・リチャードソン(1689-1761)の『パミラ』と並ぶ代表作の長編書簡体小説Clarissa 『クラリッサ』(1747-48)を作品の歴史的背景や社会的背景を丁寧に説明し、社会や時代との闘いの中でもがく女主人公クラリッサの姿から時代の矛盾を浮かび上がらせる小説の魅力を伝える評論。 若き貴婦人クラリッサの悲劇を描いた『クラリッサ』の入門書、紹介書としても通読できるように配慮され、『クラリッサ』の新たな評価も期する。 序 章 『クラリッサ』と時代背景、そしてクラリッサ 第一章 リチャードソン略伝 第二章 『クラリッサ』の誕生へ 第三章 『クラリッサ』│物語の構成、梗概 第四章 書簡体小説『クラリッサ』の独自性 第五章 反映される時代ー遺産相続、家父長制、女性教育 第六章 感性の時代に生きるクラリッサ 第七章 クラリッサの中でせめぎあう新旧 第八章 クラリッサの部屋 第九章 クラリッサとラヴレスー愛と性 第一〇章 聖化されるクラリッサ 第一一章 書き直しと創作ネットワーク 第一二章 作者の執拗な規制 第一三章 解釈の開放へ、『クラリッサ』の現在
チェスタトン×ウィトゲンシュタイン÷ゴンブローヴィチ=テメルソン 炸裂する黒いプードル爆弾、二人のダンシング・ガールズ、 天才少年の秘められた数式ノート、そして缶詰サーディンの謎…… ポーランドの前衛作家による奇妙奇天烈な哲学ノヴェル! ★若島正+横山茂雄責任編集〈ドーキー・アーカイヴ〉第8回配本 〈意味による支配の打倒を標榜するこの珍妙無類なノンセンス哲学 SFミステリ奇想小説の行間を読んではいけない〉若島正 物語は一人の文豪が列車の中で頓死するところから始まる。残された妻と愛人は恋人同士になりスペインのマヨルカ島に移住、そこに女占い師と息子の天才少年、下半身不随の哲学教師とその妻子が現れ、さらにポーランドの将軍の老いた娘やキャプテン・カサノヴァなど多彩な人物が入り乱れ、誰も予想できないラストへ向かうーーイングランド〜マヨルカ島〜ポーランドを舞台に、哲学・歴史・政治・数学・言語をめぐる異常な考察が展開、バートランド・ラッセルに「ほとんど世界そのもののように狂っている」と言わしめた鬼才ステファン・テメルソンの奇想と脱線に満ちた長篇、本邦初紹介!(1986年作)。
亡国の王女・モリナだと気づかれてはいけないのに、不思議な能力を得たことで“血の皇太子”ラエルの専属メイドになってしまったマリ。 そんな緊張の日々が続く中、皇宮では皇太子妃選抜が始まることとなり、皇太子妃候補(デルフィナ)のアリエル公女とレイチェル令嬢の滞在が決まる。 マリはこの窮地を脱するため、皇太子妃候補の一人とある取引をすることを決意。 一方、マリの考えとは裏腹に、皇太子のマリに対する想いは日に日に強くなりーー!? 皇太子妃の座を巡り、思惑がぶつかり合う、《万能メイド》マリの物語、第2弾!
昭和2年、冨山房発行の名著の復刻版。 『戦争と平和』『アンナ・カレーニナ』などが世界中で読まれている、最も著名な作家の一人、トルストイによる、すべての人々の心の糧(かて)となる名作童話集です。人を愛することの大切さ、人を信じることの大切さを、達意な文で綴っています。情景を語る数多くの軽妙な口絵と挿絵が物語をより豊かなものにしています。本文は現代表記で読みやすくしました。 幼い人たちはいうまでもなく、いろいろな年齢の違った人たちをふくめたすべての人々に贈ります。 (主な内容) 子供たちのために しあわせな人 兄弟と黄金 鶏卵のように大きな種 イリヤス 年とった馬 捨児 火事 ブウルカと猪 泥亀 野兎 熊狩 イワンの馬鹿 三人の隠者 がらんどの太鼓 小悪魔とパン片 コウカサスの捕虜 人はどれだけの土地がいるか 教え子 なにで人は生きるか… など33話を網羅 読みやすく達意な文・総ルビ
英国の田舎町チャンプトンの司祭ダニエルは悩んでいた。教会のトイレ設置をめぐって住民が真っ二つに割れてしまったのだ。そんななか裕福な地元の名士が夜の教会で殺された。住民をまとめあげ、犯人を突き止めるには司祭が適任だ。狡猾な犯人にダニエルが挑む
20歳のヴァイオレットは竜の騎手となるため軍事大学に入学する。だがそこは、入学者の大半が命を落とす危険な場所だった! そんななか彼女は、所属する【第四騎竜団/フォース・ウィング】の冷酷な団長ゼイデンに強く惹かれていく。極限状態の恋と、竜との絆、そして命がけの戦いーー 初回配本限定で【豪華ホログラム加工カバー】付き!※特殊カバーは初回配本のみのご用意となります。なくなり次第終了とさせていただきます。ご了承ください。 ご購入時にカバーのご指定はできません。ご了承ください。 ※第二回配本以降は、ホログラム加工なしの異なるカバーになります。
バスギアス軍事大学の第四騎竜団の候補生たちのなかで、ヴァイオレットは持ち前の頭脳と敏捷さを武器に、危険な戦いを続けていた。だがどんなに能力がある候補生も、竜に選ばれなければ騎手にはなれない。ましてや、小柄で華奢なヴァイオレットは、竜と絆を結ぶことができるのか…?その試煉の日まで生きのびた彼女を、思いがけない結果が待ち構えていた!そんななか、第四騎竜団の団長ゼイデンに、ヴァイオレットは強く惹かれていく。何重にも絡みあった因縁の宿敵である彼にー。Amazon MGM Studiosで映像化進行中!“ニューヨーク・タイムズ”ベストセラーリストに1年以上ランクインを続け、42カ国で翻訳が決定した、大人気ロマンティック・エンターテインメント。
アスレは不毛な海岸地帯の街をさまよっていた。妊娠中のアリーダを連れ、住居と仕事を探していたのだ。だが、お互いだけが家族の17歳を助けてくれる者はいない。決死の思いの選択は、やがて家族の生に影を落とす。ノルウェーのノーベル賞作家による連作短篇集
★☆楽天kobo電子書籍Award2025「小説(海外編)部門」入賞受賞!☆★ ★☆韓国で10万部突破の話題作、ついに日本上陸☆★ 2年連続年間ベストセラー(2022〜2023年教保文庫調べ) 発売前に先読みした全国の書店員さん、大絶賛! ホラー好きも、ホラー初心者も、一気読み必至!! 韓国で10万部突破! 2年連続年間ベストセラーの話題作 ついに日本上陸! (2022〜2023年教保文庫調べ) 全国の書店員さんから激賞の声、続々! 銃とナイフ、鮮血と悲鳴、憎悪と愛情ーー わたしたちはもっと怒っていい。 赤く染まった手を取り合って、ただ前に進むだけだ。 チェウォンの喉には十七年間、骨が刺さっている。彼氏のジョンヒョンとの関係に亀裂が生じてから、さらに喉の痛みに苛まれた。ある日、チェウォンの前にぼやけた印象の女テジュが現れる。それ以来、ジョンヒョンへの携帯メッセージで、廃業したリゾートの広告で、その姿を見せ、存在感を増していく。チェウォンはまるでテジュから招待を受けたかのように正体を追跡しはじめる……「インビテーション」 水辺の幽霊「ムル」は、川で退屈な日々を送っていたとき、林のなかを歩いていた「スプ」に出会う。その後、二人はしばしば会いながら静かに心を通わせる。ところが、林を出入りする者たちのせいで、ムルは自分が幽霊になったころに感じていた恨みと怒りに再び包まれる……「湿地の愛」 退勤後、いつものように会社の仲間たちとお酒を飲んで帰ってきた父が、ゾンビになってしまった。ニュースに出てきたゾンビウイルスの一次感染者はすべて殺された。政府が措置法案を設置するまでの間だけでも家で匿おうとするが、すでに人間の理性を失っている父は……「カクテル、ラブ、ゾンビ」 父が母を殺した。わたしは父を殺した。その後、自らを殺してひとつの後悔をした。少しだけ状況が違ったら母を救えたただろうか。そのとき誰かの声が聞こえた。「時間を戻してほしいか?」わたしはうなずいた……「オーバーラップナイフ、ナイフ」 長い間、見過ごしてきた心のなかの深く暗いところにある感情を丁寧に掬い取った、圧巻の4篇を収録。 表題作からドラマ化されたデビュー作まで、韓国の新鋭No.1ホラー作家がいざなう、没入感120%短篇集。 この本には初期の短篇小説が四篇収められています。飾られていない生のままの欲望、一途に物語を追う不器用な愛情が凝縮されています。わたしの書いた物語がより多くの方たちに、垣根なく届いてくれたら、そうして見知らぬ世界に、活字と想像力だけで夢中になれる経験をプレゼントできたらと思います。言語の壁を超えて、ここにこめられた未熟ながらも真摯な心が、日本の読者のみなさまに伝わることを願っています。(「日本語版への序文」より) インビテーション 湿地の愛 カクテル、ラブ、ゾンビ オーバーラップナイフ、ナイフ
ビショップは“何”を知っていたのか? 彼の脳内にあるゼノモーフのデータを巡り、 ウェイランド・ユタニ社、植民地海兵隊、 そしてビショップの創造主によって 三つ巴の戦いが開始される── 果たしてそれぞれの目的とは? 映画「エイリアン3」のその後を新たに描く、オリジナル小説! ◉映画「エイリアン」シリーズ最新作、「エイリアン:ロムルス(Alien: Romulus)」2024年9月6日(金)全国公開 「映画の続編としての雰囲気をよく再現しており、緊張感と恐怖感が満載だ。ビショップは新しい体で目覚め、自己発見の旅に出る。ビショップは間違いを犯すことができるが、何が本当に重要であるかを学ぶ」 ーーSF Book 「アクションと深いテーマを融合させた作品だ。物語は、巨大企業や政府、貧困と苦しみ、AIと選択、そのプログラムを超えた知性の進化、見つけた家族、生存のために心の暗闇を克服することについて深く探求している。」 ーーBarnes & Noble 〈あらすじ〉 「お願いだ、わたしの接続を切ってくれ。 わたしを再生修理することは可能だが、性能は二度と最高レベルには戻らない。 いっそのこと、これで終わるほうがましだ」 ランス・ビショップ、モデル341-B 〈フィオリーナ161〉にて 辺境の囚人惑星〈フィオリーナ161(通称フューリー)〉にて回収された合成人間ビショップは永久に停止されることを望むが、創造主であるマイケル・ビショップによって新たな体を与えられる。 マイケルは、ビショップに復活させた理由をこう説明する。 「おまえの頭脳に保存されているゼノモーフの知識は、医療科学を飛躍的に発展させる。それは人類にとって恩恵だ」 しかし、研究に必要な財源をマイケルはどこから得ているのか……彼が新たに忠誠を誓う相手とは誰なのか……。 その頃、植民地海兵隊のマーセル・アポーン艦長は〈USCSSパトナ〉号を追っていた。彼は〈イル・コンデ〉号の指揮官であり、植民惑星〈LV426〉の任務で犠牲となったアレクサンダー・アポーン軍曹の実の弟でもある。だが、その追跡任務の周辺には〈ウェイランド・ユタニ〉社の傭兵部隊の影が怪しくちらつく。 ランス・ビショップが有する宇宙最強生物に関する詳細な知見から利益を得ようと、大勢の者たちがうごめいていた。 そしてゼノモーフもまた……
多和田葉子さん絶賛! “移民文学の母”の初邦訳 「移民文学の母」と称されるトルコ出身のドイツ語女性作家の短篇集。 著者は、ドイツ文学の最高賞であるビューヒナー賞を2022年に受賞、ドイツ語圏以外の出身作家の受賞は史上二人目となり注目を集めた。著者の作品は20か国語に翻訳されている。 著者初の邦訳となる本書は、移民文学の原点として重要視されているデビュー作4篇に、ビューヒナー賞受賞記念講演を併録。母語の喪失の痛みとともに、歴史、性、宗教、文学を横断し、生まれたての言葉で世界を奔放に写し取る、圧倒的な語りの魔術! 「母の舌」:トルコ人女性の「わたし」は、祖国の政治的混乱から逃れ、ドイツのベルリンで暮らして17年がたつ。祖国での母との対話や祖母の姿、覚えている単語、友人が殺された記憶などを回想しつつ「わたし」は、どの瞬間に母の舌をなくしたのか、繰り返し自問する。そして母語を取り戻すために、祖父の言葉であるアラビア語を学ぼうと決心する…… 「祖父の舌」:「わたし」は失われた母語の手がかりを求め、ベルリンのアラビア書道の偉大な師、イブニ・アブドゥラーの門をたたく。指導を受けるうちに互いに愛しあい、「わたし」はイブニ・アブドゥラーの魂を身内に宿すと、アラビア文字たちは「わたし」の身体の中に眠りこんだ獣たちを目覚めさせた……
神秘主義、象徴主義の極北を、 論理と音韻が共振れする 日本語に移した圧倒的訳業! ロベルト・ムージル「愛の完成」「静かなヴェロニカの誘惑」 ムージル著作集版を底本とし、世界文学全集版「解説」、岩波文庫版「訳者からの言葉」を併録。 ライナー・マリア・リルケ「ドゥイノの悲歌」 『詩への小路』で試みられた散文訳「ドゥイノ・エレギー訳文」全十歌を収録。 解説=築地正明 読者にはたいそう難解な作品を提供したようにおそれられる。しばらく、読みすすんでいただきたい。初めの一節二節をこらえて吟味していただきたい。まもなく、これがこれなりに明解な文章であることに気づかれることだろう。しかも明解さをしだいに解体していく、そのような質の明解さである、と。あるいは明解さをいきなりその正反対へ転ずる、と。その背後にはきわめて厳密な知性がある。そして厳密の知性と超越の感情、きりつめた把握と果てしもない伸長という、独特な結びつきがこれらの作品の基調となっている。そのことを読者はやがて感じとられるだろう。 (ロベルト・ムージル「愛の完成」「静かなヴェロニカの誘惑」/循環の緊張ーー岩波文庫版「訳者からの言葉」より) 誰が、私が叫んだとしてもその声を、天使たちの諸天から聞くだろうか。かりに天使の一人が私をその胸にいきなり抱き取ったとしたら、私はその超えた存在の力を受けて息絶えることになるだろう。美しきものは恐ろしきものの発端にほかならず、ここまではまだわれわれにも堪えられる。われわれが美しきものを称讃するのは、美がわれわれを、滅ぼしもせずに打ち棄ててかえりみぬ、その限りのことなのだ。あらゆる天使は恐ろしい。 (「ドゥイノ・エレギー訳文」より) 【目次】 ロベルト・ムージル 愛の完成 静かなヴェロニカの誘惑 訳者解説 「かのように」の試みーー世界文学全集版「解説」 循環の緊張ーー岩波文庫版「訳者からの言葉」 ライナー・マリア・リルケ ドゥイノ・エレギー訳文ーー『詩への小路』 解説 言葉の音律に耳を澄ますーー翻訳と創作の関係について 築地正明 初出一覧 ロベルト・ムージル 愛の完成 静かなヴェロニカの誘惑 訳者解説 「かのように」の試みーー世界文学全集版「解説」 循環の緊張ーー岩波文庫版「訳者からの言葉」 ライナー・マリア・リルケ ドゥイノ・エレギー訳文ーー『詩への小路』 解説 言葉の音律に耳を澄ますーー翻訳と創作の関係について 築地正明 初出一覧
ホロコーストから生還後、ソ連の文化事業局に勤めていたマーシャは、ユダヤ反ファシスト委員会議長の事故死に疑念を抱いたため「不健全な関心」として、突然解雇される。相次ぐユダヤ人のシベリア送り、学長職を追われる父。「私は生き残った。それなのになぜ黙っているのか」。書かずにはいられなかった貴重な記録。
平安朝において漢詩文は、学問の中心として大きな位置を占めていた。 国家儀礼はもとより、官吏登用試験、公的な宴の場や歴史書編纂、さらには宗教の場などにおいても、 漢学の素養の有無がそこに関わる人物の評価に大きく関わるものであった。 平安朝の文人たちが残した漢文資料の一文字一文字と真摯に向き合い、内容を読解。 彼らの学問環境、史的位置づけと重ね合わせることで、 平安朝の漢詩文をめぐる歴史的状況を明らかにする。 長年に亙って平安朝の漢文学研究に携わってきた著者の最新論文集。 はじめに 一 文学史研究 1 平安朝における『孝経』の受容 2 平安朝人は『後漢書』をいかに読んだかー吉川忠夫訓注『後漢書』第一冊を読んで 3 中国へ伝えられた日本人の著作ー淡海三船の『大乗起信論注』 4 淡海三船「南山の智上人に贈る」詩について 5 「銅雀台」-勅撰三集の楽府と艶情 6 嵯峨朝における「新楽府」受容について 7 日唐間における経典の往還ー『千手儀軌』の伝流 8 仁明朝の宮廷文学と東アジア 9 桜の文学小史 10 菅原是善の願文と王勃の文章 11 延喜二十二年大宰府返牒考 12 『言泉集』所引の平安中期願文資料 13 尚歯会と書と絵 14 平安朝における白居易「劉白唱和集解」の受容 15 大江匡衡と『文選』 16 呉越と平安朝の漢学 17 『本朝文粋』の文人ー上位入集者とその作品 18 『本朝文粋』の一首の詩序と『明衡往来』の一通の書状 19 白居易「諭友詩」の本文ー我が国に残る古写本 二 文人伝研究 20 『経国集』の作者序論 21 空海の周辺ー勅撰詩集作者との交渉 22 勅撰三集の詩と歴史学 23 『扶桑集』の詩人 24 文人たちの交友ー藤原行成を軸として 25 源為憲と藤原有国の交渉について 26 創り出された平安朝詩人ー『本朝一人一首』の過誤 【付載】 27 史料所載平安朝詩詩題索引 あとがき 索 引
赤ん坊という永遠の絆で彼と結ばれる。 愛されぬまま、私だけが愛を捧げて。 天涯孤独のイジーは2年前に亡くなった夫の精子で人工授精を受け、 シングルマザーになる決意をした。 ところがスイスへ行き、クリニックで診察台に横たわっていたとき、 億万長者グレイソンがスタッフの制止を振りきって彼女の前に現れた。 “黄金の獅子”の二つ名で知られる元伝説のレーサーで、 今は会社のCEOを務める亡き夫の親友がなぜここに? 憧れた時期もあったけれど、私はずっと嫌われていたはず。 彼はとまどうイジーに、亡き夫は不妊で精子は自分のものだったこと、 どうしても子供が欲しいなら精子提供者になってもいいことを告げた。 「だが僕と体を重ねることを考えてほしい。よければすぐに始めよう」 今作はシンガポールというエキゾティックな国を舞台にした華やかで切ないロマンスです。愛されたいと望みつつも、世界を飛びまわって贅沢な生活を送るヒーローと、一箇所に落ち着いて子育てをしたい自分では住む世界が違う。ヒロインは現実を思い知って……。
「ぼくの高鳴る鼓動を抑えられるのは きみしかいない」 妹に教育を受けさせるために、3つの仕事をかけ持ちするタリアは、 キスしたこともなければ、恋愛する時間さえなかった。 不仲だった両親のせいで結婚願望などないのに、ある嵐の夜、 下山するゴンドラが停電し、ゴージャスすぎる億万長者デインと 二人きりで閉じこめられ、たまらなく惹かれるものを感じた。 魔法にかかったように無垢な身を捧げたあと、 停電が解消して地上に着くなり、タリアは逃げ出してしまうーー。 1年後。嵐の夜に授かった赤ん坊を抱いて 公園のベンチに座っていると、突然声をかけられ、息をのんだ。 この子と同じ、真っ青な瞳……。デイン? あなたなの? 情熱を交わした男性は、実は不動産開発業で超有名な億万長者! 彼に妊娠を知らせる手段もなく、妹の学費や赤ん坊との生活費を稼ぐため懸命に働いていたヒロインは、同じく結婚願望のない彼に、25万ドルという大金と引き替えに彼の国で暮らすよう誘われ……?
こんなに不器用で醜い私を、 なぜあなたは花嫁に選んだの? 久しぶりに戻った自宅で、ミリーは夫の帰りを待っていた。 銀行家のレアンドロとは熱烈な恋に落ちて結婚したが、 彼が姉と浮気しているのを目にしてショックを受け、 そのまま家を飛び出した。あれから1年が経ち、姉が事故死したと 聞いて、まだ生まれたばかりの甥を引き取るため、 意を決して来たのだ。もしや赤ん坊の父親は愛する夫では? という疑いは消えず、とても複雑な気持ちだけれど……。 だが驚いたことに、レアンドロは美女を連れて帰宅しておきながら、 姉との浮気については頑として否定し、厳しい顔で告げた。 誓いを立てて結婚した妻を二度と出ていかせるつもりはない、と。 さまざまな疑惑に胸を痛めながらも、遺児の甥に無償の愛をそそぐヒロイン。スター作家サラ・モーガンが綴る、珠玉の夫婦再生ロマンスをお楽しみください。大スター作家レベッカ・ウインターズ好きにはとくにおすすめしたい、知られざる逸作です!