小説むすび | ジャンル : 外国の小説

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詩のかたち・詩のこころ詩のかたち・詩のこころ

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文学通信

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2023年6月2日 発売

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日本の文学表現に漢文学が果たした役割とは。 「院政期から鎌倉時代にかけて、日本漢詩を特徴づけるのは、句題詩と無題詩という二つの詠法であるーー」という一文ではじまる、日本中世漢文学研究における名著の補訂版。 そのときどきに中国文学の新たな潮流を受け止めた日本の漢文学は、それらを血肉として、より広いジャンルへその栄養を供給していく。その営為こそが、それぞれの時代の日本文学の「全き姿」である。本書は、日本の文学表現の源流を丁寧に掘り起こしていくものである。 本書は2006年に若草書房より刊行された『詩のかたち・詩のこころー中世日本漢文学研究ー』の補訂版です。 【句題詩に代表される平安漢文学の成果が、中世文学の豊かな表現の一源泉となったように、禅林の文学もまた、次代の文学、仮名草子・俳諧に始まる近世文学の中に入り込んでいく。これには、中世にはなかった要素、すなわち商業出版の発達も大きく貢献している(本書第一八章・第一九章参照)。  このようにそのときどきに中国文学の新たな潮流を受け止めた日本の漢文学は、それをよく咀嚼し(初学書を中心とした読解・注釈)、自分たちの血肉として(詩文の創作)、より広いジャンルへとその栄養を供給していった。それらの営為を含めた文学活動の総体こそが、それぞれの時代の日本文学の全き姿なのである(本書第一五章・第一九章参照)。】……「総説」より 総説 中世漢文学概観ーー詩を中心にーー 一 句題詩をめぐって 二 鎌倉時代の漢文学 三 禅林の文学 (一)鎌倉から室町へ (二)日本化の時代 (三)文化の広がり (四)二つの視点からーーその一、『三体詩』をめぐって (五)二つの視点からーーその二、一休という問題 (六)禅林という場 四 漢文学の役割 第一部 院政期・鎌倉時代 第一章 句題詩の詠法と場 第二章 『本朝無題詩』試論ーー句題詩との対比からーー 第三章 『元久詩歌合』についてーー「詩」の側からーー 第四章 新古今時代の漢文学ーー真名序を中心にーー 第五章 『真俗擲金記』小論 第六章 詩懐紙通観 第二部 南北朝・室町時代 第七章 瀟湘八景詩について 第八章 足利直義ーー政治・信仰・文学ーー 第九章 「等持院屏風賛」について 第一〇章 「大慈八景詩歌」について 第一一章 絶海中津小論 第一二章 『狂雲集』小論 第一三章 『自戒集』試論ーー詩と説話のあいだーー 第一四章 『三体詩』注釈の世界 第一五章 『新選集』『新編集』『錦繍段』 第一六章 中世禅林における白居易の受容 第一七章 『倒痾集』試論 第一八章 こぼれ咲きの花々--禅林ゆかりの小作品群ーー 第一九章 中世から近世へーー漢籍・漢詩文をめぐってーー 再刊に際しての補足(初版訂正およびその後の研究状況について) あとがき 補訂版あとがき 初出一覧 索引

幸福なモスクワ幸福なモスクワ

『土台穴』『チェヴェングール』と並ぶ代表作 プラトーノフが一九三三年から三六年にかけて執筆した長篇『幸福なモスクワ』。この「モスクワ」とは、当時、スターリン体制下で社会主義国家の首都として変貌を遂げつつあった都市モスクワと、そこから名前をとった主人公モスクワ・チェスノワをあらわす。彼女は、革命とともに育った孤児であり、美しいパラシュート士へと成長していく。来たるべき共産主義=都市モスクワを具現化するような、大胆で華やかな女性として活躍するモスクワ・チェスノワだが、思わぬアクシデントによってその嘱望された前途は絶たれる。だが、彼女の新たな人生と物語とが始まるのはむしろそこからだ。 モスクワの街を彷徨するモスクワ・チェスノワ、その彼女を取り巻く男たちーーソヴィエトの行政官ボシュコ、小市民コミャーギン、機械技師サルトリウス、医師サンビキンーーは、彼女の言葉や振る舞いに触発され、思索し、対話し、自らの進むべき道を模索する。モスクワを中心に世界は回転するーー自らの思い描く共産主義の理念と、ソ連社会の現実との狭間で苦闘したプラトーノフの軌跡がここにある。特異な世界観と言語観で生成するソ連社会を描いた作家の「未完」の代表作。

ポーランドの人ポーランドの人

物語に登場する「女」は、バルセロナの音楽サロンを運営する委員会のメンバーであるベアトリス。「男」は、ショパン弾きで名を馳せ、サロンに招聘されたポーランド人の老ピアニスト、ヴィトルトだ。ショパンの「前奏曲」を弾く彼は、ダンテの信奉者でもある。ヴィトルトはベアトリスに一目惚れして、ポーランドに帰国した後も、彼女にCDや恋文を送り続ける。よき夫がいて息子は成人し、孫もいる49歳のベアトリスは、ショパン弾きのヴィトルトの求愛をばかげていると思いつつ、その言葉や、音楽、自分への好意の示し方に興味津々に反応するうち、マヨルカ島の別荘にヴィトルトを招くことになるが……。 80代になったクッツェーが、ベアトリスの視点から求愛される心理を細やかに分析的に描き出そうとする。 「これはヨーロッパの古典としてのダンテとベアトリーチェの神話的恋物語を、パスティーシュとして再創造する頌歌(オード)なのか。それとも、長きにわたりロマン主義の底を流れてきた“恋愛をめぐる男と女の感情と心理” を、現代的な視点から徹底分析した挽歌(エレジー)なのか。」--訳者あとがきより すれ違う男と女。ダンテにとってのベアトリーチェがヴィトルトの思い描く究極の「恋人」らしく、これまでの〈世界文学〉に登場した「恋愛」が、いかに男性側からの一方的な妄想に基づいたものであったかに光が当てられ、クッツェーらしい皮肉を効かせながらコミカルに描かれる。 言語が大きなテーマになっているのも見逃せない。二人が意思疎通で使うのは英語だが、ポーランド語が母語のヴィトルトは英語を流暢に話せない。彼は死を前にしてダンテのベアトリーチェへの憧憬を模倣し、ポーランド語で詩を書き残す。その詩をベアトリスは翻訳者に頼んでスペイン語に翻訳しないと読めない。全篇にスペイン語、ポーランド語、ロシア語、ドイツ語、イタリア語、フランス語、ラテン語などが散りばめられるが、英語は距離をもって扱われる。ヨーロッパ大陸の歴史と言語をめぐる微妙な関係をも考えさせられる。 本作はクッツェーの第一言語である英語で書かれた作品だが、英語文化の覇権性に抗うクッツェーは、まず昨年7月にカスティーリャ語版を刊行し、今年3月にオランダ語版を刊行、5月にドイツ語版、カタルーニャ語版、日本語版(本書)が刊行される。そのあと、7月に英語版が刊行される予定。

僕には名前があった僕には名前があった

出版社

クオン

発売日

2023年5月31日 発売

ジャンル

「人」から始まり「人」で終わる連作詩集 言葉遊びで描く喜びと悲しみ 「会う時はアンニョンでいたくてアンニョン  別れる時はアンニョンではいられなくてアンニョン  待つ人が路地にいた。  待つ時までいた」(「待つ人」より) 言葉遊びに気を取られているうちに周囲の時空が歪み始め、 自分がいつの間にか韓国の、あるいは日本にも共通した 生きづらい世の光景を眺めていることに気づいて愕然とする。 そして、この詩人はただものではないらしいと、 改めて認識するだろう。   ──訳者解説より オ・ウンの詩集『僕には名前があった』には、 都市で暮らすいろいろな人が集まっていた。 その日常の身近な言葉で綴られた詩はエッセイのようでもあり、 また突如少ない字数で語られる人の一代記のようでもある。 どの人にもどこか心当たりがあり、目を瞑って適当に本を開いて読めば、 それは占いかおみくじのようでもある。 ユーモアのある言葉の中でそれぞれの人はみな、存在の岐路に立っている。 ──友田とん (書評「都市で暮らし、行き交う人びとに言葉遊びで想像を膨らませる」より) 人 よく考える人 望ましい人 凍りつく人 待つ人 持つ人 落ちた人 読む人 いい人 昔の人 都会人 手を離す 決心した人 散歩する人 よろける人 一流学 偉い人 恋人 凝視する人 行ってきた人 線を引く人 オレンジ色の少年 猶予する人 一九五八年戌年生まれ 計算する人 無人工場 三十歳 うるさい顔 糸車は元来、文来 三回言う人 あと一歩 人 付録  しない  水滴効果 解説 言葉遊びで描く喜びと悲しみ

夜の潜水艦夜の潜水艦

潜水艦は永遠の夜を航行する。 イマジネーションの極まる、“その先”へーー 迷宮のようなプロットと東洋の美学が織りなす、 中国文学の新星による至高の作品集 「彼の作品に登場する人物の多くは、千変万化する世間のありようについてゆくことができず、自分の空想世界にひきこもることによって精神のバランスを保つ。彼らは、激動の変化を遂げ続ける中国社会の片隅に、ひっそりと、だが確実に存在する人々の姿を映しているに違いない。同時にそれは、この本を読む私たちの姿にもどこか似ているように思われる。」(訳者解説より) 「一九六六年のある寒い夜、ボルヘスは汽船の甲板に立ち、海に向けて一枚の硬貨を抛った。」と始まる表題作「夜の潜水艦」は、少年の空想世界が現実との境界線を失っていくという奇譚。「竹峰寺 鍵と碑の物語」で主人公の青年は、失われた実家の鍵はUSBメモリーで、家は完全な状態でメモリの中に保存されていると考える。……8つの中短編は、ひとつひとつ全く異なる世界を細やかに描きながら、大胆なイマジネーションで独自の文学世界を構築していく。中国の若者に大きな共感を呼んだ、新たな中国文学の潮流となり得る気鋭の作家、記念すべき初邦訳作品。 CONTENTS 夜の潜水艦  005 竹峰寺 鍵と碑の物語   031 彩筆伝承  079 裁雲記  103 杜氏(とうじ)  123 李茵(リ・イン)の湖  137 尺波(せきは) 163 音楽家  181 解説  254

トラストー絆/わが人生/追憶の記/未来ートラストー絆/わが人生/追憶の記/未来ー

1920年代、ニューヨーク。投資家ベンジャミン・ラスクは、冷徹無慈悲な読みでニューヨーク金融界の頂点に登り詰める。一方、妻のヘレンは社交界で名声をほしいままにするが、やがて精神に支障をきたす。一世を風靡した夫妻の、巨万の富の代償とは一体何だったのかー。こうして1937年に発表され、ベストセラーとなった小説『絆』。しかし、ここに描かれた大富豪夫妻には、別の記録も存在していた。『絆』への反駁として大富豪が刊行しようとした自伝『わが人生』。『わが人生』を代筆した秘書の回想録『追憶の記』。そして、大富豪の妻の死後発見された日記『未来』。夫妻を全く異なる視点から描く四篇を読み進めるうち、浮かび上がる真実とは…。ブッカー賞候補になり、カーカス賞を受賞し、2023年にはピュリッツァー賞を受賞。ニューヨーカー、タイム、エスクァイア他、多くの媒体のベストブックに輝き、オバマ元大統領も絶賛した、現代アメリカ文学の最先端が贈る長篇小説。

その昔、ハリウッドでその昔、ハリウッドで

クエンティン・タランティーノ、小説家デビュー作! アカデミー賞2部門受賞、ゴールデングローブ賞3部門受賞した 〈ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド〉を タランティーノ自ら小説化! 1969年、ハリウッド。 俳優リック・ダルトンは人生の岐路に立っていた。 キャリアが下り坂の彼に大物エージェントがイタリア製作のウェスタン映画に出ないかという話を持ちかけてきたのだ。悩みを抱えながらTVドラマの撮影に出かけたリックが現場で出会ったのは…… リックの長年の相棒、クリフは謎の多い男だった。 妻を殺したが罪を逃れ、戦争中には大勢殺したと豪語する男。今日もリックの車でハリウッドを流していたクリフはヒッピー娘を拾い、彼女らがチャーリー・マンソンなる男と暮らす牧場へと向かう…… 女優シャロン・テートは気鋭の映画監督ポランスキーと結婚し、リックの隣に住みはじめたところだった。 折しも自分の出演作〈サイレンサー/破壊部隊〉が劇場でかかっているのを目にした彼女は、うきうきとチケット売り場の女の子に声をかけ…… 映画にはない場面、映画にはない物語、映画とは異なる結末ーー 本書はノベライズではない。同じ種子から誕生したもうひとつの物語、堂々たる一編の長編小説なのである。オフビートな小説を愛し、自身の映像言語としてきた巨匠がみせるグルーヴィな語りの才能に瞠目せよ! 池上冬樹氏、絶賛ーー とても映画監督の余技とは思えないほど、作家としての豊かな力量を感じさせる。 映画と小説はあわせて一本、または二つあわせて「完全版」と言えるかもしれない…… 面白いのである。掛け値なしに面白い。(本書解説より)

フランケンシュタインの工場フランケンシュタインの工場

◆『フランケンシュタイン』+『そして誰もいなくなった』……ホラー、ミステリの「優良物件」を名匠がどう料理するのか!?(山口雅也) メキシコのバハ・カリフォルニア沖に浮かぶホースシューアイランド、この島に設立された国際低温工学研究所(ICI)の代表ローレンス・ホッブズ博士は、極秘裏にある実験計画を進めていた。長期間冷凍保存していた複数の体から外科手術によって脳や臓器を取り出して殻(シェル)となる体に移植し、人間を蘇らそうというのだ。 コンピュータやテクノロジーに関するあらゆる犯罪を捜査するコンピュータ検察局(CIB)は、ICIの活動に疑念を抱き、捜査員アール・ジャジーンをこの手術の記録撮影技師として島に送り込む。潜入捜査を開始したジャジーンだったが、やがて思わぬ事態に直面する。手術によって「彼」が心拍と脈拍を取り戻した翌朝、ICIの後援者エミリー・ワトソンが行方不明となり、その後何者かによって外部との連絡手段を絶たれたこの孤島で、手術のために集められた医師たちが一人、また一人と遺体となって発見される。 現代ミステリの旗手ホックが特異な舞台設定で描くSFミステリ〈コンピュータ検察局シリーズ〉最終作。本邦初訳。 【炉辺談話】 『フランケンシュタインの工場』(山口雅也) フランケンシュタインの工場

シークに愛された一夜シークに愛された一夜

疑惑の花嫁が宿したのは、 天使か? それとも……。 旅先で盗難に遭い、宿代を稼ぐため仕事に出向いたティファニー。 だがそこは、セレブ御用達のいかがわしいクラブだった。 間一髪でダーハラ国のセクシーな王子ラフィークに救われ、 ひと目で彼の虜になったティファニーは甘く熱い夜を共にするが、 翌朝、当座の現金を渡され、冷淡にあしらわれて傷ついた。 私を金目当ての娼婦だとでも思っているの? 二度と顔も見たくないと立ち去った2カ月後、事態は急変する。 妊娠していたのだ。すぐにラフィークとの面会を取りつけるが、 彼は訝しげにティファニーを睨みつけ、DNA鑑定を求める一方、 驚いたことに、結果を問わずきみと結婚すると宣言して……。 軽快でありながらも情感豊かな筆致で人気のテッサ・ラドリー。彼女が描く、異国が舞台のロイヤルロマンスをお楽しみください。純潔を捧げて身ごもったにもかかわらず、ヒーローから疑われたヒロイン。冷たく閉じた彼の心を開くことはできるのでしょうか?

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