出版社 : クオン
<b>月が満ち欠けしながら夜空をそっと照らすように、 静かに心をほぐしてくれるささやかな26の物語</b> ベストセラー作家シン・ギョンスクが、月に私たちの物語を語りかけるように軽やかに紡いだショートショート集。 物語の世界と響き合う挿画とともに、オールカラーで刊行。 「自分が一人ぼっちだと思ったり、思いがけないことがあなたの心をかき乱していった時に、何より自分がどうしてこうなのかと思う自責の念や、せいぜいこの程度かという諦めがあなたの瞬間に押し寄せてきた時に、この26編の物語が月明かりのように沁み込んで、あなたを光らせることができたらうれしいと思う」 (作家の言葉より) 一部 三日月に ほら、愛してるんだろ?/冬越し/神様の靴/おまえ、トウモロコシか!/ Jが発ってから/ある、新年の挨拶 二部 半月に 風景/Kに起こったこと/ある郵便配達人の話/ネコ男/ 私たちがきれいだと言われた時/鼻クソの話/ 見知らぬ人に書く手紙 三部 十五夜の月に シカを捕まえるって?/人生修行/私が子どもだった頃も/ Yがどうしてタバコをやめたか知っている人は?/ サンチュの種を蒔かなくちゃ/エスプレッソ 四部 つごもりの月に や〜らなきゃ帰ると思うてか〜 そ〜う言えばくれると思うてか〜/ 春の雨降る日/QとA/彼のために/海辺の郵便局にて/ 花梨の木を守る/愛すべきおばあさんたち 作家の言葉 訳者あとがき
2025年7月、ドイツHouse of World Cultures (HKW)による国際文学賞を受賞! 詩集による受賞、アジア人の受賞ともに初。 2021年12月、著者 金恵順が東アジアの詩人を表彰するスウェーデンの文学賞「Cikada Prize」を受賞 ===================================== 死の次に訪れる時間のなかで すすり泣くリズムたち 「あなたは既に死の中に生まれています」 光州民主化抗争やセウォル号事件など権力の暴力や怠慢によってもたらされた死、そしてすべての無念な死に捧げた「死の自叙伝」49篇と長詩「リズムの顔」。 韓国フェミニズム詩の旗手金恵順が奇抜なイメージ、スピード感、時にグロテスクですらある力強さを存分に発揮し2019年に<詩壇のノーベル賞>と称されるカナダのグリフィン詩賞をアジア人女性として初めて受賞した詩集。 残された者の痛みを抱く詩人は、死後の物語を追いかける。 わたしたちの生は、不完全な死だと告げながら。 三角みづ紀(詩人) 死の自叙伝 リズムの顔(『翼の幻想痛』より) 『死の自叙伝』あとがき 『死の自叙伝』訳者解説
<b>決して安寧ではない現実に向き合いながらも、本書に描かれる人々の目線や行動はどこか軽やかだ。日々の労働、生活、誰かとの関わりを静かに、生々しく、辛辣にユーモラスに優しく描くチャン・リュジンと出会えて幸福に思う。 ーー小山田浩子(小説家)</b> 表題作「仕事の喜びと哀しみ」がチャンビ新人小説賞を受賞し、ネットに公開されるとたちまち読者の共感をよび40万ビューを記録。 2020年11月には韓国KBSでドラマ化もされています。 本書にはこの表題作をはじめ、ミレニアル世代の著者が同世代の人々を主人公に描いた8篇を収録。 2020年「書店員が選ぶ今年の本」小説部門に輝いた話題の短編集を、新たな文学シリーズ「K-BOOK PASS」からお届けします。 <b>大型新人の話題作に、作家たちから次々と賞賛の声!</b> ーー喜びと哀しみのあいだにある幾重もの名もなき感情が、世界の硬い表面にぶつかってぐらりと微妙に揺れる一瞬一瞬を、作家チャン・リュジンは素早く繊細に捉えてみせた。 チョン・イヒョン ーーチャン・リュジンが捉えた物語は まさに今、私たちの時代の物語だ。 ピョン・ヘヨン ーー小説の最後のページをめくったとき、私の心の中に冷たくも甘い痕跡が刻まれたことに気づいた。そんなことをやってのける小説はめったにない。 パク・サンヨン 幸せになります 仕事の喜びと哀しみ 俺の福岡ガイド やや低い 助けの手 101回目の履歴書と初めての出勤 真夜中の訪問者たち タンペレ空港 著者あとがき 日本の読者のみなさんへ 訳者あとがき
誰からも聞かれていないし、 誰にも話していないけれど、 誰かに話したい作家たちの話 “韓国の芥川賞”とも称され、韓国で最も権威ある文学賞「李箱文学賞」。 その大賞を受賞した作家は、受賞所感とともに「文学的自叙伝」を発表する習わしがある。 どんな本を読んできたのか、どのようにして小説を書き始めたのか、どんなふうに作品を書いてきたのかーー。 歴代の受賞者23名による文学的自伝エッセイ集。 日本語版特別収録 2005年(第29回)大賞受賞 ハン・ガンの文学的自伝「記憶の日向」 著者(掲載順) ユン・イヒョン、ソン・ホンギュ、ク・ヒョソ、キム・ギョンウク、 キム・スム、ピョン・ヘヨン、キム・エラン、キム・ヨンハ、 コン・ジヨン、パク・ミンギュ、キム・ヨンス、クォン・ヨソン、 キョン・ギョンニン、キョン・ミギョン、ハン・ガン、 クォン・ジエ、シン・ギョンスク、パク・サンウ、キム・ジウォン、 ユン・デニョン、ユン・フミョン、チェ・ユン、チェ・スチョル 翻訳者(掲載順) 古川綾子、橋本智保、関谷敦子、五十嵐真希、岡裕美、姜信子、 吉川凪、蓮池薫、斎藤真理子、呉永雅、生田美保、きむ ふな、 カン・バンファ、吉原育子、李聖和 まえがきより 李箱文学賞受賞作を発表した後に楽しみにしていることが一つある。 大賞受賞作家が書く学的自叙伝」を読むことだ。 この作品を書いた作家はどのようにして小説を書き始めたのか、どんな考えを持っているのか、どんな本を読んできたのか、どういうふうにして作品を書いているのかなど、作家に対する好奇心をふくらませてそれらの文章を読んでいる。 そして、私は毎回「受賞所感」だけでなく、作家自身の心のうちを率直かつありのままにさらけ出した「文学的自叙伝」に感動する。 一人の作家について知るつもりが、一人の人間についてさまざまな発見をすることになるからだ。 李箱文学賞とは 朝鮮を代表するモダニスト作家で詩人の李箱(イ・サン)の文学的功績を称え、文学思想社が1977 年に設立した韓国で最も権威ある文学賞。 日本の芥川賞に相当するとされ、前年の1月から12月までに文芸誌などで発表された中編もしくは短編の純文学作品が審査の対象となる。 これまでの最年少受賞者は、キム・エラン(当時33 歳)で、受賞作の「沈黙の未来」は『外は夏』(古川綾子訳、亜紀書房)に収録されている。最高齢受賞者はク・ヒョソ(当時59 歳)。 親子で受賞したケースもあり、ハン・ガンとハン・スンウォン、イ・ジェハとユン・イヒョ…
<b>光が問い詰める 嘘をつくな お前はどちら側なんだ</b> 夜道に突然現れ、助けを求めてきた謎の男。 精神病院の医師は男のトラウマの原因を究明できると豪語するが、雑誌編集長の「私」は、男の書いた小説から朝鮮戦争の陰惨な記憶を探るー。 独裁政権下の韓国を舞台に人間の本質を追求し描いた李清俊の初期代表作。 うわさの壁 訳者解説 著者・訳者プロフィール
<b>いま話題の韓国人作家が語る、 「文学をすること」の喜びと苦しみについてー 作家が作家に聞く、ロングインタビュー集。</b> 「人間というのはどうしてこうも情けない生き物なのか、 それがずっと知りたかったんだと思います」 (イ・ギホ) 「文学が私たちを驚かせるのは、そういうところだと思う。 骨ばったあらすじだけで残る物語より、あらすじの外側にある人生の ディテールと感覚」 (ピョン・ヘヨン) 「もう書いてしまって完結させた小説が不意に、 自分に語りかけてくるような感じがするときがあるよ。 たいてい聞こえないふりをするけど」 (ファン・ジョンウン) 「僕は、ストーリーではなくそれを解釈したナラティブが小説だと思っています」(キム・ヨンス) 「過去の経験にばかりとらわれていましたが、それからは人間が見えてきたんです。いまを生きる普通の人たちが」(クォン・ヨソン) <b>インタビュー掲載作家</b> ・イ・ギホ『誰にでも親切な教会のお兄さん、カン・ミノ』『原州通信』『舎弟たちの世界史』 ・ピョン・ヘヨン『アオイガーデン』『ホール』『モンスーン』 ・ファン・ジョンウン『誰でもない』『野蛮なアリスさん』『ディディの傘』 ・キム・ヨンス『世界の果て、彼女』『ワンダーボーイ』『夜は歌う』 ・クォン・ヨソン『春の宵』 ................................................................................. 「クオン インタビューシリーズ」は、さまざまな芸術の表現者とその作品について、広く深く聞き出した密度の高い対話録です。 ................................................................................. 違う存在の声 イ・ギホ/ノ・スンヨン/清水知佐子訳 ドライフラワー ピョン・ヘヨン/チョン・ヨンジュン/きむ ふな訳 落胆する人間 奮闘する作家 ファン・ジョンウン/チョン・ヨンジュン/斎藤真理子訳 キム・ヨンスというパズル キム・ヨンス/ノ・スンヨン/呉永雅訳 うれしい方を向いて クォン・ヨソン/ノ・スンヨン/橋本智保訳
<b>その道は、韓国・済州から九州、東北へ繋がり、 さらに海を越えていくーー。 民主化運動から「済州オルレ」まで ソ・ミョンスクの激動の人生! </b> 家々の庭先から村の通りへとのびる小道、それを済州島では「オルレ」と呼ぶ。 暮らしとともにあるその道は、私的空間と公的空間を結ぶ道でもあった。 2007年、歩くことに魅せられたひとりの女が トレッキングコースに「済州オルレ」という名をつけた。 オルレのひとつずつは細く短くもあったが、 それらが少しずつつながることによって 誕生から5年で、島を一周できるまでになった。 女ひとりではじめたつもりだったが、 いつしか家族を巻き込み、 気づくと済州海洋警察や西帰浦市庁を動かしていた。 アショカ財団が選定する、社会に変革をもたらす 〈世界有数の社会起業家〉である アショカ・フェローにも、韓国ではじめて選ばれた。 オルレはやがて海を越えて日本へとわたり、 2012年には九州オルレ、2018年には宮城オルレが誕生した。 その地ならではの風土、海山の姿、人の温もりとともに歩くオルレに、 今日も多くの人が集い、汗を流し、風に吹かれている。 ...................................................... 〈はじまりの人〉は新しい発想と実行力で 私たちの人生をより豊かにしてくれた人々を紹介する、 クオンのノンフィクション・シリーズです。 ...................................................... CHAPTER 1 済州の娘 CHAPTER 2 激動の渦 CHAPTER 3 次なるステージ CHAPTER 4 歩く人 CHAPTER 5 道をつなぐ CHAPTER 6 声なき声 CHAPTER 7 オルレ旋風 あとがき 訳者あとがき 著者紹介 訳者紹介 カバー裏面:済州島オルレマップ一覧
孫の世話に明け暮れる68歳の「私」は公園で出会ったアンドロイド・ベビーシッターの青年ダニーから思いもかけない言葉を掛けられた。 ーー「きれいですね。本当に」。 「李箱文学賞」「若い作家賞」をはじめ数々の文学賞を受賞した作家ユン・イヒョンが、近未来を舞台に「美しい愛になれなかった感情」を繊細に描いた短編。 【韓国文学ショートショート きむ ふなセレクション】 翻訳家きむ ふなが今お勧めする作家の深い余韻と新たな発見を感じさせる短編を 日本語と韓国語の2言語で読むことができるシリーズです。 韓国語の朗読をYouTubeで聴くことも可能です。 CUON YouTube チャンネル https://www.youtube.com/user/cuonbooks
獄中の吉祥を案じる西姫と還国に平穏は訪れるのか 新しい局面の予感で第三部が幕を閉じる <12巻 あらすじ> 還国と共に西大門刑務所で吉祥に面会した西姫は、その帰途、釜山で盲腸炎になり手術を受けた。晋州から駆けつけた朴医師はなぜか取り乱している。その晋州ではソリムの縁談が周囲に波紋を広げ、彼女に思いを寄せていた還国と舜徹も心を乱す。 独立運動に関わる錫と寛洙は執拗に警察に追われ、満州や沿海州の運動家たちも身動きが取れない。 龍井を訪れた恵観は周甲と別れてあてどない旅に出る。 平沙里では紀花が痛ましい最期を迎え、娘の良鉉は西姫の元で還国・允国の妹として暮らす。 朝鮮を離れている良鉉の父相鉉は、明姫に意外な手紙を送る。 龍が世を去り、息子の弘は龍井に移り住む決意を固める。 第三部 第四篇 長い旅路 十五章 殺害 十六章 眠っているような 十七章 カフェ 十八章 奇人か 第三部 第五篇 若き鷹たち 一章 煩悩無限 二章 手を握って言ったこと 三章 馬車を待ちながら 四章 酒癖 五章 好々爺 六章 民族改造論 七章 一羽の白い鳥 八章 裏切り者 九章 同乗 十章 名匠 十一章 若者たち 十二章 誤算 十三章 手紙 十四章 龍の死 十五章 満州行き 十六章 指示 十七章 愛 十八章 結婚 十九章 ひよこ 二十章 若い鷹 訳注 訳者解説
2020年2月18日、韓国・大邱で一人の新型コロナウイルス患者が確認された。その後集団感染が次々と確認され平穏な日常は一変し、街からは人通りが消えた。都市封鎖もささやかれた中で人々は何を想い、どう行動したのかー。カフェ店主、司書、教師など51人の手記から、困難な状況に共に立ち向かった姿が浮かび上がる。
新型コロナウイルスの猛威に襲われた韓国、大邱。感染拡大を食い止めるため、地元はもとより韓国各地から医療従事者たちが集まった。その彼らが、生々しい現場の様子や患者たちの横顔、使命感と恐怖の狭間で揺れる思い、予想される第二波に向けての提言などを率直に綴った一冊を、オリジナル編集で緊急翻訳出版。
「私は知らない。本当に、私がテリムについて知っていることはそれほど多くない。そして、私はテリムを知っている」 80年代の光州をともに過ごした旧友をめぐる4つの陳述。 社会から疎外された人々の姿と貧困の問題を見つめ続けたコン・ソノクが描く、様々なかたちの「愛」の有無。 原題<내 생의 알리바이> <b>【韓国文学ショートショート きむ ふなセレクション】</b> 翻訳家きむ ふなが今お勧めする作家の深い余韻と新たな発見を感じさせる短編を 日本語と韓国語の2言語で紹介する新シリーズ。 韓国語の朗読音声をYouTubeで聴くことも可能です。 CUON YouTube チャンネル <a href="https://www.youtube.com/user/cuonbooks" target="_blank"> https://www.youtube.com/user/cuonbooks</a>
死後にその名を知られるようになった伝説の画家、チョン・グィボ。 美術専門出版社の依頼で彼の評伝執筆に取りかかった「私」は、その足跡をたどって取材を重ねるうちに不思議な世界に迷い込む…… 原題<우리 모두의 정귀보> <b>【韓国文学ショートショート きむ ふなセレクション】</b> 翻訳家きむ ふなが今お勧めする作家の深い余韻と新たな発見を感じさせる短編を 日本語と韓国語の2言語で紹介する新シリーズ。 韓国語の朗読音声をYouTubeで聴くことも可能です。 CUON YouTube チャンネル <a href="https://www.youtube.com/user/cuonbooks" target="_blank"> https://www.youtube.com/user/cuonbooks</a>
時代に翻弄され癒しがたい傷を互いに負わせたまま、二人の間に時が流れた。 一年に一度、タブーを超えた愛が許されるベトナムのラブマーケットを舞台に描かれる、愛の行く末。 「僕はこれから何を待って、どんな力で生きていけばいいのだろう」 原題<사파에서> <b>【韓国文学ショートショート きむ ふなセレクション】</b> 翻訳家きむ ふなが今お勧めする作家の深い余韻と新たな発見を感じさせる短編を 日本語と韓国語の2言語で紹介する新シリーズ。 韓国語の朗読音声をYouTubeで聴くことも可能です。 CUON YouTube チャンネル <a href="https://www.youtube.com/user/cuonbooks" target="_blank"> https://www.youtube.com/user/cuonbooks</a>
呉圭原の詩と詩論は、韓国詩壇にとって常に驚異だったーー 年代ごとの代表作から辞世まで70作を収めた詩選集 「漢江の奇跡」と呼ばれた高度成長期。韓国の人々が豊かな生活を夢見ていた時、呉圭原は奇抜な表現で資本主義の虚妄をついた。 ウィットとユーモアで時代を軽やかに駆け抜けた詩人の軌跡を追う、日本オリジナルの詩選集。 詳細な年譜付き。 『明らかな事件』(1971) 『巡礼』(1973) 『王子ではない一人の子供に』(1978) 『この地に書かれる抒情詩』(1981) 『時には注目される生でありたい』(1987) 『愛の監獄』(1991) 『道、路地、ホテルそして川の音』(1995) 『トマトは赤い いや甘い』(1995) 『童詩集 木の中の自動車』(1995) 『鳥と木と鳥の糞そして石ころ』(2005) 『頭頭(ずず)』(2008) 辞世 訳者解説 年譜
100年もの間続いた、朝鮮の天主教迫害。 その時代に生きた人々の欲望と絶望、そして希望 1800年代、天災による飢餓や疫病が蔓延していた頃、朝鮮王朝による天主教(ローマ・カトリック)信徒への迫害は凄惨を極めていた。 拷問で殺された三兄弟の生き残りで黒山(フクサン)島に流刑となった学者、無学ながら教えに惹かれる馬子、汁飯屋の寡婦、元宮女、船頭、黒島の少年、背教者…… 埋もれていた史実にこだわり、膨大な資料をもとに虚構を織り交ぜながら、人間たちの切実な生の営みを描く。 韓国を代表する作家、金薫による歴史小説の真骨頂。 ためし読みはこちらから ソンビ 使行 馬路利 船頭 手を包んだ布 朴チャドル 島 六本指 白い海 鈴三つ カニの足 監獄 それぞれの行く道 白い桔梗 アミの塩辛屋 馬夫 土の餅 トビウオ サバ ここで 讖言 水踰里 お兄ちゃん 黄嗣京 主教 航路 密偵 家作り 土窟 四人の女 草むらの虫の音 玆山 銀貨 潜伏 絹の文字 吐いた言葉 刑場 鶏の声 著者あとがき 参考文献 年代記 訳者あとがき
独立運動への圧力は、西姫と周囲の人々にも暗い影を落とす 複雑に絡まる運命が物語を導いていく 【11巻あらすじ】 日本の官憲による執拗な独立運動弾圧は、西姫と縁のある人々をさまざまな形で窮地に追い込む。 環(九泉)は、かつての仲間に裏切られて投獄される。その壮絶な最期は、崔参判家の悲劇の終わりを意味した。 しかし、独立運動に関連して夫の吉祥も拘束されてしまう。 西姫と吉祥の長男・還国は、思春期の悩みを抱え進路の選択に迷う一方で、間島で別れたきりになっている父親に会いたいという思いを強くしている。 西姫と姉妹のように成長して妓生・紀花となった鳳順は、心身共に病んで、平沙里の崔参判家に保護されていた。 その平沙里では農民たちの間で事件が起きた。過去からつながる運命の糸があちこちで交錯する。
三・一運動を経て 第三部は幕を開ける <09巻あらすじ> 朝鮮全土を覆った三・一独立運動のうねりは、日本の官憲に鎮圧されて収束したが、西姫と縁のある任明彬や、平沙里出身の錫らがデモに関連して拘束された。 晋州に居を構えた西姫は、平沙里の屋敷を取り戻すために趙俊九と対面し、目的を果たす。病に倒れた龍は、その屋敷の管理人として帰郷したが、息子の弘は抱えきれない葛藤から他人を傷つけるなど、心がすさんでいた。 平沙里で細々と暮らす金平山の次男・漢福は、寛洙の計らいで間島に向かった。そして、日本の密偵・金頭洙として暗躍する兄・巨福と再会する。頭洙はその直前、長きにわたって追い続けてきた琴女を、ついにハルビンで捕らえていた。
若い世代に軸を移し、物語は進行していく <10巻あらすじ> 崔参判家の屋敷を取り戻した西姫は、つらい思い出ばかりだった平沙里に、ようやく姿を現した。その秋夕の日、チャングや鉦の音は往時を思わせたものの、かつて祭の中心だった村人たちは老い、あるいは既に世を去っていた。 中学校の入学準備のため長男・環国について上京した西姫は、ソウルの街角に吉祥の面影を追い求めたが、ついに再会はかなわない。 龍は身分の差を乗り越えて、息子の弘を金訓長の孫娘と結婚させる。 妓生・紀花(鳳順)は、誰にも告げずに相鉉の子を産んでいた。 一方、任明彬の妹・明姫のように新教育を受けた「新女性」たちも自らの生き方を模索し、それぞれに思い悩んでいた。