出版社 : ハーパーコリンズ・ジャパン
幼いころに母を亡くした17歳のミシェルは、あと数カ月で高校を卒業するというとき、悲劇に襲われた。医師だった父が治療のかいなく病死し、意地悪で自分勝手な継母との地獄のような暮らしが始まったのだ。生きる希望を失った彼女は、走る車の前へ衝動的に身を投げ出した。そのとき、間一髪のところを救ったのは、謎めいた隣人ガブリエルーミシェルが密かに想いを寄せていた天使のように美しい男性だった。事情を知ったガブリエルは彼女の後見人となり、自宅へ呼び寄せた。やがてミシェルは募る想いを抑えきれなくなって愛を告白するが、ガブリエルに冷たく突き放される。「君はまだ子供だ」と言って。
手術を受けた母の面倒を見るため帰郷したクリスティは、主治医がドミニク・サビッジと知り、動揺した。8年前の夏、クリスティはませた友人に教えられるがまま、幼い頃から憧れていたドミニクに純潔を捧げようとした。だが残酷なまでに拒絶され、逃げるように故郷を去ったのだった。いったいどんな顔をして彼に会えばいいの…?往診の日、いたたまれずドミニクを避けようと外に出た彼女は、ちょうど降り出した雪に足をすべらせて転んでしまう。そのとき、すっと手を差しだしたのはほかならぬ、ドミニクだったーかつて胸を躍らせ心惹かれた、あの呪縛するような雰囲気そのままの。
ジェナはけっして叶うことのない片想いをしていた。親友が嫁いだミルス王国の国王のハンサムな弟、ドミトリ王子。彼は5歳も年下で、歴代の恋人は美女ばかり。そして何より、彼女は病気のため妊娠を望めないのだ。だが奇跡が起きた。突然ドミトリからディナーに誘われ、熱い誘惑に溺れて、ジェナは彼にすべてを捧げてしまう。翌朝、彼は一夜だけでは飽き足りないと、さらりと提案した。「結婚する気はないが、割りきった関係を続けないか?」切なすぎる。でも、そばにいられるなら…。ジェナは心を決めた。
ゲイレンが帰ってきた。19年ぶりに。ルーラの勤め先のリゾートホテルで行われる、親友の結婚式に出席予定だ。彼は今や大企業の経営者。親の言いなりに結婚した私には、幸せなど無縁だったー5年前、暴力的な夫を亡くして以来、ひっそりと生きてきた。ゲイレンに再び会ってしまった今、ルーラの胸には昔の彼との幸福な日々が次々よみがえってくる。折しもゲイレンは産休中の秘書の代理を探しており、なんとルーラは彼の臨時秘書となることになってー?!
家族を失い、天涯孤独となったルーシーは、両親の遺した会社が売却されそうだと知って驚いた。先導しているのは筆頭株主のロレンツォ・ツァネッリ。じつは昔、彼の弟とルーシーの兄は親友同士だったが、登山中の事故で兄だけが生き残り、彼の弟が亡くなったことを、ロレンツォは今でも恨んでいるのだ。でも、会社を守るにはロレンツォに懇願するしかない…。覚悟を決めて出向いたルーシーを嘲ると、彼は怒りもあらわにいきなりキスを奪った。いったいどういうこと?愛人になることが条件だと非情にも告げられ、彼女は凍りついた。
父を訪ねてきたニックに会ったとき、リーはひと目で恋をした。こんなすてきな人のためなら死んでもいいとさえ父に言い、17歳のリーはニックと結婚式を挙げた。だが、結婚初夜からずっと彼はリーに指一本触れようとしない。もう5年も、リーは砂を噛むような空疎な日々を送ってきた。ニックと別れる決心を固めた矢先、彼女は恐ろしい事実を知る。父がニックの家族の重大な秘密を握り、脅迫して、彼に結婚を承諾させたのだという。夫は、別れたくても私と別れるわけにはいかないのだ!
『花嫁が二人』サーシャは会ったばかりのネイサンのプロポーズに耳を疑った。今まで会った中で最もセクシーとはいえ、いきなり結婚などできない。しかも愛ゆえでなく“便宜上”なんて…。それでもしだいにサーシャは彼に惹かれていき、ある日宣言した。「あなたと結婚するわ」しかし時すでに遅く、彼は別の女性と結婚の約束をした後だった。『六月の花嫁』ジーナは敵対するヨーロッパ屈指の大富豪ニックの誘惑に屈し、情熱の一夜を明かしたが、彼の心に真実の愛があると思えず自己嫌悪に陥った。一方のニックは、頑なな態度に戻った彼女に怒りをぶつける。そんななか仕事で彼を失脚させようという者が現れ、ジーナも協力を迫られるが、彼女が真に求めているのはニックの愛で…。『勝ち気な花嫁』身重の姉を屋敷に送り届ける途中、エレナは宿屋に泊まった。運命の悪戯で、エレナは伯爵ニコラスの部屋に誤って入り、眠ってしまうーニコラスが正体もなく酔っ払い、一糸まとわぬまま寝ていたベッドで。翌朝、目覚めた二人は仰天した。運悪くその場面を牧師に見られ、ニコラスはやむなく名誉のために結婚を申し出たが…。形はいろいろあるけれど、真実の愛は一つだけ。豪華3作家の至福のウエディング・アンソロジー!
「ぼくはアレクサンダー・ディミトリゥ。きみがバルコニーから見ているのには気づいていたよ」キャサリンは慌てて否定しながら、頬が火照るのを感じていた。彼は幼い娘が邪魔をしたお詫びにと、キャサリンを食事に誘った。亡き母の故郷にほど近いギリシアの村で独り静養しているけれど、わたしがここにいるのは既婚者とデートするためではないわ!しかし、彼が妻を亡くしていると知り、互いに医師であることからともに感染症の対応にあたるうち、二人の距離は急速に近づいた。つかのまの恋でいい。わたしは幸せになれない人間だから…。そう自分に言い聞かせ、亡き妻を愛する彼にキャサリンは全てを捧げた。
1年前に家族を事故で失い、天涯孤独の身となったフェイは、抜け殻のような心を抱えたまま、身を粉にして働いてきた。ある嵐の日、自暴自棄になって馬を走らせた彼女は落馬して、痛みと朦朧とする意識の中で最期を覚悟する。そのときだった、たくましい腕に抱き起こされたのは。フェイが目を開けるとそこには、隣人チェイスの心配顔があった。幼い頃から恋い焦がれてきた人。なぜ今になつて私の構うの?そんなフェイの心中を知ってか知らずか、チェイスは彼女を家まで運ぶと、予想外の驚くべき提案をした。「君の家業はすべて僕が買い取る。代わりに僕の妻にならないか?」
明るい姉の陰に隠れて育った不器量で世間知らずのリサは、15歳のときから姉の夫の兄ジョエルに軽蔑されてきた。それは年頃のちょっとした出来心が原因だったが、リサは彼にふしだらというレッテルを貼られ、心に傷を負った。以来、聡ずかしさと悔しさから彼とは会わないようにしてきたのに…。8年後、姉夫婦が亡くなり、ジョエルとリサの2人が遺された子たちの後見人に指名されたことで、再会を余儀なくされる。またあの軽蔑のまなざしを向けられるなんて耐えられない!怯えるリサに、冷たい瞳のジョエルは驚くべきことを言い放った。「子どもたちとともにいたければ、ぼくと結婚するしかない」
父の仕事を手伝いながら、のどかで単調な毎日を送るビアトリス。ある日突然、父が心臓発作で倒れて動転するが、幸い、近くにいた医師オリバーのおかげで一命をとりとめた。オリバーとは先日、日の出を見にのぼった丘で偶然出逢い、長身で感じのいい彼が著名な医師だということを、のちに知った。父の入院から留守宅のことまで世話をしてくれるオリバーに、彼女はいつしか特別な気持ちを抱くようになっていく。そして、元ボーイフレンドからの迷惑行為について相談すると、オリバーは親切に、ぼくと婚約したふりをすればいいと提案してくれた。でも切ない…だって、彼はもうすぐ別の誰かと結婚してしまうのだから。
アシュリンは知人に頼まれ、公衆の面前である男性に近づき、恋人のように振る舞ったが、そのせいで彼の評判は地に落ちた。4年後、アシュリンは思わぬ再会を果たす。親友の会社のボスがその男性、気鋭の投資家ザックだったのだ!親友に代わって彼に荷物を届けた彼女は、そのままパーティに連れだされ、誘惑されて熱いキスを交わしてしまう。だが直後、彼は豹変し、彼女を冷たく突き放して睨みつけた。「君の顔を忘れたことはない。4年前の代償を払ってもらおう」いったいどうやって?アシュリンは不安におののいた。
貧しく美人でもないジェナは長年働く王宮で疎外感に悩んでいた。公爵セバスチャンが彼女に興味を持ち、近づいてくるまでは。彼は国王とも親しいらしい。つまりは権力者だ。しかしセバスチャンの誘惑を愛と勘違いし、純潔を捧げた直後、国王にその関係を知られて、ジェナは王宮から追放されてしまう。失意の中、実家に戻り、ベッドで眠りについていたときだった。突然、闇の中からセバスチャンが現れ、ジェナは飛び起きた。どういう手段を使ったのか、公爵は彼女の妊娠を知っていた。そして、ジェナは夜明けが来る前に彼の屋敷へ連れ去られた…。
なんてすてきな人なのかしら!PR会社で働くビーは来社した長身で逞しくハンサムな男性に妙な頼み事をされた。その夜開かれる慈善イベントに同行してくれないかというのだ。彼が最上客アレス・リカイオスと知って断れず承諾した行き先はなんとヴェネツィアの舞踏会。初めてのキスに酔わされた帰途、ビーは半ば誘拐される形で彼のプライベート機に連れこまれる。ギリシアのアレスの邸で“緊急事態”が発生したというのだ。彼の邸に入ると、生後間もない赤ん坊が泣きわめいていた。「1カ月だけ、ベビーシッターの代わりを務めてくれないか」
モデルとして華やかに活躍するシャーメインは、その日、ドゥバル王国のプリンス・アリの目を意識していた。美しき獲物を追う、鋭く黒い傲慢な、世界的プレイボーイの瞳。予想どおりアリは、その夜のディナーに彼女を招待したがー。魅力的な富豪の男性は大嫌い。鼻を明かしてやるわ。シャーメインは彼の誘いを言下に断った。1年後、チャリティオークションに参加したシャーメインは、自分とのディナーを高額で競り落とす男性を待ち望んでいた。5億ドルもの大金でその権利を落札したのは、あのアリだった!
ギャビーは16歳のとき、祖父によって借金の形に売られ、男たちの餌食になりかけたところを間一髪で逃れ、男性恐怖症に陥った。有罪となった祖父が8年後の今、不服申し立てをするという噂を聞き、ギャビーは当時祖父を弁護したニックを訪ねることにした。シカゴで最も優秀な彼がまた担当するのが確かめるだけのつもりが、事態は予想もしなかった方向へと転がりだす。獅子のような体格のニックが、突然自宅へ来た彼女に言った。「遅刻だぞ」どうやらギャビーを住み込みスタッフの志望者と思い込んでいるようだ。今から面接をすると言われ、言葉を失うギャビーだったが、あれよあれよと彼のもとで働くことになるーしかも、ひとつ屋根の下で。
保育士のベラのもとにある日、大富豪ブレイクが訪ねてきた。高級なスーツに身を包み、ベラの産んだ赤ん坊を抱いてー。9カ月前、ベラは代理母出産したのち、黙って彼のもとを去った。子供の成長をともに見守る約束だったのに、出産後、彼の妻から二度と現れないでと冷たく突き放されたから。何も知らないブレイクは、瞳に非難の色をたたえて言った。「妻と離婚した。さしあたってきみに、息子の面倒を見てほしい」わたしがこの子のナニーに?もちろん、引き受けたくてたまらない。ブレイクの育てる子供は、本当はわたしの血を分けた実の子ー。でも、それは絶対に知られてはならない秘密。いったいどうしたら…。
5年前、リリーは車の事故で死んだーでも本当は、名前を変え、別の場所で暮らしていた。血のつながらない兄ラファエルとの愛に溺れていたリリーにとって、そうするしか中毒のような関係から抜け出すすべがなかったのだ。ところがある日、とうとうラファエルに見つかってしまう。昔、二人の関係を“汚れた秘密”と呼んだ彼に、密かに産み育てている息子のことを知られるわけにはいかない。彼の突然のキスに動揺しつつも、彼女はとっさに言った。「私はリリーじゃないわ。あなたは誰?」これまで1日たりとも、彼を忘れたことなんてないのに…。
まさか…ありえない!カリフが王子だなんて。小学校教員のスターがイギリスからこの国を訪れたのは、150年前、先祖がダイヤモンドを隠した部屋の鍵を探すためだった。なのに、スターは王宮の展示室で知り合って意気投合したカリフと、鍵が見つからないまま帰国する最後の日に一夜を共にした。すると翌朝、スターはカリフから思いもよらないことを告げられる。ぼくはこの国の王子で、昨夜、きみを妊娠させたかもしれない、と。スターは帰国を禁じられ、正確な検査結果が得られるまで、人目につかない宮殿へと連れていかれてしまう。身ごもっているとわかれば、否応なくカリフの妻となる条件で…。
“妊娠”を示す検査薬の結果を見て、ステファニーは呆然とした。相手は、3カ月前に旅先で出逢った、カリスマ性漂う男性ーたちまち彼の虜になり、生涯忘れられない一夜を経験した。だが翌日、別れのメッセージを残し、彼は忽然と消を消したのだった。父親を知らずに育った彼女は、わが子に同じ思いをさせたくなかった。あらゆる手を尽くし、ギリシアの地でようやく再会を果たすが、そこにいた彼は、まるでステファニーの知る彼ではなかった。彼女が愛した男の正体は、富豪一族の御曹司、ニコス・ヴァサロス。驚きも冷めやらぬなか、辛辣な言葉がステファニーの胸に突き刺さった。「金持ちと寝て妊娠するのが狙いだったのか?」。