出版社 : 晶文社
本書に登場するのは今日も何事もなく生きていくために奮闘する、私たちの周りの特別でない人たち。 24時間営業の地下マンガ喫茶での夜勤中に絶対絶命の危機を経験し(「コミック・ヘブンへようこそ」)、がん患者がかつらを探しに行き(「秋夕目前」)、つらい毎日を送る売れない俳優に奇跡が起こり(「ほとんど永遠に近いレスリー・チャンの全盛期」)、兵役中のボーイフレンドを待つ女性たちが集まったインターネットコミュニティに没頭することもある(「IDはラバーシュー」)。 温かい視線とユーモアを交えながらSF、ホラー、コメディまで、韓国文学界の新鋭作家が放つ傑作短編集。 『ベル・ジャー』『危険なトランスガールのおしゃべりメモワール』が大好評、海外文学シリーズ「I am I am I am」第三弾! 作家の言葉 コミック・ヘブンへようこそ 自分の場所 ほとんど永遠に近いレスリー・チャンの全盛期 ミニョン 秋夕目前 恐竜マニア期 Love Makes the World Go ’Round IDはラバーシュー ミルクメイド 訳者あとがき
蟷螂拳(とうろうけん)を繰り出すトランスガール! こんな小説をずっと待っていました!--三木那由他 カンフーの達人で、病的な嘘つきのあたしは、生まれ育った町と家族から逃げ出した。 誰かが描いた物語に、閉じ込められないために。 行き着いた「奇跡通り」では、面倒を見てくれるディーヴァ、不思議な力を持つ魔女、鼻もちならない「お姫様」ら、様々なトランスたちに会う。やがて、殺されたトランスジェンダー女性たちの仇を討つことを使命とするガールギャングに入り、ストリートで暴れまわる。 待ち受ける数々の困難を前に、彼女は新しい家族を守り、痛みを癒し、自分の中にある真実を見つけることができるのだろうか? 創刊たちまち大好評の海外文学シリーズ「I am I am I am」、第二弾! 危険な物語 第1部:逃走 グルームの真ん中にあるねじ曲がった家 人魚たちが死んだ日 蜜蜂たちの教え ポケットナイフの歌、その1 煙と光の都市 ゴーストフレンド、あるいはあたしをイかせられる唯一の人物 素手で男を殺す方法 ポケットナイフの歌、その2 親愛なるチャリティ 第2部:奇跡通り 猛烈なフェムたち キマヤのほほえみ あたしだけの場所 キマヤとラプンツェルの伝説的ロマンス おっぱい、あるいはあんたと同じだけ 待合室 ポケットナイフの歌、その3 クロコダイル先生 自分がお魚だってわかってるでしょ、ねえ? ハイヒール ソラヤの物語 ガールギャング 親愛なるチャリティ 第3部:ガールギャング リップスティック切り裂き団の伝説 ひじとひざの使い方について 戦争の女神ヴァラリアの伝説 ポケットナイフの歌、その4 盗み聞きーールクレツィアとヴァラリア 象牙の塔の社会正義闘士たち 豚ども 奇跡通りに流れた血 あたしたちの体は爆弾 夢日記、あるいはゾンビへの憐れみ ポケットナイフの歌、その5 親愛なるチャリティ 第4部:赦し 魔女のアルゼナの家 キャバレー・ルージュでのオープンマイクの夜 あたしのノートより 盗み聞きーーキマヤとラプンツェル 百人のガールズの母親 蜂の群れの捕まえかた ポケットナイフの歌、その6 赦しのケーキを焼く 電話の紳士 デートの夜 オーガズム、あるいはゴーストフレンドとの別れ 親愛なるチャリティ 第5部:エスケープ 飢えと愛の違い このトイレットペーパーはなんでできてる? これで一周 世界最高のエスケープ・アーティスト 親愛なるチャリティ 謝辞 訳者あとがき
川上未映子さん、大絶賛!! 「新訳『ベル・ジャー』は凄い本だ。生きるだけで必死なのに、なぜ人は物語を読むのか。その答えが、結晶のきらめきと、息をのむ密度で書かれている。〈地獄の季節(シーズン)〉は、こんなにもカラフルで輝いて滑稽で切なくて悲しくて強い。すべての人に贈りたい最高の一冊。」 * わたしはぜんぶ覚えている。あの痛みも、暗闇もーー。 ピュリツァー賞受賞の天才詩人が書き残した伝説的長編小説、20年ぶりの新訳。 優秀な大学生のエスター・グリーンウッドはニューヨークのファッション誌でのインターンを勝ち取ったとき、 夢がついに叶うと信じて喜んだ。しかし、退屈なパーティー、偽善的に感じられる恋人、 空虚なだけのニューヨークでの生活に違和感を覚え、世界が支離滅裂なものに感じられる。 そして、とあることをきっかけに精神のバランスが徐々に崩れていく。 世の中は欺瞞だらけだと感じる人、かつてそう思ったことがある人たちに刺さりつづける、 英米だけで430万部を売り上げた世界的ベストセラー、待望の新訳。 海外文学シリーズ「I am I am I am」、第一弾! たちまち4刷! * エスターの懊悩がみぞおちに入り込んで、痛いけど嬉しかった ーーAマッソ 加納愛子 この個人的な小説は、個人が生きた時代を痛いほどの率直さと繊細さで抉り出した作品でもある。 ーーブレイディみかこ 刊行から60年、米Z世代の間で再び必読書に。 未来への絶望が蔓延する社会に、切ない希望を与える一冊。 ーー竹田ダニエル 何にでも成れるはずなのに 何にもなれやしない その絶望の生々しさに呑まれそうになる。 それでも損なわれない繊細さと高潔さ 彼女と私たちは地続きの場所にいる ーー宇垣美里
運命、この文学的なるもの。中央ヨーロッパが生んだ偉大な作家ミラン・クンデラ(1929-2023)。東と西、政治と文学、歴史と現在、偶然と必然のあいだを揺れ動く人間の運命を見つめ続けた作家の仕事を読み解く本格評論。第4回東京大学而立賞を受賞した博士論文を大幅改稿。
◎1999年に韓国・仁川(インチョン)で実際に起きた火災事件を題材にした著者初の長編小説、待望の邦訳刊行 ミシン会社で働くサンスと敬愛(キョンエ)。お荷物社員の二人がチームを組むことになった。すれ違い、空回りしながら距離を探り合う日々。やがて互いの過去が少しずつ関係を変えていく。そんな中、チームはベトナムへの派遣が決まり、それぞれの思いを胸に新しい地を訪れるがーー。理不尽な火災事件で親しい人を失い、亡霊のように生きていた男女の転機と再生を描く。 [目次] 空白はやっかいだ E あなたと私のお別れ 空っぽの心 殺人は恋愛のように、恋愛は殺人のように 冷えきった夏 あなたには妹がいますか? 痛みにも気づかずに笑っていた 雨粒が頭上に降り注いでくる オンニには罪がない
輝く夏の陽ざしのなか、12歳の少年ダグラスはそよ風にのって走る。その多感な心にきざまれる数々の不思議な事件と黄金の夢…。夏のはじめに仕込んだタンポポのお酒一壜一壜にこめられた、少年の愛と孤独と夢と成長の物語。「イメージの魔術師」ブラッドベリがおくる少年ファンタジーの永遠の名作。
1992年、アメリカ・ロサンゼルス。私立高校での生活も終わりにさしかかり、アシュリーと友人たちは、学校よりもビーチで過ごす時間が長くなっていた。4月のある日の午後、ロドニー・キングという黒人男性を半殺しにした4人の警察官に無罪判決が下され、すべてが一瞬にして変わってしまう。激しい暴動・抗議活動が起き、生まれ育ったLAの街が燃え広がるなか、ただの女の子だったはずのアシュリーは「黒人の子」になった。白人の幼なじみとの不協和音、家族のなかの対立、自分への軽蔑…。ブラック・ライヴズ・マター(BLM)の源流となったロサンゼルス暴動という、じっさいの歴史的事件に着想を得た長編小説。
彼女を好きだったのかもしれない、と本気で思った。でも、彼女はもうこの町にいない。信仰と自由、初恋と友情、訣別と回復。淡々と歌うように生きるさまが誰かを救う、完全書き下ろし小説。
いまから、はじめるんだ。ママから自由になって、ほんとうのわたしを見つけること、わたしの権利をとりもどすことを。SNSをつかうすべての人必読のものがたり。ダルムのママはインフルエンサー。インフルエンサーのママをもつばかりに、いつも「ほんとうの自分」でいられないダルム。しかし、クラスメートのアラの言葉がダルムを変える。
舞台は1970年代終わり頃のコンゴの大都市ポワント=ノワール。主人公はアルチュール・ランボーの『地獄の季節』を愛読し、ブラッサンスを愛聴する少年ミシェル、12歳。ガールフレンドは愛くるしい同級生のカロリヌ。父親はフランス人所有のホテルで働き、白人客が残した本を家に持ち帰ってくる。母親はもう一人子供をほしがっていて、「お腹を開く鍵」はミシェルがもっていると呪術師が告げる。飛行機が頭上を横切り、ミシェルと年上の友人ルネスは着陸する国を夢見ている。自国はマルクス・レーニン主義一党独裁体制。ラジオからはテヘランアメリカ大使館人質事件、イラン皇帝シャーの死などのニュースが流れる。少年ミシェルの周りにおこる数々の波瀾、ユーモラスな出来事、不思議な経験を作家アラン・マバンクは淡々と暖かい眼差しで描いていく。幼年、青春の思い出を下敷きにした感動の自伝小説。
幼い頃に父を工場の事故で亡くしたソラとナナは、生活の意欲を失っていく母と行き着いた暗い半地下の瞬居で少年ナギと出会う。「無理してがんばったって、人生はある日突然断ち切られて、それでおしまい」。そう繰り返す母の言葉から抜け出せないまま大人になる姉妹と、行き場のない思いを抱え、暴力に飲み込まれていくナギ。世界の片隅でひっそりと寄り添う3人に訪れる未来のかたちとはー。現代韓国文学の旗手が、みずみずしくも濃密に生の息遣いを描く。第23回大山文学賞受賞作。
誰が知るだろう、この物語のすべてが 一編の復讐劇でもあるということをーー 一代にして財を成し、 あまたの男の運命を狂わせた母クムボク。 並外れた怪力の持ち主にして、人ならざるものと心を通わし、 煉瓦づくりに命を賭した娘チュニ。 巨大な鯨と煉瓦工場、華やかな劇場をめぐる 壮絶な人生ドラマが幕を開ける。 ストーリーテラーとして名高い著者が、 破壊的なまでに激しく生々しい人間の欲望を 壮大なスケールで描き出した一大叙事詩。 ★韓国では累計15万部を記録するロングセラー ★「私にとって小説は最も自由で最も新しい芸術です」--チョン・ミョングァン 第一部 波止場 工場/ 鬼/ 一つ目/ 少女/ 波止場/ 荷役夫/ ローラ/ 刀傷/ ジョン・ウェイン/ 怪物/ 暴風雨/ 出港/ 流浪/ 双子 第二部 ピョンデ ヒメジョオン/ コーヒー/ 雷/ ナムバラン/ 象/ オート三輪/ 沼/ 煉瓦/ トンピョ/ スキャンダル/ 蜜蜂/ 祈禱師/ 白内障/ 娼婦/ 鯨/ 彼、または彼女/ 幽霊/ 前夜/ 火柱 第三部 工場 放火犯/ 刑務所/ バークシャー/ 鉄仮面/ 王族/ 出獄/ 帰還/ 谷間/ トラック/ 豪雪/ 大劇場/ チュニ、または女王 エピローグ1/ エピローグ2
恋をしたとまでは言えなくても、 恋愛っぽいなにかをした女と再会して、 お互いが気づいてしまったらどうなるだろう。 視線は一方的でなければならず、 交換されてはならなかったーー。 会社での地位を失った男が思い出したのは、 16年前のある関係だった。 第7回若い作家大賞を受賞した表題作や、 若い作家賞受賞作「趙衆均氏の世界」など、 今の世代の心の質感を描く9つの物語。 ★2016年に韓国で刊行後すぐ若い読者層からの熱烈な支持を受けてベストセラーとなった小説集。 ★「今日でなくても、私たちはいつかきっと会えるはず」--キム・グミ あまりにも真昼の恋愛 趙衆均氏の世界 セシリア 半月 肉 犬を待つこと 私たちがどこかの星で 普通の時代 猫はどのようにして鍛えられるのか
それが必要だった。 すべてのものが消えてゆくこのときに。 暗闇を水平線で分ける 明かりのようなものがーー デビュー以来、作品を発表するごとに注目を集め、 「現在、最も期待される作家」として挙げられることが多い ファン・ジョンウンが、2016年末に発表した最新の短編集。 恋人をなくした老婦人や 非正規労働で未来に希望を見出だせない若者など、 “今”をかろうじて生きる人々の切なく、 まがまがしいまでの日常を、 圧倒的な筆致で描いた8つの物語。 ★いま最も期待される韓国文学の〈新しい顔〉ファン・ジョンウン、待望の初邦訳! ★「人間をつまらないものと見なす社会全体の雰囲気を目撃することは、どうにも、わびしい」--ファン・ジョンウン 上京 ヤンの未来 上流には猛禽類 ミョンシル 誰が 誰も行ったことがない 笑う男 わらわい
臨月の母を捨て出奔した父は、私の想像の中でひた走る。今まさに福岡を過ぎ、ボルネオ島を経て、スフィンクスの左足の甲を回り、エンパイア・ステート・ビルに立ち寄り、グアダラマ山脈を越えて、父は走る。蛍光ピンクのハーフパンツをはいて、やせ細った毛深い脚でー。若くして国内の名だたる文学賞を軒並み受賞しているキム・エラン。表題作など9編を収載したデビュー作、待望の邦訳。
15勝65敗。僕らのチームはとてつもなく弱く、 そして、美しかったーー 韓国プロ野球の創成期、 圧倒的な最下位チームとして人々の記憶に残った三美スーパースターズ。 このダメチームのファンクラブ会員だった二人の少年は大人になり、 I M F 危機と人生の危機を乗り切って、 生きていくうえで最も大切なものは何なのかを知るーー。 ★韓国で2 0 万部超のロングセラーとなっているパク・ミンギュの永遠のデビュー作、待望の邦訳! ★「一割二分五厘の勝率で僕は生きてきた。まさしく三美スーパースターズの野球だといえる」--パク・ミンギュ プロローグ プレイボール 1.とにもかくにも一九八二年のベースボール 僕は少年、野望を抱け 仁川の海にサイダーが湧いても 信じようと信じまいと、ジーザス・クライストなスーパースター 語っておくれ、旅立つ船よ 悔い改めよ、プロの日が近づいている あの星は僕の星、あの星は君の星 とにもかくにも一九八三年のベースボール 一九八四年のブーメランとその年のノーヒットノーラン 膝と膝の間 バイバイ、スーパースター 2.とにもかくにも一九八八年のベースボール 僕も行くぞ 星の流れる橋を渡って 秋の木の葉が寒風に飛び散れば 天と地の間に花びらが降り 雨に濡れた太陽も、のどが渇いたあの月も 若い日の悩みは希望を連れてくる ソロソロミンナ オワカレタイム 3.とにもかくにも一九九八年のベースボール デッドボール ツーストライクスリーボール 立ち上がれ野球、キャッチボール、空 ツーストライクフォアボール ステップバイステップ、一歩ずつ人生は変わる ビューティフル・サンデー、時間はたっぷりと溢れていた 慶祝、三美スーパースターズファンクラブ創団 本当の人生は三千浦にある 三美スーパースターズ VS. プロ・オールスターズ エピローグ プレイボール あとがき 訳者あとがき
ある日突然言葉を話せなくなった女。 すこしずつ視力を失っていく男。 女は失われた言葉を取り戻すため 古典ギリシャ語を習い始める。 ギリシャ語講師の男は 彼女の ”沈黙” に関心をよせていく。 ふたりの出会いと対話を通じて、 人間が失った本質とは何かを問いかける。 ★『菜食主義者』でアジア人作家として初めて英国のブッカー国際賞を受賞したハン・ガンの長編小説 ★「この本は、生きていくということに対する、私の最も明るい答え」--ハン・ガン
結婚を機にコペンハーゲンに移住したマイケル。なれないデンマークの文化に溶け込もうと、アンデルセンの作品にふれてみた。するとそこには、子どもの頃に知っていた童話とは違う、シニカルな世界がひろがっていた。アンデルセンの生き方に興味をもったマイケルは、日記や手紙を手がかりにして、アンデルセンを追体験するヨーロッパ縦断の旅に出る。そこで待ち受けていたものとは…。世界で最も愛される童話作家の知られざる心情を丹念に追った旅行記。『英国一家、日本を食べる』で大ブレークしたマイケル・ブースのデビュー作。