1988年6月1日発売
1983年8月のある朝、ラングレーのCIA本部にモスクワから緊急報が入った。ソ連の最新型原潜を設計した科学者がアメリカ亡命を望んでいるとの秘密情報だ。CIAはただちに危機対策本部を設けるが、一方ソ連では…。KAL007便撃墜までの意外な経緯と展開。迫真性が話題の国際サスペンス。
セヴェロドヴィンスクからモスクワへ、モスクワからイルクーツクへ、そしてシベリア鉄道で一路東…。息づまる追跡行のはてに、あの運命の瞬間が用意されていようとは!すべては“そのとき”に向かって収斂する。CIA、KGB、GRUの虚々実々の駆け引き。
鋭い爪で無残に引き裂かれた死体-。平和な街、北海道・帯広市に連続殺人事件が起きた。被害者はいずれも大雪山系に建設予定の“宇宙飛行士訓練センター”計画推進派だ。それ以外、犯人の足取りは全く掴めなかった。自然をテーマにルポを書く美神住鷹はこの事件に興味を持ち、叔父の森警視と共に建設現場へ向かおうとした。その美神の前に山で羆から命を救けた娘の兄、木貂雷介が現われ、山へは行くなという。山で何が待ち受けているというのか?木貂兄妹の正体は?大雪山を舞台に壮大なスケールで描く「雷獣伝説」シリーズ、待望のスタート。
出雲呪族抹殺を計る天孫・須米婁。彼らは、迫害の呪詛を綴った簸上文書の存在を嗅ぎつけ、次々と一族を襲撃する。呪族の末裔である画家・鬼祭光舜は“タマシキ”と呼ばれる精神遊離の操霊術を用いて、捕われの身となっていた簸上省吾、涼子、そして光舜を慕う手銭柚子香を救出した。暗闇の歴史の中にあって絶えず須米婁を脅かしたのは、呪族の血が継承する歴力による抵抗であった。光舜の違伝的操霊能力に恐れを抱いた須米婁の総帥・天の道士は、最後の闘いを挑み、刺客を放つ。聖地・出雲で、呪族存亡をかけた死闘が始まろうとしていた。
国際都市ヨコハマーそこには汚れたカネを求めてアウトローたちが集まる。その黒い港を背景に頻発する船舶密売事件。船・密輸品そして船員もろとも売り飛ばしてしまう国際シンジケートが深く静かに動き出した。公安調査官・加下千里は、組織に潜入すべく、うだつのあがらぬ失業中の二等航海士に変装する。帰らざる船の秘密を暴くため港を徘徊していると…。表題作ほか三篇の公安調査官シリーズ。
世界初の自叙伝形式で書かれ、“解放の文学”といわれる『枕草子』には謎が多い。当時では考えられない率直大胆な表現。歴史的事実・官位・自然現象等の誤記。異本の中には、有名な「春は、あけぼの」の段のないもの、清少納言のエピソードを全て欠いているものまであるというー。大胆な仮説で千年前の虚像を抉り、『枕草子』成立の謎と、紫式部と並び称される清少納言の実像に迫る。
大手商社の第一線営業マン山野純一郎は、取引企業倒産の責任を負わされて閑職の事業本部へ左遷。だが、山野はへこたれない。願ってもない充電期間とばかり、社内のOLと次々にオフィスラブを展開。会議室では斎藤恭子と、川端律子とも秘密の情事。テクニックの限りを尽して女性を歓ばせる。だが、山野の発展ぶりをじっと監視する謎の女性がいた…。企業恋愛小説の名手が描く最先端オフィスラブ長篇ロマン。
電機業界のリーダー的存在である極洋電気の営業企画次長・本郷直文は、次期社長候補の岡部専務から経営戦略室長への昇格を言い渡された。経営戦略室とは社長直属の組織で、社のシンクタンクともいうべきエリートセクション、室長経験者は取締役への昇進が約束されているという。本郷が夢にまで見たポストだった。だが、本郷は前任者・田代の突然の退社を知らされる。田代に何が起こったのか…?
大工の棟梁・磯七が料理茶屋で殺された。虫の息の磯七いわく、茶屋の博打に加わったおり、おりんという女と知り合ったという。おりんは負けの込んだ磯七に金を貸し与え、しかも博打の後、一夜を共にした。翌朝、頭に激痛を覚えて目をさました磯七の隣に、背中に見事な彫物をしたおりんがいたというのだ。おりんの身許はすぐに割れたが、なぜか背中に彫物はなかった…。異色捕物控シリーズ第五弾。
学園粉争のさなか、関東大学医学部事務局次長・小栗精一郎は不正入学にからんだ詐欺横領の容疑に問われていた。そんな折、大学二年になる小栗の娘・桐子が体育会系の学生らにレイプされた。数週間後、小栗は故郷徳島で自殺。傷心の桐子も大学を中退してインドを放浪。十二年後、尼僧・寂蓮となった桐子は、桜舞う和歌山の紀三井寺で、かつてレイプを謀った忘れ難い男と偶然にも再会した。官能サスペンス巨篇。
本名山本長五郎、清水港は米屋の伜次郎。遊侠の世界に足を踏み入れ家業を捨てる。天稟のいかさま骰子の腕で各所で賭場荒しをくり返すが、なぜか次郎を見こんだ駿府安東の大親分文吉の目こぼしで助けられる。いつも素寒貧、冬に褌一本で暮らすのもたびだびだが、いつの間にか次郎の周りには人の垣ができている。大政、金次、常…。巷間、“海道一の親分”と謳われた清水の次郎長実録一代記長篇。
見栄とやせ我慢が遊侠の徒の本領とばかり、草鞋を脱ぐ旅人には酒と飯、おまけに小遣いまで持たせてやる次郎長、内証は苦しい。清水に腰を落ち着けたとはいえ、本人は年中の逃避行、ついには敵方伊豆の金平が黒革おどしの鎧を着け、次郎長を捜して清水中を威嚇して回る始末、喧嘩っ早さが災いして、ろくに縄張の拡張も計れない。古老達の語りを丹念に集め、次郎長の実像に迫る次郎長実録一代記長篇。
不倶載天の敵黒駒の勝蔵が縄張を捨てた。子分を率いて京へ上り、公卿侍になったという。幕末の激流は遊侠の世界をも洗い始めた。だが次郎長は、愚直なまでに変わらない。かせぎ場の少ない次郎長の台所は火の車、喧嘩を構える毎に借金がかさんだ。世は明治となり、官軍の命で海道の取締りにあたるがやがて辞退、晩年は訪れる旅人を門口に待ちこがれる日々だったという。次郎長実録一代記完結篇。
時は元禄。播州赤穂の領主・浅野内匠頭は城中での刃傷で切腹。遺臣たちは仇吉良上野介を討つことを誓うが、城代家老大石内蔵助には理不尽な裁きを下した公儀に対する恐りはあっても、上野介への復讐の念はなかった。内蔵助の弱腰に不満を募らせる同志たち。血気盛んな若者・小山田庄左衛門もそのひとり。だが、仇討にそなえて江戸に向かった庄左衛門、道中で病に倒れてしまった。長篇歴史小説。
俺の名はバーク。ニューヨークの私立探偵だ。久しぶりに依頼人がお見えになった。フラッドと名乗るそのご婦人、見かけはムッチリして男心をそそるのだが、実は日本で修行を積んできた武術家。コブラとやらを探せというのがご依頼。そいつは幼児を強姦して殺すのと、アフリカの白人国家の庸兵として正義を行なうのが趣味とかで、これまた黒帯もんの武術家というのだ。こいつはヤバイ事件になりそうだ…。
俺にはダウンタウンの底辺でうごめく強力かつユニークなダチ公がいる。口はからっきしだが腕は無類の音無しマックス。孤独な巷の天才発明家、モグラ。「完全な女」になるのが夢の男娼、ミッシェル…といった面々に総動員をかけ、フラッド嬢の依頼に応えるべく、コブラのいぶりだしにかかったのだが、横合いから南アへの武器密輸の話を持ち込まれて…。まったく、一筋縄じゃいかないぜ、今度のヤマは。