1989年発売
純愛映画制作についてのファミコンゲームをめぐる小説から現実と虚構の既成概念を無化した新しい〈愛〉と〈日常〉を描く!無重力世代の表現を予兆する22歳の新鋭の優しいメタ・ノベル!第5回「海燕」新人文学賞、“正方形の食卓”を併録。
何か1つプレイするたびに言いわけをしなければ気のすまない男を主人公にした「弁解屋アイク」、とんでもない癖の持ち主で誰も同じ部屋に泊まりたがらない「相部屋の男」-本場アメリカを舞台に描く抱腹絶倒のユーモア野球小説を中心に編んだ7篇。
天正年間、薩摩攻略から朝鮮出兵に至る秀吉の晩年の動静を、著者の郷里の城主・小早川隆景の恩顧をうけた武将たちが、茶会記という形式のなかであたかも日常の風景のように交々語り、その時代相を浮彫りにした名作。
…馴染んだ男には感じられない、ときめきとスリルがあって、脳が痺れるほどの快感に、身も心も乱れて…。ナンパを生き甲斐にしている信夫が、ナンパで手に入れた妻の美也子に裏切られて、不倫の乱気流が渦巻く、官能長編ロマン。
白昼の東京駅新幹線ホームでサブマシンガンが炸裂、暴力団多羅尾組の組員と、偶然に居合わせた舞台女優伊衆院朋子が死んだ。組織抗争の巻きぞえかと思われたが、警察手帳を持たぬ刑事・香月功は単独捜査を開始し、意外な事実をつかんだ。朋子の兄で画商の寛治が、暴力団から売却を依頼されたフランス名画を持ったまま失踪していたのだ。だが、捜査をすすめる香月の前でふたたび殺人事件が発生、さらに「犯人は香月」と謎のタレコミが…。はたして寛治の行方は?朋子の死の真相は?円熟味を増した名手が自信を持って放つ大好評。“顔のない刑事”シリーズ待望の書下ろし第七弾。
終戦前後、日本人少女と中国人親子の交流を清冽に描き上げた加藤幸子氏の「夢の壁」。現実の事件を引金に自由な劇的空間を遊泳する唐十郎氏の「佐川君からの手紙」。無気力な弟を追憶しつつ生の儚さを追究した笠原淳氏の「杢二の世界」。非行に染まる女子高生に近づく優良女生徒の友情を通して揺るぎない人間観を明示した高樹のぶ子氏の「光抱く友よ」。診療を一切拒否して癌にたおれる叔母への心の揺れを丹念に追った木崎さと子氏の「青桐」。第88回ー第93回受賞作。
八ケ岳山麓にある猪狩家の別荘で不可解な惨劇が相ついだ。17歳の静香は密室でシャンデリアから逆さづりで殺され、母親は足跡ひとつない新雪の中、絞死体で発見された。静香の家庭教師・徹のSOSで駆けつけた名探偵・信濃がたどりついた無惨な真相とは?衝劇の処女作「長い家の殺人」に続く渾身の本格推理第2弾。