1992年7月1日発売
代議士愛人の引き逃げを目撃した男と女。迫水純一郎は大金を受けとるために博多発「ひかり8号」に乗ったが、広島駅到着直前に毒殺された。札幌で五千万円を入手するはずだった結城佑子は迫水が殺された三時間後、犯人と遭遇、そして殺された。走行中の新幹線から札幌への殺人ルートはいったいどこにあるのか?
新進タレントの南ユカが、青森県の十二湖で誘拐された。続いて大杉物産の社長夫婦も誘拐された。捜査に乗りだした十津川警部らだが、身代金を払って解放されたと思われる被害者も、その家族も、なぜか誘拐の事実はなかったと否定。事件を立証できずに焦る十津川をあざ笑うように、犯人は第三の犯行に着手した。
ポーランドの秘密情報機関の指令を受けた男は、かつての友人を追って東京を発ち、シンガポールへ向かう。男たち2人は謎のアルバニア美人をめぐってパリで競い合った過去をもつ。ピアニストとして挫折した友人を追って男はさらにウイーンへ飛ぶ。友情が殺意に変わるとき、男と女は謀略の渦中で再会した。
琵琶湖畔、ひとり旅を楽しむ史絵のまどろみは唸るような男の歌声で破られた。翌日、遊覧船に流れる「琵琶湖哀歌」こそ、あのメロディではないか。そのころ琵琶湖の水を守る会のリーダーが密室で死亡。自殺か他殺か、友人の窮地を救うため浅見光彦も車を西に走らせる。やがて究明される湖水をめぐる陰謀とは。(講談社文庫) もうひとつの琵琶湖周航歌に隠された悲劇。琵琶湖の水を守る会のリーダーが密室で死んだ。自殺か他殺か? 友人相川の依頼をうけて浅見光彦の推理が始まる。やがてデベロッパー上島総業の横暴が明らかに。 プロローグ 第一章 死にかけた湖 第二章 われは湖の子 第三章 湖西に死し湖東に死す 第四章 密室の謎 第五章 推理の壁 第六章 哀歌の流れる湖 エピローグ 自作解説
残された傷痕は、美人の売れっ子作家ベリル・マディソンが必死で抗い、命乞いをしながら死んでいったことを物語っていた。殺人犯の待つリッチモンドへ、なぜ彼女は帰っていったのか、なぜ犯人のためにドアを開けたのか、そしてなぜ、殺される運命にあったのかー。MWA処女作賞受賞作家渾身の第2弾。
神戸の異人館に住む日本人の若い女の元へ英国の大富豪ジョン・ポール・ゴッティの使いだという男が現われた。女の祖母である亡命ロシア人が残した古い黒鞄を法外な値で買い取りたいという。女が途方もない申し出を断ったとき、世界を揺るがす巨大な歴史の暗部が浮かんできた。幻の密約文書の正体は何か?
エノケンがエノケンを殺した?昭和12年、浅草の人気劇団で起きた不可解な連続殺人。犯人として疑われたのは、人気絶頂のエノケンこと榎本健一。三重の密室とアリバイの壁が彼を追いつめる。エノケン、親友のロッパ、弟分のシミキンが複合トリックの謎に挑む傑作ミステリー。第35回江戸川乱歩賞受賞。
白昼のテニス・クラブで、女性の焼死事件が発生。死者として18年前に忽然と姿を消した女子大生が浮上する。当時の彼女に一体何が起ったのか、無惨な火だるま事件とのつながりは?哀調漂う雪の瓢湖に舞うブラックスワンをキーに展開する青春時代の謎を詩情豊かに追う、著者初の本格推理長編。
バブル経済がはじけ、業界の再編・変動がはじまっている。いかに優秀な人材を集めるか。ヘッドハンターの動きは巧妙をきわめる。「W・W・R」本社の人材課課長・高村泰生は、銀行や証券会社の若手に狙いを定めた。鋭い嗅覚と型破りな手で誘いをかける。人材スカウト会社の知られざる実態を描く経済情報小説。
自意識の分裂に悩み戸惑う知識人の久内と、狂気のような熱情をこめて醸造技術の発明に没頭する一途な男雁金。ふたりの対照的な成り行きに、近代の合理的な人間認識と“日本精神というもの”との相剋を見る。漱石、芥川以来の「西欧的近代と向き合う人間」というテーマを内包しつつ、“第四人称”の「私」という独自のスタイルで物語る。晩年の『旅愁』へと向う前の著者中頃の代表的長篇小説。
美作国宮本村の牢人の子に生まれ、父の敵平田無二斎に養育された弁之助は、激しい独習を積んで無二斎に勝ち、宮本武蔵と名乗って武者修業の旅に出る。僧・沢庵の草庵に草鞋を脱いだ青年武蔵は、扶桑第一と称される吉岡道場の当主吉岡清十郎に挑戦した。剣聖でもなく、野人でもなく、ただ剣において勝つことのみにその生涯を費やした兵法者。独自の視点から武蔵を造形する長編。
当主清十郎を失い、さらにその弟伝七郎をも斃された吉岡道場は、一門を挙げて一乗寺下り松での決闘を武蔵に申し入れた。七十余人を敵に回して阿修羅と化した武蔵は、一刀一撃に渾身の殺気をこめて、次々に対手を斬り殺し、ついて勝利をおさめた。再び流浪の旅に出る武蔵。そのころ、武蔵の宿敵佐々木小次郎も、おのが剣名を上げるべく、四尺の長剣を背に、京・大坂を闊歩していた。
紀州山中で、仇敵の鎖鎌の名人宍戸梅軒を破った後、江戸に下った武蔵は、細川家家老長岡佐渡から、同家兵法師範となっていた佐々木小次郎との試合を所望され、九州へ赴く。対決はついに実現した。所は豊前長門の海門・船島。しかしその日、刻限を過ぎても武蔵は姿を現わさない。待つこと一刻、遅参に苛立つ小次郎の眼に漸く、沖合の波にもてあそばれる一艘の小舟が映った…。
とある地方の高校に伝わる奇妙なゲーム。三年に一度、学園祭で行われるそのゲームは、学校の運命を占えると言われていた。ゲームは一人の生徒によって行われる。その生徒は「サヨコ」と呼ばれ、十数年間、秘密裡に受け継がれていた。「六番目のサヨコ」の年、一人の転校生がやってくる。名前は津村沙世子。それは不慮の事故死を遂げた「二番目のサヨコ」と同じ名前だった。