1993年4月発売
夫以外の男に、初めて女の歓びを教えられた大信田倫子。彼女は、秘密の情事のめくるめく予感に震えながら、今日も男のもとへ急ぐー。だが、思いもよらぬ事件がふりかかった。渋谷のホテルで人妻が殺され、現場から夫の万年筆が見つかったのだ。夫はアリバイを主張するが、証人が出現。倫子は夫の潔白を証明すべく奔走し始めたのだが…。驚愕の真相。
ギリシア・ローマ神話から聖書、聖者伝、さらにはデュメジルやフレイザー等の厖大な文献を渉猟しつつヴェルヌの〈驚異の旅〉の神話的構造を解析し、その壮大な作品群を「SFの元祖」という定説から解放して、諸神話を重ね合わせた〈神話大全〉として読み解く。
戦争の悲惨。特攻の実相。犠牲の青春。奪われる生命と失われる愛。かえりみて、今日の平和の貴さ、自由の日々を生きる幸せを考える。名曲「月光」の調べにつつまれた、愛と哀しみの感動のドキュメンタリー・ノベル。感涙をよぶ話題の映画「月光の夏」の原作小説。
元内閣総理大臣、霧島幸四郎が校長として赴任した小学校で生徒が次々、背後から突き落とされる事件が発生した。再び慣れない探偵業に乗り出した霧島の前に、今度は連続殺人が。政治力と洞察力は高いが、一般常識には弱い元総理探偵の鮮やかな推理。事件は二転、三転し、最後に現れる驚愕の真犯人とは。
“ウルフ・パック”それは自衛隊を“日本軍”とするため、クーデターを計画する地下組織の名称である。その全貌を掴もうとする記者達は、一人の記憶を失くした男を見つけだした。彼は、かつて“ナイトダンサー”と呼ばれた工作員だった。対馬近海の新油田を巡り、日中の武力緊張が高まる中、革命は進行する。
ボクは山中美奈、十八歳。四人姉妹の三番目。女の子なのに自分のことを「ボク」ってよぶのは、ボクが一卵性双生児の片割れだから。いつも隣に、同じ顔をして同じ服を着てお揃いのリボンまでつけた妹の美穂がいるという状況では、ボクが自己主張しなければボクはボクとして認めてもらえない。で、「ボク」とよぶことにしたのだが、ボクの前に予備校生の本多が現われて…。
恋人より仲良しの僕とレイコはただの友達同士。大好きだから自由な二人でいたいと願う僕は、彼女のひたむきさに戸惑い、揺れ動く。試験休みの四日間。神戸の街を雨のように通り過ぎた十七歳の恋を描く永遠のティーンエイジ・ノベル。
マコ、こと山咲真琴。中学2年になりました。大親友のケベちゃん、麻己子。ケンカ友達の達郎とも、あいかわらず…のはずだったけど。達郎におこった突然の大事件は、マコ達に大きな変化をもたらして…。大人になるって、どんなこと?中学2年生、心の揺れる季節です。
人間の世界で、地位も名誉も豊かな生活も金で買える。しかし健康だけは無理である。アメリカの大財閥、フランク・モーガンの悩みもそのことだった。彼の使命は財閥発展の為に、より多くの血族を増すこと。だが彼にはもうその力が無い。かくて、若さを保ち、男を維持する為に、財力を駆使して精力食を求める、おかしくも苦しい世界冒険旅行が始まったが…。
過去を思わず未来を怖れず、ただ「この一瞬を愉しめ」と哲学的刹那主義を強調し、生きることの嗟嘆や懐疑、苦悶、望み、憧れを、平明な言葉・流麗な文体で歌った四行詩の数々。十一世紀ペルシアの科学者、オマル・ハイヤームのこれらの詩は、形式の簡潔な美しさと内容の豊かさから、ペルシア詩の最も美しい作品として広く愛読されている。
一カ月前に学校から消えたなつみさんは、新興宗教オモイデ教の信者になって再び僕の前に現れた。人間を発狂させるメグマ祈呪術とは……オドロオドロしき青春を描く、オーケン初の長編小説。
豊臣秀吉の弟秀長は常に脇役に徹したまれにみる有能な補佐役であった。激動の戦国時代にあって天下人にのし上がる秀吉を支えた男の生涯を描いた異色の歴史長篇。(小林陽太郎)
足軽から身を起こした秀吉は父祖伝来の領地もなければ親族も少く、将から兵にいたるまでその人材に乏しくていつも寄合所帯だった。秀長は人柄もよく、様々な実務に抜群の才があつたばかりではなく、いくさでも負けを知らなかった。兄の大胆さを補うに弟の手堅さ、秀吉の成功はこの人なくしてはありえなかった。