1994年9月発売
“太平洋一年戦争”のミッドウェー海戦で、大勝利をおさめた日本は、連合国側と対等な講和を結んだ。戦後の大不況で東北地方を中心にソ連の支援を受けた革命勢力は、東京都の東半分と茨城県、埼玉県から北に東日本共和国を建国し、西日本帝国と対峙した。-1998年12月、西日本帝国海軍中尉・愛月有理砂は非常呼集で、三宅島沖の母艦〈赤城〉に運ばれ、内容も知らされず出撃した。
柳生石舟斎に討たれた影丸、霧丸の忘れ形見萩丸は、肥前唐津で成人した。長ずるにつれ剣の奥義極め、やがて柳生の里へ。だが宿敵石舟斎はすでに他界。萩丸の怨情は嫡子宗矩に向けられた。江戸へ出た萩丸は、二代将軍秀忠の剣術指南を務める宗矩に、果たし合いを挑んだ。柳生新陰流の一閃に、萩丸の秘剣〈松の葉〉は…。
第5回鮎川哲也賞受賞作 平穏な生活を送っていた女子大生に送り付けられた写真。記憶の底になにやら蠢くものを感じたヒロインの身に、徐々に恐るべき災厄が降り懸かってくる。予断を許さぬ結末へと読者を誘う長編推理小説の秀作
この夏は、僕にいくつものことを教えてくれた。大人になるための方法を、人の愛し方や裏切り方を、家族のことを、かけがえのない友だちがいる幸福を、そして、どんな夏も永遠に続くことはないという悲しい真実を。
南太平洋、中部太平洋で、月山、銀河の連携プレーで撃破された米海軍は、昭和一九年五月、全兵力を投入してサイパン攻略作戦を決行した。なぜアメリカは、片々たる小島に米海軍空前の大兵力を投入してきたのか。そこには、アメリカが開発中の超極秘兵器を、我が国日本に対して使用するための作戦が秘められていたのであった。サイパンを取られれば、日本はこの超極秘兵器・原爆の攻撃を受ける。この情報をスイスでつかんだ品川大尉は急ぎ帰国する。-サイパンは守れるか。井上成美長官は最後の決戦として、連山で戦うべく発動を指令する。しかし、井上長官最後の秘策は、日米講和であり、絶対国防圏の確立である。もっとも難しい、この講和作戦を井上長官はどのように展開するのか。
森村千尋は、就職を翌年にひかえた大学四年生。からだがきゃしゃでベビーフェイスなためか、いつも高校生にしか見られない。そんな彼が、アルバイト講師をしている予備校で、高校三年生の野崎浩一と出会った。年上の男性であるにもかかわらず千尋を好きになってしまったことに気づいた浩一は、彼を手に入れるために攻撃開始。
弘安四年(一二八四)、十四万人あまりの大軍をもって日本に襲来した蒙古軍。神風によって全滅したかに見えた彼らだが、その残党は京都を制圧すると、またたくまに鎌倉幕府を滅ぼし、日本の完全征服を成し遂げてしまった。五十数年後、京都に首都をおく蒙古政権を樹立したイルタイ汗によって蹂躪される日本を救うべく立ち上がった勇将・楠木正成は、後醍醐天皇を奉じて敢然と最強の騎馬軍団に挑む。
「作家になる方法」、「別の女になる方法」など、ハウツー物の文体パロディで描かれる現代人の孤独な人生。度はずれたユーモア感覚と深い淋しさが絶妙に溶け合うローリー・ムーアのおかしなおかしな世界。
古代エジプト文明は死んだ。だが、エジプトの霊は生きている。《神智学協会の最高の作家のひとり》と称される英国の小説家が古代エジプトの神殿と都市を舞台にひとりの小年の霊的な覚醒と成長秘儀と闘争の中での転生を描いた驚くべき神秘小説が本書である。