1994年9月発売
森村千尋は、就職を翌年にひかえた大学四年生。からだがきゃしゃでベビーフェイスなためか、いつも高校生にしか見られない。そんな彼が、アルバイト講師をしている予備校で、高校三年生の野崎浩一と出会った。年上の男性であるにもかかわらず千尋を好きになってしまったことに気づいた浩一は、彼を手に入れるために攻撃開始。
弘安四年(一二八四)、十四万人あまりの大軍をもって日本に襲来した蒙古軍。神風によって全滅したかに見えた彼らだが、その残党は京都を制圧すると、またたくまに鎌倉幕府を滅ぼし、日本の完全征服を成し遂げてしまった。五十数年後、京都に首都をおく蒙古政権を樹立したイルタイ汗によって蹂躪される日本を救うべく立ち上がった勇将・楠木正成は、後醍醐天皇を奉じて敢然と最強の騎馬軍団に挑む。
学園紛争、デモ、フォーク反戦集会。1960年代、杜の都・仙台。荘厳なバロック音楽の流れる喫茶店で出会い、恋に落ちた野間響子・17歳と堂本渉・21歳。多感で不良っぽい女子高生と男からも女からも愛されるような不思議な雰囲気の大学生の危険で美しい恋。激しい恋をひっそりと見守る渉の特別な友人、関裕之介。三人の微妙な関係が引き起こす忌まわしい事件はやがて20年後の愛も引き裂いていく。
「作家になる方法」、「別の女になる方法」など、ハウツー物の文体パロディで描かれる現代人の孤独な人生。度はずれたユーモア感覚と深い淋しさが絶妙に溶け合うローリー・ムーアのおかしなおかしな世界。
古代エジプト文明は死んだ。だが、エジプトの霊は生きている。《神智学協会の最高の作家のひとり》と称される英国の小説家が古代エジプトの神殿と都市を舞台にひとりの小年の霊的な覚醒と成長秘儀と闘争の中での転生を描いた驚くべき神秘小説が本書である。
イース世界の壮大なる歴史絵巻がダイナミックに展開される。かつてセルセタの地には天地のごとき有翼人が住んでいた。そこには今よりもはるかに発達した文明が栄えていたという。有翼人の唯一の末裔エルディールは、闇の三人衆に操られ、古代の大いなる力の復活を企んでいた。それを知ったアドルは、セルセタの危機を救うため、古えの救国の英雄レファンス公の加護を受け、樹海の底に眠る古代都市を蘇らせる…。イースIV、ここに完結。
雨の降る林の中の焼場で、自死した母の遺体を焼いた。たった一人で立会ったその光景が今も脳裏を離れない。母の絶望と自身の孤独を心中深く抱いて、磯目〓@55C3介は戦後を生き続けた。そして四十余年。結婚もし、それなりの地位も得て、今ようやく妻との老いに向う生に心をかたむける。