1996年2月発売
ロシア極東地域で発生したクーデターを逃れ、ウラジオストクを20隻ほどの艦隊が脱出した。日本海に出た艦隊は針路を南に転じ、日本の領海をめざす。日本政府は負傷者を乗せた艦の受け入れを認めたが、新潟西港に接岸した駆逐艦の主砲が、突然回転を始め、埠頭に停泊していた巡視船をとらえる。発射の瞬間をテレビが放送し、およそ1200万人が、事件の開幕を目撃した。ロシア艦の甲板に続々と現われた武装兵士は上陸を開始し、機動隊員を一瞬にして掃討した。さらには、新潟県庁・県警本部、新潟空港の乗っとりに成功。事態を目のあたりにした政府は、ついに自衛隊に対し防衛出動を命じた。悪天候の中、空中機動団は戦場という未知の世界へ向けて飛び立つ。その頃、夕闇迫る原子力発電所近くに、一人の男の影があった…。豪雪におおわれた新潟を舞台に緊迫の攻防を描く、シリーズ第2巻。
私立女子大・聖花学院にマスコミ学講師として招かれたタレントの牛丸誠一郎。ある日彼は、先輩助教授・風間の娘・淳子に誘われ、図書室で関係をもってしまった。睦言に彼女の母親が助教授の後添いで、欲求不満なことを知った牛丸。早速、美貌の夫人を陥落させ、情事の部屋へ連れ込んだのだが、夫人の乱れようは、上品な容姿から想像もできないような貧婪さで…。
ベビーフェイスの北斗、スポーツ万能の克己、学年トップの秀才・賢治、そして超美形の智の四人は、全寮制百蘭学園のメームメイト。才能あふれる三人に比べ、自分だけが“みそっかす”なことを、北斗はコンプレックスに感じていた。ところがそんな北斗に初めてのラブレターが来たことから事件は始まった。元気印の学園コメディ『ハート・パニック』をはじめとして、さまざまな恋に彩られた、池戸裕子からの三通の『手紙』。
『盲獣』いつにない早起き、ありふれた日常だったはずの朝が始まる。雨に降りこめられた展覧会場で、森厳な空気に相容れぬ雰囲気を醸す人影を見た水木蘭子は、凶事の予感に怖気をふるう。それは魅入られたかのように盲獣の魔手に搦め取られていく自身への哀歌にも似て…『地獄風景』旧家の一人息子が私財を蕩尽した大遊園地ーさながら怪奇のおもちゃ箱ーに集まる、名にし負う猟奇の紳士淑女たち。ひとり、またひとりと増える犠牲者を後目に殺人遊戯はエスカレートしていく。「犯人は誰か、その理由は」と公募された犯人当て懸賞小説。共に竹中英太郎画伯の華麗な挿絵を付す。
ひっこみ思案のジャッキーが妖精郷で巨人退治をなしとげ、一年がたった。いまや妖精郷の一部では“心臓”ともいうべき存在だ。彼女の仕事は、妖精たちにとって糧である月からの幸運が、毎日正常に流れているかを確認すること。しかしその異変に気づいたころ、ひとりの妖精の無残な死体が見つかった。現場にはなにやら魔法のにおい。やがて魔の手はジャッキーにも及んだ。が、危ういところでクミンと名乗る男に助けられる。お礼のしるしにと、さっそく男を屋敷に招待してしまうのだが…無邪気なジャッキー、ほんとうにこれでいいの。『ジャッキー、巨人を退治する』の続編。
女郷長に近づき、鉄を作り、うるしの技法を学び、周辺各国を手中におさめた須佐之男の情熱と勇気、そして息子大国主の努力と実行によって繁栄した出雲王朝の謎に迫る長編書き下ろし考古学小説。
大阪の富豪に殺人予告が届いた。差出人は蠅男。警備は厳戒をきわめた。しかし、それを嘲笑うかのごとく、富豪は天井に吊されていた。完全に近い密室に、煙のように侵入しうる犯人とは、いったい何者。名探偵・帆村荘六は、この不可能犯罪に敢然と挑み、怪人蠅男に肉迫する。猟奇的な発端から戦慄のラストシーンまで、昭和初期のエログロ・ナンセンスの雰囲気を濃密に漂わせた鬼才の代表的長編。
天下の険、名勝箱根山の観光開発をめぐり、運輸省を巻き込んだ二大資本の熾烈な争いは、第三の勢力の殴り込みで、さらに大混乱。駆引きと思惑が乱れとぶなか、伝統と格式を誇る地元老舗旅館は対立し、あおりをくらった若い二人の恋路も、いまや前途多難だ。西武、東急、藤田観光の世に名高い箱根開発戦争をモデルに、箱根の独得な歴史も織り込んだ、シリアスでユーモラスな企業小説の嚆矢的傑作。
借財は歳入の八十年分。貧窮の越前大野藩を蘇生させるべく、刀を捨て、天賦の商才と経済感覚を武器に改革する侍、内山七郎右衛門良休。藩直営の特産店「大野屋」の設立、流通革命、価格破壊を施し、蝦夷地への開拓投資など奇策を弄して、藩を復興させた新しい経済武士の生涯を描く。
連日の異常気象、多発する少女誘拐未遂事件…と、不穏な空気が漂う東京都世田谷区。ある日、パソコン売場のモニターに「悪魔の警告」から始まる予告文めいた怪文書が現われた。翌日、若き天才囲碁棋士・牧場智久の対局相手・桃井四段が失踪。さらに、十二歳の少女たちが次々と殺されて。牧場智久&武藤類子コンビの推理やいかに。驚愕の本格推理。
ホームズと警視庁の片山刑事の妹・晴美は、バスに乗っていた。見知らぬ少女が「おいで。降りるわよ」と声をかけると、ホームズがついて行ってしまったから、さあ大変。片山たちの必死の捜査でつきとめた少女は、今度は「ちょっと人を殺すだけ」と言ってナイフを買っていった。表題作のほか、「通信簿」、「殺し屋稼業」、「催眠術」と、ホームズ大活躍の3編を収録。
-時は2010年、巨大財閥蔵石グループ総帥蔵石政章は、ふとしたことから響樹渉・愛兄弟の超能力を目の当たりにする。彼らの血の秘密を手に入れ、その力をあやつれば、世界は我が掌中で踊るやもしれない。罠は仕掛けられた-。つかわされた刺客はルドルフ・南雲。ルドルフVS渉・愛のバトルの果てに、渉のすさまじいエネルギーが炸裂した。抑え切れない怒りの思念が妖獣ドラゴンを現出させ、暗雲をまとって荒れ狂い始めた。読み始めたら止まらない、スクリューコースター・ハイパーノベル。
リキとガイの出会いには…どれほど傷ついても、どんなに傷つけても、手放せない一途な『想い』がある…。人類の英知を極めた人工知能が支配する未来都市-タナグラ。束縛のない暮しを求め夢破れた人間の街-ケレス。そこに生きる若者たちの、重すぎる自尊心探すぎる想いに、魂が悲鳴を上げる時、引き返せない未来が口を開ける…。待望の『間の楔』番外編。
三千年に一度、長き眠りから人間界に蘇生するという伝説の超神。いまその覚醒のときが迫る。この超神を捜し出すべく、獣人界からやってきた天邪鬼。だが一方、超神の目覚め前に抹殺をたくらむ摩界族も、ひそかにこの人間界に潜入してきていた。私立盟神学園中等部の南雲辰夫は、はたして本当の超神なのか。いま妖気をいっぱいに充満させながら、超神をめぐる巨大なバトルが始まる。不可思議なパワーとエロティシズムが激しく噴出する、スーパーSFホラーの大作エンタテインメント第一巻、ここに完成。
悲劇の小国アルバニアの青年作家はなにを見たか。パステルナークのノーベル賞受賞をめぐってクレムリンの神々がまきおこすイデオロギーの嵐。民族の桎梏に破れさる恋。スラブ神話や民間伝承をモチーフに描く自伝的小説。