1997年6月発売
エルダーは仲間とともに次の戦地へと向かう途中、大陸全土にその名を馳せる天才軍師ミュンヒ・ラウダーと出会った。しかし、傭兵の集団にすぎないエルダーたちに、彼女はなぜ加わろうとするのか?その目的はいったい何か。
大学生活はあんなに楽しかったのに、まさか、二十歳の私が、化石みたいな病気にかかるなんて…。どこか歪んだ老人ばかりの病棟で、毎日薬漬けの生活が始まる。病院は異常な出来事の連続で、ゲンナリしてしまうけど、私の性欲はいまにも炸裂しそう。不倫相手の小田島を思うと、子宮が疼いてしまう。いますぐにでもきて欲しい…。結核体験をユーモアでくるんだパンクラスな自伝的長編。
デューク病院に、奇妙な患者が続々と運びこまれる。彼らは不眠不休で食事も摂らず、コンピュータにかじりついていた。発作、餓死、殺人。事態は深刻をきわめ、病院では原因の究明に追われる。そしてこの“コンピュータ中毒症候群”に冒された者の大多数が、あるソフトウェアを使用していたことが判明する…。デジタル社会の悪夢を描き、新たな地平を拓くサイバー・ホラー巨編。
インターネットを通じて猛威をふるいつづける恐怖のソフト“ペナルティメート”。死者は増加の一途をたどり、銀行預金は他人に引き出され、情報操作による謀略が頻発する。着実に壊滅へと向かう世界を救えるのは、このソフトの開発者エンゲルスしかいなかった。果たしてその方法とは何か…?いよいよ、人類の存亡を賭けた最後の死闘が、コンピュータのモニター上で展開される。
死刑囚ジョン・コーフィは、少女殺しの犯人ではないかもしれない。それにコーフィには奇跡を起こす不思議な力があるードラクロアの鼠を生き返らせたのを目撃していた同僚の看守たちは、ポールの説明を信じた。そして脳腫瘍で死に瀕している刑務所長の妻を、コーフィに治療させるという計画を実行に移した。だが、その癒しの手が効力を表わした夜が、悪夢の始まりだったのだ…。
2013年、イギリスでは犯罪者候補リストによる凶悪犯罪防止システム、ロンブローゾ・プログラムが導入されていた。が、極秘のはずの被登録者が何者かに次々と殺害される。しかも、彼らはいずれも後頭部をガス消音銃で撃たれていたー。フェミニストの女性警部ジェイクと多重殺人犯「ウィトゲンシュタイン」がくりひろげる殺人=哲学探究。著者渾身の超弩級サイコ・サスペンス。
野獣のような鋭い感覚を持つ戦闘力抜群の男、元英情報部のはみ出し工作員ハイド。彼はかつて命を救ってくれたデリー機関員キャスが、インド政府に拘束されたことを知る。選挙運動中の現首相を巡る、麻薬疑惑の証拠を握ったらしい。欧米寄りの現政権に不利なこの醜聞を、英政府は嫌い、キャスは見殺しにされそうだ。ハイドは肉体と精神を極限まで酷使し、たった一人の闘いに挑む。
今から20年前、学生運動の最中。21才の若さで命を失いかけたトキオは、美貌の悪魔、マキと契約を交わし、死後の魂とひきかえに「不老」と「望みの人生」を手に入れる。子供の頃から夢だったマジシャンに生まれ変わって、マキと共に甘美な「酒と薔薇」の日々を過ごすトキオ。だが、永遠の生活にも飽きたトキオは、マキとの恋愛ゲームをたくらむ。ゲームのつもりが、いつしか本気になってきた自分に気づいたトキオは…。小説イマージュクラブに連載された秋月こおの話題新シリーズ、早くも単行本化。
佐世保発の寝台特急「さくら」に美しい女がたった一人で乗車してきた。そして走行中に忽然と姿を消した。八柏侑子-消えた女の偽名こそ、その後の惨劇のカギだったのだ。後に起きた同じ「さくら」車内での毒殺事件の容疑者の女も侑子と同じく消えた。無頼探偵・鏑木一行の執念の捜査は、真相に近づけるか。
高校教師、矢沢はクラス委員の田村麻美を犯し、従順なメス奴隷におとしめることに成功した。麻美は復讐のため学内有数の美少女、佐伯由美子の誘拐を矢沢に持ちかける。そして夏休みがはじまり、ふたりは由美子を監禁しSM調教を開始する。暴行と凌辱の嵐の中、苦痛から快楽へと目覚めていく由美子。やがて、消えた由美子を追って親友平井美恵子が捜索をはじめるが…。「妖獣戦記」の広崎悠意がはなつ禁断のSMゲーム「虜」の小説化。
アメリカは反攻の第一歩として、海軍が飛行場を建設中のガダルカナル島に上陸を開始する。これを知った伊○潜は、ただちに敵の補給路を絶つ作戦に出た。しかしニミッツは、伊○潜の刺客として、掃討部隊を送り込んできた。そして連合艦隊も、全力を挙げてガダルカナル奪回に意欲を燃やす。南海の小島を巡って、両軍相乱れての激戦が始まった。煙たなびく鉄底海峡に、男たちの熱い戦いが繰り広げられる。最後に勝利を掴むのは一体どちらか。
ホストクラブでナンバー・ワンを目指す兄、ひたすらビル登りをする弟。そして、かつては美人に違いなかった太った女の物語(オハナシ)-。新鋭にして奇才-新井千裕のつむぐ不可思議な小説世界。「水の女」に出会ってから、「軌跡の人」はすこし自由になったのかもしれない。
秦の始皇帝の父、ともいわれる呂不韋。一商人から宰相にまでのぼりつめた波瀾の生涯。雲がかかる深山、霧にしずんだ幽谷をぬけて、茫漠たる未来へと歩をすすめる少年呂不韋。
大物政治家の裏の顔に迫る反骨の事件記者。アンソニー賞ノミネートの注目の新人デビュー作。ボストンの市議会議員スチュアートが何者かの凶弾に倒れた。ホームレス救済事業への多大な貢献によって、市民の尊敬を一身に集めていた人物をいったい誰が?解決への糸口がつかめぬなか、『ボストン・ポスト』の事件記者フランク・クローニンは、議員が“聖人”の仮面の下で、数々の不正に手を染めていた事実を知る。政界や上層部からの圧力にも屈せず、クローニンは真実の報道に異常なまでの執念をみせるが…。やがて事件はさまざまな関係者の思惑をはらみながら衝撃の結末へ。
妻に逃げられ一人息子は非行に、警官あがりの中年弁護士マックは560万ドルの金と共に行方をくらました変りものの僚友バートの捜索を命じられる。自分を敵と狙う警官時代の元相棒ピッグアイの執拗な妨害をかわし、弁護士らしからぬ手口でバートの家に侵入し、冷蔵庫を開けたマックをにらみ返したのは、脚を曲げた死人だった。
さまざまな思惑が蠢く巨大弁護士事務所のなかで、どうやら自分だけが知らないことがあるートゥロー得意の物語展開はいよいよ冴えわたる。行方不明の同僚を探すさえない中年弁護士マックの前に予想もつかなかった意外な事実が次々に展開される。そしてついにすべてのパイを握ったマックに、壮大な人生の決断が待っていた。