1998年発売
山奥から東京のお坊ちゃま校に転入した17歳の稲葉白兎は自分のコンプレックスを刺激する無礼なクラスメート水城静に遭遇。美貌で長身の静は出席日数が足りずに一年留年している歌舞伎役者。欠席した静の家へプリントを届けに通ううちに、ハクトは彼に惹かれていく。第一印象は最悪だったはずなのに-。数多くの女性と浮き名を流す静の手管にハクトは次第に酔わされ、とうとう彼の部屋で愛を誓い、肉体を与えてしまった。お互いなくしては、きっと生きられない。しかし彼らの恋には障害が…。四谷シモーヌと高群保が織り成すキュートでノーブルなラブ・ストーリー。激Hな20ページのおまけ小説付き。
料理をつくらない、しかし料理の真髄を知悉している料理人ー村上龍。ニューヨーク・パリ・ウィーン・リオ・ローマそして東京etc.を舞台に、男たちとは人生の懊悩を語りあい、女たちとは悦楽を分かちあうそのテーブルにこそふさわしい32の掌編小説をお届けしましょう。
生き残る王子はたった一人。流血が王位継承の伝統であったムガル帝国に東インド会社を尖兵としたイギリスの魔手が迫る。アヘン戦争、明治維新へと続く歴史の前哨戦として、三百年を越えるムガル王朝滅亡のひき金をひいたのは誰か。インドは「我が青春の一部」と語る著者が熱き思いをこめて描く長編歴史小説。
この時代地上最大の都である唐、長安。ここに平康坊と呼ばれ、皇城太廟署の角に接したところに巨大な遊廓があり、一般には北里とよばれた。酒の相手をする胡姫の数は多かったが、妓女は少ない。胡蘭はその妓女で、俊敏で白皙緑眼の絶世の美女、西域の歌舞奏曲を乞われて玄宗宮廷で教示した。気ままな妓女くらしが、性に合ってるのか相変わらず北里にあった。性の絢爛と退廃の腐臭が漂う伝奇巨篇書下し。
「カフカ伝説」といったものがある。世の名声を願わず、常に謙虚で、死が近づいたとき友人に作品一切の焼却を依頼したカフカー。だが、くわしく生涯をみていくと、べつの肖像が浮かんでくる。一見、謙虚な人物とつかずはなれず、いずれ自分の時代がくると、固く心に期していたもの書きであって、いわば野心家カフカである。
室町幕府第五代将軍足利義量の時代に幕府首脳部の一員として重きをなした一色満範が没すると、一色家は二つに分れた。丹後を領する喜多一色家を嗣いだ一色信康の死については多くの異説が伝わっている。信康は、同じ日、永享九年五月十四日に、別々の場所で殺されたというのだ。
東京、北海道、沖縄…各地で起こる奇怪な連続殺人。血を抜き取られた死体は、バラバラにされ、あるいは皮をむかれていた!そして、少女たちの間でひそかに流行する「ゾディアック・カード」とは?世紀末の都会の闇に、「魔物」がひそむ-。
「こいつは俺のものだ!」-祖国の滅亡と共に、「海賊王国」の王子、アリの奴隷となってしまった元王子・ルビーローズ。奴隷の証として耳を噛み切られ、水牢に閉じ込められても自らの矜持を崩さないルビーローズに、アリは…。
初恋未満の高校生・苑井が一目惚れしたのは美術部の橋月。彼の声に、指にときめく苑井だが、橋月は、挑発してはひらひらと身をかわしていく。苑井の親友・宗梁やその徒姉妹・裕美とともに過ごす、彼らの夏休みの行方は…。
時は慶長年間。飛騨高山城主の嫡男・金森宗和は、京に出て茶人となった。その茶会に訪れる曰くつきの茶人、牢人、幻術師、そしてあやかしの者ども。はかない露の如く美しい茶道具の数々が、血なまぐさい戦場の物語を運んでくる…。謎に包まれた茶人の武将金森宗和を、大坂夏の陣へ向かう合戦絵巻の中に描き込んだ極上の時代小説。
誘い込み、搾り取り、骨抜きにして、するりと姿を晦ます女。次なるターゲットを求め、闇の中で眼を光らせている女。ノルマをこなしながら美しく着飾って巷を浮遊する女。でもあなたは、決して幸せではないはず。もしかすると、本当はもう骸となって、男たちに甘い幻を見せているのかも…。現代という名のベールの下に隠れ棲む恐怖を描く、心理サスペンスの傑作!第二回新潮ミステリー倶楽部賞受賞。
家を作ってんだ、男は言った。「連れてってやるよ」-ふとした気まぐれで無口な中年男の車に乗り込んだ「私」が、あてどないドライブの果てにたどり着いた場所は…?「今」の空気を映して話題のロード・ノベル「草の巣」と「夜かかる虹」の二篇を収録。
世紀末日本文芸の堕天使が恥と挫折まみれのダメ人生を笑いのめす最高小説集!金がなく職もなく潤いすらない無為の日々。そんな私に人生の茶柱は立つのか?!その過激な堕落の美学で絶賛を浴びた「夫婦茶碗」、金とドラッグと女に翻弄される元パンクロッカーのワイルド・ライフを描いた「人間の屑」。ポストバブル世代の福音書。