1999年発売
大人になるにつれ、時間はだんだん早くなる。物事は思った以上に早いスピードで流され、手のうちからこぼれおちていく。そんな時、大切な何かをひとつずつ失ってはいないだろうか?例えばそれは恋、信頼、友情だったり…。そうして残されるのは自分だけ。喪失を越え、人はたったひとりの本当の自分に出会う。希代のストーリーテラーが贈るかなしくも、いとおしい自分探しの物語。
アフリカの小国にボランティアとして派遣された産婦人科医・間野祥一は、現地の悠久たる時の流れと不可思議な部族風習の中で次第に自分を見失っていく。やがて帰国した間野の身辺で次々と起こる奇怪な出来事-。これは現実か、それとも妄想なのか?世界で爆発的に流行するインターネットゲーム「ゴスペル」がパンドラの箱を開け、巨大な脳へと人類を導いていく。著者の新生面を拓く、壮大なラビリンス世界の誕生。
1899年ロシアの名門貴族として生まれ、米国に亡命後『ロリータ』で世界的なセンセーションを巻き起こしたナボコフが初めて英語で書いた前衛的小説。早世した小説家で腹違いの兄セバスチャンの伝記を書くために、文学的探偵よろしく生前の兄を知る人々を尋ね歩くうちに、次々と意外な事実が明らかになる。
朝、ゴミ出しに行った純輝はアパート前のゴミ集積所で、ゴミ袋に入って頭だけを出している男を発見。「俺を拾え」と命じられた純輝は気圧されて男を部屋に入れてしまい、ゴミ男・格に居着かれてしまう。拾ってくれたご主人さまに尽くすと言う格だが、強引で俺様でいて高校にも純輝の部屋からきちんと通うマイペースな格に純輝は生活をかき乱されてー。
東御曹司学園首座の東大路斎王は、西御曹司学園の生徒会長・西ノ京紫竹に、突然愛の告白をされる。だが、両校は浅からぬ因縁から犬猿の仲、もしもふたりでいるところを誰かに見られたらたいへんなことに…。そんなある日、ふたりの想像を超えた大事件が勃発!京都を舞台に、クラシカルな恋の大ハプニング。
大橋賢三は高校二年生。学校にも家庭にも打ち解けられず、猛烈な自慰行為とマニアックな映画やロックの世界にひたる、さえない毎日を送っている。ある日賢三は、親友のカワボン、タクオ、山之上らと「オレたちは何かができるはずだ」と、周囲のものたちを見返すためにロックバンドの結成を決意するが…。あふれる性欲と、とめどないコンプレックスと、そして純愛のあいだで揺れる“愛と青春の旅立ち”。大槻ケンヂが熱く挑む自伝的大河小説、第一弾。
「右手を見せてくれ」。スーパーで万引犯を捕捉する女性保安士・八木薔子のもとを訪れた刑事が尋ねる。3年前に別れた不倫相手の妻が殺害されたのだ。夫の不貞相手として多額の慰謝料をむしり取られた彼女にかかった殺人容疑。彼女の腕にある傷痕は何を意味するのか!?第42回江戸川乱歩賞受賞の本格長編推理。
時は天正十八年。豊臣秀吉麾下二万余の軍勢に対し、わずか数百人の手勢を率い北条方の小城・忍城を守る美貌の麻也姫。姫を陰に陽に護るのは、忍びの者として天下に鳴る風摩組。中に割って入る戦場荒らしの七人の香具師は、麻也姫の貞操を狙う。香具師vs.風摩忍法、武州の地で機智と詐術を巡す縦横の戦い
時はご維新、所は東京。異国文化の流入に揺れる文明開花のご時世であった。もと岡っ引きの善七は、上司の市中取締組の宮本少警部と殺人事件の捜査にあたるうちに、裏にひそむ陰謀の渦中に…。やがて事態は善七の女房のおせん、息子のステ吉、火消しのかしらのサクジ、謎のアメリカ人たます、黒人の花魁ばるばなどを巻きこんで、思わぬ方向へと展開しはじめるー架空の明治時代を舞台に、軽快な語り口がさえる奇想活劇。
2021年、世界中でなぜか子供が生まれなくなり四半世紀が過ぎた。絶望と無気力が蔓延するなか、イギリスでは国守ザンが絶対権力を握っていた。ザンのいとこで大学教授のセオは、反体制組織の女性と恋に落ち、組織のメンバーからザンの執政の恐ろしい裏側を知らされる。やがて組織がザンに目をつけられ、その女性が助けを求めてきた時、セオは思わぬ逃亡生活の渦中へ…ミステリ界の頂点に立つ著者が新境地を拓いた話題作。
偉大な詩人エミリー・ディキンスンの没後百年シンポジウムは不穏な空気につつまれた。参加者の間でディキンスンの写真の真偽をめぐる激しい対立が起き、式典で大役を務めた学生が失踪したのだ。これらの間には何か関係が?元刑事のホーマー・ケリー教授が調査に乗り出すなか、遂に死者が出た!ちょっぴり辛辣なユーモアに彩られたネロ・ウルフ賞受賞作。
それは確かに手負いの雄鹿のはずだった-。だが、銃声がおさまったあと、野薔薇の茂みの向こうに倒れていたのは、まだ若い女性の死体だった。山中にひとり住み、密猟で生計をたてていたムーンにとっては、逃げ場のない罠にかかったような事態だった。前科があるので、通報すれば刑務所入りはまぬがれない。だが幸いにも、現場は人影のない山奥の石切場、彼女もどうやら家出でもしてきたらしく、この近辺の人間ではない…ムーンは手近の洞窟に死体を隠し、知らぬ顔を押し通すことにした。近くにあった彼女の持ち物のなかには思いもかけぬ大金があったので、これも持ち帰った。こうすれば、事件が表沙汰になることもなく、そのまま忘れさられるはずだった。しかし、彼女の恋人と思われる男が出現し、事態は一変する。あわてて死体を隠した洞窟へと走ったムーンは、そこで愕然とする…。一発の銃弾をきっかけに、徐々に追い詰められてゆく男の、恐怖と焦燥。人跡も稀な山中で展開される、異色サスペンス。