2001年発売
国境てなもんは、地形や民族で決まるもんやない。その時々の喧嘩の強さで、右にも左にもずれるんや。金を持ち逃げした詐欺師を追って、北朝鮮へ飛んだ建設コンサルタント二宮とヤクザ桑原。二人を待ち受けていたのは、未知なる国家の底知れぬ闇-。二回の北朝鮮潜入取材を敢行、中朝国境の現実を描きつくした、渾身の長編ノワール大作。
天才作家が目指した世界とその宿命を描く、渾身の評伝。単なる作家論でもないし、学術書でもない。細部はすべて事実から成り立っているが、大きな仮説を愉しむための文学である。
家族という名のこの連中から、一刻も早く自由になりたい。でも、でも、海はまだ遠い…。一見ごく平凡な、一組の若夫婦。通勤地獄での痴漢行為に日々の喜びを見出す知弘と、ジム通いとテレクラに精を出す美穂。ところが、美穂の昔の男友達の和也が出所したことで、彼らの日々はゆっくりと変質を始める…。戸梶ワールドが炸裂するクライム・ノヴェル。
敬虔なイスラム教徒のアリと、侯爵家の娘でキリスト教徒の美しいニノは、愛し合っていた。しかし、異なる宗教と異なる民族という東西2つの世界に引き裂かれ、越えなければならない深い断絶ゆえに、本書は恋愛小説以上の高貴で美しい物語になった。カスピ海沿岸の古都バクーを舞台に繰り広げられる幸福と絶望、第1次大戦とロシア革命前夜の新興小国の悲劇を描いたこの小説は、1937年にウィーンで刊行されベストセラーになって以来、数奇な運命をたどることになる。そして2000年、2度目の奇跡の復活を遂げた本書は、ニューヨーク・タイムズ紙など多くのメディアから最高級の讃辞で迎えられた。
何事にも積極的に関わらないことをモットーとする奉太郎は、高校入学と同時に、姉の命令で古典部に入部させられる。 さらに、そこで出会った好奇心少女・えるの一言で、彼女の伯父が関わったという三十三年前の事件の真相を推理することになりーー。 米澤穂信、清冽なデビュー作!
ゲームクリエイターのニコラは、恋人イングリッドから突然別れ話を切り出された。一目惚れして以来、彼女とその息子ラウルとは幸せに暮らしてきた。なのに、彼女は別れの理由も言ってくれない。ラウルも生意気になってきて、ニコラが語り聞かせる妖精の話を信じやしない。そんなニコラの唯一の慰めは、毎日スーパーに通うことだ。そこでは、大学進学を夢見てイラクからやって来た若い娘が、レジのアルバイトをしている。彼女は入学許可がおりず落胆していた。はじめは心の内を探り合っていた二人だが、ある日、互いが直面する現実を語り合ったことから、奇跡が起きる…。愛とユーモアのマジシャンが紡ぐ、フランス発ファンタスティックな新しい恋愛小説。
美か?ゲテモノか?妖怪か?幻のお宝を追って、九州の山里から、萩、ヨーロッパへと、三組の男女のさすらい旅…。モノ恋いか、人恋いか、美の蛙と道行きの切なくておかしい初の骨董小説。