2008年発売
キーコーヒー株式会社のWEBサイト「書茶」にて二〇〇七年九月十四日より〇八年十月三十日にわたり公開された作品を、単行本化。
謎の死の直前までつづいた精神分析医との奇妙な関係を克明に描き、モンローの陥った暗い闇をえぐる-フランスでベストセラーとなったアンテラリエ賞受賞のノンフィクション・ノヴェル。
2000年に起こった原子力潜水艦クルスクの事故の乗組員118名は、なぜ見殺しにされたのか?スターリン時代からプーチンの治世へと綿々と続くロシアという暗い闇に翻弄される人々のドラマを描き、不可解な事故の謎をえぐる衝撃のノンフィクション・ノヴェル。
時は明治初年、新しい国のかたちが定まらないころ。四人の若者が、マグマのような熱い情熱と石清水のような清冽な理念を胸に、この国の未来を創ろうともがいていた。わずか数年前、新政府軍と幕府軍に分かれて戦っていた彼らが、なぜアメリカに渡ったのか、なぜ日本で大学を創ろうとしたのか。時代が人を産み、人が新しい国を育てる。本書は壮大なボーイズ・ビー・アンビシャスの物語である。
衆院選に臨む都議、保科優月は秘書の御堂を密かに愛しながらも、旧華族の高貴な美貌を武器に、内閣官房長官、小山内の愛人として屈辱的な日々を過ごしている。一方、御堂はクールに優月の秘書として仕事をこなしながらも、肉親を死に追いやった保科家に…優月に対し、憎悪の念を抱き続けていた。そんな危ういバランスで成り立っていた主従関係は、ある事件がきっかけで崩れていき…。愛憎まみれる下剋上ラヴ。
親友であり恋人でもある巽とともにVIP専門のボディガード派遣会社R.C.S.を取り仕切っている各務。数年前、刑事の父が殉職した。その真相を暴くため、各務は警察を辞めR.C.S.を設立、ある政界黒幕の性奴隷となった。そして、地獄の果てまで付き合ってやる…と一緒に辞表を出し、穢れた各務の身体を仕置きのように禊ぎのように抱いた旧友の巽。そんな復讐劇はついに終局を迎え…。緊迫の歪愛・書き下ろし。
いじめで苦しむ子供が少しでも減りますように、優しさに包まれた世界が広がりますように。小学校を舞台にした2つのいじめを描くオムニバス小説。悲しみをかかえるアユミと鮎菜がそれぞれに見出した道は…。子供だけでなく、学校や教師、現代社会に一石を投じる渾身の一作。
見ず知らずの夜鷹を庇い、朝右衛門は下段に構えた。抜き放った刀身は月光を吸い、刃紋は青々と怪しい陰を映す。世に知られた大業物、千子村正。首斬り役人こと公儀御試御用役、将軍の佩刀を吟味するはずの山田家当主が、徳川に仇なす妖刀を佩びている…。労咳を病み、死界へ片足を入れた朝右衛門を待ち受ける敵は、鬼か蛇か?夜陰に響く山田流居合抜き、裂帛の気合。新次元の時代小説、ここにあり。
薬師の硯杖は、犬以上と自負する鋭い嗅覚を武器に、女たちの人に言えぬ悩みを癒してきた。ある日、性具屋の若い女主人から、店秘伝の媚薬を再現してほしいと依頼され、薬草の知識と鋭敏な嗅覚とを駆使して媚薬を作り上げる。夫との不仲に悩む武家妻、生きるために体を売る女郎、男は煩わしいという少女たち…、何人もの女を媚薬と硯杖の魔羅が極楽浄土へと導いていく。好評時代官能シリーズ第3弾。
箕之助が献残屋「大和屋」を営む芝の近くに新しく寄合茶屋が店開きすることになった。新装開店の挨拶用に扇子などを注文しに大和屋を訪れた若い主人・春治は、役者にしたいような色男で金もあるようだが、応対した箕之助と女房・志江は春治の様子に不審なものを感じる。密かに春治の正体を探る箕之助は彼の過去の許されざる悪行を知り、街道の用心棒・寅治郎とともに成敗する…。書き下ろし好評シリーズ第7弾。
「奥さんから頼まれごとしてますねん。わしと一緒に出かけはりませんか」亡き妻の遺言を携えてやってきたのはワンボックス・カーに乗ったおっちゃんだった-。古美術、骨董、山野草。稀代の数寄者、佛々堂先生が繰り広げる一期一会の「夢まぼろし」の世界。
さて大陸のまんなかに、うす紫の湖があって、そのほとりには一輪、見たことも聞いたこともない花が、恥かしそうに控え目にこっそり咲いておりました。「醜い花」というのがその花に冠せられた名前でしたー。
2014年、中国。新聞社の北京特派員・田波は、重慶の暴動を知り現地に赴く。それは策謀渦巻く中国の深い闇への入り口だったー。北京五輪から6年、役人の腐敗や農村の困窮に対する人民の不満が、やがて大きな奔流となって天安門になだれ込む!綿密な取材に基づいて描かれた、これぞ近未来小説の決定版。
保元・平治の戦いに相次いで勝利をおさめ、平清盛は武士として、栄華の絶頂を極める。しかし高位を独占する平家の横暴ぶりに、不満を募らせる源氏や貴族勢は、打倒平氏の準備を着々と進めていたー鹿谷の謀議発覚後、後白河法皇の裏切りに業を煮やした清盛は、ついに法皇を幽閉し、幼い安徳天皇を連れて福原遷都を強行する。