2017年発売
はちゃめちゃな家族、理不尽な戦争。それでも人生捨てたもんじゃない。映画『アンダーグラウンド』『黒猫・白猫』など、愛と厳しさと生命力に満ちた独特の感性で世界中を巻き込んだクストリッツァ。天才映画監督による、連作短編4作、独立短編2作の魅惑の短編集。
学徒出陣を目前にした文学青年たちを描く自伝的作品。太平洋戦争の最中、昭和18年、九州大学に通う文学青年たちには深い交わりがあった。文学的揺籃期における恩師・伊東静雄(詩人)から受けた薫陶、そして、学生仲間(島尾敏雄がモデルの小高、森道男がモデルの室、林富士馬がモデルの木谷)との交流を描いている。遼史を読み、東洋史の学問にも励むが、それ以上に仲間たちと文学を論じ、酒を酌み交わしながら、それぞれの仄暗い“前途”を案じている。主人公の文学的形成の様を、約1年に渡り、日記スタイルで描いた“第三の新人”の代表的作家・庄野潤三の青春群像作。
アマゾンの密林で、世界的な大富豪が人間狩りに興じる。おのれの道楽で、残虐な殺人ゲームをくり返すふたりが企てた新たなプランーそれは、プロ中のプロ同士の殺し合いを愉しむ、というものだった。莫大な予算をかけた“史上最大のショウ”の舞台に、姿を現したゴルゴ13。立ちはだかるのは、ゴルゴも認めた数少ない好敵手・スパルタカス。本物のプロとの壮絶な死闘の末、ゴルゴは、命をもてあそぶ鬼畜たちの追跡を始める。直木賞作家・船戸与一が、作家デビュー前に脚本を手がけた「ゴルゴ13」作品から選り抜きの三話を自ら小説化。熱い血が滾る読み切り第二弾。
時は幕末、陸奥国八戸藩と南部藩に挟まれた小さな国・外館藩西根通大平村。大平村には、六十歳になると村での役割を全て解かれ、御山参りをする習わしがあった。それは食い扶持を減らすための姥捨ての旅とも囁かれていた…。そんな大平村は、どんな厳しい飢饉の年も、きちんと年貢米を納めている。代官所は、そこに目を付け、食い扶持を減らすだけでなく、もしや「隠田」を開墾しているのではないかと疑い始める。隠田を持つことは死罪にあたる。真実を悟られまいとする農民と、それを暴こうとする代官の知恵比べが始まる。痛快!幕末老人エンターテインメント。
六十歳になった太平村の人々は姥捨山の奥に老人達の桃源郷でんでら国を作っていた。大平村の真実を暴こうとする代官たちが、その存在に気づき始める。でんでら国に迫り来る代官たちを、あの手この手で翻弄し、行く手を阻む老人たち。老人たちは、でんでら国を守り通せるのか。それとも代官に知られてしまうのか…。老人たちと武士たちの手に汗握る攻防戦が始まる。農民たちの、知恵と経験と勇気が、あっと驚く結末をもたらす。現代の高齢化社会の問題を解くヒントがたくさんつまった物語。
ときは高度経済成長期の真っ只中。長崎で“天才”と期待されたヴァイオリン少年・雅志は、大志を抱き、中学進学を機に単身上京。貧乏に耐えながら、ひたすら稽古に励んでいた。しかし、音楽系の高校受験に失敗したことで、目標に疑問を持ち、悪友たちと過ごす時間が増えていく。『お前を信頼しています』。そんな母の手紙に胸を痛めながら…。切なく哀しいけど、可笑しく、そして絶対に諦めない青春物語。
目標に疑問を持ちつつ高校に進学した雅志は、家計のことも案じ、とうとう父にこう切り出す。「ヴァイオリン、やめてもいいかな?」。夢を見失った青年は、気まぐれにアルバイトを始めるが、大切なヴァイオリンを質入れするほど生活は困窮。病気も患い、思い悩んだ末、逃げるように故郷へと帰った雅志。そこで彼を待ち受けていたのは…。
初恋の人に告白して撃沈してから、小沢くん、山田先輩、あきらくん、滝沢先輩、永谷くん…せとかは、失恋街道を驀進中。ところが十七歳のせとかに突然モテ期が到来!美丘千秋、芹川高嶺に告白されリア充経験ができる!と思っていたのに、なぜかうまくいかなくて。なんと、お兄・はるかが、私の恋路を邪魔していたのだ!いくらお兄でも許せない。と思っていたら、そこには衝撃の事実があった…。累計180万部突破のコミックス「兄に愛されすぎて困ってます」が映画化。映画の胸キュンシーンをたっぷりつめたノベライズ。せとかに彼氏はできるのか?驚きの結末!
砂漠の夜の闇を駆ける一組の男女。サム・ドライデンは軍隊時代の旧友クレアから呼びだされ、事情も判らぬままに四人の少女を救出した。その後、クレアは黒い奇妙な箱を彼に見せ、そこから流れるニュースを聞かせて言った。「このマシーンは十時間二十四分後に放送されるラジオの電波を拾うのよ」。サムが助けた少女たちは、本来は焼死しているはずだったのだ。そしてFBIが二人の足取りを追うなか、謎の組織もまた彼らに迫っていた…。数時間先の未来を知る者たちの息詰まる攻防、下りオンリーのジェットコースター・スリラー!
短篇と短篇が出会うことでそこに光が瞬き、どこからともなく思いがけない世界が浮かび上がって見えてくるー川上弘美「河童玉」、泉鏡花「外科室」など魅惑の短篇十六篇と小川洋子の解説エッセイが奏でる極上のアンソロジー。
死顔にはその仏の一生の歴史がかたまってるわけやなー死者の顔が持つ威厳と迫力に魅力され、葬儀博の実現に懸ける男・ガンめん。マスコミを巻き込み葬儀のレジャー産業化に狂奔する男・ジャッカン。戦後の大阪を舞台に、とむらい師たちの愚行と奮闘、笑いと悲しみを通じて「生」の根源を描く表題作のほか、初期野坂昭如を代表する短篇を収録。
60年安保闘争下の京都ー刑事・落合は強盗容疑者・村瀬を単独で調べ始める。特攻隊員として国家のために死を決意しながら生き残った刑事と、八年前の戦後激動期に革命の尖兵として火炎瓶闘争から殺人にもかかわった容疑者。執拗に容疑者の過去を探る刑事の胸に、いつしか奇妙な共感が…ミステリアスな展開のなかに、民衆・個人と権力、“罪と罰”の根源を問う著者の代表的大作。
リストラ直前の中年男、駆け出しのシナリオライター、離婚目前のキャリアウーマン、本命になれない30歳のOL-。一生懸命生きているけど、ちょっと不器用な人たちに起こる、小さな奇跡が連鎖して…感動の連作小説。
悲劇的な親子の再会を通して時代に翻弄される人間の苦しみを描いた『ハイファに戻って』、密入国を試みる男たちの凄惨な末路を描く『太陽の男たち』ほか、世界文学史上に不滅の光を放つ名作7篇を収録。若くして爆殺された伝説の作家による、パレスチナ問題の苛酷な真実に迫る衝撃の作品群。