2019年10月発売
凄惨な轢き逃げ遺体が運ばれ、解剖が始まった。唯一の目撃者は8歳の女の子。警察が目撃証言を取ろうと詰め寄るが、ミチルはその少女をかばって、若い警察官を殴りつける。実はミチルも、かつて友達の轢き逃げ事件の「目撃者」になったことがあった。21年の時を経て、2つの事件の闇が照らし出されていく。
ぼくの故郷の山は、松がねじ曲がり、季節外れの桜が咲き、不思議な音で鳴る。十九年ぶりに山が鳴っていると知り、ぼくは集落に帰ってきた。明日から今までとは全然違う人生が始まるかもしれない、という思いを胸にー。かつてぼくと同級生の少女はこの山で、誰にも説明のつかない奇妙な体験をしたのだ。平家物語で知られる和歌で詠まれていた世界の秘密とは。郷愁ただよう物語。
10年の浪人期間を経て薬科大に入学した数納薫と、12年もの浪人生活をまるで青春を謳歌するかのように過ごした芹澤ノエル。田舎の内科開業医の息子と大病院理事長の孫とではそのライフスタイルや考え方はまるで違っていたが、二人は互いに心許せる関係を築いていた。しかしそんな日々は、ある日突然、終わることに。芹澤が自殺したのだ。芹澤の死が受け入れられない薫は、ある時、彼が残した薬の存在を知った。それは、たった一錠で痛みも苦しみもなく確実に死ぬことができるという薬だった。時を同じくしてSNSでは不可解な死の連鎖の噂が広まり始め…。第6回「暮らしの小説大賞」受賞作。
魔王を討つ勇者の仲間、“栄光の戦士”選抜最終試験。試験会場のダンジョンで目覚めたウィルは、共に試験を受ける4人の最終候補と出会う。5人でいざダンジョン攻略…するはずが、試験を受けるのは4人だけだと判明。疑心暗鬼に陥りながらもダンジョンを進むウィルだが、あっさりと雑魚死。え、これで物語終わり!?と焦るも、最初のセーブポイントに復活する。…これって、ダンジョンをクリアするまで永遠に続くやつでは…。大人気ミステリー、著者が贈る新境地!
7月7日。部活仲間5人のささやかな七夕祭りを、謎の爆発が襲った。その爆発は、部長を激しく吹き飛ばし殺害してしまう。原因は、未来からきた少女2人。彼女らはタイムマシンをハイジャックした挙げ句、爆発させてしまったのだ。部長の理不尽な死をなかったことにすべく、彼らは協力して過去を書き換えようとする。だが、時を繰り返すたび、なぜか犠牲者は増えていってしまいー遡れるのは計7回、無限に思える選択肢。繰り返す青春の1日は、命がけだ。
奉公先を追い出され、日傭取りの仕事で糊口をしのぐ虎太は、看板娘のお悌に惹かれ飯屋「古狸」へ。そこは怪談を聞かせると無代になるという不思議な店。怖い話は苦手なのに、お悌と無代飯に釣られて古狸に入り浸る虎太は、死神が棲むという家に行く羽目に。「不運な男」虎太はそこで何を見た?そして古狸の謎とは?
サラリーマンの夫、大学生の一人息子と暮らしている神崎穂乃果は、両親と妹が切り盛りしている山中の小さな温泉宿が実家だった。ある日、病気で倒れた父がそのまま意識不明の寝たきりとなる。穂乃果は介護を母と妹に任せっきりにするが、自宅に引き取るか施設に入れるよう病院から迫られた妹は、経管栄養を止めて父を餓死させる決断をする。妹の暴挙を止めようとする穂乃果だったが、姉妹の間には過去のある出来事に起因する深い確執があった。一方、穂乃果の義母の自宅がゴミだらけの汚部屋になっていることが分かり、彼女は夫の実家にも一言言わずにはいられない。
寂しい?太陽は、いつもひとりぼっちだ…デビュー作『さよなら、田中さん』の田中花実母娘が帰ってきた!新高校生作家となって初の新作書き下ろし。笑って笑ってホロッと泣ける本格小説・全3編。
新選組副長・土方歳三は箱館で落命したーはずだった。頭部に銃弾を受け記憶を失った土方は“内藤隼人”と名を変え、彼を慕う時枝ゆらとともに米国西部へと渡った。過酷な旅路、先住民との戦闘、そして隼人の命を狙う女ガンファイターと元・新選組隊士。息つく間もなく迫る危機を退け、失った記憶を取り戻せ!
珊瑚海海戦に勝利した日本軍はポート・モレスビーを占領。M0作戦の完遂という真珠湾以来の大戦果を上げた。その喜びも束の間、米機動部隊が日本占領下のツラギを攻撃。さらにガダルカナル島では米軍の飛行場が急ピッチで建設されていた。連合艦隊司令長官・山本五十六はM1作戦の中止を決定、標的をガダルカナル飛行場とソロモン諸島に変更する。だがその最中、米国はモレスビーへの輸送船団を強襲。対する日本軍は「蒼龍」「飛龍」ら機動部隊でケアンズ、タウンズビルの飛行場を攻撃し、米補給線の寸断を狙うのだがー。
コスモクラートの基地に連れていかれたアトランとジェン・サリクは、そこで深淵税関吏と名乗るドルル・ドルレンソトに出会った。ドルレンソトによると、深淵とは異宇宙どうしを隔てるn次元性の境界層のことらしい。そこではコスモクラートの補助種族“時空エンジニア”がトリイクル9の代用品をつくろうとしていたのだが、あるときから連絡がとだえたという。その原因を探るため、ふたりは偵察に向かうことになるが…。
温暖化が進行し環境悪化に苦しむ22世紀の地球。貧しいコンピュータ技術者アイヴァン・プリチャードは、一攫千金を夢見て、小惑星帯へと向かう探鉱船“マッド・アストラ”に乗り組む。だが、探査の末、乗組員全員が大金持ちになれるほどの重金属を豊富に含む小惑星を発見したまさにその時、恐るべき悲劇がプリチャードを襲う…はるかな過去に超文明の尖兵が仕掛けた卑劣な罠に敢然と挑むひとりの男の孤独な戦いを描く!
クレストたちを捜索中のローダンらがヴェガ星系惑星ロフスの転送機を潜り抜けた先は、ある惑星上に浮かぶ宇宙船の中だった。謎の“諜報者”が操る宇宙船から脱出したローダンらは、眼下に大海原が広がっているのを知る。ここはフェロルの植民惑星レヤンであった。惑星環境に適応したレヤンの海の民に救出されたローダンらは、彼らと陸上のフェロン人との確執が、やがて大きな戦争へと発展していくことに気づくが…。
アンドロメダ星雲での救出活動を終えて、恵一がシェイヨルに帰還したころ、シュリシュクでは途上種族に対する評価試験が実施されていた。地球の士官学校生艦隊もその試験に参加しており、ウィリアムひきいる地球軍は、これまでに六回戦い、五勝一敗。その一敗も時間切れによるもので、ほぼ引き分けと評価されていた。恵一は、地球からやってきたリー士官学校長やバーツ総司令官とともに、その最終ステージを観戦するが…。
南米のとある小国。副大統領邸では、日本企業の社長ホソカワの誕生パーティが開かれていた。特別ゲストの世界的オペラ歌手ロクサーヌが歌い終えた瞬間、武装したゲリラがなだれ込んでくる。副大統領邸は反政府組織に占拠されてしまったのだ。膠着状態が続くうち、ゲリラと人質の間には奇妙な絆が生まれ、彼らはその状況に幸せすら感じるようになるが…極限状態で生まれる心の交流を描く傑作。映画化原作。