2019年12月発売
24歳のシングルマザー、ステラは1通の手紙を受け取った。 差出人はギリシア人大富豪のテオ・パンテラス。 生涯ただひとりの恋人にして、ステラの最愛の息子の父親だ。 交際を反対されていた二人は、妊娠を機に駆け落ちを決めたが、 当日、彼はいつまでたっても約束の場所に現れなかった。 おなかの子もろとも私を捨てたくせに、今さら会いたいだなんて。 6年間、たったひとりで息子を産み育ててきたステラは、 千々に乱れる心を抱えたまま、テオに会う。 どんなにつらくても、彼を恨むことはできなかったから……。 そして、あの運命の夜の、恐ろしい秘密を知ったのだった。 感動のラブストーリーで多くのファンを魅了している大スター作家、R・ウインターズの再会ロマンスです。あの夜、テオが現れなかった衝撃の理由とは……? ご期待ください。
天涯孤独のケイトは、裕福な老婦人の話し相手の仕事を得た。 その初日、美しい田園風景が広がる駅に着いた彼女は、 ニコラス・アダムスという男性に、屋敷まで車で送ってもらう。 実は彼こそが老婦人の甥で、ケイトの雇い主だった。 ハンサムで優しく、名家出身者らしい高貴さにケイトは惹かれるが、 屋敷で待っていたのは、老婦人と、ニコラスの婚約者だった。 芽生えた恋心を隠し、ひたむきに仕事に励むケイトに対して、 はじめは優しかったニコラスが、なぜか次第に苛立ちを見せ始める。 そして彼の婚約者は、日に日に意地悪になっていった。 私が何をしたの? 悩むケイトに、ある晩ニコラスはキスをして……。 2000年に惜しまれながら世を去った、偉大なロマンス小説家シャーロット・ラム。初期の作品をお贈りします。愛する人の胸中が見えず、翻弄される無垢な乙女心がたまりません!
子守りのハナは、雇い主のイーサンの妻になった。 前妻を亡くした彼は、幼い子供たちがハナに心を開くのを見て、 我が子のために形だけの結婚を申し込んだのだ。 天涯孤独の身の上で、ひそかにイーサンに恋していたハナは、 傷ついた心をひた隠してその申し出を受け入れた。 ところが、1年たっても彼にとってハナはただの子守りーー 孤独に耐えられなくなってきたとき、事件は起こった。 ハナが夜、自宅に帰る途中、男性に襲われかけたのだ。 ぼろぼろの姿の彼女に、イーサンは初めて目を向けた。
父親が多額の借金を抱えたまま亡くなり、 遺されたクリスティーナは一族の土地を守るため奔走していた。 そんな折、とあるパーティで6年ぶりに元恋人ルイスと再会する。 かつての心優しかった恋人の面影はどこへやら、 今や世界的銀行の頭取となったルイスは、まさに冷淡そのもの。 あの日一方的に別れを告げた彼女を、心底憎んでいるようだ。 ルイスはどこからかクリスティーナの窮状を嗅ぎつけたらしく、 復讐心に燃える目で、資金を提供しようと持ちかけてきたーー ただし、彼の妻となり子供を産むならば、という条件つきで。
子守の求人広告を見て、カリーナはこれに懸けるしかないと思った。3年前に墜落事故で両親を失ったが、金メダルという母の夢を叶えるため、カリーナはフィギュアスケーターとして頑張ってきた。だが足首の骨折で選手生命を絶たれた今、経済的にも困窮していた。広告主は、数々の石油会社を経営する大富豪マイカ・トランス。なんとか面接を通り、住み込みで働き始めたカリーナはいつしか、ボスの威厳あふれる態度の下に隠された優しさを知る。彼のことを考えるたびに感じるこの胸の切なさは、いったい何?ある夜、悪夢から覚めたカリーナが寝間着姿でキッチンに行くと、偶然居合わせたマイカが咎めるような視線を向けてきたかと思いきや、無防備な彼女の唇をいきなり奪って…。信心深い家庭に育ったカリーナは、純潔を重んじるまじめな女性。過去のトラウマから男性が苦手だったが、よりによって、かつてないほど男らしい大富豪に恋をしてしまい…。不動の大スター作家が贈る、真冬の甘いシンデレラ・ストーリー!
映画化決定 この恋に、涙する。 今だけは、君の隣にいさせてーー それが、オックスフォードで出逢った二人の儚い願い。 オックスフォードの大学院で1年間英文学を学ぶことになったエラ。 憧れの街での生活に胸躍らすも、授業初日に現れた講師を見て目を丸くする。 昨日高級車でエラを轢きかけたばかりか口説いてきた、軽薄なあの男だったのだ。 出会いは最悪ながら、ともに文学を愛する二人はいつしか惹かれあい、 エラが帰国するまでの期限付きで交際を始める。 だがエラは知る由もなかったーー彼に残された時間が、あとわずかなことなど。
復讐、開始ーー 4人の男を追いつめるため、私は生きてきた。 ペニー・ジョーダンの衝撃作が復刊! 誰もがうらやむ美貌と才能で成功を収め、若くしてロンドン社交界で名声を博するペパー。 だが彼女は本当の名を隠し、長い年月をかけ4人の男たちへの復讐計画を密かに進めていた。 それは11年前、彼女があるひとりの青年に惹かれたことから始まった。 伯爵家の跡取りで眉目秀麗なその青年が悲劇をもたらすことを知らずに……。 凄惨な過去を乗り越えたペパーの華麗なる報復がいま、始まる。
死者の声が聞こえるーー それが、神が彼に与えた力。 大好評!超弩級ファンタジー第2弾 孤独に生きてきた彼が愛を知る時、一族の運命もまた動きだす。 殺人課へ異動になった女性刑事ホープは、ギデオン・レイントリーの相棒に抜擢された。 ギデオンは異様な検挙率の高さとその独特な捜査方法で知られる男。 高級スーツを着こなす洗練された姿に刑事らしさはなく、 現場で遺体のそばにうずくまってつぶやく様は、まるで死者に語りかけているかのようだ。 いったいなぜ彼はすべての事件を解決できるのかーーそう疑問をぶつけたホープに ギデオンが返したのは、信じがたい言葉で……。
馬車馬や一軒家の盗難、魔女の暗躍、二重人格の娘。複雑に絡む因縁の糸を辿るアプルビイ警部が行き着いた南米の秘密基地では、世界支配の陰謀が着々と、そして確実に進行していた……。 陰謀の島 訳者あとがき 解説 三門優祐
大阪の下町、玉出の銭湯に居候する駆け出しの落語家・甘夏。彼女の師匠はある日、一切の連絡を絶って失踪した。師匠不在の中、一門を守り、師匠を待つことを決めた甘夏と二人の兄弟子。一門のゴシップを楽しむ野次馬、女性落語家への偏見ーー。苦境を打開するため、甘夏は自身が住んでいる銭湯で、深夜に「師匠、死んじゃったかもしれない寄席」を行うことを思いつく。寄席にはそれぞれに事情を抱える人々が集まってきてーー。
父は亡くなる直前、雨降る病院の庭をなぜ靴を脱ぎ歩いたのか?(『はだしの親父』)。自殺志願の少年の命を救った優しいホームレスは殺人者だった!?(『神様の思惑』)。大金が必要となった青年は母を騙して、父の形見である絵画を狙うが(『タトウの伝言』)。リストラ中年と迷い犬の新生活は、奇妙な出来事ばかりの日々で(『我が家の序列』)。25年も男を苦しめた母の一言。しかし記憶を辿るとある違和感が(『言霊の亡霊』)。美しく、泣ける家族ミステリー。
実在の小説家たちを巻き込んだ混沌の結末 前巻で、主人公・前田永造と『別れる理由』の作者が電話で延々と語り合うシーンが描かれたかと思えば、場面は急に作者が出席したパーティ会場に移る。そこには永造のほか、藤枝静男、柄谷行人、大庭みな子といった実在する小説家、評論家たちがおり、愛と性、文学、哲学などについてのとりとめもない会話が展開される。 挙げ句、連載されていた雑誌「群像」の編集長が作者に話を早く進めるよう促すなか、「『月山』の作者」という人物(森敦)が登場し、物語はいよいよクライマックスへーー。 第38回日本芸術院賞、第35回野間文芸賞を受賞した小島信夫“執念の大作”最終刊。
1945年8月、広島と長崎に原爆が投下され、その直後に迎えた敗戦。GHQ占領下の卑屈な統治時代を、市井の人たちがどのように生き抜いたのか、ある海軍中将一家の目線で描く。未亡人となり家財総てを失った中将夫人、米軍人に求婚される長女、原爆被害で恋人と離ればなれになってしまった長男、その長男を想いながらも米兵に身をゆだねてしまう恋人…。戦勝国・アメリカを呪いながら、その助けなしには生きていけない日本人の哀切と、それでも新時代に向けて歩みを始める強さを、心の奥底を揺さぶる独特な筆致で綴った秀作。
愛する長女のために素敵な誕生パーティを開こうと格闘する父親(「センプリカ・ガール日記」)、人間モルモットとして感覚を増幅する薬を投与される若者たち(「スパイダーヘッドからの脱出」)、中世テーマパークで働き、薬の力で思考も語彙も騎士となる男(「わが騎士道、轟沈せり」)、戦地から帰還して暗い暴力の衝動を膨れ上がらせる若き元軍人(「ホーム」)…ダメ人間たちが下降のはてに意外な気高さに輝く、現代アメリカ最重要作家の傑作短篇集。
一九三八年十月ー。外務書記生・棚倉慎はポーランドの日本大使館に着任。ナチス・ドイツが周辺国へ侵攻の姿勢を見せ、緊張が高まる中、慎はかつて日本を経由し祖国へ帰ったポーランド孤児たちが作った極東青年会と協力、戦争回避に向け奔走する。だが、戦争は勃発、幼き日のポーランド人との思い出を胸に抱く慎は、とある決意を固め…。著者渾身の大作、待望の文庫化!
警察官僚入江の娘が誘拐された。鳴海署の佐脇は歴代の部下を呼集し、極秘捜査に当たる。同じ頃、管内で猥褻行為に及んだ男が“上級国民”と判明。署は逮捕せず、男を監視下に置いた。「鳴海署を、ぶっ壊す!」警察の腐敗を弾劾する声が上がり、民衆が鳴海署を取り囲む。そして入江の秘書が不審死を遂げ…。警察庁幹部まで上り詰めた入江と万年巡査長佐脇、因縁の結末は!?
唐木市兵衛に返り討ちにされた刺客の一族が、復讐を誓い市兵衛の身辺探索を始めた。一方、大坂に情が移り江戸への出立を渋る小春を、亡姉の親友お茂が訪ねてきた。幼馴染みが辻斬りに遭い、生死の境をさ迷っているという。犯人捜しを始めた市兵衛だったが、己れの居場所を刺客に突き止められてしまう。良一郎らを先に発たせた市兵衛は、自ら死の罠に飛び込み…。
時は天保。新南町奉行・鳥居耀蔵により閑職に追いやられた元定町廻りの腕利き同心・仙波直次郎は、妻の薬料にも事欠き、日々を無為に過ごしていた。金で人の怨みを晴らすという『闇の殺し人』のひとり、軽業一座出身の小夜に誘われ仲間となった直次郎は、元締め“無用之人”寺門静軒や繩鏃遣いの万蔵らと、江戸に跋扈する腐った悪を、心抜流居合術で一刀両断する。