2019年6月発売
「ひとりで行きなよ」「いやなの、ねぇ条介お願い、ついてきて」 高校生の僕は幼馴染のアンから、恋人と別れるところを見ていてほしいと頼まれる。 バイトを休んで渋々ながら彼女についていった僕が目にしたのはーー。(『ポケット』加藤シゲアキ) 朝起きてぼうっと生きていたらいつの間にか時間が過ぎ去っている。仕事から帰宅すると、毎日違う知らない友達が家にいる。 そんなある日、一人の友達だけが何度も家に来ることに気がついてーー。(『コンピレーション』住野よる) 誰に何を言われようと行きたくない場所もあれば、なんとなく気持ちがのらない朝だってある。 ふとしたきっかけでサボってしまうかもしれないし、人生を変えるような決意で回れ右をすることもあるかもしれない。 ひとはいつでも「行きたくない」気持ちを抱えている。 僕たちのそんな所在なさをそっと掬い上げる、刹那のきらめきを切り取った物語。
度重なる刺客との戦いに疲れ果てた織江。彦馬をあきらめれば、一人で逃げ切れるかもしれないー。思いに揺れる織江にはしかし、新たな刺客が迫っていた。一方、彦馬は松浦静山に諸外国を巡るよう命じられ、長崎へ向かった。そこで彦馬は、一緒に日本を脱出するため織江を待ち続ける。果たして二人に安住の地はあるのか?そして長崎での最終決戦の行方は?著者代表シリーズ完全版、遂に完結!最後の特別新作収録。
インドで両親を亡くし、イギリスに住む親戚に引き取られたメアリ。広い屋敷のなかでひとりぼっちの彼女は、庭を散策するうちに、閉ざされた庭園を見つける。ひょんなことから鍵を手に入れ、世話係のマーサの弟、ディコンと一緒に、その庭の手入れを始めることに。さらに、屋敷内に存在が隠されていたいとこのコリンも加わり、庭の再生に熱中していく。3人が体験した奇跡とはーー。世界中で愛される、児童文学の最高傑作。
「お前たちのためじゃない。俺の仕事のためだ」 「外国人の反乱か。いいな。確かに現状はそういう感じになりつつある」 日本の誇る情報機関(便宜上「イトウ家」と呼ばれる)、そこには使役される猟犬(スパイ)がいる。 「何事もないのが一番いい。そのためならどんなこともする」猟犬たち。 ある者は望んで、ある者は脅され、その身を機関に捧げている。 外国人にもかかわらず、不本意ながら猟犬となった男が休暇を取ったその日、日本のまどろみは崩壊したーー。 関西国際空港に新宿駅、日本の主要都市で起きる爆弾テロに銃撃テロ。“外国人の反乱”に、男が動く。 猟犬は、どの旗に忠誠を誓うのか? 現代日本を舞台とした、スパイ小説の新潮流!! 第一章 発火 第二章 “平和” 第三章 雇用 第四章 外人 第五章 対峙 第六章 日本
〈地獄代行業〉の皓と助手・青児は、不可解な過去の通り魔殺人を調べるため奥飛騨の旅館へ向かう。紅葉燃ゆる山宿で2人を迎えたのは、闇に蠢く蛇と、前夜に急死した女将の亡骸だった。時を経て再び起こった不審な死。〈蛇の祟り〉が仄めかされるが、皓が見抜く本当の罪人と、悲しき動機とは……。そして事件の終わりと共に、皓と青児を引き裂く新たな地獄が幕を開ける!
機関銃の咆哮がダンスフロアを一瞬で血の海に変えた。米国が極秘に開発した新薬、『ナイトメア90』の奪回を企てる工作員による襲撃だった。その薬は、大脳を刺激し人間の戦闘能力を極限まで高めるが、使用した者を人ならざる姿に変えてしまうという。この一部が新種のドラッグとして日本の若者に流れたのだ。フリーランスの軍事顧問・牧原は、秘密裡に事態を収拾するべく当局より依頼を受け、高校に教師として潜入。しかし、「悪夢」はもう始まっていた!
此度の語り手は山陰の小藩の元江戸家老。彼が山番士として送られた寒村で知った恐ろしい秘密とは!? せつなくて怖いお話が満載! おちかが聞き手をつとめる変わり百物語、「三島屋」シリーズ文庫最新刊!
高校2年生になった武井遼介は、Aチーム入りが叶わず、Bチームでもがいていた。インターハイでは、スタンドで応援役にまわるBチーム。遼介の中で、このままでは終われないという気持ちが強くなっていた。
ホームズがSFに? ベイカー街に住む偉大な探偵が遭遇した緑の血が飛び散る殺人事件の顛末を描くヒューゴー賞受賞作「翠色の習作」の他、空前絶後の想像力を駆使した、鬼才ゲイマンの魅力満載の短編集!
「俺が撃つのは、人間だけだ」 彼は、犯罪を「狩る」男。 臨床犯罪学者・火村英生と、相棒のミステリ作家、アリスが、 悪夢のような事件の謎を解き明かす! 人気ホラー小説家・白布施に誘われ、ミステリ作家の有栖川有栖は、 京都・亀岡にある彼の家、「夢守荘」を訪問することに。 そこには、「眠ると必ず悪夢を見る部屋」があるという。 しかしアリスがその部屋に泊まった翌日、 白布施のアシスタントが住んでいた「獏ハウス」と呼ばれる家で、 右手首のない女性の死体が発見されて……。
運命の相手と知り、自分の分身のように感じる相手と結ばれたり、結ばれない運命だったり。悲しい恋やコミカルな恋、ロマンチックな恋など「運命」に翻弄される人間の、さまざまな姿を味わえる。男女がかくも違い、だからひかれあうのだ、ということがよくわかる物語の数々。村上春樹、角田光代、山白朝子、中島京子、池上永一、唯川恵という恋愛小説の名手たちによる傑作短編集。あなたも「運命の赤い糸」が見えていますか?奇跡の出会いは、きっとあるーー。人気作家による最高の恋愛小説アンソロジー
あなたの死後、不要となるデータを削除します。 ーー『dele.LIFE(ディーリー・ドット・ライフ)』 各所から絶賛されたドラマ「dele」の小説版、待望の続編! 故人より託されたデータを極秘に削除する会社『dele.LIFE』。 その所長、坂上圭司が姿を消した。 リサイクルと遺品整理のアルバイトをしていた真柴祐太郎は、圭司の姉・舞からその話を聞き、かつての雇い主を捜し始める。 だが、手がかりと思しきファイルは得体の知れぬ陰謀へと繋がっていきーー(「リターン・ジャーニー」)。 誰からも愛された女子中学生が自殺した。彼女の死と、遺されたデータの謎に迫る「スタンド・アローン」を含む全2篇。 データに込められた秘密や想いが胸を震わす、記憶と記録をめぐるミステリ。 待望の第3弾!
※画像は表紙及び帯等、実際とは異なる場合があります。 プロローグ 第一章 猫になりたい カサゴの味噌汁 第二章 ビーチサンダル アジの水なます 第三章 彼女の毒 サバの炊かず飯 第四章 夜のブランコ チダイの酢〆 第五章 失恋ハイタッチ サワラのマーマレード焼き 第六章 やさしい武器 黒鯛の胡麻だれ茶漬け エピローグ 文庫版あとがき
至上の美を体現する、双子の黄金姫と白銀姫。そのお披露目で起きた殺人事件は、アトラム・ガリアスタの乱入、エルメロイ教室の弟子たちの参戦で混迷を極める。陰謀と闘争が交錯する第二幕の結末を刮目せよ!
「ちーちゃんの行きそうなところ、知らない?」夏休み初日、折木奉太郎にかかってきた〈古典部〉部員・伊原摩耶花からの電話。合唱祭の本番を前に、ソロパートを任されている千反田えるが姿を消したと言う。千反田は今、どんな思いでどこにいるのかーー会場に駆けつけた奉太郎は推理を開始する。千反田の知られざる苦悩が垣間見える表題作ほか、〈古典部〉メンバーの過去と未来が垣間見える、瑞々しくもビターな全6篇。
江戸時代中期、十五万石を超える富裕な石久藩。上士の息子でありながら、鳥羽新吾は藩校から郷校「薫風館」に転学する。母からは強く反対されたが、毎日仲間たちと切磋琢磨しつつ青春を謳歌していた。かつて通った藩校は家格で全ての順列が決まる息苦しい場所だった。ある日、気の強い母を厭い落合町の妾の家に暮らす父が久しぶりに家に戻ってきた。新吾と二人きりになると「薫風館」を探る間者になれと新吾に命じる。「薫風館」の教授陣の中に、藩主の暗殺に関わる陰謀があるという。それは新吾の仲間たちまでも巻き込む嵐の前触れだった! プロローグ 甲子園 一 夏風 二 蒼嵐 三 疾風 四 風巻 五 風雪 風雪(承前) 六 風音 七 凪 八 勝負 九 凱風 十 烈風 十一 風の彼方に 風の彼方に(承前) 十二 風に向かう エピローグ 甲子園
江戸は両国。暮れても提灯の明かりが灯る川沿いの茶屋は、夜も大賑わい。通りの向こうの見世物小屋では、人形遣いの芸人、月草の名が最近売れてきている。 なんでも、木偶の姫様人形、お華を相方に、一人二役の話芸を繰り広げるのだという。それも、話芸が目当てというより、お華に会いに来るお客が多いというのだ。 何故なら。“まことの華姫”は真実を語るーー 姉を殺したのは、実の父かもしれないと疑う、小屋一帯の地回り山越の娘・お夏。 六年前の大火事で幼な子を失い、諦めきれずに子ども捜しを続ける夫婦。 二年前に出奔したまま行方知れずの親友かつ義兄を探しにはるばる西国からやってきた若旦那。 そして明らかになる語り部・月草の意外な過去…… 心のなかに、やむにやまれぬ思いを抱えた人々は、今日も真実を求めてお華の語りに耳を澄ます。 しかし、それは必ずしも耳に心地よいものばかりとは限らなくて…… 快刀乱麻のたくみな謎解きで、江戸市井の人々の喜怒哀楽を描き出す、新たな畠中ワールド! 序 まことの華姫 十人いた 西国からの客 夢買い 昔から来た死 終 解説 末國善己
盲目の祖父の足音と歩数のつぶやきがひとつに溶け合い、音楽のようになって僕の耳に届くー稀代のピアニスト、グレン・グールドにインスパイアされた短篇「測量」。ほか、女優のエリザベス・テイラー、作家のローベルト・ヴァルザー等、世界のどこかで秘かに異彩を放つ人々をモチーフに、その記憶、手触り、痕跡をひとつらなりの物語世界に結晶化。静かな人生に突然訪れる破調の予感をとらえた美しく不穏な10の流星群。
芦屋の定食屋「ばんめし屋」。 節分の恵方巻きを振る舞う店員の海里と店長の夏神のもとを、 作家の淡海が訪れた。 彼は海里が小説のモデルであると発表し、 騒ぎになったことを謝罪。 そして罪滅ぼしのように、 海里にオーディションを提案する。 それは小さな店で行われる、往年の人気女優との朗読舞台。 一方夏神は、昔懐かしい料理を復活させ、 看板メニューにすべく動き始めるが、 厄介な幽霊が現れ……。 心震える青春お料理小説第12弾。
死者が自らの供養のために寺で経をあげる「いつもよくあること」、理不尽な離縁を恨んで死んだ妻の亡霊に恐怖する「女の死体にまたがった男」、散文詩の頂点を示す一幅の絵画のような「蓬莱」、円朝の同題の人情噺としても有名な「牡丹燈籠」、人間が異界の女たちの魔性の美しさに幻惑されていく「泉の乙女」「鳥妻」、死をも超越した人間の信と義を描く「顔真卿の帰還」、深刻な幼年期の恐怖体験を綴るハーン文学の原点ともいえる「私の守護天使」--アメリカから日本時代に至るまで、人間の心や魂、自然との共生をめぐる、ハーン一流の美意識と倫理観に彩られた代表的作品三十七篇を精選。詩情豊かな訳で読む新編第二弾。 第一章 妖怪たちの棲むところ 天狗の話 普賢菩薩の伝説 弁天の感応 鮫人の恩返し 食人鬼 女の死体にまたがった男 いつもよくあること 閻魔大王の法廷にて 第二章 蓬莱幻想 蓬莱 浦島伝説 倩女の話 天の川叙情 伊藤則資の話 牡丹燈籠 第三章 愛の伝説──アメリカ時代の「怪談」より 泉の乙女 鳥妻 最初の音楽家 愛の伝説 天女バカワリ 大鐘の霊 孟沂の話 織女の伝説 顔真卿の帰還 第四章 さまよえる魂のうた──自伝的作品より 夢魔の感触 私の守護天使 偶像崇拝 ゴシックの恐怖 星たち 幽霊 永遠の憑きもの 露のひとしずく 草雲雀 夢を喰うもの 玉の物語 餓鬼 夜光るもの ひまわり──ロバートの思い出に 解説──「怪談」からたどるハーンの人生と文学