2019年発売
この子は誰にも渡さない。 たとえ相手が絶大な力を持つ王でも。 サルデーニャ島のホテルで働くハンナは、その誠実さを買われ、 ザフリスタン国王クラルの専属客室係を任された。 尊大で気難しい王の世話は気苦労が絶えなかったが、 ある日彼に命じられて着飾り、パーティへ連れだされて驚く。 なぜ今日は優しいの? 月光の下のダンスは熱を帯び、 誘惑されるまま、ハンナはクラルに純潔を捧げていた。 やがて妊娠に気づいた彼女はザフリスタンへ向かうが、 待っていたのはあまりにも残酷なクラルの言葉だった。 「君に一生使いきれない金を渡そう。その子と引き替えに」 人気作家シャロン・ケンドリックの筆が冴える、予期せぬ妊娠から始まるドラマティックなロマンスをお楽しみください。思いがけず国王の後継ぎを身ごもったヒロインに次々と試練が降りかかり……。
愛を知らずに婚約した日、 私は婚約者の仇敵に恋をした。 フレイアは極貧の中、両親に応援されてバレリーナになった。 でも今、不治の難病に苦しむ母の命は風前のともしびだ。 彼女がバレエ団を所有する大富豪との結婚を受け入れたのは、 高額な治療費を払ってもらう条件と引き換えだった。 ところが、婚約者と敵対する大富豪バンジャマンによって、 フレイアはさらわれ、大金を取り返すための人質にされてしまう。 案の定、フレイアを愛していない婚約者はお金を払わなかった。 すると、バンジャマンは婚約者と同じ契約結婚を彼女に申し出た。 また私はお金で買われるの? 初めて心を奪われた男性に? つねに挑戦を忘れず、意欲的に作品を発表しているミシェル・スマート。ヒロインは大富豪たちの争いに巻きこまれ、契約結婚から別の契約結婚へ追いやられるはめになります。ヒーローはヒロインを強欲な女と考えていますが、バージンと知ると態度を変えて……。
私は彼の、ただの秘書。 同じベッドで眠るとしても。 プレイボーイ富豪ガブリエルの秘書を務めるアビーは、 スペイン出張の際に立ち寄った彼の祖母宅で立ち尽くしていた。 ガブリエルの婚約者だと誤解され、同じ寝室に通されたのだ。 天蓋付きの巨大なベッド、その上に置かれたふたりの荷物……。 恋の炎に焼かれて破滅していった前任の秘書たちの運命を教訓に、 アビーはこの2年、彼の魅力を必死に無視しつづけてきた。 しかし今、冷静な秘書の仮面がはがれ落ちるのを感じながら、 彼女はガブリエルの衝撃的な言葉を耳にした。 「僕の婚約者を演じてくれたら、君が望むだけの報酬を払おう」 喜ぶ祖母の病状を気遣うガブリエルに頼み込まれ、うろたえながらも承諾したアビー。しかし、あまりにも親密な彼のしぐさに無垢な心はたやすく奪われ、罪深い喜びに身をやつして……。生真面目な田舎娘を突如襲った、激しくも切ない愛のゆくえをお見逃しなく。
再会したのは、かつての継兄。 私の初恋を傷だらけにした男性。 母の恋人に関係を迫られ、ローレルは高級ホテル内を走って逃げていた。 間一髪駆けこんだペントハウスにいたのは……クリスティアーノ! ヨーロッパ各地にホテルを持つ億万長者の彼は、 10年前までローレルの継兄で、彼女の淡い初恋の相手でもあった。 クリスティアーノはローレルの破れた派手なドレスを無遠慮に見ている。 そしてすがるような目をしたローレルに、冷酷にもこう言い放った。 「ここにいさせてやる代わりに、君にはその体を差し出してもらう」 彼は私の格好を見て、お金のためならなんでもする女と決めつけている。 母に勧められた服を着て、恋人だという男性の部屋に行っただけで、 本当の私はクリスティアーノを忘れられず、一度も男性経験がないのに。 愛する男性に金目当てと侮辱され、看護師のヒロインはバージンだと言い出せないまま、彼とベッドをともにします。そして待っていたのは、妊娠がわかるまでの2週間限定の恋人という役割でした。惹かれ合えば惹かれ合うほど、短い関係の終わりは近づき……。
ローザは4カ月前、愛する夫アーロンに黙って家を出た。亡き母から受け継いだ病のせいで、彼に迷惑をかけたくなかったから。そんなことは彼に言えるはずもなく悶々としていたある日、義母からパーティに招かれ、ためらいつつ指定された別荘に向かった。だがそこには、アーロンただ一人が待っていた。二人の復縁を願う義母の計らいだったのだ。気まずいながらも、二人きりの時間はやがて情熱を帯び、ローザは何もかも忘れて彼に身をゆだね、恍惚のうちに眠りにおちた。そのとき彼女の身に新しい命が宿ったとも知らず、翌朝、黙って別荘から立ち去ったのは、アーロンだったー。
長年の密かな片思いが突然、 愛なき結婚へと突き進み……。 父亡きあと住まいを追われ、老婦人の話し相手の職を得たクレアは、 仕事へ向かう途中、地元の名士ロウクリフ侯爵とでくわした。 幼いころから、会うたび彼にからかわれてきたが、 このときは父のことを言われて腹を立て、思わず手を上げてしまった。 すると、騒ぎを聞きつけて集まってきた人々の前で、 侯爵が突然、彼女は婚約者だと宣言したうえ、唇を重ねてきた。 なんて恥知らずなの! こんな横暴は許されないはず。なのに……。 彼の唇の熱さを知り、長年ひた隠しにしてきた感情がかき立てられる。 いったんはその場を収めたロウクリフはしかし、 公衆の面前で侯爵を殴るような女など誰も雇わないと脅し、 さらなる醜聞を避けるには自分と結婚するしかないと言い放った! 絶大なる人気を誇るリージェンシー作家アニー・バロウズの3連作、米読者絶賛の〈神々の悪戯〉シリーズ第2話がHQヒストリカル・スペシャルの200号記念作を飾ります! 続く最終話は、どこか陰のある脇役“アトラス”と壁の花ヒロインが主人公を務めます。
名ばかりの結婚なのに、 初夜に結ばれて……。 カリブ海の島にあるリゾートホテルで働くブリアンは、 ボスのゲイブから不意にプロポーズされ、思わず息をのんだ。 黒髪と青い目のボスに愛される夢がついにかなうの? だが詳しい話を聞いて、ブリアンはひどく動揺した。 ニューヨークの富豪一族の一員であると判明したゲイブは、 祖父から遺産相続の条件として結婚を言い渡されたという。 さらに彼は別れた妻が残した赤ん坊の母親を必要としていたので、 信頼できるブリアンが選ばれたというわけなのだ。 人知れず失望した彼女に、ゲイブは冷徹に言い放った! 「この結婚は契約に基づいたビジネスだから体の関係は含まれない」 J・ロックは『消えた花嫁と忘れじの愛』で記憶喪失に陥った悲運のヒロインをドラマティックに描きました。この作品では、彼女の夫の弟として顔を見せていたゲイブがヒーローをつとめます。名門マクニール一族の男性と契約結婚したブリアンの運命は……?
孤独を癒したかった夜ーー 夢の一夜か、悪夢の一夜か。 別れた元恋人の華やかな結婚披露パーティに出席中、 孤独が身に染みたキャリーは、闇に沈むバルコニーへ出た。 するとそこには、先客がいた。謎めいた緑の瞳の美男。名はニック。 寂しさを埋めるように、キャリーはニックに誘われるまま踊り、 生まれて初めて理性を忘れて、彼と熱い一夜をともにした。 しかし翌朝、ニックの名刺を見てフルネームを知り、驚愕する。 私から恋人を奪った花嫁の兄……しかも名だたる大富豪だったなんて! キャリーは何も告げず、眠る彼を残して逃げるように立ち去った。 ところが後日、ニックと仕事上で再会してしまったうえに、 彼に妊娠検査を迫られた結果、子供を身ごもっているとわかり……。 “ハーレクイン・ディザイア傑作選”からお届けする、早世の名作家サンドラ・ハイアットの渾身作です。心寂しさに負けそうになった夜、拠り所を必要としたキャリー。でも恋の相手の正体は、誰より不都合な人物でした。愛なき結婚という現実が目の前に迫り……。
キャッスルマン夫妻は、傍目には皆が羨む理想の夫婦。夫ジョゼフは世界に名を馳せる作家で、妻のジョーンはそんな彼を長年献身的に支えてきた。そしてこのたびジョゼフが念願の文学賞を手にし、二人は栄光の絶頂を迎えるー。だが誰も気づいていなかった。二人が人には言えない秘密をひた隠していること。その秘密が夫婦を崩壊へと向かわせていたことに。
さる公国の大公に給仕することになったウエイトレスのホリー。でも、彼女はうわの空だった。結婚まではと貞操を守ってきたのに、それが原因で婚約者から別れを告げられ、絶望のどん底にいたのだ。懸命に仕事をこなすものの、思わず涙がこぼれてくる。するとなんと、世界中の女性を魅了するカスペル大公が人払いをし、ホリーを慰めただけでなく、甘い誘惑の言葉をかけてきた。そして夢うつつの中、彼女はあれほど守ってきた純潔を奪われてしまう。ところが、麗しの大公は急に手のひらを返したように冷たい態度をとり、傷ついたホリーは特別室を飛び出したーのちに発覚する妊娠が、非情な大公と彼女を鎖でつなぐことになるとは思いもせず。
領主サー・ロジェに嫁ぐマイナは、運悪く大嵐に見舞われ、やっとのことで許婚の待つ城に到着した。だが、彼女はずぶ濡れだというのに、ロジェは出迎えさえしないという。それどころか、花嫁なぞ不要とばかりに始められた祝宴は既にたけなわ。愕然とするマイナだったが、意を決して大広間に踏み入り、奥の一段高い場所からこちらを見据える端整な顔の許婚を見つけた。そして精いっぱい反抗的な挨拶をして、部屋に引き上げた。するとしばらくして、ロジェがマイナの寝室を訪れ、彼女の先ほどの態度を戒めるため、冷徹に釘を刺した。「わたしの妻となる者に許されるのは、“服従”だけだ」
ジプシーは最初、なにが起こったのかわからなかった。 ウェイトレスとして働くレストランで、突然誰かに腕をつかまれ、 文句を言いかけた彼女は、見覚えのあるグレーの瞳に釘づけになった。 この2年間、夢に現れつづけてきた男性、リコが目の前にいる。 あの夜、二人はお互いしか目に入らないほど惹かれ合い、 すばらしく濃密な時間を過ごした。だが朝がくると彼は姿を消し、 ジプシーはその理由をテレビで知った。 リコの正体は世界的に有名な大物実業家で、亡き父の天敵だった。 今度は私が逃げる番だわ。 あの夜に授かった、娘ローラの存在を隠し通すためにも! 過酷な運命に翻弄されるヒーローとヒロインの激しい愛を描き、一躍ハーレクインのスター作家となった、アビー・グリーン。大御所リン・グレアムと友人同士という彼女のドラマティックな逸作をお贈りします。好評を博した『十八歳の許嫁』の関連作。
17歳で両親をなくしたあと、ルーシーは自活の道を探ろうと 秘書養成所に通い、語学力を磨いて、必死で生きてきた。 しかし従姉の死後に相続した、崩れかけのコテージに居座る老人から コテージの修理を要求され、途方にくれていた。 唯一の財産のフラットを売却する以外、お金は工面できそうもないのだ。 そんなとき、先日パーティで出会った富裕な実業家ナイアルとでくわす。 一目で彼に惹かれた私の心を見透かしたように、横暴にも唇を奪った男。 だが噂でルーシーの窮状を知る彼に、なんとコテージを買い取ると言われた。 しかも食事に誘われるとは……。 いったいなぜ? 彼には一緒に住んでいる美しい恋人がいるというのに。 魅惑の大富豪との初対面で、品定めするように無遠慮な視線を向けられ、身じろぎしたヒロイン。後日、彼と再会しますが……。野性味あふれる情熱的なヒーローとの恋を描く、大スター作家ペニー・ジョーダンの90年代の話題作をお楽しみください。
ある日かかってきた、夫ダニエルの浮気を告げる1本の電話ーその瞬間、レイチェルの世界は粉々に砕け散った。ダニエルは金融界に名を轟かす、敏腕の会社経営者。仕事は常に忙しく、家を空けることも幾晩もある。17歳で彼と結婚し、あまり世間を知らないレイチェルは、疑いもせず、子供の世話をしながら毎日彼の帰りを待っていた。それなのに彼が本当は浮気していたなんて、何かの間違いよ。レイチェルは淡い期待にすがろうとした。だが帰宅したダニエルは、妻の疑いを否定しようともせず、強引に体を奪おうとして…。
結婚式の夜、二十歳の花嫁ルーシーは年上の夫に宣言した。 “結婚しても絶対にベッドは共にしない”と。 愛し合っての結果ではなかった。選択の余地などなかった。 父親の死後、莫大な借金があるとわかり、投資の条件として、 幼なじみの大富豪ジャスティンに結婚を申し込まれたのだ。 それにルーシーは傷ついてもいるのだ。そのむかし、 ジャスティンには、叶わなかった恋人がいたと知った日から。 ほかに好きな人がいるのに、どうして幾度も愛をささやくの? 誰よりも甘やかしてくれるジャスティン。心から慕っていたのに。
兄が拉致されたという知らせを受けたクリスティは、 いま、とある国の権力者との面会にうち震えていた。 シーク・シャリフ・ビン・ユセフ・アル=サエド。 世界を股にかけた実業家として、その名を知られる大富豪だ。 だがクリスティには、彼の取り澄ました美しい仮面の下に、 冷酷非情な顔が潜んでいるように思えてならない。 事実、クリスティの必死の懇願さえ、鼻であしらい、 自分の愛人になるなら考えようと、こともなげに言い放ったのだ。 クリスティの美しい髪や肢体を無遠慮に品定めしながら。
部屋の片隅で、リジーは客たちの陰湿な陰口を聞いていた。 私が恋人を死なせたというでたらめを、彼らは信じているのだ。 そんな彼女を遠くから、熱く見つめるひとりの男性がいる。 男の色香を滲ませる、ギリシアの大物実業家、セバステンだ。 乞われるままにダンスを踊り、唇を甘く貪られると、 孤独に耐えかねていたリジーは、彼の屋敷への誘いを受けた。 しかし翌朝、あまりに無情な事実を知らされて、唇まで青ざめた。 生まれて初めてベッドを共にしたのは、死んだあの人の兄だった。 近づいたのは彼女を身ごもらせて、ぼろ屑のように捨てるためーー
ヴェリティは、新たに転任してきた医師を見てわが目を疑った。 ベネディクト──夢中だった恋人。手酷い裏切りを知るまでは。 ある日、なんの理由もなく彼は忽然と姿をかき消したのだ。 そのあと、妊娠に気づいたヴェリティはたった一人で産み、 心にあいた空洞を埋めるため、娘だけをよすがに生きてきたーー 弄ばれて、捨てられたのに。やりきれない傷が疼くのに。 それでも彼を前にすると、全身のほてりを抑えられない。 しかも、彼が放った言葉の刃が、ヴェリティの胸を裂いた。 「君の名は?」
サラは、生死の境をさまよっていた。数時間前までは雪に覆われた厳寒の道をひた走っていたはずだ。孤高の男性、マッケンジー・ホークに会うために。行方不明になった兄を救えるのは彼しかいないと…。やがてサラは、ぼんやりと意識を取り戻した。瞼を開けると、燃えさかる暖炉の前に逞しい男性の影が見えた。人を拒絶したような寡黙な背中に、思わず胸が締めつけられる。ひどく傷つけられて、何も感じなくなった虚ろな瞳ー彼は振り返るや、とりつく島もなくサラに告げた。帰ってくれと。