2020年10月発売
2021年本屋大賞ノミネート作品 「キノベス!2021」第3位 「ああ、読まなければよかった! これだから本は嫌いなのに!」 書物の蒐集家を曾祖父に持つ高校生の深冬。父は巨大な書庫「御倉館」の管理人を務めるが、深冬は本が好きではない。ある日、御倉館から蔵書が盗まれ、父の代わりに館を訪れていた深冬は残されたメッセージを目にする。 “この本を盗む者は、魔術的現実主義の旗に追われる” 本の呪いが発動し、街は侵食されるように物語の世界に姿を変えていく。泥棒を捕まえない限り世界が元に戻らないと知った深冬は、探偵が銃を手に陰謀に挑む話や、銀色の巨大な獣を巡る話など、様々な本の世界を冒険していく。やがて彼女自身にも変化が訪れてーー。 「呪われて、読む。そして書くーー私たちは!」 森見登美彦氏 推薦! ※電子書籍版には特典として、カバーイラストコンペ応募作品のイラストギャラリーを収録しています。 第一話 魔術的現実主義の旗に追われる 第二話 固ゆで玉子に閉じ込められる 第三話 幻想と蒸気の靄に包まれる 第四話 寂しい街に取り残される 第五話 真実を知る羽目になる
探偵は匿名の依頼を受け、ホームレス青年の調査を開始した。対象は穏やかで理知的。危険のない人物と判断し、嵐の夜、街を彷徨う彼に声をかけた。その生い立ちや暮らしぶりを知るにつれ、何のために彼の調査を続けるのか、探偵は疑問に感じ始める。青年と面識のあった老ホームレスが、路上で倒れ、死亡した。彼は、1年半まえまで大学で教鞭を執っていた元教授で、遺品からは青年の写真が見つかった。それは依頼人から送られたのと同じものだった。
警察学校校長を最後に退官した後、女子大教授となった小早川は未解決事件を取り上げる「継続捜査ゼミ」を主宰する。5人のゼミ生が次のテーマを「冤罪事件」に決めるなか、学園祭でのミスコン反対運動を推進する女子学生・高樹晶と小早川が議論を交わした後、高樹がキャンパスで襲撃された。傷害容疑で任意同行を求められる小早川。疑いが晴れない教授のため、ゼミ生たちが推理と行動を始める!女子大を舞台にした人気シリーズ最高潮!!
女学生のはかない愛を描いた不朽の名作 北国のミッション系女子校で国語教師をしている間崎慎太郎は、聡明な同僚・橋本スミに心を奪われつつも、早熟な女生徒・江波恵子に翻弄されていた。 江波たちの学年が参加する修学旅行の引率を無事終えた間崎だが、学校内で生徒のお金が盗まれる事件が起き、その対処法をめぐってスミと対立してしまう。そして、ほどなく江波が間崎の子を妊娠しているという噂が立ち上り……、 何度も映画化、テレビドラマ化された青春文学の金字塔にして、第1回三田文学賞に輝いた石坂洋次郎の出世作・完結編。
還暦を迎えようとしている画家が、友人の妻や姉、亡くなった妻の親友らと交わる様子を、ときには艶めかしく、ときにはユーモラスに描く。時代を感じさせない流れるような筆致で、“老いらくの性”を当たり前のものとして捉え直した傑作長編小説。
「明日死ねたら楽なのにとずっと夢見ていた。 なのに最期の最期になって、もう少し生きてみてもよかったと思っている」 一ヶ月後、小惑星が地球に衝突する。滅亡を前に荒廃していく世界の中で「人生をうまく生きられなかった」四人が、最期の時までをどう過ごすのかーー。 圧巻のラストに息を呑む。2020年本屋大賞作家が贈る心震わす傑作。
プリンストン大学図書館の厳重な警備を破り、フィッツジェラルドの直筆原稿が強奪された。消えた長編小説5作の保険金総額は2500万ドル。その行方を追う捜査線上に浮かんだブルース・ケーブルはフロリダで独立系書店を営む名物店主。「ベイ・ブックス」を情熱的に切り盛りするこの男には、希覯本収集家というもう一つの顔があった。真相を探るべく送り込まれたのは新進小説家のマーサー・マン。女性作家との“交流”にも積極的なブルースに近づき、秘密の核心に迫ろうとするが…。あのグリシャムの新たな魅力を楽しむ本好きのための快作!全米ベストセラー。
語りえない声、人の生を見つめた九つの短篇集。 ことばでは言えない生のためにーー。 「世の中の出来事は過ぎ去ってしまうと口を閉じる。 過去とは、犯人が現場に自分に有利な証拠だけを残して逃走してしまうのと似ている。」 現代韓国を代表する作家キム・ヨンスが、自らを物語ることばを持てなかった者たちの語りえない声に耳を澄まして書き上げた短篇集。 九本の短篇からなる本作には、王朝末期の朝鮮に赴くアメリカ人、伊藤博文を暗殺した安重根、一九三〇年代の京城(ソウル)、朝鮮戦争に従軍した中国人民志願軍兵士、そして現代のソウルに生きる男女などがモチーフとして登場する。 時代と空間はめまぐるしく変遷するが、作家はあくまで個人の内面に焦点を当て、「幽霊作家(ゴーストライター)」として一人称の語りに徹して物語る。 キム・ヨンスの作品は、歴史に埋もれている人間を描くことで歴史に挑もうとする。つまり、小説によって画一的な〈歴史〉を解体し、〈史実〉を再構築しようとする野心に満ち、歴史書と小説のどちらがより真実に近づけるのかを洞察する壮大な実験の場としてある。 簡単には終わらないであろう、冗談 あれは鳥だったのかな、ネズミ 不能説(ブーヌンシュオ) 偽りの心の歴史 さらにもうひと月、雪山を越えたら 南原古詞に関する三つの物語と、ひとつの注釈 伊藤博文を、撃てない 恋愛であることに気づくなり こうして真昼の中に立っている 解説 ことばでは言えない生のために……金炳翼(キム・ビョンイク) 作家のことば 訳者あとがき
世界一の日本酒をめぐり、渦巻く黒い思惑。 複雑に絡み合う事件の真相とは。 酔(よ)みすぎご注意。 ふくよかに味わい深い、極上のミステリー 『天津風の田に毒をまいた。残りの山田錦が惜しかったら、五百万円用意しろ』 烏丸酒造に届いた一通の脅迫状。 見れば一本百万円を超える純米大吟醸酒の元となる田の一角が枯らされていた。 捜査の過程で浮上する、杜氏の死にまつわる事件の疑惑。 そして、脅迫犯が突きつける、前代未聞の要求とはーー。 密室の謎とアリバイ崩しに挑む、菌も大活躍の発酵醸造ミステリー。
「宇宙を変える世紀の発見」をめぐり、数多の「思惑」と「陰謀」が暗躍する。 マックス・プランクの偶然の発見ーー全宇宙の運命を変えるかも知れない発見ーーを説明できるのは、二コラ・テスラだけだ。 一九一九年にプランクは、テスラと共にこの発見の核心に迫るためにベオグラードにやって来た。 バチカンが送り込んだ暗殺者、強大な力を持つ闇組織、極東から来た極道……といった連中が、プランクをテスラと会う前に暗殺しようと狙っていた。 セルビアの秘密警察の長、アピス大佐はあらゆる手段を講じてプランクの生命を守る。 国家の名誉が、現代科学全体の将来がかかっている。 危険を取り除き、プランク・テスラ会談を断固として実現させることができるのは、美しき女スパイ、アンカ・ツキチだけである。 「ゴラン・スクローボニャ氏は、セルビア文学界においては、押しも押されぬ「大御所」であり、同国内では、村上龍氏の『昭和歌謡大全集』を翻訳し、広く知らしめた。 しかしながら、スクローボニャ氏の最大の武器である、そのずば抜けた筆力と構想力は、残念ながら、日本ではまだ知られていなかった。--今日、本作が出版される以前には」 (訳者・夏井徹明氏)
いつか機会があれば、関係修復したい気持ちが残っている。世界でたった一人、血を分けた兄なのだから。あれから歳月が流れ、兄の言い分を多少なり、理解できるようになった。時間の経過は、人間が冷静に判断するためにも必要だったのかもしれない。他人事ではない。避けて通れる問題でもない。父の死から始まる、衝撃的なノンフィクション小説。
たった1年、愛してくれたら、 愛の火は消えないーー別れたあともずっと。 清掃サービスの仕事をしているレイラは、 幼くして両親を亡くし、スコットランドの城で 家政婦をする大おばに引き取られた。 当主が亡くなり、城で遺品の片づけをしていると、 現れたのは、新しい当主で世界的に有名な富豪ローガン。 遺言で城を相続したものの、3カ月以内に結婚しなければ、 弟に所有権が移ってしまうという。ギャンブル好きで 遊び人の弟では借金返済のため城を売るのは確実ーー だが愛など信じていない彼は結婚する気などさらさらない。 そこでレイラに1年だけ形ばかりの妻になってくれと頼み……。 母の家出、婚約者の死。大切な人を失ったヒーローにとって、誰かを愛するなど不可能なことでした。一方のヒロインも、幼い日に事故で傷を負った脚を見るたび、彼へのひたむきな想いを打ち明ける勇気をくじかれ……。期限つきの妻の純粋な愛の行き着く先は?
スペイン屈指の名門ながら、貧苦にあえぐ一家を救うため、レオノーラは成り上がりの実業家との結婚を決意した。ところが婚約発表の場に一人の妊婦が乱入して、会場は大混乱。呆然とする彼女を救い出したのは、黒い瞳と漆黒の髪を持つ筋骨逞しい美貌の富豪、ガブリエルだった。彼のペントハウスに連れていかれたレオノーラは、ガブリエルに心を奪われ、一夜限りと決めて純潔を捧げる。その2日後、彼にプロポーズされ、レオノーラは動転した。「きみの家を救う代わりに、ぼくの跡継ぎを産んでほしい」
この手で命を奪うはずだった相手に、 身も心も奪われてしまうなんて……。 ステラはホテルの一室で眠る男に、震える手で銃を向けていた。 富豪ダンテ・カルディナリ──兄を死に追いやった男の息子だ。 私には無理よ……。でも、父の命令に背くことは許されない。 ところが目を覚ましたダンテの天性の魅力に篭絡され、 虜となったステラは、あろうことか純潔を差しだしてしまう。 5週間後、スラム街の貧しいアパートメントに身を潜めながら、 ステラは怯えていた。どうしよう、まさか妊娠するなんて。 そこへ突然ダンテが現れると、傲慢にも言い放った。 「きみをここから連れていく。もちろん……おなかの子もだ」 感情を揺さぶる描写を大切にしつつ、印象的な登場人物たちによるテンポのよい会話で読ませると評判のジャッキー・アシェンデン。本作では思いがけない妊娠から始まるロマンスを描きます。
恋人と別れ、傷心旅行でイタリアへ向かったルーシー。運良く格安の料金で豪華なトスカーナの別荘を借りられた。3日後、町の広場でひったくりに遭ったところを、目が眩むほど高貴でセクシーな男性に助けられた。ジュリオ・ファルコーネ伯爵。噂に高い名門貴族だった。ところが、同じ別荘に泊まった旅行客たちのパーティーの最中、誰あろうファルコーネ伯爵が現れ、みなを追い出した。別荘を貸した男は詐欺師で、本当の持ち主は自分だという。彼は、一行が別荘と調度品に与えた多大な損害をつぐなうために、ルーシーに「ここに残るように」と冷ややかに命じた。
彼は伯爵家の跡継ぎ。 私が愛していい人ではない。 フラックストーン伯爵の下で不動産管理の仕事をしているトリは、 伯爵が新たに入手した地所の下見に赴いた。 あろうことか、伯爵の息子であるジャスパーと共に。 5年前、プレイボーイの子爵として名をはせていた彼に誘惑され、 トリはなすすべもなく一夜を共にしてしまった。 そのあとすぐジャスパーはトリを捨ててアメリカに渡ったが、 伯爵家の跡継ぎとなるべく先日イギリスに戻ってきたのだ。 たとえ彼がまた甘い言葉をささやいても、二度と心を動かされないわ! そう決意していたトリだったが、下見の帰り道、激しい雪に襲われ、 やむなく最寄りのホテルに泊まらざるを得なくなり……。 泊まったホテルで用意されたのは一つの古い部屋で、ベッドも一つだけでした。はたしてトリはこの状況を切り抜けられるのでしょうか? イマージュの人気作家ソフィー・ペンブロークがお届けするクリスマスシーズンにぴったりのロマンスをお楽しみください。
「おめでとう、8週目くらいね!」医師の言葉に、クレアは呆然とした。仕事一筋で来たので、子供のことなんて考えてもみなかったのだ。お腹の子の父親である大富豪ラクランだって、きっと同じはず。“ぼくは自立したきみが好きなんだ。だからこそ、ぼくたちは刺激的な関係でいられる”と、彼は言ったのだから。所詮、快楽の相手としか見られていないということ。なかなか妊娠を告げる勇気が出ないクレアを残し、ラクランは3週間の海外出張に出かけてしまった。これまでだって、私はいつも独りで生きてきたようなものだわ…。彼が帰国したとき、クレアは心に決めていたー未婚の母になることを。