2021年9月発売
個性的なお姉さん、増えました。 魔王軍のヒモとしての生活にも慣れ、勇者レインは充実した毎日を過ごしていた。 キャンプやパジャマパーティー、海水浴、エレノアとの2人きりのデート。 人類を守るため、英雄として必死に戦っていた頃では考えられないほどに、穏やかな日常。 しかし、あらたな7人組も加わり、トラブルに次ぐトラブルが発生する。極めつけには、聖剣ミカが美少女の姿に変身してしまい……!? 勇者のことが大好きな魔王軍のお姉さんたちと送る、異世界系ヒモライフ第二弾!
魔王ルシファー降臨。 城塞都市グランデンで巻き起こった大規模な戦闘は、テオドールらの活躍によって収まるかに思えた。 だが、城塞都市の西方付近の上空に生じた次元の裂け目から現れた不気味な化け物たちと巨大な繭がさらなる混乱を生む。 いち早く現場に駆けつけていたクラリス率いる小と、異変を察知して竜王国から侵入してきた竜騎兵たちは化け物たちを相手取って一時的に共闘を果たすが、 突如、空から落下してきて巨大な繭が事態を一変させることになる。 城塞都市での戦闘を終わらせた大英雄デュラス将軍が愛馬とともにクラリスたちのもとへ駆けつけると、目の前には凄惨な光景が広がっていた。 一方、街中での後処理をしていたテオドールもまた次元の裂け目から現れた存在の気配を察し、愕然とする。 それは遥かな昔、自分たちの前から忽然と姿を消したサタンのものだった。 すべてを顧みずかつての盟友のもとへと駆けつけたテオドールは、暴れる盟友を鎮めるため、デュラス将軍の目の前にもかかわらず、ついに真の姿を曝け出すーー。
「わが懐にはいった窮鳥をどうして殺せようか」これまでの劉備の生きかたを観て、-人からうけた恩を返す型の人間ではない。と、洞察した。どれほど曹操が厚くもてなしても、劉備に滲みてゆくものはない。檻にはいった虎に愛情をかけても、檻からでた虎は飼い主をいきなり襲うであろう…。中国歴史小説の第一人者がいざなう「魏」を創った男たちの物語!
ごみの収集運搬業務、トイレの汲み取り業務を請け負う藤倉産業有限会社。皆の嫌がる糞尿回収を押し付けられた健一は、身体障害というハンデがありながらも、持ち前の明るい性格で前向きに働いていくが…。ある日、便槽の中に浮かぶ乳児遺体を見つけてしまいー。汲み取り作業員のスゴさが分かるお仕事小説。
平和な村に突如として現れた怪しい人影。同時に、あるシングルマザーの息子が失踪し村人たちの捜索がはじまるが…。自然豊かな八ヶ岳の村で繰り広げられる心温まる4つの事件を収録。
主人公のヴィは一家の末娘に生まれ、大切にかわいがられて育ってきた。そんな平穏な日々は政況の混乱により奪い去られ、故郷ベトナムからの脱出を余儀なくされてしまう。父を残し、国外へと逃れ、ボートピープルとしてカナダの地に降り立ったヴィを待ち受ける新たな人生の旅路とは…全世界でシリーズ累計70万部以上を売り上げ、29の言語に翻訳され、40の国と地域で愛されるベトナム系カナダ人作家キム・チュイの傑作小説、ついに邦訳刊行!
物語と絵で織りなす、魅惑の異世界へ。注目作家と人気画家が贈る、言葉と絵の玉手箱。美しき魔物たちが誘う二つの絵物語ーー「うらしま」「蓬莱記」を収録。 うらしま 蓬莱記
高校1年の坂平陸は、プールに一緒に落ちたことがきっかけで同級生の水村まなみと体が入れ替わってしまう。いつか元に戻ると信じ、入れ替わったことは二人だけの秘密にすると決めた陸だったが、“坂平陸”としてそつなく生きるまなみとは異なり、うまく“水村まなみ”になりきれず戸惑ううちに時が流れていく。もう元には戻れないのだろうか。男として生きることを諦め、新たな人生を歩み出すべきかーー。迷いを抱えながら、陸は高校卒業と上京、結婚、出産と、水村まなみとして人生の転機を経験していくことになる。
リトラは英雄の魂(エインヘリアル)を導いた経験が無いポンコツすぎる戦乙女(ヴァルキリー)。死にそうな英雄を見ると、つい助けてしまうお人好しで上司の大神オーディン(ツルペタ幼女)からは「不死者を倒すか、スカウトもできないならばオーバーイーツ担当(地上のスイーツグルメをオーディンに届けるパシリ)にするぞ」と言われ、降格させられそうな危機を迎えていた。そんな絶賛ピンチなリトラは、強い魔力を持っていながら何故かスカウトされなかった、殴る治癒術士ネクロと出会う。彼は冥界の女神ヘル(悪いお姉さん)によって「不死者」に転生させられてしまった不幸な英雄。死者を導く神が嫌いなツンデレ暴君のネクロとすったもんだがありまして(省略)、リトラは彼とコンビを組んで、世にはびこる悪の不死者を退治することに……!? ヴァルハラ(ヴァルキリー・ハラスメント)すぎる不死者と、ポンコツすぎる戦乙女(ヴァルキリー)の不死を巡る大冒険が今ここに始まっちゃう……みたいです!
ここは生と死の「狭間の世界」。 あなたと私、二人だけの。 目覚めると、世界に二人きりとなっていたサチとワタル。二人の部屋はいびつにくっつき、誰もいない街は静まり返っていた。 そして不意に現れた管理人を自称する女に、ここは生と死の「狭間の世界」だと告げられる。二人の肉体は、今まさに死を迎えようとしている、とーー。 そのまま「完全なる死」を迎えるはずだった二人だが、奇跡的に現実世界へ戻るチャンスが訪れる。 残酷な選択とともに。 私は、俺は、何のために、誰のために生きるのか。 生きることを真摯に見つめるエモーショナルな長編小説。 【著者プロフィール】 行成薫(ゆきなり・かおる) 1979年生まれ。宮城県仙台市出身。東北学院大学教養学部卒業。2012年「名も無き世界のエンドロール」(「マチルダ」改題)で第25回小説すばる新人賞を受賞。本作は21年に岩田剛典と新田真剣佑の共演で映画化された。同年『本日のメニューは。』で第2回宮崎本大賞を受賞。著書に『僕らだって扉くらい開けられる』『彩無き世界のノスタルジア』『稲荷町グルメロード』『立ち上がれ、何度でも』などがある。
変な予感がするんだ。 扉の向こうで、何か恐ろしいものが、僕を待っている気がしてーー。 目を覚ましたら、なぜか無人の遊園地にいた。園内には僕をいじめた奴の死体が転がっている。ここは死後の世界なのだろうか? そこへナイフを持ったピエロが現れ……(「潮風吹いて、ゴンドラ揺れる」)。 僕らはこの見張り塔から敵を撃つ。戦争が終わるまで。しかし、人員は減らされ、任務は過酷なものになっていく。そしてある日、味方の民間人への狙撃命令が下され……(「見張り塔」) など全7編を収録。 現代日本、近未来、異世界ーー様々な舞台で描かれる圧倒的絶望。 この物語に、救いの「カミサマ」はいるのか。 見たくない、しかし目をそらせない、人間の本性をあぶり出すダークな短編集。 【プロフィール】 深緑野分(ふかみどり・のわき) 1983年神奈川県生まれ。2010年、「オーブランの少女」が第7回ミステリーズ!新人賞佳作に入選。13年、入選作を表題作とした短編集でデビュー。15年刊行の長編『戦場のコックたち』で第154回直木賞候補、16年本屋大賞ノミネート、第18回大藪春彦賞候補。18年刊行の『ベルリンは晴れているか』で第9回Twitter文学賞国内編第1位、19年本屋大賞ノミネート、第160回直木賞候補、第21回大藪春彦賞候補。19年刊行の『この本を盗む者は』で、21年本屋大賞ノミネート、「キノベス!2021」第3位となった。
恋人なし。愛嬌なし。人生設計なし。 そんな“じゃじゃ馬"の前にあらわれたのは……。 <女性蔑視>疑惑のあるシェイクスピアの問題作『じゃじゃ馬ならし』を、 心の機微を描く名手アン・タイラーが、軽やかにしなやかにリトールド。 解説/北村紗衣 ケイトは、率直な物言いが世間に受けない29歳。エキセントリックな科学者の父と、15歳の妹の三人暮らし。植物学者を目指していたこともあったが、今はプレスクール教員のアシスタントをしながら家事を切り盛りしている。ブロンド美人で夢見るような表情を浮かべている妹は男子にもてるが、ケイトにはいまだに恋人がいない。そんなある日、父が、外国人の優秀な研究助手ピョートルの永住権を獲得するために、とんでもない提案をもちかけてきたーー。 【著者略歴】 アン・タイラー(Anne Tyler) 1941年米国ミネソタ州ミネアポリス生まれ。『ここがホームシック・レストラン』で1983年のピューリッツァー賞とPEN/フォークナー賞の最終候補に。『アクシデンタル・ツーリスト』は1985年全米批評家協会賞を受賞し、1986年ピューリッツァー賞最終候補作に(ローレンス・カスダン監督により映画化。邦題『偶然の旅行者』)。『ブリージング・レッスン』で1989年ピューリッツァー賞を受賞。2015年『A Spool of Blue Thread』でブッカー賞最終候補に。ボルティモア在住。 鈴木潤(すずき・じゅん) 翻訳家。フリーランスで翻訳書の企画編集に携わる。訳書にショーン・ステュアート『モッキンバードの娘たち』(東京創元社)、クリステン・ルーペニアン『キャット・パーソン』クロエ・ベンジャミン『不滅の子どもたち』(共に集英社)、シオドラ・ゴス『メアリ・ジキルとマッド・サイエンティストの娘たち』(共訳・早川書房)、テッド・ジョイア『ジャズ・スタンダード』(みすず書房、近刊)。神戸市外国語大学英米学科卒。
「日本は戦争に勝った!」無二の親友を引き裂いた「もう一つの戦い」の真実。デマゴギーの流布と分断が進む現代に問う、渾身の巨篇。沖縄生まれの勇と、日系二世のトキオ。一九三四年、日本から最も遠いブラジルで出会った二人は、かけがえのない友となるが……。第二次世界大戦後、異郷の地で日本移民を二分し、多数の死者を出した「勝ち負け抗争」。共に助け合ってきた人々を駆り立てた熱の正体とは。分断が加速する現代に問う、圧倒的巨篇。
ショウは教会を襲撃して逃走した若者二人組を追跡していた。難なく居場所を割り出して二人を見つけ出したショウだったが、その眼前で一人が崖から身を投げて死亡してしまった。教会襲撃は冤罪で、いずれ疑いは晴れるはずだったのにー自殺した若者は“オシリス財団”なるカルトグループの研修を受けていたという。彼は洗脳されたのではないか。調査を始めたショウは、同カルトに関する記事を発表した記者が殺害されていたことを知る。“オシリス財団”が死の原因ならば、これ以上の犠牲を阻止せねばならない。ショウは身分を隠し、ワシントン州の山中にあるカルト施設への潜入調査を決意した。指導者イーライのもと、屈強な男たちが目を光らせるカルト村。ここで何が行なわれているのか。若者はなぜ自ら命を絶ったのか。この村に隠された真の目的とは?武器なし。外部からの援軍なし。24時間の監視下で、ショウの孤独な戦いがはじまる。「静」の名探偵リンカーン・ライムに続いて名手ディーヴァーが生み出した「動」の名探偵コルター・ショウ第二作。緊迫度、孤立無援度100%の傑作誕生。
地獄の神様、もっと酷いことにしてください。食い詰めて、わるさがバレて、仕事も家も頼る人もいない。そもそも、誰かを信用したこともない。子供の頃には唄が聞こえたこともあったし、物語のなかのような優しい母親やかわいい妹もいた気がするのにー。絶望と哄笑に彩られた詩情。物語の強度を極限まで上げた、瞠目すべき傑作集。
すべては人がやったことなのだ。より人らしく作り替えちまったって、いいじゃないか。饒舌に過去語りをするが、本当かどうか判然としない勝海舟。旅順特務機関の作戦における不在証明を偽装した満鉄の測量技師。戦時中、呉で「張込み」と「舞姫」が混ざったような案件にかかわった防諜専門員。明智光秀謀反の夜の、最後の食事。そして、武田残党の若者たちが請け負った、ご神木の大輸送計画ーあったかなかったか知らねえが、あった方が面白え。軽妙にして痛快、異色の歴史小説集!
恐怖小説の匠・三津田信三が描いた怪異が、海を越え、伝染し、やがて驚愕の真相に辿り着く。日本、台湾、香港を繋ぐ不気味な儀式。宿願が成就するそのとき、何が奪われるのか…。