2022年1月発売
時代に翻弄され、変わりゆく上海。その街で育った三人の少年ー阿宝、滬生、小毛ーは歴史の荒波のすき間に何を見たのか。百人を超える登場人物が咲き乱れる現代中国文学の精華。魯迅文学賞、茅盾文学賞、施耐庵文学賞の中国の主要文学賞三冠!
出ていかないし、従わない。因習的な故郷に、男性社会からのいわれなき侮蔑に、メディアの暴力に苦しめられた時に、「わたし」はいつも正論を命綱に生き延びてきたー。理不尽で旧弊的な価値観に抗って生きる者に寄り添う、勇気と希望の書。著者初の自伝的小説集。
「硬派」、と呼ばれている若造りの専業主婦「彼女(寿)」、その夫で、なめくじ呼ばわりされている中年の貧相な病理医「彼」、ふたりの間の息子で、小学校を「平等の牢獄」と呼び、あえて塾でのハードな勉強に逃避して、そこに友情を見出す多感でシニカルな「少年」。この、すこしねじれた一家とそれを取り囲む人々を色々な角度から見つめたお話。(音楽+虐殺)。「ジャズの研究」「美しい娘たち」「告白的暗殺論」「音楽+虐殺」=4編収録。
明かされる「出雲王権」誕生の秘密。山犬に愛される不思議な少年ナムチは、やがて人々を統べる王となるー舞台は群雄割拠の弥生時代中期末。倭人と渡来人が共同してつくりあげた豊かな国は本当に存在したのか?大和朝廷が『古事記』、『日本書紀』、『出雲国風土記』の神話に隠した“史実”を紐解く、本格古代史エンタメ小説!
高校生の美波は、学校でも親の前でもそつなく立ち回る“いい子”。そんな自分に自信を持っていたが、ある日、うまく優しくできずにいた義理の姉・海月を亡くしてしまう。「私は完璧な人間じゃない」-自分に失望し、高校最後の1年間、すべてに対し無気力になった美波。そんな彼女を見つけてすくいあげてくれたのは、学校でひときわ目立つ存在で、生前の海月をよく知る後輩・三鶴だった。過ちから目をそらさず向き合う美波に、三鶴は「俺は美波さんを優しくて素敵な人だと思ってます」と言ってくれて…。ふたりきりの屋上、朝焼けの犬吠埼。彼の隣ですごす時間に、鍵をかけた美波の心は少しずつとかされていき…。自分を好きになれない夜に寄り添う、感動の青春恋愛小説。
仲間との刀づくりのためーー隣国に巣くう魔を斬り伏せます! 日本人だった記憶を持つ、男爵令嬢カテナ。 彼女は魔神の襲撃からマイアの街を護ることに成功し、その功績により研究室として工房を下賜されていた。 そんな折、神器の力を確かめたいという王子ベリアスと摸擬戦をすることになり!? 激しい剣戟の末、勝利するカテナのもとに、その強さを知った学院の留学生、隣国の王女シャムシエラがやってきて弟子入りを志願される! 話を聞くと、シャムシエラはカテナの武器が神器だと気付いているようで……? 戸惑うカテナだったが、シャムシエラの魔法の才能を知り、自分の技術を習得できる逸材だと、弟子入りを受け入れることに。 さっそくシャムシエラへの鍛錬を開始するカテナ。 魔法の制御や体力づくりと、共に過ごすうちに二人は親交を深めていく。 そして、日本刀づくりにも集中できると思いきや、今度は彼女の故郷の問題に巻き込まれ始めて!? 刀匠令嬢のチートな異世界ファンタジー、第2巻!
凶暴な人狼に永劫の眠りを 『古代文明の伝説にあるような便利で豊かな生活』を今世に取り戻すため、文明の再興を続けるアッシュ。 その隣には、武芸王杯大会を制し、晴れて婚約者となったマイカが並ぶ。 そんな2人の婚約パレードを先導するのはーー蒸気機関自動車。 機械仕掛けで動くそれは、領都の内外に圧倒的な衝撃をもたらした。 一方、裏ではアッシュたちの功績を良しとしない者たちが不穏な動きを見せる。 中央貴族のダタラ侯爵は、ヤソガ子爵とサキュラ領に潜む反乱分子を手駒として内乱を引き起こそうと画策していた。 さらに、“人間同士の争いは魔物を呼び寄せる”という言い伝えに偽りなく、サキュラ領へと人狼の群れが押し寄せるーー。 眼前に迫った圧倒的な脅威を迎え撃つのは、領地改革推進室が生み出した、常識を覆すほどの威力を秘めた新兵器ーー! 理想の暮らしを手にするため、世界に変革をもたらす少年の軌跡を紡いだ文明復旧譚、第六幕!
チートなファッションショー開演します。 鬼族のウーラと付き従う下級魔族たちを農園で雇用することで、彼らの労働問題を解決したフリオ。 ブロッサムが働く農園は拡充し、さらなる賑やかさを見せていた。 そんな中、城下街に暮らす女の子たちを中心に、お洒落で独創的な服が流行っている、との話をウリミナスが持ち込んでくる。 詳しく話を聞いたフリオは、フリース雑貨店で新たに衣服を販売し、さらには衣服販売を記念してファッションショーを開催することに! しかし、ファッションショーの開演直前に、とある騒動が発生。 その結果、出演予定だったモデルたちが全員逃げ出してしまう事態にーー!? ファッションショーを開催するためにモデルたちの代わりを担い、華やかな衣装を身にまとってステージを歩くのは、リースやエリナーザ、グレアニールといったフリース雑貨店の面々でーー!? WEB発、チートだけどまったりな異世界ライフ、第13巻!
少年が臨むは海王との死闘。 人魚の王・エルドレーネと共に、“海王”を名乗るウォルドム討伐のため海都グランティオスを目指すテオドール達。 数の有利はこちらにある。だが油断はできないーー万全を期して戦場へと向かった一行を待ち受けていたのは、恐るべき魔人の力だった。 海中の激闘が熾烈を極めていくなか、仲間達の勝利を信じ、テオドールはついに姿を現した高位魔人・ウォルドムとの死闘に臨む。 魔人の脅威はすぐそこまで迫っているーー闘いの末、海都を取り戻した一行であったが、魔人達の拠点であるベリオンドーラへ向かう準備の手を止めることはない。 ケルベロスの再生など、着実に戦力を増強していく。 そんな折、伯爵領へと赴いたテオドールが知ったのは、母・リサにまつわる過去と因縁でーー 転生×魔法バトルファンタジー、第16弾!
結婚前に突然の教皇指名! 聖女フィリア、国を出る!? 「完璧すぎて可愛げがない」とパルナコルタへ売られた聖女フィリア。 彼女は魔物の大量発生に続き、悪魔による“神隠し事件”も見事解決! さらには想い合うオスヴァルトと婚約し、新たな幸せを手に入れ始めていた。 そんな中、聖地がある隣国ダルバートから教皇の訃報と、彼の遺言によりフィリアが次期教皇に指名されたという知らせが舞い込んでくる! これまで聖女が教皇に指名されたことなどなく、突然の知らせに疑問を抱き調査をすると、遺言が書き換えられた可能性が出てきて!? これからもパルナコルタの聖女として生きたいフィリアは、証拠を掴み、教皇の遺言を覆すため、オスヴァルトとともにダルバートへ向かうことを決意する! 「完璧すぎる」聖女フィリアは隠された真実を見つけ、パルナコルタでの幸せを守ることができるのかーー!?
新進気鋭の人気作家・カツセマサヒコ氏をはじめとする、りょかち氏、Shin5氏が執筆する18篇の短編オムニバス小説。50の駅を巡る、おとなのデートストーリー。付き合う前の食事デートや、一緒に暮らすための雑貨を買いに行くデート、将来を想像しながらのんびり過ごすデートなど、いろんなデートを味わえます。 目次 1.「彼女は僕より本が好きだから」 2.「まだ見てなかったものを探しに」 3.「今日だけは先を歩きたい」 4.「まるであの頃の二人のように」 5.「今のままでも、大人になっても」 6.「あなたはいつも正しいよ」 7.「娘がハタチになりまして。」 8.「ゆっくりと時間が流れる場所を探して」 9.「答えなんて、出なくても。」 10.「『またね』が言えなくなる前に」 11.「『また来ようね』と言える幸せ」 12.「だからこれからもよろしくね」 13.「予想外の雨が教えてくれたこと」 14.「飽きっぽいわたしたち」 15.「東京を、もっと知りたくなった夜」 16.「腹が空くまで歩こうよ」 17.「未来に続く道で、ふたり」 特別書き下ろし小説「昔行ったあの店がなくても」 本書は「東京デートストーリー」のインスタグラムで連載していたものを、加筆修正のうえ、本書オリジナル書き下ろし小説1編を加え、書籍化したものです。 1.「彼女は僕より本が好きだから」 2.「まだ見てなかったものを探しに」 3.「今日だけは先を歩きたい」 4.「まるであの頃の二人のように」 5.「今のままでも、大人になっても」 6.「あなたはいつも正しいよ」 7.「娘がハタチになりまして。」 8.「ゆっくりと時間が流れる場所を探して」 9.「答えなんて、出なくても。」 10.「『またね』が言えなくなる前に」 11.「『また来ようね』と言える幸せ」 12.「だからこれからもよろしくね」 13.「予想外の雨が教えてくれたこと」 14.「飽きっぽいわたしたち」 15.「東京を、もっと知りたくなった夜」 16.「腹が空くまで歩こうよ」 17.「未来に続く道で、ふたり」 特別書き下ろし小説「昔行ったあの店がなくても」
在宅勤務なら「お試し移住」してみよっかな? 選んだ場所は魅惑の“楽園”だった! 地方創生は「行政任せ」から「ビジネスモデル」へ 初代地方創生担当大臣 石破茂 三陸の食と空家と人情が、日本を救います 岩手県知事 達増拓也 築9年、3LDK、家具家電付きーーなのに家賃8万円!? 大手電気機器メーカー「シンバル」に勤務する西尾晋作は、海釣りが大好き。 コロナ禍でテレワークが当たり前になったことを機に、海に近い田舎に移住を考え始めると、宮城県に家具家電付きの神物件を発見する。家賃の安さに惹かれ、「お試し移住」を始め、夢のような山海の幸に大満足。地域民とのいざこざを経験し、晋作はこの楽園で、ある新事業を思いつくーー。
名も知らない女性の人生を、尊厳を傷つけた。 過去の強姦を告白し、婚約者と家族から断絶された男は、 謝罪のために事件を公表し、被害者探しを思い立つ。 せめて罰を受けさせてくれ 罪とはなにか。その罪に許しはあるのか。 『死にたくなったら電話して』の著者が突きつける、このうえなく深い問い。 「謝るというのはある種傲慢な行為であって、自分の本来の気持ちばかりがどうしても滲み出てくる。 それを含めて書いているのが巧みだと思った」 高山羽根子 「性被害については、どうしても被害を受けた女性側が語る立場に置かれることが多い。男性側がポロッと発語することで露わになってしまうもの、発語した瞬間に生じる社会との摩擦といったものがちゃんと書かれている点を最大限に評価したい」 倉本さおり 「この作品には、出来事を終わらせないことの倫理観はあった」 矢野利裕
第166回芥川賞受賞作。 ずっと遠くに行きたかった。 今も行きたいと思っている。 自分の中の怒りの暴発を、なぜ止められないのだろう。 自衛隊を辞め、いまは自転車メッセンジャーの仕事に就いているサクマは、都内を今日もひた走る。 昼間走る街並みやそこかしこにあるであろう倉庫やオフィス、夜の生活の営み、どれもこれもが明け透けに見えているようで見えない。張りぼての向こう側に広がっているかもしれない実相に触れることはできない。(本書より) 気鋭の実力派作家、新境地の傑作。
「女優の子供って大変なんですか?想像もできない人生です」 小劇団を主宰する私は、昭和を代表する女優のひとり息子として生まれた。 大女優である実の母との葛藤を胸に、〈母への復讐の物語〉を演出する──。 テレビ、映画で活躍する著者による、10年ぶりの最新長編小説。 「小学校一年、初めての登校日、学校中から「ジョユー」と呼ばれたときに、自分を可愛がってくれているのは母ではなく「ジョユー」という生き物なのだと知った。幼い私にとっては酷く恐ろしいことであった。 その「ジョユー」という生き物と、私は初めて同じステージで対峙する」(本文より) 【著者略歴】 1968年4月東京都生まれ。日本大学芸術学部文芸学科中退。小説家、俳優、映画監督。学生時代に俳優としてデビュー後、1990年『スプラッシュ』で第14回すばる文学賞を受賞。1995年『となりのボブ・マーリィ』で映画監督としての活動も開始する。主な小説作品に『湾岸馬賊』『ずっと夜だったらいいのにね』『東京亜熱帯』『その役、あて書き』などがある。
何かを断たなければ、生きていけない。 父は、女にだらしのない鍛冶職人だった。物心ついたとき、すでに母はいなかった。綺麗な着物を着せたる、という父の誘うような言葉に乗じて、12歳だった彼女は、気が付けば菜乃葉の名で大阪にて舞妓見習いをさせられていた。 14歳で旦那への腹いせのようにして小指を切り落としたことで世間の耳目を集め、ブロマイドは飛ぶように売れた。花柳界から退いたあとも、社長夫人、映画女優と華やいだ世界に身を置いた。 それでも、彼女の心が定まることはなかった。38歳、仏門を叩いた。
生まれ育った場所だけが「ふるさと」ですか? 現代人に本当の幸せを問う、著者最高傑作! 上京して四十年、一度も帰ろうとしなかった郷里で私を温かく迎えてくれたのは、名前も知らない〈母〉でしたーー。家庭も故郷も持たない人々の元にカード会社から舞い込んだ〈理想のふるさと〉への招待。半信半疑で向かった先には奇跡の出会いが待っていた。雪のように降り積もる感動、全く新しい家族小説にして永遠の名作誕生!
1968年、静岡県千里見町に近づく台風は、五十年に一度とも百年に一度とも言われる豪雨をもたらしていた。。住んでいるところが危険区域に指定された有村一家は、小さい赤ん坊がいることもあり、親戚の家に避難を決めるが……。 それから20年後、千里見町で『清風館』という旅館を営む清田母娘の前に、坂井裕二と名乗る大学生が現れる。坂井は約一年ぶりの客だった。 『清風館』の主だった清田省三は、一年前に交通事故で亡くなり、そのため旅館も開店休業状態だったのだ。娘の千遥は母と二人暮らしをしていたが、それは父が急死したためだった。東京の大学に合格していたが、上京して母を一人にするのがためらわれたのだった. そこに現れたのが坂井裕二で、彼の存在が千遥の大学進学への思いを後押しすることになる。また裕二は過去に何か事情があったらしく、その謎に千遥は惹きつけられていく。 裕二の過去には何があったのか? 千里見町の20年前の豪雨がもたらしたものとは? 濁流に押し流される人間の運命が慟哭を呼ぶ、愛と哀しみの青春ミステリー。