2022年6月発売
ニューヨーカー憩いの場・セントラルパークで殺人事件が発生!凶器は、忍者の暗殺道具『手裏剣』。目撃情報からニューヨーク市警の刑事が訪ねたのは、忘却探偵・掟上今日子が新たに構えた「置手紙探偵事務所ニューヨーク支局」だった。憧れのニューヨーク市警に容疑者として目を付けられてしまった今日子さんは、自らの疑いを晴らし、事件を解決することができるのか?彼女の過去を知るFBI捜査官ホワイト・バーチも暗躍し…?忘却探偵、謎解きの舞台はついに世界へ!
企業で弁護士として働くレックスは、子供時代をすっかり捨て去ったつもりだったー実の両親からきょうだい七人が虐待されたつらい過去を。いまは充実した毎日を送っている彼女は、刑務所で亡くなった母親の遺言をきっかけに、事件後ばらばらになったきょうだいのそれぞれと連絡をとる。“恐怖の館”と呼ばれるようになる家で、あのころ彼らきょうだいは監禁されていた。ろくに食事も与えられず、鎖につながれて。その過去の絶望がよみがえるとき、レックスは…。読む人の心を揺さぶる、衝撃のサイコサスペンス。
これといった使命もチート能力もなく、平民落ち、政略結婚、故国喪失と、状況に翻弄され、そのたび自ら運命を切り拓いてきた転生令嬢カレン。移住先の帝国で、転生仲間の魔法使いエルと再会するが、彼女はチート持ちの天才ゆえの問題を抱えていた。カレン自身もやっかいな相手に目を付けられ、まもなく帝国中枢をも巻き込む悲劇が!様々な思惑の渦巻くなかで、地獄の釜の蓋が開く第3巻。書籍特典として書き下ろし短篇×2本収録。
2011年3月11日。津波が母と娘を呑み込んでから、ゆいの時間は止まったままだった。海から逃れるようにして東京でラジオパーソナリティとして働いていた彼女はある日、「風の電話」の噂を聞く。岩手県大槌町の庭園に置かれたその電話ボックスはどこにもつながっていないが、亡くなった人ともう一度話したい人びとが訪れるという。ゆいは庭園を訪れるものの、なかなか二人に話しかけられない。そんななか、妻を病気で亡くし、娘と暮らす毅に出会う。実在する「風の電話」を通じ、喪失の痛みから癒えていく人びとを、イタリア人作家がやさしい筆致で描く感動の長篇小説。
「ママ、ぼくたち“るろうのたみ”になるの?」一九三七年、スターリン体制下のソ連。朝鮮半島にルーツを持つ十七万の人々が突然、行き先を告げられないまま貨物列車に乗せられ、極東の沿海州から中央アジアに強制移送された。狭い貨車の中で語られる人々の声を物語に昇華させ、定着を切望しながら悲哀に満ちた時間を歩んできた「高麗人」の悲劇を繊細に描き出す。
“破倫無道の挙”か、冤罪かーいよいよ結審の時来る。(幸徳秋水が担当弁護士にあてた陳弁書には)無政府主義にたいする誤解への弁駁と、検事の取り調べに不法とが述べてある。この陳弁書にあらわれたところによれば、幸徳は決してこのような無謀を、あえてする男ではない。それは法廷での事実と符号している。社会主義者、無政府主義者たちが明治天皇の暗殺を企てたとされる、いわゆる幸徳事件。当初は「破倫無道の挙」「常識を失した凶暴な沙汰」と断じていた石川啄木は、事件の記録を読むうちに、検察による事実の歪曲に愕然とする。一方、ことを早く片づけたい検察は、逮捕後異例のスピードで予審を終え、嫌疑のかかる26人全員に極刑を求刑してしまうのだったー。事件関係者について綿密に調べ上げ、その真の姿に肉薄した渾身のノンフィクションの完結編。
詩人・室生犀星の“初の小説”を含む自伝的作品集。婚外子として生まれ、生後間もなく養子に出された“私”。いつもやさしい義姉を除いて、周囲に理解してくれる人はおらず、小学校では喧嘩を繰り返して先生からも目をつけられていた。そんななか、実の父親が亡くなり、母が行方不明になってしまう。ますます自棄になって乱暴を繰り返していた“私”は、川のなかでその後の人生を変えるあるものを見つける。それは、苔むした地蔵だったー。自伝的色彩の濃い著者初の小説「幼年時代」をはじめとする“幼年時代三部作”「性に眼覚める頃」「或る少女の死まで」に加え、繰り返し映画やテレビドラマになった「あにいもうと」の4篇を収録。
『花嫁が二人』サーシャは会ったばかりのネイサンのプロポーズに耳を疑った。今まで会った中で最もセクシーとはいえ、いきなり結婚などできない。しかも愛ゆえでなく“便宜上”なんて…。それでもしだいにサーシャは彼に惹かれていき、ある日宣言した。「あなたと結婚するわ」しかし時すでに遅く、彼は別の女性と結婚の約束をした後だった。『六月の花嫁』ジーナは敵対するヨーロッパ屈指の大富豪ニックの誘惑に屈し、情熱の一夜を明かしたが、彼の心に真実の愛があると思えず自己嫌悪に陥った。一方のニックは、頑なな態度に戻った彼女に怒りをぶつける。そんななか仕事で彼を失脚させようという者が現れ、ジーナも協力を迫られるが、彼女が真に求めているのはニックの愛で…。『勝ち気な花嫁』身重の姉を屋敷に送り届ける途中、エレナは宿屋に泊まった。運命の悪戯で、エレナは伯爵ニコラスの部屋に誤って入り、眠ってしまうーニコラスが正体もなく酔っ払い、一糸まとわぬまま寝ていたベッドで。翌朝、目覚めた二人は仰天した。運悪くその場面を牧師に見られ、ニコラスはやむなく名誉のために結婚を申し出たが…。形はいろいろあるけれど、真実の愛は一つだけ。豪華3作家の至福のウエディング・アンソロジー!
「ぼくはアレクサンダー・ディミトリゥ。きみがバルコニーから見ているのには気づいていたよ」キャサリンは慌てて否定しながら、頬が火照るのを感じていた。彼は幼い娘が邪魔をしたお詫びにと、キャサリンを食事に誘った。亡き母の故郷にほど近いギリシアの村で独り静養しているけれど、わたしがここにいるのは既婚者とデートするためではないわ!しかし、彼が妻を亡くしていると知り、互いに医師であることからともに感染症の対応にあたるうち、二人の距離は急速に近づいた。つかのまの恋でいい。わたしは幸せになれない人間だから…。そう自分に言い聞かせ、亡き妻を愛する彼にキャサリンは全てを捧げた。
1年前に家族を事故で失い、天涯孤独の身となったフェイは、抜け殻のような心を抱えたまま、身を粉にして働いてきた。ある嵐の日、自暴自棄になって馬を走らせた彼女は落馬して、痛みと朦朧とする意識の中で最期を覚悟する。そのときだった、たくましい腕に抱き起こされたのは。フェイが目を開けるとそこには、隣人チェイスの心配顔があった。幼い頃から恋い焦がれてきた人。なぜ今になつて私の構うの?そんなフェイの心中を知ってか知らずか、チェイスは彼女を家まで運ぶと、予想外の驚くべき提案をした。「君の家業はすべて僕が買い取る。代わりに僕の妻にならないか?」
明るい姉の陰に隠れて育った不器量で世間知らずのリサは、15歳のときから姉の夫の兄ジョエルに軽蔑されてきた。それは年頃のちょっとした出来心が原因だったが、リサは彼にふしだらというレッテルを貼られ、心に傷を負った。以来、聡ずかしさと悔しさから彼とは会わないようにしてきたのに…。8年後、姉夫婦が亡くなり、ジョエルとリサの2人が遺された子たちの後見人に指名されたことで、再会を余儀なくされる。またあの軽蔑のまなざしを向けられるなんて耐えられない!怯えるリサに、冷たい瞳のジョエルは驚くべきことを言い放った。「子どもたちとともにいたければ、ぼくと結婚するしかない」
父の仕事を手伝いながら、のどかで単調な毎日を送るビアトリス。ある日突然、父が心臓発作で倒れて動転するが、幸い、近くにいた医師オリバーのおかげで一命をとりとめた。オリバーとは先日、日の出を見にのぼった丘で偶然出逢い、長身で感じのいい彼が著名な医師だということを、のちに知った。父の入院から留守宅のことまで世話をしてくれるオリバーに、彼女はいつしか特別な気持ちを抱くようになっていく。そして、元ボーイフレンドからの迷惑行為について相談すると、オリバーは親切に、ぼくと婚約したふりをすればいいと提案してくれた。でも切ない…だって、彼はもうすぐ別の誰かと結婚してしまうのだから。