2023年7月26日発売
磯田道史氏、絶賛! 「人は自然の力に左右される。昔はなおさら。それを描ききったこの本こそ、私が出会いたかった歴史小説」 地震、津波、火事、飢饉、豪雪、火山の噴火、河川の氾濫……。日本史上に起こった大災害を直木賞作が克明に記した圧巻の連作短篇小説集。 (以下、収録作品) 江戸時代初期「囚人」・・・時は明暦。小火に始まる火事はからっ風のあおりを受けて、江戸を焼き尽くす。その時、日本橋小伝馬町の牢屋に入っていた男を救った奇跡とは? 明治時代「漁師」・・・百二十七年前に東北を襲った三陸沖地震。その復興に至る道のりは、現代社会の防災上の大きな教訓と学びとなった。 昭和時代「小学校教師」・・・昭和三十八年。新潟から上京する列車に乗った女性教諭を襲ったのは、記録的な豪雪だった。これは、天災だけでなく、発達した交通網による人災の記録でもある。 (ほか3篇)
推理作家「私」のもとへ現れた、不審な自称「町おこしコンサルタント」の男。彼は「私」に、町おこしのために小説を書いてほしいと依頼する。小説の力を利用して、寂れゆく町・安楽市を自殺の名所にしたいと嘯くのだ。承諾した「私」だが、密かにその計画を阻止することを決意する。なぜなら安楽市は、「私」の故郷なのだからー。
21世紀に沸く平成日本。海外逃亡していたはずの極左の最高幹部が突然仙台に現れ、公安に衝撃が走った。身柄の移送を担当した公安一課の海老沢は、警察官人生最大の痛恨の失敗を犯す。一方、捜査一課の高峰は目黒の空き家で殺害された元代議士秘書の身辺を探る。被害者の経歴には6年間の不自然な空白があった。新聞記者からの思わぬ情報。死の床にある元刑事の父の言葉。そして海老沢に下った極秘の特命捜査ー事件の様相は一変する。
『高瀬庄左衛門御留書』『黛家の兄弟』に続く、「神山藩シリーズ」最新作。 名判官だった祖父・失踪した父・重責に戸惑う息子ーー町奉行を家職とする三代それぞれの葛藤を描く。 18歳の草壁総次郎は、何の前触れもなく致仕して失踪した父・藤右衛門に代わり、町奉行となる。名判官と謳われた祖父・左太夫は、毎日暇を持て余す隠居後の屈託を抱えつつ、若さにあふれた総次郎を眩しく思って過ごしている。ある日、遊里・柳町で殺人が起こる。総次郎は遺体のそばに、父のものと似た根付が落ちているのを見つけ、また、遺体の傷跡の太刀筋が草壁家が代々通う道場の流派のものではないかと疑いを持つ。 さまざまな曲折を経て、総次郎と左太夫はともにこの殺人を追うことになるが、果たして事件の真相と藤右衛門失踪の理由とは。 〜「神山藩シリーズ」とは〜 架空の藩「神山藩」を舞台とした砂原浩太朗の時代小説シリーズ。それぞれ主人公も年代も違うので続き物ではないが、統一された世界観で物語が紡がれる。
都市再開発計画の名のもとに首都が七つのゾーンに区切られ、格差社会化が進む2032年の日本。web情報誌“スツール”の記者・明海和は、独自に子ども狩と人身売買の取材を続けていたところ、カササギと名乗る人物に突き当たる。和が待ち合わせ場所に行くと、そこに現れたのはまだ十代の男性だった。彼は、これ以上取材を続けると「殺されますよ」と警告する。なぜ、子どもたちの取材をすることが危険なのか?なぜ、国際的なモデル都市でストリートチルドレンが生まれるのか?和は、自身の父も“闇の子どもたち”の取材をしていたことを明かすが…。格差社会の闇に切り込む、ディストピア長編。
草原に生まれ、大地を駈け、かつてない規模の国を築いたチンギス・カンが、最後の戦場に立つ。 圧巻の最終章! チンギスは病床にある長子ジョチのもとを訪れたのち、草原へと向かう帰還の途につく。西夏領内に入ったチンギスは、ある城にただならぬ気配を感じた。それは黒水城と呼ばれ、砂漠に囲まれており、ウキという謎の人物が主とされていた。一方、チンギスから受けた傷を山中で癒すマルガーシに、カルアシンから見事な剣が手渡される。贈り主は明かされなかったが、マルガーシは戦に向けて隊の修練を重ねていく。アウラガの宮殿に戻ったチンギスは、ソルタホーンから国を揺るがす一大事を告げられた。突如生じた戦いに、チンギスは将軍だけでなくボオルチュも帯同させるーー。 「チンギス紀」全17巻、ついに完結。 【著者略歴】 北方謙三(きたかた けんぞう) 1947年佐賀県唐津市生まれ。中央大学法学部卒業。81年『弔鐘はるかなり』でデビュー。83年『眠りなき夜』で第4回吉川英治文学新人賞、85年『渇きの街』で第38回日本推理作家協会賞長編部門、91年『破軍の星』で第4回柴田錬三郎賞を受賞。2004年『楊家将』で第38回吉川英治文学賞、05年『水滸伝』(全19巻)で第9回司馬遼太郎賞、07年『独り群せず』で第1回舟橋聖一文学賞、10年に第13回日本ミステリー文学大賞、11年『楊令伝』(全15巻)で第65回毎日出版文化賞特別賞を受賞。13年に紫綬褒章を受章。16年「大水滸伝」シリーズ(全51巻)で第64回菊池寛賞を受賞。『三国志』(全13巻)、『史記 武帝紀』(全7巻)ほか、著書多数。
ドイツの古城、 妖精の森へようこそ 『フランケンシュタイン』「吸血鬼」を生んだーーそのきっかけの書。 幽霊の花嫁、妖精の女王、死の舞踏、魔法の鏡、七里靴…… 初期英国ゴシックがドイツの深い森の伝説と結びつき、中世を再発見しドイツ・ロマン派となり花開く。 1816年夏スイス・レマン湖畔ーー バイロン卿、ジョン・ポリドリ、のちのシェリー夫妻らが無聊をなぐさめるために思いついたのは、本書の仏語版『ファンタスマゴリアーナ』の朗読。 大いに震撼させられた4人は、一篇ずつ怪奇譚を書こうと思いつく……。 いわゆる「ディオダティ荘の怪奇談義」であるーー かくして、メアリー・シェリーの『フランケンシュタイン』とポリドリ「吸血鬼」が生まれ、ゴシックの本場英国に逆輸入される。 『ファンタスマゴリアーナ』に収録された作品を中心に、ドイツ語原書から、オペラで名高い「魔弾の射手」など厳選の恐怖小説を加えた15篇。 グリム兄弟と同時代、E.T.A.ホフマンにも影響を与えた伝説の幽霊アンソロジーの全貌が明らかに。 美麗函入り。 【目次】 まえがき フリードリヒ・ラウン 魔弾の射手 ヨハン・アウグスト・アーペル 先祖の肖像画 ヨハン・アウグスト・アーペル 髑髏 フリードリヒ・ラウン 死の花嫁 フリードリヒ・ラウン 幽冥界との交感 フリードリヒ・ラウン 亡き夫の霊 フリードリヒ・ラウン 灰色の客間ーー文字通り本当にあった話 ハインリヒ・クラウレン 黒の小部屋 ヨハン・アウグスト・アーペル 灰色の客間〔続〕 ハインリヒ・クラウレン 理想 フリードリヒ・ラウン 花嫁の宝飾 ヨハン・アウグスト・アーペル 逸話三篇 ヨハン・アウグスト・アーペル 一 幽霊の城 二 霊の呼ぶ声 三 死の舞踏 クララ・モンゴメリーーー聖**ゲの騎士の手稿より ヨハン・アウグスト・アーペル あとがき ヨハン・アウグスト・アーペル ✺ 附録 序文(フランス語版『ファンタスマゴリアーナ』) 序(英語版『死の物語集』) 訳者解説 まえがき フリードリヒ・ラウン 魔弾の射手 ヨハン・アウグスト・アーペル 先祖の肖像画 ヨハン・アウグスト・アーペル 髑髏 フリードリヒ・ラウン 死の花嫁 フリードリヒ・ラウン 幽冥界との交感 フリードリヒ・ラウン 亡き夫の霊 フリードリヒ・ラウン 灰色の客間ーー文字通り本当にあった話 ハインリヒ・クラウレン 黒の小部屋 ヨハン・アウグスト・アーペル 灰色の客間〔続〕 ハインリヒ・クラウレン 理想 フリードリヒ・ラウン 花嫁の宝飾 ヨハン・アウグスト・アーペル 逸話三篇 ヨハン・アウグスト・アーペル 一 幽霊の城 二 霊の呼ぶ声 三 死の舞踏 クララ・モンゴメリーーー聖**ゲの騎士の手稿より ヨハン・アウグスト・アーペル あとがき ヨハン・アウグスト・アーペル ✺ 附録 序文(フランス語版『ファンタスマゴリアーナ』) 序(英語版『死の物語集』) 訳者解説
鬼神降臨まで、あと一年足らず。甚夜はみやか達との高校生活を楽しみながらも、吉隠の作り出す“捏造された都市伝説”の退治に追われていた。そんな中、クラスの中でも派手なグループに所属する桃恵萌が、なぜか接触を図ってくる。まったく接点のない彼女が甚夜を気にする理由は、意外なもので…⁉ 懐かしい面々との出会い、因縁の相手との死闘……読みどころ満載で送る人気和風ファンタジーシリーズ第十三巻!
「絶対に東大合格しなきゃ許さない」--両親の熱烈な期待に応えるため、高校三年生の高志は勉強漬けの日々を送っていた。そんなある日、クラスメートの星という少女から、自身をとりまく異常な教育環境を「虐待」だと指摘される。そんな星もまた、自身が親からネグレクトを受けていることを打ち明ける。心を共鳴させあう二人はやがて、自分達を追い詰めた親への〈復讐計画〉を始動させることにーー。教室で浮いていた彼女と、埋もれていた僕の運命が、大学受験を前に交差する。驚愕の結末と切なさが待ち受ける極上の青春ミステリー。
夫に抱えている秘密を言い出せない主婦。わかりあえないままだった老母の葬儀に向かう中年の娘。高校生の娘に弁当を作り続けるシングルファーザー。元担任教師に強引に家に誘われた教え子。真夜中のニュータウンで出会った大学生と若い母親。「言葉」がつなぐ、それぞれの想いとは?ごめん、ありがとう、きれい。なんでもないひとことが、孤独を抱えるひとりの胸を照らす。歌人・東直子にしか描けない!「言葉」がもたらす小さな奇跡を見せてくれる短編集。人気イラストレーター三好愛の挿絵付き。
協調性がなくてマイペース、それでいて人畜無害な、いい人ーーそんな羽野未知生が不慮の事故に遭い、41歳の若さで突然この世を去った。葬儀に参列した高校の同級生や大学時代の元カノ、会社員時代の同期や上司は、在りし日の想い出を振り返りながら、自分自身の〈今〉を見つめ直す。そして遺された家族もまた、未知生のいない日常を歩みはじめるがーー。 イマイチつかみどころの無いキャラの未知生と、生前うっかり関わってしまった者たちの〈これから〉を描く書き下ろし長編小説。
リリーとアトラスが過去と向き合い、新たなスタートを切るまでの心の軌跡。『イット・エンズ・ウィズ・アス』待望の続篇!
次期国王と、しがないナニー。 実るはずもなかった身分違いの恋はーー!? 自分が養女と知ってショックを受けた小学校教師のケイトは、 すべて断ち切りたくて、遠い異国でナニーの職を得た。 雇い主の次期国王マルコは、黄金色の肌と黒く凜々しい眉、 セクシーな唇を持つ、彫刻のように美しい男性。 政略結婚した妻がお産で亡くなったあと、幼い娘と距離を取り、 戯れの恋に興じているという。雇い主、それもプレイボーイに 恋するなんて愚か者のすることよ。それでも彼に惹かれる気持ちは 止められず、ケイトはついにある夜、マルコに身を捧げた。 やがてマルコに求婚され、天にも昇る心地になるがーー。 「結婚は娘のためだ」マルコの言葉は冷たく耳に響いた。 政略結婚した不仲な両親のもとに育ち、愛など信じたことのない孤独な傲慢ヒーローと、実の両親だと信じていた人たちに裏切られ傷ついたヒロイン。読み書きに障害を持つヒーローの娘が恋のキューピッド役となる、キム・ローレンスの珠玉のダイバーシティ作品!
私は身分違いの招かれざる花嫁。 愛を望んではいけない。 カフェで働くポーシャは、貧しい青年の客に言い寄られ、 熱意にほだされて結婚の約束をした。ところが身ごもった直後、 彼とまったく連絡がつかなくなった。いったい何があったの? ふと手にした新聞の一面を見て、彼女は凍りついた。彼が事故死? しかも、じつはイタリア財閥の次男で、妻までいたなんて……。 秘密裏に出産したポーシャの前に、ある夜、美麗な紳士が現れる。 赤ん坊の伯父にあたるルチェンゾは、ポーシャ母子をイタリアへ 招くために来たのだと、蔑みに満ちた冷たい目で告げた。 本当は息子を奪いに来たのでしょう? この子は私が守るわ。 息子をしっかりと胸に抱き、ポーシャは覚悟を決めた。 今は亡き王道ロマンスの大家、ダイアナ・ハミルトンの珠玉作です。思いがけず大財閥の跡継ぎを身ごもり、密かにひとりで産み育てようとしていたヒロイン。彼女を金目当ての女と決めつけて冷淡に扱っていたヒーローから、不躾に愛のない求婚をされて……。
秘書のわたしがボスの子供を産む? しかも愛情はまったく抜きで! 「代理出産してくれる女性を早急に探してくれ」 胸がうずくほど魅力的なボスーールーク・ガルニエの突然の命令に、 秘書のヘイリーは言葉をなくした。 将来、会社の経営を任せられる後継者が必要になったという。 密かにボスを想い続けてきたヘイリーは、 ほかの女性がルークの子供を産むと考えただけで打ちのめされ、 入社5年目にして初めて早退し、翌日も会社を休んだ。 すると驚いたことに、ルークが家まで訪ねてきた。 彼は理想的な候補者を見つけたと言いながらヘイリーの手を取った。 「ヘイリー、ぼくの子供を産んでくれないか?」 子供を作るだけでなく、ベッドも共にしたいと言われ、ボスを愛しているヒロインは誘惑に負けてしまいます。けれど度重なる甘い蜜のような戯れに溺れる自分に打ちひしがれ……。寡作ながらも熱狂的な読者の多いキャシー・ディノスキーの名作をお見逃しなく!
彼がほかの女性を愛していると知りながら、 私は花嫁になったーーおなかの子のために。 人生でいちばん緊張した顔で、クレアは贅沢なソファに座っていた。 数カ月前、彼女は偶然出会ったレイフに惹かれ、純潔を捧げた。 でもまさか、彼が異国の王子だったなんて。 彼女は勇気を振り絞って、レイフに妊娠したと告白した。 誠実で高潔な彼の対応は早かった。赤ん坊を嫡出子にするために クレアに結婚を申しこみ、身重の彼女をなにかと気づかってくれた。 中絶を望まれるとばかり思っていたので、クレアはほっとした。 王子の花嫁なんて恐れ多いけれど、赤ちゃんのためにがんばろう。 しかしレイフの次の言葉で、彼女の前向きな気持ちは打ち砕かれた。 「君と結婚はするが、僕には長年思いを寄せている人がいる」 HQロマンスはおかげさまで3800号を迎えました。大切な読者のみなさまに感謝をこめてリン・グレアムの作品をお届けいたします。巻頭には作家からのメッセージも収録。ヒーローと彼が愛する女性、夫を愛してしまったヒロインの切ない三角関係の行方は……。