2024年5月15日発売
夏休みが終わる直前、人気者の山田が死んだ。悲しみに沈むクラスに担任の花浦が席替えを提案すると教室のスピーカーから死んだ山田の声が聞こえた。山田はスピーカーに憑依してしまったらしい。“俺、二年E組が大好きなんで”。声だけになった山田と、二Eの仲間たちの不思議な日々がはじまる。第65回メフィスト賞受賞!!
「知る」ことこそが「生きる」こと 研究対象は動植物、昆虫、キノコ、藻、粘菌から星座、男色、夢に至る、この世界の全て。 博物学者か、生物学者か、民俗学者か、はたまた……。 慶応3年、南方熊楠は和歌山に生まれた。 人並外れた好奇心で少年は山野を駆け巡り、動植物や昆虫を採集。百科事典を抜き書きしては、その内容を諳んじる。洋の東西を問わずあらゆる学問に手を伸ばし、広大無辺の自然と万巻の書物を教師とした。 希みは学問で身をたてること、そしてこの世の全てを知り尽くすこと。しかし、商人の父にその想いはなかなか届かない。父の反対をおしきってアメリカ、イギリスなど、海を渡り学問を続けるも、在野を貫く熊楠の研究はなかなか陽の目を見ることがないのだった。 世に認められぬ苦悩と困窮、家族との軋轢、学者としての栄光と最愛の息子との別離……。 野放図な好奇心で森羅万象を収集、記録することに生涯を賭した「知の巨人」の型破りな生き様が鮮やかに甦る!
岡山県姫野村。人口300人にも満たないこの限界集落は、令和の現在も70余年前の呪縛を恐れていた。村人6人を惨殺した巌尾利兵衛の呪いにより、数年に一度、村にある鬼哭山から利兵衛の咆哮が轟き、村人を殺すというのだー。新型コロナ感染症でパニックに陥る最中、一人の男が東京から移住してきたことをきっかけに、呪いの犠牲者と思しき死者が出てしまい…。想像できない結末が読者を待つ本格伝奇推理!
シングルマザーのエメラルドは悩んでいた。幼い息子の父親に、子どもの存在を打ち明けるべきかを。何しろ、彼ーコスタンディンは一国の王なのだから。6年前、仕事先で知り合ったハンサムな王子との一夜限りの関係。妊娠に気づいたときにはコスタンディンは国王に即位し、王妃を迎えていた。けれど今、彼は離婚し、しかもエメラルドの昔の職場でパーティーを開くらしい。息子のことを伝えるなら今しかない!再会したコスタンディンは、さらに魅力的になっていた。冷静でいなければとわかっていても、ときめきを抑えられず…。
シドニーは30歳の誕生日に突然現れたハリールから求婚され、動転した。学生時代、彼とは固い友情で結ばれていた。引っ込み思案の彼女を異国の王子ハリールはいつも励まし、勇気づけてくれた。やがて感謝の想いは恋心へと変わり、5年前、王位継承のため帰国するハリールについに愛を告げた。だがなぜか彼は冷たく拒絶し、絶縁を言い渡して去ったのだ。まだあのときの傷さえ癒えていないのに…。シドニーは求婚を一蹴するが、2週間だけ滞在してはと誘われ、思わず心が揺れるーハリールの密かな企みにも気づかずに。
「きみは10万ドルで、バージンを売ったんだ」最愛の人から刃のような言葉と小切手を投げつけられ、レティは凍りついた。やはり彼は私を許してはいなかった…。10年前、彼女はギリシア富豪ダレイオスと駆け落ちを誓ったが、直前に反故にしたのだった。ずっと音信不通だった彼が突然現れ、夢にまで見た情熱の一夜を過ごしたというのに、こんな手ひどい仕打ちを受けるなんて。みじめに捨てられた貧しいレティは、数週間後、ダレイオスの子を身ごもったことに気づいた。この子を守りたい。あの日、彼を守ったようにーレティは真実を伝えるため、ダレイオスのもとへ向かった。
誕生日の夜、コルテスと名乗る黒髪の男性にひと目で惹かれ、純潔を捧げたエリン。だが翌朝、彼は消えていた。1年後、養父が亡くなり無一文になったエリンのもとに、コルテスが現れ、裕福なスペインの銀行家だと明かす。黒髪に黒い目、そして瞳には金色の斑点ー彼が消えたあと、必死に産み育ててきた息子ハリーと同じ。「あなたの子よ」溢れる想いとともに告げたエリンの言葉を、コルテスは信じないばかりか、彼女を金目当てと決めつけた。だが後日、DNA鑑定でハリーが我が子だと知るや彼は言った。「1000万ポンドで、息子の監護権を買いたい」
ブリストルはウェイトレスのアルバイトをしていたとき、精悍でセクシーな男性客クープことララミー・クーパーと恋に落ちた。たった3夜でも、彼と過ごした時間は一生忘れられない思い出となったが、赤ちゃんができたとわかって彼に送った手紙は戻ってきてしまった。彼女が衝撃の事実を耳にしたのは、それからしばらくしてからのこと。クープが任務中に死んだという悲しすぎる知らせだった…。3年後、ブリストルは天国の父にちなんでララミー・クーパーと名づけた幼い息子を育て、母である彼女自身も改姓してクーパーとなっていた。それで問題ないはずだったー死んだはずのクープが現れるまでは。彼は生きていた!そして言った。「きみはなぜ俺の姓を名乗っている?」
それはローナが新たな人生に踏み出した矢先の交通事故だった。子宮外妊娠で第一子を失い、すれ違いから夫ジェイムズとも別れて以来、いつか大切な命を産みたいと、おなかの痛みにも耐えてきた。10年が過ぎた今、ようやく子供をあきらめて手術を受ける決心をし、故郷を離れてロンドンで暮らそうとしていたところだったのだ。病院に運ばれ、病室で意識を取り戻した彼女の耳に懐かしい声が届く。「ローナ…」ああ、なんてこと。ここはジェイムズの病院!思わぬ再会後、やがて快復したローナは、彼と一緒に働くことになる。その前に過去のわだかまりを解くように、二人は一夜を共にした。ローナは彼の腕の中で、じきに手術で子を望めなくなる切なさに震えた。
派遣看護師のコンスタンシアは仕事先のオランダで、イエルン・ファン・デル・ヒーセンという医師と出会った。年上のドクターは優しく穏やかで、笑顔がすてきな男性だ。一緒にいると心が安らぎ、いつしか彼女は恋に落ちていた。人づてに聞いた話では、彼は決して裕福ではないようだけれど、コンスタンシアはむしろそのほうがいいと思っていた。これまでに会ったお金持ちは皆、心が貧しく不幸な人ばかりだった。お金なんてなくていい。ささやかな幸せのほうが大切なのだから、と。しかし、コンスタンシアはまだ知らなかった。まさかドクターが本当は、お金持ちの男爵だったとは…。
ジェイコブズビルの大企業で役員秘書の仕事を得たレスリー。人に言えない悲劇的な過去から逃れたくて、心機一転この町へ来たのに、大富豪社長マット・コールドウェルが彼女の前に立ちはだかる。前評判によると、気さくで感じがいいと言われていたマットはしかし、初対面から傲慢で、レスリーにつらく当たってばかり。ああ、彼は私の過去を知っているのかもしれない…。彼女は内心怯えるが、あるパーティでマットからダンスに誘われる。不思議なことにふたりの息はぴったりで、男性恐怖症にもかかわらずレスリーは彼と楽しく踊ることができたー過去の悲劇のせいで後遺症がある脚が、痛みに耐えられなくなるまでは。
『一夜の波紋』ティナはギリシア大富豪ニック・レアンドロスの妻になった。事故死した彼の異母弟の子を宿している彼女は、おなかの子にレアンドロス姓と安定した生活を与えるべきだと主張するニックに説得され、偽装結婚に踏みきったのだ。だがティナは苦しんでいた。決して愛されない名目だけの妻なのに、彼を愛してしまったことに気づいて。『プリンスにさらわれて』ある晩、帰宅した英語教師のプルーはハンサムな侵入者に遭遇する。彼の正体は、さる国の王位継承者カリム。プルーの教え子である妹が行方不明になり、手がかりを求めて彼女に会いに来たのだった。突然のことに困惑するプルーを、カリムは王になる者らしい尊大な口調で脅した。「一緒に来なければ、君は後悔することになる」『結婚はナポリで』母が死に際に詳細を明かした実の父に会うため、キャサリンはイタリアへ飛んだ。そこで出逢ったのは、父の若き友人でダビデ像のように美しい大富豪アレッサンドロ。彼は妻に先立たれて男手一つで息子を育て、もう結婚はしないつもりだった。そうとは知らない彼女は、父を待つ間、親切にしてくれる彼になす術なく惹かれていく。
『恋はあせらず』家政婦のケイトはいつか自分の店を開きたくて、雇い主のわがままや薄給に耐え、こつこつとお金を貯めていた。ある日、雇い主の甥で高名な医師ミスター・テイト=ブーヴァリと出逢い、ハンサムな彼に恋心を抱く。こんな人と結婚できたら…。叶うはずもない大それた願いをそっと胸の奥にしまった彼女に、思いもよらぬ不幸が起こる。不良集団に大事な給金を盗まれてしまったのだ!悲嘆に暮れるケイトを、ミスター・テイト=ブーヴァリが優しく慰めるが、彼女にはわかっていたーこれは単なる同情で、愛ゆえではないと。『独りぼっちのシンデレラ』両親を早くに亡くしたケルシーは夢をあきらめ、家事代行業で3人の弟を育てあげた。これからは自由を満喫し、自分らしく生きていくつもりだ。そこへ、悪名高きプレイボーイ大富豪のルークが仕事を頼んできた。男らしい魅力を放つ彼に、ケルシーはどぎまぎした。しかも、夢を書き連ねたリストを偶然彼に見られてしまうー“熱烈な情事を経験したい”と記したものを。ルークは目を輝かせてリゾートにケルシーを誘った。「熱烈なひとときなら、この僕にまかせてくれ」ケルシーにはとてもあらがえない、魅力的な提案だった。
空から吊り下げられた観音菩薩、死を看取る砂の凹み、崖の下に落っこちた名前、浴槽に横たわる見知らぬ女、落魄した天才詩人の告白、頭にこびりついて離れないメッセージ、在りし日の自分との邂逅…世界の無意識に出会うシュルレアリスム小説集。
自分の名前も覚えていない状況で、気付けば小さな妖精に転生していた『私』。記憶もあいまいで状況もよくわからないけれど、「ま、いっか」の一言で全てを受け入れた『私』は、成り行きで助けた王女さまについて行って大きな街“王都”にたどり着く。さっそく王都観光をしていると…。近くにいた人の傷が勝手に治っちゃったり、王宮のお風呂で泳いでいたらお湯が聖水に変わっちゃったり、ノリで下水を汚染していた原因を浄化しちゃったり、王女さまのペット?になっちゃったり。自由に活動しているだけなのに、王都の問題が次々と解決!?超ポジティブ思考の妖精さんがおくる、無自覚救国ファンタジー!!
魔法都市を後にしたレウス一行は、大陸の東側ー東方を目指すことに。道中、砂賊に襲われた王国を助けるなど、寄り道をしながら東方最大の国へたどり着く。そこは、カラクリと呼ばれる機械が普及し、かつてレウスが訪れたときから急激に発展を遂げていた。そんな中、レウス一行は爆乳サムライ少女・カレンと出会う。武者修行で都会に出てきたカレンは、些細な出来事がきっかけでレウスと行動を共にするが、彼女には何か深い事情があるようでー。
ノールVSゴーレム。そして最悪の敵…。シャウザがシレーヌに語った獣人・ミオ族の過去の悲劇。一方ノールは突如襲ってきたゴーレムの大群と戦うことに。さらに目の前に現れたのは最悪の敵だった!
ガイド役の天使を殴り倒したリンネは、隠しイベント“魔神バビロン降臨”を引き当てる。魔神より授かったのは、ユニークジョブ『死霊術師』。固有スキルでレアモンスターを仲間にし、サクサクと強化&進化。気づいたら世界を脅かすほどの最強パーティに!?裏イベントを次々に発見し、敵は圧倒的チームプレイで蹂躙する!無自覚に最前線を切り拓く災害級新人、爆誕!!WEB連載時より圧倒的人気を誇るトリップ・ファンタジー巨編、待望の書籍化。