2024年9月発売
北海道文学の神髄と始原が明らかになる。“挽歌”とは誰の死を悼むものだろうか。原田康子文学を「喪失の文学」「喪の文学」として捉えつつ、“挽歌”の歴史的な意義を明らかにし、喪失と成熟の枠組みから北海道文学の新たな構築を試みる。はたして北海道文学は可能であろうか。
あの瞳に射抜かれて、私は一億円盗んだ。感動の疾走エンタテインメント! 「ストラーダ、一緒に逃げよう」。共に駆けるだけで、目と目を合わせるだけで、私たちはわかり合える。造船所で働く事務員、瀬戸口優子は一頭の元競走馬と運命の出会いを果たす。情熱も金も、持てるすべてを「彼」に注ぎ込んだ優子が行きついた奈落とは? 言葉があふれる世界で、言葉のない愛を生きる。圧倒的長編小説!
公園で“笛吹き鬼”をして遊ぶ六人の少女たち。だが、奇妙な笛の音が鳴った時、一人、また一人と姿を消してしまう。数年後、事件の当事者で、ホラー作家となった背教聖衣子がこの事件を調べはじめると、眠っていた「笛吹き鬼」も蘇るー。禍々しい信仰が残る地で続く、奇っ怪な事件。
この喫茶店には死ににきたはずなのに、胸が躍るような予感がした。「やさしい死に方」を教えてくれるという喫茶店に集まった三人。「女」であることへの違和感を押し殺してきた沙保。ゲイであることを誰にも言えなかったミナト。そして、なぜここにいるのかわからないほど、自由に生きる律。奇妙な共同生活の中で、沙保はこれまでの「当たり前」から解き放たれてー。
大人だって道に迷う時あるよー。離婚を機に実家へ戻った詩織。彼女と息子・翔を支えるのは、折り合いの悪い母、寡黙な父、そして元夫と付き合い始めた親友だった。『あくてえ』で注目の著者、初の連作二篇!
22歳の初恋、永遠の2か月ー。高校も大学も中退したぼくは、カメラを手に都会の生き物を撮り歩いている。退屈な人と言われ続けた22年の人生は、少し生意気な明夜と出会い変わりはじめた。父親の不倫、姉の自殺未遂、そして「明夜には、もう係わらないでくれ」という男の出現。続発するトラブルに翻弄されながら真実に触れてゆく若者の2か月を鮮やかに描いた、純粋すぎるボーイミーツガール、群青色の秋。『ぼくと、ぼくらの夏』など、数々の傑作青春ミステリーを残し、惜しまれつつ亡くなった著者のリリカルな青春ストーリー、装いを新たに復刊。
豪華絢爛!大唐帝国を魔改造せよ。ラッパー李白が、怪獣パンダが、キチン質の李世民が、空海が、三蔵法師が大暴れ!日本と中国の8作家が織り成す、国境を越えた奇跡のアンソロジー。
2045年、国際独立市テラ・アマソナスの指導者チェリー・イグナシオが、軍事企業〈グッドフェローズ〉の捕虜を銃殺する。この虐殺をレポートしようとした迫田城兵は事実確認プラットフォームにより配信を拒否されてしまう。果たして人類に何が起こっているのか?
「老いぼれを燃やせ」-老人ホームで暮らすウィルマは視力が衰え、幻覚症状が現れていた。踊り騒ぐ小さな人の群れが見えるのだ。ある日、米国の老人ホーム連続放火事件の報せが入る。やがて彼女の施設も暴徒に取り囲まれ…。「アルフィンランド」-ファンタジー小説シリーズで成功を収めたコンスタンスは、かつて恋人に酷く裏切られた経験があった。そんな彼女が仕組む復讐とは?「蘇えりし者」「ダークレディ」とで三部作を成す。「岩のマットレス」-ヴァーナは退職後、北極圏クルーズ船で旅に出た。そこにいたのは、高校時代に彼女の人生を変えた男。これまで4人の夫を看取ってきた彼女は、ある計画を立て…。「フリーズドライ花婿」-インチキ骨董商のサムには妄想癖があった。自分が殺され女性医師に解剖されるところを思うと、心が癒やされるという。そんなサムがオークション用の倉庫で出くわしたものは?人間心理の闇を見つめ、痛いほど的確に、強烈なユーモアをもって描き出す9つの作品を所収。予言的ディストピア小説『侍女の物語』の著者による傑作短篇集!
1881年イギリス、エセックスのターングラス館で起こった毒殺事件。事件解明の鍵は、館に監禁された女性が持つ一冊の本にあるという。一方、1939年アメリカ、カリフォルニアでは推理作家が奇妙な死を遂げる。彼は、死ぬ間際に58年前の毒殺事件の物語を書いていた。
本を読み、人生を語る。 人が生のままの姿になり言葉が溢れだす。 そんな幸福な時間をぎゅっと閉じ込めたい、という願いが込められた物語です。 * 小樽の古民家カフェ「喫茶シトロン」には今日も老人たちが集まる。 月に一度の読書会〈坂の途中で本を読む会〉は今年で20年目を迎える。 最年長92歳、最年少78歳、平均年齢85歳の超高齢読書サークル。 それぞれに人の話を聞かないから予定は決まらないし、連絡は一度だけで伝わることもない。 持病の一つや二つは当たり前で、毎月集まれていることが奇跡的でもある。 なぜ老人たちは読書会を目指すのか。 読みが語りを生み、語りが人生を照らし出す。 幸福な時間が溢れだす、傑作読書会小説。 第一章 老人たちの読書会 第二章 いつかの手紙 第三章 ご返事ご無用 第四章 恋はいいぞ 第五章 冷麦の赤いの 第六章 一瞬、微かに 第七章 おぅい、おぅい
裕福な家庭で、何一つ不自由なく娘を育ててきた柳島由里枝。お金はなくても、愛と笑顔でいっぱいのシェアハウスで娘を育ててきた馬淵温子。ある日、一人の女性が自殺した。死んだのは自分の娘なのか。なぜ、死んだのか。違うなら自分の娘は、今どこにいるのか。警察にも、夫にも、パートナーにも相手にされない二人は、互いを嫌悪しながらも、娘たちの軌跡を辿り始める。人には言えない秘密をそれぞれ抱えながらー。
●山陰中央新報(2024年10月12日付)書評掲載(評者:新藤正春[山陰中央新報報道部]) ●東京新聞・中日新聞(2024年10月20日付)書評掲載(評者:細谷正充[書評家]) ●小説すばる(2024年11月号)書評掲載(評者:大矢博子[書評家]) ●日本経済新聞夕刊(2024年10月24日付)書評掲載(評者:東えりか[書評家]) 全てを奪われても、志を奪うことは誰にもできない。 いつか必ず、次の一里を行く者がある。 「この者は、〈またうど〉の者なりーー」 徳川家重の言葉を生涯大切にし続けた老中・田沼意次。 彼は本当に、賄賂にまみれた悪徳政治家だったのか? 【またうど】愚直なまでに正直なまことの者 全てを奪われても、志を奪うことは誰にもできない。 いつか必ず、次の一里を行く者がある。 財源としての年貢が限界を迎え、江戸税制の改革者として商人にも課税。 身分の低い者も実力さえあれば抜擢し、交易に役立つ俵物のため蝦夷地開発を決定。 前例や格式にとらわれず、卓見と奮迅の働きで日の本を支えた田沼意次は、 なぜ突如老中を罷免され領地を失ったのかーー。
パーティの仲間に裏切られ、崖から突き落とされた少年ソータ。辛くも一命を取り留めた彼は、崖下で一匹の子犬と出会う。ところがこの子犬、自らを「地獄の門番・ケルベロス」だと名乗る。子犬に促されるままに契約したソータは、小さな相棒を「ケル」と名付ける。さてこのケル、可愛い見た目に反して超強い。しかもケルによると、ソータの魔法はとんでもない力を秘めているという。そんなソータは自分を陥れたかつての仲間とダンジョン攻略勝負をすることになり…アルファポリス第4回次世代ファンタジーカップユニークキャラクター賞受賞!
ハイスペックな完璧家族の末姫に転生した魔力なしの落ちこぼれ、アナスタシア。使用人にも出来損ないと馬鹿にされる日々の中、家族ともっと仲良くしたいと考えた彼女は、誕生日プレゼントを贈ったり、勇気を出して話しかけたりと努力を重ね続ける。そんなある日、アナスタシアを転生させた女神から「世界を救う、誰にも内緒の使命」の話をされる。アナスタシアは女神の頼みを引き受けるも、実は密かに末姫を溺愛している家族は、彼女が危険な目に遭うのを全力で防ごうとしてきてー!?超過保護なハイスペ家族の目をかいくぐり世界を救う、秘密だらけの愛されファンタジー開幕!
銀髪に青翡翠の瞳、人形のような愛らしい幼女の体で、ユリウス帝は目覚めた。数え切れぬほどの屍を積み上げ、冷酷皇帝として畏れられながら大陸の覇者となったユリウス。だが気が付けば、病弱な貴族令嬢に転生していたのだ。ユーリと名を変え外の世界に飛び出すと、なんとそこは自身が統治していた時代から数百年後の帝国であった。争いのない平和な日常がある一方、貧困や疫病、それらを利用する悪党共は絶えない。「臭いぞ。ゴミの臭いがプンプンする」皇帝の力と威厳をその身に宿す幼女が、帝国を汚す悪を打ち払うー!
異世界に飛ばされたカズマ・ナカミチは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするチート能力を持っていた。おかげで、見知らぬ地での生活も苦労することなく楽しめている。王女アリアスの命を狙ったゼークル伯爵を捕縛すべく、彼の館に侵入したカズマとその仲間たち。中には警備兵が大勢おり、しかも凄腕の用心棒までいた。しかしカズマの圧倒的な戦闘力は、彼らをものともせずー。