2025年6月発売
「見えないものを大切にする すべての人」に読んでほしい物語。 この物語は、病気で苦しむ友人のために書き始められました。気がつくと、作者自身も主人公の風(ふう)くんの存在に癒され、力をもらい、読み返すたびに新たな気づきを与えてくれます。 風くんの風は、いたいたいと泣く子供の痛み、親に叱られた男の子の心の痛み、誰にも言えずに心に重荷を抱えた若者の苦しみにも、そっと寄り添い風を送ります。 時には、嘘の痛みを本物の痛みに変えてしまうことも。 病気と闘う女の子に希望を届け、巣から飛び立つ勇気が出ないひな鳥に飛び立つ勇気を与えたり...。 日常の中に根付く小さな「喜びのタネ」を見つけたりと、風くんが見つめる世界はやさしさと希望に満ちています。 一.風くん参上 .......... 5 二.ほんものとうそっこ …… 11 三.風くんのこと ……… 17 四.どうしよう! ……… 23 五.こころの声 ………… 29 六.不思議なおじいさん ……… 39 七.さあ飛び立とう ………… 47 八.よろこびのタネ ………… 55 九.窓を開けて ……………… 63 十.見えない仕事 ……………… 73 あとがきに代えて ...................... 82
小雨降る4月の晩、作家・舟倉按は知己の編集者から『文学的自叙傳』の執筆を依頼される。実家の焼失、父の失踪、震災。巡る記憶の果て、その「マイ・ブック」はloueを語りうるのか? たくらみと愛にあふれる、芥川賞受賞第1作!
主要な土地にあるがゆえ、北条家と上杉家から度重なる攻撃を受ける唐沢山城。民を戦火から守るため、城主である佐野昌綱が採った戦略は「降伏」だった! 戦況に応じて北条と上杉に交互に降りながら戦国を生き抜いた傑物を描く歴史小説。
己をさらけ出し、戦え。 大切な人のため、譲れない想いのために。 〈決闘者〉。それは魔力を糧に己の望む力を手に入れられる〈マスカレイド〉という技術を以て戦う者たち。 時には国の利権を賭け、時には戦う術を持たない者の代理人として、そして時には己の信念と名誉のために。 毎年多くの若者が決闘者になることを夢見て、『国立決闘学園』の門戸を叩く。 新入生の中で最大の魔力量判定を受けた翠川鳴輝(みどりかわなるき)は、入学式当日のお披露目会にて、人生初のマスカレイドを発動するのだがーー。 「俺の美しい体を観客に見せつければいいんだな!」 「マスカレイドを解除しろって言っているんだよ! この痴女がぁ!!」 全裸の美女になっていた。 決闘者の頂を目指す少年少女たちの学園生活が幕を開ける!! プロローグ 第一章 入学式 第二章 マスカレイドの授業 第三章 休日を使った準備 第四章 譲れないものを賭けた決闘 エピローグ 書き下ろしSS
ーー自分は一度死んでいる。 俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公ーー札月沖長(ふだつきおきなが)。 よくある最強&チート能力をもらい、異世界無双ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、ある二つの能力を望んだ。 【寿命を全うできるような丈夫な身体】 【アイテムボックス】 しかしこの二つ、神がどう解釈をしたのか、特にアイテムボックスについてはあまりにもバグっている能力を有していてーー。 一方、自分以外にも子どもとして転生した者たちの存在が。 しかもそいつらは、唯一原作を知らなかった沖長を「イレギュラー」だの「踏み台だ」などと言ってくる。 これは現代ファンタジー世界に転生することになった男が、世界の真実に迫りながらもマイペースに生きる物語である。 プロローグ 【原初】 第一章 転生と特典と 第二章 新たな転生者 第三章 原作の始まり 第四章 運命の変革 エピローグ
愛、笑顔、言葉、夢など、この世界には数えきれないほどの「贈りもの」があります。 そして、その一つひとつには、たったひとりだけ、『贈り師』と呼ばれる者が存在します。 彼らの報酬は金銭ではありません。贈り師が贈ったものを依頼主が使うことにより初めて生まれる、その「意味の重さ」に応じて、ある特別な形で支払われるのです。 もし、その贈りものが相手の人生に深く影響を与えた場合、その代償もまた、大きくなるーー。 それでも人は、愛する人を救うために、臆することなく求めていきます。 これは、そんな「言葉」の「贈り師」が、自ら選び取ったさまざまな人生の悩みに寄り添い、「言葉」という贈りもので人々の未来を変えていく物語です。
〈「いったいあんたはんは誰のために、なんのために菓子をこしらえたはるんや」〉 〈第四回京都文学賞「一般部門優秀賞」「読者選考委員賞」ダブル受賞作品(原題『一菓』)。〉 大学を卒業し、とくに夢や目標があるわけではなく毎日を過ごしていた主人公の雄司。ところが偶然に入った和菓子屋「洛中甘匠庵」で目にした「求む、菓子職人」の貼紙をきっかけに、京都島原の有名和菓子店で修業を始める。一年後に後継者を決めるという。腕は一流だが昔気質で頑固な大将との衝突、他の職人との争い、地域の人々や店の仲間たちとの交流を通し、職人として成長していくが、やがて大将の体調にも変化が……。菓子職人としての覚悟、伝統を受け渡す者と受け取る者の想いを描き出す。 第四回京都文学賞「一般部門優秀賞」「読者選考委員賞」ダブル受賞作品。
[About the Book] ー From Flash Fiction to Novellas, Delightfully Unexpected Stories Await - Why is it that a stopped wristwatch causes no issue, but when Dr. Kenzo wears a functioning one, he breaks out in hives all over his body? He dubs the mysterious condition “time allergy.” Hoping to use this strange discovery to win the heart of the woman he loves, Kenzo embarks on an unconventional journey-only to be met with an astonishing twist of fate. This collection features curious, eerie, and sometimes humorous sci-fi mysteries, including Time Machine, a tragicomedy about a doctor who learns to manipulate the flow of time, and The Bath, a tale about a man with an intense aversion to hot water and dryness who ends up dying under suspicious circumstances. [Table of Contents] Traffic Paralysis One Fiftieth Bath Cocktail Bar Jack-of-All-Trades The Monkey-Crab Battle Side Effects The Song of Playing Human Registered Human Strain No. HS-101 A Toast with Mokaar! Salute to the Insects Time Machine Murder Gene Help Meeee! IQ Fairy Tale List of Published Magazines Author Introduction [Editor’s Comment] The author of this collection is a medical doctor, and that unique perspective shines through in several stories set within the world of medicine-stories that defy our expectations and stretch the limits of imagination. For those tired of the mundane and craving something stimulating, this book offers an escape into a world of strange and thrilling tales. [Author Introduction] Yuzo Kawashima Real name: Yūzō Kawashima. Doctor of Medicine. Born in 1933 in Kōchi City. Graduated from Kobe University in 1957. Completed graduate studies at Purdue University in the U.S. in 1966. Since 1962, has participated in the SF fanzine Uchūjin (until 2013). His other works include Warau Juseiran (Laughing Embryo), Ansatsu Dōwa (Assassination Fairy Tale), and Amerika kara Kita Akachan (The Baby from America).
世界文学になった村上春樹『海辺のカフカ』を知るための最新の案内書 高松在住の著者が、「海辺のカフカ」の中に出てくる高松のあちこちを訪ね歩き、なぜ村上が、高松を小説の舞台に選んだのかについて考察をしたものである。 なぜカフカ少年は四国の高松に向かったのだろうか。 カフカ少年が行った図書館、うどん屋、神社、ホテルはどこか? 高松で出会った美しい女性は、カフカ少年の母親なのだろうか? 21世紀も人間は「悪』を繰り返すのだろうか? はじめに 第1章 世界文学になった「海辺のカフカ」 第2章 日本の作家イメージを大きく変えた村上春樹 1 早寝早起き 2 マラソンランナー 3 文学賞の選考委員にならない 4 純文学とポップ・カルチャーの境界をなくした 5 公共の場に出ない 6 海外市場で大成功を収めた 7 アメリカ文学を血肉としている 第3章 村上春樹の精神形成をたどる 1 小学校低学年の頃 2 十代の頃 3 中学二年の頃 4 15歳の頃 5 大学生の頃 6 ジャズクラブを経営していた頃 7 デビューした頃 第4章 登場人物たち 1 田村カフカ 1の2 カラスと呼ばれる少年 2 ナカタサトル 3 佐伯さん 4 星野青年 5 大島さん 6 さくら 7 田村浩一 8 ジョニー・ウォーカー 9 カーネル・サンダーズ 10 岡持節子 11 ネコたち 第5章 時代背景について 1 地下鉄サリン事件 2 神戸連続児童殺傷事件 第6章 物語の基本構造 1 『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』との関係 2 フランツ・カフカ 3 オイディプス神話 第7章 作風の転換と継承 1 文壇での孤立 2 自我のすっ飛ばし 3 デタッチメントからコミットメントへ 4 三人称を使った最初の長編 5 変らぬ「謎めいた物語」 6 音楽の多用 第8章 これまでの主な作品論 沼野充義/河合隼雄/加藤典洋/小森陽一/黒古一夫/川村湊 児童文学としての「海辺のカフカ」 第9章 なぜ高松へ行くのか 1 讃岐と村上春樹 2 『雨月物語』との関係 3 大江健三郎との関係 第10章 高松のどこが出てくるか 図書館/神社/神社の橋/神社の洗面所/小さな祠/コンビニ/うどん屋 ビジネスホテル/体育館 第11章 父の呪いと村上春樹 第12章 ビルドゥングス・ロマン(成長物語)としての「海辺のカフカ」 第13章 「悪」について 第14章 カフカ少年の本名は? あとがきーーノーベル文学賞の可能性 引用・参考文献
婚約者に縛られるのは、もうおしまい。 私の人生、自由に生きます! メリアム侯爵家の令嬢クラリッサは、婚約者のライアンから醜い目だと言われて以来、いつも前髪で顔を隠しながら過ごしている。そのため社交界では「灰かぶり令嬢」と呼ばれ蔑まれていた。 そんなある日、クラリッサはライアンと王家主催のパーティーに参加する。いつも通りクラリッサをほったらかしてほかの参加者と談笑しているライアンから離れて廊下に出たところ、見知らぬ青年がうずくまっているのを見つける。クラリッサが心配して介抱すると、青年からいたく感謝される。 数日後、クラリッサの元になぜか王家からの使者がやってくる。王城へ向かったクラリッサを待っていたのは、第一王子のルーカスだった。
純文学作家・小林信彦の原点 初期傑作長篇三作を一挙集成 1960年初頭の東京を舞台にマスコミ・文壇で蠢く知的俗物たちの生態を強烈な毒を孕んだカリカチュアで描くデビュー長篇『虚栄の市』、少年期の壮絶な集団疎開体験を基にして書かれた〈戦闘シーンのない戦争文学〉の傑作『冬の神話』、そして著者自ら封印し〈幻の純文学作品〉として長らく入手困難になっていた異色の悪漢小説(ピカレスク・ロマン)『汚れた土地』--純文学作家・小林信彦の原点となる初期長篇三作を貴重な単行本版で集成。 *解題=高崎俊夫 装幀=大久保伸子 装画=小林泰彦 *特別収録 ・『虚栄の市』跋文=山川方夫 文庫版解説=小野二郎 ・『汚れた土地』書評=澁澤龍彦 ・『冬の神話』文庫版解説=山田智彦 ・ 小林信彦『虚栄の市』日記(単行本初収録)
飾り職人の夫・新吉が帰ってこないーー。不安に駆られたおいちだったが、新吉は朝になって、何事もなかったかのように家に戻ってきた。 しかし、新吉が言付けを頼んだ職人らしき人物が、菖蒲長屋近くで殺されていたことが判明する。しかもその懐には、きれいなビードロの風鈴がしのばせてあった。 おいちは、身重であることも忘れ、岡っ引の仙五朗とともに、事件の解明に乗り出す。 そんな折、おいちは石渡塾で共に学ぶ和江が、血飛沫を浴びたかのように紅く染まった幻を見てしまう。これは何かの予兆なのか。おいちは忍び寄る禍々しい気配に身をすくませる。 シリーズ累計46万部突破! 仕事も家庭も大事にしたい娘の奮闘と成長を描いた青春「時代」ミステリー第七弾!
【概要】 魑魅魍魎、夢幻泡影、奇々怪々! 幽霊譚から変身物語、異界訪問からファム・ファタルまで、六朝より中国に脈々と受け継がれてきた超現実的な怪奇・幻想小説の代表作26篇を収録。 【目次】 六朝 王女の贈り物 おんぶ幽霊 桃花源 地獄の沙汰も「腕輪」次第 常春の異界 白粉を売る女 籠のなかの小宇宙 唐代 枕中記 美女になった狐 離魂記 宋代 居酒屋の娘 徐信の妻 伊陽の古瓶 京娘の墓 明代 牡丹灯籠 死が二人を分かつとも 白娘子 永えに雷峰塔に鎮めらるること 清代 無双の牡丹 菊を育てる姉弟 義牛の復讐 胡求 鬼の球と為りしこと 鳳凰山 崩れしこと 不思議な恋人たち 人形の怪 欲望の悪夢 少女軽業師の恋 あとがき 初出一覧 六朝 王女の贈り物 おんぶ幽霊 桃花源 地獄の沙汰も「腕輪」次第 常春の異界 白粉を売る女 籠のなかの小宇宙 唐代 枕中記 美女になった狐 離魂記 宋代 居酒屋の娘 徐信の妻 伊陽の古瓶 京娘の墓 明代 牡丹灯籠 死が二人を分かつとも 白娘子 永えに雷峰塔に鎮めらるること 清代 無双の牡丹 菊を育てる姉弟 義牛の復讐 胡求 鬼の球と為りしこと 鳳凰山 崩れしこと 不思議な恋人たち 人形の怪 欲望の悪夢 少女軽業師の恋 あとがき 初出一覧
「あるときは片目の運転手、あるときはマドロス、またあるときはインドの魔術師・・・・・・」という片岡千恵蔵演ずる多羅尾伴内の名セリフのように、私はある時は【唯一者とその所有】をマックス・スティルナーの、ある時は【アッシャー家の崩壊】、【ウィリアム・ウィルソン】をエドガー・アラン・ポーの、またある時は【夜明け前】を島崎藤村の身になって考えてみた。 スティルナーとポーは横浜市立大学教養部の頃、出遭った。島崎藤村との出会いはずっと後のことである。三者は直接的な関連性は持っていないが、私の読書遍歴の中で強烈な印象を与えた、哲学者、怪奇小説作家、小説家であり、今以て彼らの作品は私の脳裡に巣くっている。私は精神病理学を基盤として三者を即興的に絡ませることで、何か新しい世界が拓けるのではないかと試みた訳である。
沈(シェン)殿下の屋敷には、死亡したと噂される隣国の王太子が囚われていた。彼を幽閉していたのは、雨妹(ユイメイ)たちを温かく迎え入れてくれたリフィ!? なんと、彼女は元々一国の姫で、王太子の婚約者なのであった。諍いの種を他国に逃がしたいと雨妹に助力を求めた沈殿下だったが、そのためには王太子と姫のこじれた関係を修復する必要があり……!? 過去に囚われた姫を「憐れみの病」から救うため雨妹出動! 迷子だった二人の新たな門出を後押しします!
書き下ろし短編「美味しい琥珀色」「秀玲(シォウリン)の婚活大作戦」の2本が収録された48P小説小冊子付き! 立勇(リーヨン)の母・秀玲、そして本編ではあまり語られていない明賢(メイシェン)の母の過去が明らかに! ▼12巻あらすじ▼ 沈(シェン)殿下の屋敷には、死亡したと噂される隣国の王子が囚われていた。彼を幽閉していたのは、雨妹(ユイメイ)たちを温かく迎え入れてくれたリフィ!? 王子と姫のこじれた関係を修復するにはそれぞれの問題解決が必要で……。 過去に囚われた姫を「憐れみの病」から救い出すため、雨妹出動!
ラクサリア王国の浄化を終え世界を救う旅を始めたハルカ。 そんなハルカのため、そして世界のため聖女送還と瘴気溜まり対策の研究を続けるマルティナの下に、異国の古代遺跡にその手がかりがあるかもしれないという情報が届く。 絶対に迷い奥にたどり着けないという古代遺跡の謎の解明のため、知識と記憶力を買われて調査団の一員に抜擢され、遺跡のあるハーディ王国へと赴いたマルティナだったが、遺跡探索の前にまずは解決すべき問題が立ちはだかり……!? 書き下ろし【番外編 エマからの礼】も収録!