小説むすび | 2025年発売

2025年発売

たわけ本屋一代記 蔦屋重三郎たわけ本屋一代記 蔦屋重三郎

出版社

日刊現代

発売日

2025年1月31日 発売

遊廓街・吉原で育ち、小さな貸本屋を開業……。やがて歌麿、北斎、写楽、曲亭馬琴、十返舎一九らを発掘し超人気作家に育て上げる。文化の担い手を「武士や豪商」などの富裕層から「庶民」へとひっくり返し、幕府による弾圧にも「笑い」で対抗。江戸庶民は彼を「蔦(つた)重(じゅう)」と呼び、喝采を浴びせた。その鋭敏な感性、書き手を虜にする人間性、したたかな反骨精神を描く蔦重本の決定版! 江戸を文化的に豊かにしただけでなく、今のポップカルチャーの基礎をつくった人だと思っています。 ーーーNHK大河ドラマ『べらぼう 蔦重栄華乃夢噺』主演・横浜流星(日刊ゲンダイ2025年新春特別号インタビューより) 〈寛政の改革の嵐は蔦重の家財半分をさらう、そのときお江戸はーーー〉  日本橋と吉原の耕書堂は雨戸を固く閉ざしている。大戸には「負けるな」「一日も早い再開を」「戯家(たわけ)の灯を消すな」と励ましの落書の数々。雨風が叩きつけても消えそうにない。  本屋の裏口、長身の老人が身を滑らせるように入っていく。叔父の利兵衛だ。 「お前という子は幼い頃から偉そうな御仁が大嫌い」  初志貫徹は立派なこと。ヘンな褒め方をしてから叔父は真顔になった。 「奉公人や彫師、摺師に迷惑をかけられない。銭なら融通するからいっておくれ」  蔦重、ゆっくり首を振る。横のとせが背筋を伸ばした。 「お舅(とう)とうさん心配をおかけします。でも、あたしの蓄えが少々」  夫婦が見交わす眼と眼、舅(しゅうと)は頼もしそうにいった。 「ずいぶんと綜(へ)麻(そ)繰(く)ったもんだ。さすがはおとせ、感心感心」  叔父は店の落書のことをひとくさり。そして重三郎、とせを見据えた。 「こんなことで負けちゃいけない。戯家の本屋が変じて反骨の本屋。江戸の期待は大きいよ」 (第七章「不惑」より) 出版王の反骨精神はいかにして生まれ、散っていったのか。生き別れた両親、花魁への初恋、波乱万丈の人生を支えた妻・とせによる内助の功など、稀代の本屋の知られざる一面を描き出す感動の長編小説。

昔滅びた魔王城で拾った犬は、実は伝説の魔獣でした 〜隠れ最強職《羊飼い》な貴族の三男坊、いずれ、百魔獣の王となる〜昔滅びた魔王城で拾った犬は、実は伝説の魔獣でした 〜隠れ最強職《羊飼い》な貴族の三男坊、いずれ、百魔獣の王となる〜

元魔王城で子犬を拾った日から、平凡な《羊飼い》の人生は大きく変わったーー。 滅びた魔王城の跡地を領地として持つ貴族の三男アルトは、10歳になった時《羊飼い》の職を得た。 レベルも上がり辛く弱い職業だとされる《羊飼い》。だが、あくまでレベルの上がってない状態の話だ。 アルトはある日、自らが開墾する魔王城で小さな犬を拾い、助けた。 伝説の魔獣と知らずに助けたその日から、アルトの《羊飼い》としてのレベルは爆速で上がっていく! 知らない内にアルトは常識とはかけ離れた、規格外の羊飼いになったのだ。 規格外の力と共にアルトは魔王城を開拓し、スライムの大群や、風の精霊、ユニークで強力な魔獣を家族として迎え入れ。自分も家族も絶対に飢えさせないために、様々な作物を育て、豊穣の王へと成り上がる! 隠れ最強な《羊飼い》と伝説の牧羊魔獣が贈る、『開拓グルメファンタジー』第一弾!

『水滸伝』と金聖嘆『水滸伝』と金聖嘆

出版社

読書人

発売日

2025年1月31日 発売

ジャンル

明末清初の中国に、途方もない批評家が現れた! 金聖嘆ーーその無謀で繊細なフォルマリズムに導かれ『水滸伝』を読み解き、導き手に肉薄して、小説批評の起源と変奏を描破する。著者が生死を賭けて文学=批評の根源へ挑む絶後の達成。 《荘子》《離騒》《史記》《杜(甫)詩》、小説《水滸伝》、戯曲《西廂記》を〈六才子書〉と呼び論じた、文芸批評家・金聖嘆。その金聖嘆が、元々120回だった《水滸伝》を70回にまで削った「70回本」は、後世にも大きな影響を与えた。金聖嘆の『水滸伝』読解法をもとに、さらに本作を精緻に読み込んでいく。それに加えて、『水滸伝』から派生した『金瓶梅』を同様に分析。日本の文芸評論の世界に、新たな地平を切り開く一冊。 序文 「解剖学」と「愛」にむけて 第一章 好漢たちの「注定(さだめ)」  第二章 作品は誰のものか? 《水滸》是因文生事︱金聖嘆 第三章 聖嘆批評の「モダニティ」  第四章 亜流論ー『金瓶梅』と張竹坡  付章 『水滸伝』「読法」についてー「文法十五則」  主要引用(参考)文献一覧  あとがきー「私情」の方法化

猫がこっちを見る理由猫がこっちを見る理由

出版社

KADOKAWA

発売日

2025年2月3日 発売

お風呂から出た私は、冷凍庫から「冷凍果実シリーズ 完熟キウイバー」を選ぶと、ドラマを見るためにソファへと座った。 そこには飼い猫のキジトラミックス・マルが、名前通り文字通り、丸くなって眠っている。 ドラマには犬系彼氏やキツネ系イケメン俳優が出ており、画面から目が離せずにいると、気づけばマルがじっとこっちを見つめてきて……。(「ヘアゴム」より)  彼女は予告なしに猫を連れてやってきた。今から数日、猫を預かって欲しい、と。 だけど僕には問題がいくつかあった。まずは、僕が猫アレルギーだということ。案の定くしゃみが止まらない。 そしてもう一つの問題、それは彼女と言っているが、既に一度振られていて彼女ではないということだーー。(「彼女と猫」より)  茶トラのミックスのぷっぷは、いつも「にゃっ」と従順で嫌な顔一つを見せずにこちらを見つめてくる。 けれど初対面の人に会った後は、愛想笑いの裏で相当気を遣うのか、部屋の隅でこっそり吐く。 まさにストレス社会に生きるサラリーマンのようでーー。(「好きなもの、嫌いなもの」より) ほか、猫たちがまるで「見て見て!」と言っているような、恋愛やホラーにSFなど様々な物語が紡がれた短編集が、たっぷり41話収録! 猫大満足の一冊にゃ! ヘアゴム・・・7 彼女と猫・・・17 人間みたいな名前の猫・・・25 新しい名前・・・30 好きなもの。嫌いなもの。・・・37 飼い犬に見られる・・・43 瞳の先に・・・49 なくしたと思っていた照明のリモコン・・・55 睨み合い・・・63 黒橡色の目・・・71 お尻ふりふり・・・77 ぶっきらぼうな部長に物議を醸す・・・81 透明な世界・・・89 私のしごと・・・97 全人類■■■■■■■監視化計画・・・103 リリーの喉に・・・108 タペタムのペンダント・・・116 猫だけが見ていた・・・124 猫をじっと見る・・・130 染み・・・134 孤独のワンルーム・・・141 店先で・・・152 彼女と猫、と僕・・・157 死神の使い・・・165 猫まわし・・・173 とある大学生たちの会話・・・183 猫屋敷・・・189 ブサカワ猫の小さい目・・・197 もしもあたしが猫だったのなら・・・204 羨ましい限りです。・・・210 その瞳で見てきた全てのものに・・・215 街のヒーロー・・・225 たった三年で・・・234 気になる・・・240 都市伝説『猫被村』に迫る!・・・245 短い揺れ・・・254 ネコ失踪事件・・・257 第二児童公園の集会・・・267 窓辺に・・・273 綿毛・・・279 活字の国のダイナ・・・284

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