制作・出演 : スティーヴ・スワロー
21世紀に入りクラブ関連で着目、再評価されているノルウェーのジャズ・シンガーの、74年作品の紙ジャケCD化。スティーヴ・キューン・トリオとともにサンバをジャズ展開している「RAINDROPS,RAINDROPS」「HOLD OUT YOUR HAND」、一方でジョニ・ミッチェルの「ALL I WANT」ではジャズへの拘りのなさも感じさせる。
スティーヴ・キューンがフュージョンに挑んだ71年の作品『Steve Kuhn』(Budda)の初CD化。73年録音の同タイプの未発表曲である9〜14曲目を追加。キューンはキーボードとピアノを演奏、ヴォーカルも披露。フリー・ジャズの要素も交え、混迷の時代を反映した多彩な内容。
マイルス・デイビス、スタン・ゲッツのバンドから離れ、独り立ちしたチック・コリアのデビュー作。他のメンバーもチックの意気に感じたのか、時代の躍動に突き動かされるように、自分たちの新しいジャズを創造しようという意欲、情熱が演奏に脈打っている。
68年2月のライヴ初CD化。ラリー・コリエルはノイズ掛かったギターを弾くが、当然グループはまだロックとの融合・折衷に至る過程にある。この当時の聴衆の耳にはどう響いたか。彼らが目指した革新性はジャケットのデザインに現れているようでもある。
ヒッピー文化隆盛の時代はロックが力を持っていた。そんな時代に生まれた本作に当時のロックの鋭さを身につけていたコリエルが参加したことの意味は大きい。といっても本作はジャズ・ロックではなく、自由な精神が躍動する“新しい”ジャズだ。彼の参加で音楽の自由度が増したのだ。★
“室内楽”でチクリ遊んだ後はしっぽりとデュオでお楽しみ。例によってウデや音そのものではなくプロットや展開のウィットで楽しませる。少々笑いの毒が小市民的にマイルドになったキライはあるが、聴き入れば心地よさがむず痒くなりやっぱりゴキゲン。
意外なことにこの3人が顔を合わせたのは本作が初めて。現在もっとも精力的な活動をおこなうプレイが、お互いを知り尽くした仲間と既成の音楽観にとらわれることなく斬新な演奏を繰り広げる。その新鮮な感動は、真の美しさを感じさせる。