ジャンル : クラシック > 協奏曲
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キングレコード株式会社デッカ盤でも名演として語り継がれている二曲だが、本作は、いずれもザルツブルク音楽祭でのライヴ収録。最晩年のブラームスと、円熟の極みといっていいモーツァルトが聴ける。ベームの指揮、VPOの伴奏も素晴らしいものだ。
当セットはシューマン自身のみならず、彼が補筆・編曲で協力したクララやヘンゼルトの作品も収めた好企画。世界初録音もいくつか含む。ヴィノクールは制作に当たり、既出の出版譜の検討から、さらには自ら補筆完成まで携わった。たとえば有名なピアノ協奏曲のもととなった「幻想曲」は、自筆譜から校訂。それゆえ、流通しているEulenburg社のスコアとは異なる箇所が多々ある。演奏はどれもシューマンの語法とムードの双方を大切にしていて好感度大。パターン楽句が多用されつつも、シューマンらしい香気がむせ返るニ短調の協奏曲断章など、ファンにはたまらない。★
安永徹がコンマス席からオーケストラ・アンサンブル金沢をリードした演奏会のライヴ。ショスタコーヴィチでは市野あゆみの軽快なピアノが聴ける。ハイドンでは安永もソロを披露し、メンバーとアンサンブルを楽しむ。そして丁寧に作られたシューベルト。
ルプーの繊細な感受性によって、この曲の抒情性と古典的な均整美が磨きあげられ前面に出ている演奏として話題となった一枚。デ・ワールト、ロンドン・フィルも、ルプーの資質を活かした演奏をしている。
ハーンのルーツ(カーティス音楽院)繋がりのカップリングは意外ながら大いに楽しめる。米加の主要オケが共同委嘱した作品がリヴァプールで録音された経緯は不明なれど、出来上がった音(演奏)は深い。DGのリリースながらアビーロードのスタッフが加わって、すっきり見通し良い録音に仕上がった。★
ガヴリリュクがプロコフィエフのピアノ協奏曲全集の録音をスタート。その第1弾。明晰なテクニック、キレのよいリズム、洗練された音色は、プロコフィエフにぴったりだ。これらの作品を知り尽くしているアシュケナージの好サポートにも注目。
ヴォルフ=フェラーリの協奏曲とは珍しい。オペラで名を成した人だけあって、美しい歌にあふれていて、しかもヴァイオリンの聴かせどころもそつなく盛り込んだなかなかいい曲だ。どうして、こんな曲がほとんど忘れられていたのだろう。川畠は、ちょっと線は細いが、なかなか気品がある。
いくら思い入れの強い曲といっても、あまりに濃厚にやられては、聴き手も疲れる。清水はそのあたりを十分に踏まえ、眼も覚めるような技巧を駆使しながらも、努めて客観的に弾き、かえってこの協奏曲の化物じみた凄みを浮き立たせる。指揮も好演だ。
ガベッタの6作目。メインのエルガーは美しく柔軟に歌っており、雰囲気豊かな伴奏と非常にうまく溶け合っている。そのあとのエルガーの小品もいいが、ドヴォルザークの2曲が秀逸。唯一毛色の変わったヴァスクス、歌っているのはガベッタ自身とのこと。