音楽むすび | 発売元 : 株式会社ミディ

ムーンライダーズのドラマーが83年に発表したソロ第1弾。矢野顕子とのデュエットで聴かせる(5)などを中心に、ミュージカル的な味わいもある(6)など、映画的な情景をイメージさせるロマンチシズムとペシミズムをたたえた世界は、彼の独壇場といえる。

前作『ニュー・ムーン』でワールド・ミュージックへの歩み寄りをみせ、新境地を開いた大貫妙子。本作は、オリジナル・アルバム未収録7曲を含むベスト盤。(5)や(12)をはじめ、聴いてすぐに口ずさめる曲が多いのが彼女の魅力だ。名曲(9)が入っているのも嬉しい。

淡ーい情緒の中から浮び上がってくる、ぼーとした感情を意図的に殺したような歌や、浮遊してるようなメロディや、言葉や楽器音のアクセント。主役はモデルとか。カタカナ職業に憧れている人のための音楽、なんて副題がつきそうな作りですね、コレ。

通算12枚目になるが、相変わらず、彼が見つけてくる言葉は自由自在に“世界”をつくり、壊し、聴き手の心を混乱させ安心させる。内側へ内側へと切り込んでいくことで、ついに、無限の広さの世界を得ることができたのだ、そこで、彼は永遠のホーボーとしてうたう。