1998年11月発売
海外からのアーティストが来日するとき、こうやって思いもかけなかったアルバムが、来日を記念してCD化されることがあるから楽しい。再編成後も絶好調のMFQが、63年と64年に発表した1作目、2作目のCD化で、そのコーラスはいまだにフレッシュだ。
フュージョン界だけでなくビョークのリミックスなどでも活躍するブラジル出身のキーボード奏者の80年のアルバムを初体験。何とディスコ・サウンドで、手拍子なんかもしっかり入っている。女性のいちゃつく裏ジャケットも含め遊び心が微笑ましい。
デオダートのワーナー・ブラザーズでの2作が、世界に先駆けてCD化された。自身のクロスオーバー感覚を時代の変化に応じて華麗に変身させてみせた時期のことで、こちらは、『ナイト・クルーザー』よりもさらにファンキーに迫った82年の作品だ。
トミー・ドーシー楽団専属のコーラス・グループ、パイド・パイパーズの元メンバー=ジョー・スタッフォードがかつてのボスをしのんで、ドーシー時代の曲をまとめて歌った63年の作品。アレンジはネルソン・リドル、ビリー・メイ、ベニー・カーター。
フランス三人組ユニットの通算6枚目。生演奏を試みたり、生っぽいグルーヴを意識した打ち込みを取り入れたり、以前の無機的なハウス・ビートからの脱却を図っている。ナデージュ・セリエの歌にも生身の人間らしい感情の起伏が加味されたようだ。
ゴスペル/R&Bのシンガー、グループによるクリスマス・ソングのコンピ。90年代作が多いが、60年代の(7)も含み、またトラッドも自作もありでバラエティ豊か。自作の(3)や(11)は秀作。平均的日本人がもつクリスマスのイメージにもっとも合うのは(1)だろう。
あまり最先端すぎて、ポピュラリティよりその才女面ばかり強調され、音楽ファンよりも、若手ブンカ人にもてはやされているのが現状。単純にポピュラー・ミュージックのニュー・ウエイヴとして聴いてみればそのシンプルな美しさが感じられるだろう。
フィリップ・グラスの初期の作品(1968-74)を集めている。ここに収められているグラスのエレクトリック・オルガンを使ったミニマル・ミュージックはどれも15分を超え、正直言って、退屈してしまう。この退屈さこそが伝統的な聴習慣への挑発なのだろう。
制作・出演
J.S.バッハ / アムステルダム・バロック合唱団 / アムステルダム・バロック管弦楽団 / エリーザベト・フォン・マグヌス / クラウス・メルテンス / ゲルト・テュルク他 / トン・コープマン / ボーニャ・バルトズ / リサ・ラーションバッハのライプツィヒ時代初期の生気あふれる傑作のカップリングで、コープマン/ヴォルフによるバッハ・プロジェクトの好調ぶりを実証する一枚。ソロと合唱の声楽陣、充実した器楽アンサンブルを聴かせるオーケストラ、寄せては返す波のように自然なアンサンブル。★
バレンボイム2度目の全集。鳴らすところは存分に鳴らし、弱い部分はしっとりじっくり歌うという、ひとことで言うとかなりねっとりとした演奏である。前回の全集よりも単純でない点は評価できるが、この独特の暑苦しさに好き嫌いが分かれるだろう。解説の中で指揮者は「素っ気ない終わり方が望ましい」と述べているが、実際はその逆ではあるまいか。かなり効果を狙っていると思われる。
今や「オペラ」がその活動の重要な場となったバレンボイムの現状を確認するのに格好のCD。その巧みな指揮がこの作品をいっそうおもしろいオペラにしている。歌手たちに(歌での)芝居をタップリさせて、休みなしの2時間半を一気に聴かせてくれる。