2004年10月27日発売
初のベスト・アルバム。シングル曲はもちろん、篠原涼子や椎名林檎とのデュエット曲、マーヴィン・ゲイのカヴァー、ライヴ音源、さらには新曲まで、椎名純平の軌跡と未来への序章が同時に味わえる。
ミドル・エイジのカリスマ的雑誌である『VERY』。その中での好感度投票で三浦りさこを凌ぐ人気をみせる宇都美慶子の、ソニー移籍第1弾アルバム。青山的アーバン・ポップスの誕生だ。
あのカルト的人気を誇るボニー“プリンス”ビリー(ウィル・オールダム)の実兄、ネッド率いるジ・アノモアノンの5作目。さすがは兄貴と言うべきか、何やらよれたニール・ヤングといった感じの味のある歌、いなたいデッドのような演奏が何とも素敵なのである。★
米西海岸で活動する男性シンガー・ソングライターによるアコースティック・ユニットの2作目。生音の繊細な響きをあえてぼかしていくかのごときキーボードの不思議な音遣いが独特だ。まるでプログレから切り取ってきたかのエキセントリシティを湛えた一枚。
どこまでがきちんとした考証に基づくものか、どこまでがノリントン個人のアイディアなのか、聴いているとしきりに“表現のための表現”という言葉が浮かんでしまう。歴史は巡る。19世紀ロマン主義的演奏と決別したはずなのに、また微妙に回帰の気配が。
何とも精悍な「英雄」だ。響きは現代楽器によるものだが、強烈なアクセントのつけ方やダイナミズム(とくに硬い音質のティンパニが効果的)など毛羽立つように終始刺激的だ。古楽演奏で培われたノリントン独自の表現スタイルが“現代”に殴り込みをかける。衝撃の走る一点。
きわめて今日的な耳の関心で洗い直された仕掛け満載のベートーヴェン。古楽奏法を模した音のキメの身振り、すっきり見通せる響きのクリアネス、単刀直入なダイナミズム、そして快感を呼ぶ速さ。運命は四の五の言わずカッ飛び、田園は悠久に時を失わない。斬新。★
ラトルのような細部のピック・アップはそれほど目立たないが、スタカートやデュナーミクの処理など、語法に明確な意志が聴かれるのはこの指揮者らしい。トランペットをはじめライヴゆえの傷は、パワフルな推進力やフレッシュな愉悦感が十分にカヴァーしている。
ヴィブラートを抑えた響き(それもソロのように編成が薄くなった時に特に効果が大きい)や、マルカートとレガートを巧みにすり替え(?)たり、リズムを際立たせたりする等、随所にアイディアを満載したノリントンの面目躍如たる演奏。「木星」には過剰なる壮大さを期待せぬよう。
テンポを遅めにとり楽器配置に仕掛けを施すことにより、個々のフレーズが孕む妄想的物語をあざといまでに増幅させたユニークな「幻想」。第5楽章の鐘の妖しいような倍音が内声楽器の響きの幻影のように後を引く、そんな微細な音響風景がたまらなく耳をひきつける。