2009年4月22日発売
ハウス界の新プリンセス、加賀美セイラのファースト・アルバム。COLDFEET、MAKAI、田中ユウスケ(Q;indivi)、note nativeほか豪華クリエイター陣が集結したハイ・クオリティな仕上がりで、「結婚行進曲」を取り入れた「The Wedding」など、ハウスの枠に留まらない遊び心も楽しい。
大野雄二自身が立ち上げたレーベル、LUPINTICからのリリース第2弾。存分に洗練された聴きやすいサウンドなるもアレンジは緻密。泥臭さを払拭した「Tennessee Waltz」がその好例。いやもっと好例はラストの「瞳がほほえむから」。ゲストの今井美樹のヒット曲すらスタンダード化してしまっている。
まだ20代ながら、不思議と70年代の空気感も持っている彼女の、ソロとしては『風はびゅうびゅう』(2008年)に続く4作目。自由で、伸び伸びとした表現力があって、彼女が歌い、ピアノを弾き始めると、歌の主人公や景色が勝手に動き出すような感覚になる。
三浦友理枝のピアノは、粒立ちが良く、音も澄んでいて、美しい。ラヴェルの作品によく合っている。協奏曲ではOEKが好サポート。協奏曲とソロ作品との組み合わせがユニークといえるが、三浦の音楽性に合った曲をセレクトした選曲の良さが光る。
夏を感じさせる熱いナンバー「Share The World」と、アニメ『ONE PIECE』の主題歌となったシングル・カット曲「ウィーアー!」を収めた両A面シングル。同アニメの2006年のエンディング・テーマも収録。
栗コーダーのちょっと淋しくて懐かしい音風景は、ライヴの一期一会感覚と相性抜群だと思う。何となくハジけきらない大人しーい拍手も、客席のムードを感じさせてリアル。歌もの中心の構成もあり、彼らのルーツである“たま”のことまでも思い出させてくれる一枚。