2009年4月22日発売
テンシュテットによるスタジオ録音では唯一のシューベルト。ベルリン・フィルとの録音はいずれも充実したもので、ここでもきめ細やかな表情に彩られたロマンティックなシューベルト像を創り上げている。
ハーディングが20代前半で音楽監督に就任したドイツ・カンマーフィルを振ってのブラームス。室内オケながらも重厚なサウンドづくりで、古楽奏法の影響が随所に表われたロマンティックなブラームスを描いている。
指揮者ロストロポーヴィチが最も多く録音をしていた時期の作品。何度も録音しているチェロ協奏曲同様、年月をかけて得た雄大なスケールと濃厚な味付けに満ちた、ロストロポーヴィチならではのエネルギッシュなドヴォルザークとなっている。
モーツァルトへのオマージュともいわれているチャイコフスキー「弦楽セレナード」と、チャイコフスキーへのオマージュであるアレンスキーの変奏曲という面白い組み合わせ。バルビローリによる濃密な表情がたまらない演奏だ。
「ペール・ギュント」は名指揮者として名高い父親のネーメによる盤もあるが、本作は国内初登場となる息子のパーヴォによる演奏。父親に劣らない、緻密で豊かな表情に彩られた名演を聴かせている。
バレンボイムは弾き振りで2度モーツァルトのピアノ協奏曲全集を完成させているが、これは最初の時のもの。はつらつとした若さあふれる指揮とピアノは、時代を経ても新鮮に響いてくる。一聴に価する一枚。
発売元
ユニバーサルミュージック当時14歳だった、サラ・チャンの4作目のアルバム。並外れた集中力と多彩な表情、そしてロマンティックな表現力で、一流演奏家としての風格をも感じさせる。デュトワの万全のサポートも光る。
カラスが心身ともに絶頂期にあった、1954年の録音。単に美しいプッチーニのアリア集ではなく、ひとつでその女性の全人格を表現してしまうほどのスケールを持ったアリアだ。その表現力の深さと広さを実感できる一枚。
カラスの真骨頂が発揮された名盤。真価が認識された「アンナ・ボレーナ」からの20分の抜粋をはじめ、「ハムレット」や「海賊」と、カラスの迫真の表現力や演技力が凝縮されている。彼女の天才ぶりが刻まれた貴重な記録だ。
80年代から活躍するエレクトロ・ロック・バンドの2009年リリース作。アナログ・シンセやドラム・マシーンなどを使用したレトロ・フューチャーなサウンドに、これまでにないブラック・ユーモアをちりばめた、エネルギッシュな一枚。
70年代の懐かしのヒット曲が詰め込まれたコンピレーション・アルバム。“もう一度聴きたい”というテーマのもとに選曲された内容で、かぐや姫「神田川」や川島英五「酒と泪と男と女」などが収められている。
筋肉少女隊再結成に作家活動と何かと多忙な大槻ケンヂ、デビュー20周年記念のソロ作は、自らが筋少や特撮で発表してきた曲をメインにしたカヴァー・アルバム。ブルーノート・ジャズのアートワークを意識したジャケット同様、これまでの彼にない洗練された趣が光る。
俳優、タレントとして活躍している、つるの剛士のファースト・ソロ・アルバムは、アニメの主題歌も入ったカヴァー集。彼と同世代のリスナーは強く共感できるはず。中でもKANのカヴァー「永遠」は、素直に泣ける一曲。「WINDING ROAD」には中村あゆみとSkoop On SomebodyのTAKEが参加している。
70年代後半〜80年代にかけて圧倒的な人気を誇ったTBS系音楽番組『ザ・ベストテン』のオフィシャル・コンピレーション・アルバム。メジャー・レーベル5社連動企画による84〜85年編で、当時の輝かしい楽曲が蘇る。
制作・出演
シモーネ・ヤング / ハンブルク・フィルハーモニー管弦楽団 / ファルク・シュトルックマン / ペーター・ガイヤール / ヤン・ブッフヴァルト / ユルゲン・ザッハー / ラディスラフ・エルグル / ワーグナー / ヴォルフガング・コッホジンマン、ノリントン路線を踏襲した小型、軽量、快速路線のベートーヴェン。細部の追い込み方はこの二者以上とも言えるもので、なかなかにピリリと辛い。オノフリのような自分勝手でもなく、プレトニョフのような思いつきでもない、真摯な演奏だ。
この曲の第3楽章の響きにこれほど多様な表情が潜んでいたのかと認識が洗われる。殊更な仕掛を弄しているわけではない。敬虔崇高な構えを作らず、沈着に耳を働かせて響きの色や質感の違いを引き出すことで、遥かな想いが巡りゆく未見の音の姿が浮かび上がる。★