2010年4月発売
結成12年目の7枚目。久々に益子樹が共同プロデュースを手がけている。アコースティック楽器を軸とした生のバンド・サウンドを前面に出し、明るくドリーミィな楽曲が揃ったポップ度の高い仕上がり。細部まで丹念に作り込んだ手腕はやはりさすがで、成熟したポスト・ロックというべきか。
制作・出演
アンソニー・ディーン・グリフィー / イヴォンヌ・ネフ / チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団 / デイヴィッド・ジンマン / ビルギット・レンメルト / マーラー / メラニー・ディーナー / ユリアーネ・バンゼ / リサ・ラーションマーラーの言を借りるならば、ジンマンはこの作品に至るために7作品の番号順収録を重ねてきた。広がり・奥行きともに申し分のないバランスが繊細に保たれた80数分の音の洪水。「千人」がこけおどしでなく、必然のスケールであることを納得させてくれる。マルチ録音が“4ch”なのも実に見識。★
デビューは10代半ばだったが気がつけば30歳超。6作目に当たる本作は、時節柄、半分ほどのプロダクションがテクノだが、メロディと歌次第でソウルになることを痛感。往年のアル・B・シュアを思わせる「ゼア・ゴーズ・マイ・ベイビー」、アヴィーラ兄弟制作の「マーズ vs ヴィーナス」など、官能的かつ幻想的な曲と並んでもなんら問題ない。★
英国ウェールズ出身のヘヴィ・メタル・バンドのサード。90年代以降のメタリカに末期カーカスを混ぜてメタルコア風のモダンなテイストも加味した、ソリッドかつドラマティックな音をコンパクトに提示する。デリカシーに欠ける米国産とは一線を画す繊細さも魅力だ。12〜15曲目は日本盤ボーナス・トラック。
ショパン・イヤーならではの気軽に楽しめるピアノの詩人作品アレンジ集。クラシックやジャズなどのメロディを、見事なラウンジ・サウンドに変身させてきた多くの実績を持つクラッツ・ブラザーズが手がけるだけに、簡単で安価な作りなどとんでもない、ショパンのラフでゴージャスな変身だ。
F4でデビューし、役者として歌手として活躍してきた彼が、過去のアルバムからチョイスした楽曲に新曲(「恐怖の闇」「失われた愛情」「二人で一緒にいる習慣」)を加えた、まさに“最愛のファンに捧げる”ベスト。すべてを包み込むような甘いヴォーカル、シンプルなメロディの中に滲む優しさ、そんな素敵なラブ・ソングが数多く詰まっている。
エレクトロ・ポップの定石を離れ、アコースティック・ピアノとストリングスを駆使して、メロディの王道に迫った4年半ぶり、9作目。結果、エルトン・ジョンの叙情性を受け継いだ、英国人的なシンガー・ソングライターとしての顔が鮮明に。歌詞にも実人生の年輪が浮かぶ。
グルーヴィ&メロウな選曲にこだわった、フィリー・ソウル・コンピレーション。ディスコ・ダンス系のエッセンスをたっぷりと盛り込んだ楽曲ばかりを収録。選曲と監修はフィリー・ソウルの第一人者、林剛が手がけている。
2010年現在のヒップホップ・シーンで多用されるサンプリング・ネタ曲や、定番のクラシックで構成したフィリー・ソウル・コンピレーション。フィリー・ソウルの第一人者、林剛による選曲と監修で、心地よいメロウネスを重視している。
ガベッタの6作目。メインのエルガーは美しく柔軟に歌っており、雰囲気豊かな伴奏と非常にうまく溶け合っている。そのあとのエルガーの小品もいいが、ドヴォルザークの2曲が秀逸。唯一毛色の変わったヴァスクス、歌っているのはガベッタ自身とのこと。
今も高い人気を誇るルービンシュタインが、最も得意とした作曲家のひとり、ショパンのベスト・セレクション。2曲のピアノ協奏曲と有名曲をまとめている。巨匠のショパンの真髄がたっぷりと味わえる。
スイス初のワールドワイドなバンドとなった伝説のヘヴィ・メタル・バンドが、約20年ぶりに復活してリリースする16作目。幾度となくメンバー・チェンジを繰り返したが、82年の“AC/DCそっくり”な問題作『ONE VICE AT A TIME』のラインナップで復活。やはり今回もAC/DCに似てる!? でもカッコいいからいいじゃん!
サブ・ポップの看板バンドだったザ・シンズのジェイムズ・マーサーと、今をときめく天才マルチ・プロデューサー、デンジャー・マウスことブライアン・バートンによる夢のコラボ・ユニット。エッジの利いた打ち込みと、ドリーミィなメロ&コーラスが交錯する最新型チェンバー・ポップだ。
ドイツ出身のベテラン・ハード・ロック・バンドの最終章。メロディが泣くメタルの王道一直線の潔い曲が並び、一度でもスコーピオンズに焦がれた人は必聴だし、曲名に象徴されるロックへの思いをシンプルに打ち出した姿勢にも打たれる。日本盤は佳曲のボーナス・トラック「サンダー・アンド・ライトニング」とファミリー・ツリー付き。
スキャットマン・ジョンをサンプリング、DJ OZMA作詞というかなり際どい冒険作。イギリス育ちで当地のダンス・カルチャーを身につけたハイ・センスな新世代クラブ・シーンの歌姫として華々しくデビューしたが、これでドメスティック歌謡ダンス路線にイメチェンか? 楽しい問題作。
バンド編成もメンバー名も非公開ながら2009年のサマソニに出演するなど、各所で話題の新人バンドの2作目。とはいえまったく難しくもない、2000年代以降のメランコリック系歌ものバンドで、レミオロメン〜ストレイテナーあたりのファンに受けそう。歌詞もついてないのに特殊パッケージ。