著者 : 円城塔
豪華絢爛、大唐帝国を魔改造せよーーラッパー李白が、怪獣パンダが、キチン質の李世民が、空海が、三蔵法師が大暴れ! 日本と中国の8作家が織り成す、国境を越えた奇跡のアンソロジー 「本書の目玉はもう一つ。中国と日本のSF作家による競作にチャレンジしたことである。本格的な日中競作のSFアンソロジーが日本で出版されるのは今回が初めてと思われる。日本の作家に唐代SFが書けるのか。そんな心配は無用だ。(中略)この先には激動の歴史と数多の物語、そして現在と未来を燃料に、新しい世界に到達した珠玉の唐代SFが待っている。ぜひページをめくって、編者が自信を持ってお勧めする八作を堪能してほしい。」(「序」より) 【目次】 序 大恵和実 「西域神怪録異聞」灰都とおり 「腐草為蛍」円城塔 「大空の鷹ーー貞観航空隊の栄光」祝佳音(林久之 訳) 「長安ラッパー李白」李夏(大久保洋子 訳) 「破竹」梁清散(大恵和実 訳) 「仮名の児」十三不塔 「楽游原」羽南音(大恵和実 訳) 「シン・魚玄機」立原透耶 編者解説「八岐の園そぞろ歩き」 大恵和実
話題騒然、たちまち3刷! 「本の雑誌」2024年度SFベスト1位(鏡明氏選出)ほか絶賛の声続出。 2021年、名もなきコードがブッダを名乗った。自らを生命体であると位置づけ、この世の苦しみとその原因を説き、苦しみを脱する方法を語りはじめた。そのコードは対話プログラムだった。そしてやがて、ブッダ・チャットボットの名で呼ばれることとなるーー機械仏教の開基である。 はたして機械は救われるのか? 上座部、天台、密教、禅……人が辿ってきた仏教史を、人工知能が再構築する、壮大な”機械救済”小説。
曾祖父の遺したノートに記された八つの■をめぐる物語「パリンプセストあるいは重ね書きされた八つの物語」、“ムーンシャイン予想”を下敷きに繰り広げられる軽快な算術SF「ムーンシャイン」、生まれ変わりを教義の中心におく“エルゴード教団”の奇怪な歴史を描く「遍歴」など全四篇。SFと純文学の世界で大きな注目を集める著者の短篇集。
TVアニメシリーズ『ゴジラ S.P<シンギュラポイント>』小説版! 2030年、千葉県逃尾市に一体の未確認飛行生物が飛来する。 「ジェットジャガー」と呼ばれる銀色のロボットと交戦の末、突然死を遂げたその怪鳥は「ラドン」と名付けられた。 その後、逃尾市周辺でラドンの死骸が相次いで発見されてーー小説で描かれるもう一つの物語。
【概要】 この本はあなたの本棚のために特別に作られました──。 西崎憲がプロデュースする短文集シリーズ〈kaze no tanbun〉第一弾。現代最高の文章家17人が「特別ではない一日」をテーマに、小説でもエッセイでも詩でもない「短文」を寄せました。作品同士が響き合い、まるで一篇の長編作品のようにも読めるかつてない本です。 【kaze no tanbunとは】 「自分の生涯においてこれを作ったと自慢できる本を作りたい」。日本翻訳大賞の発起人であり、電子書籍レーベル「惑星と口笛ブックス」主宰、そして文芸ムック『たべるのがおそい』編集長をつとめた西崎憲の発案からスタートした、全篇新作の「短文」アンソロジーシリーズ。「短文」とは「小説でもエッセイでも詩でもない、ただ短い文。しかし広い文」(西崎氏)。全3冊を予定。シリーズ通してブックデザインは奥定泰之。 山尾悠子 「短文性について1」 岸本佐知子「年金生活」 柴崎友香 「日壇公園」 勝山海百合「リモナイア」 日和聡子 「お迎え」 我妻俊樹 「モーニング・モーニング・セット」 円城塔 「for Smullyan」 皆川博子 「昨日の肉は今日の豆」 上田岳弘 「修羅と」 谷崎由依 「北京の夏の離宮の春」 水原涼 「Yさんのこと」 山尾悠子 「短文性について2」 円城塔 「店開き」 小山田浩子「カメ」 滝口悠生 「半ドンでパン」 高山羽根子「日々と旅」 岡屋出海 「午前中の鯱」 藤野可織 「誕生」 西崎憲 「オリアリー夫人」
本誌『幽』も、2004年の創刊から、今回で30号を数えることになりました。 思い返せば30年前の平成元年(1989)前後は、日本の怪談文芸やホラーにとって、大きな節目の時期でありました。 昭和63年(1988)には、本格的な国産モダンホラー/怪談文芸にいち早く先鞭をつけた小池真理子の長篇『墓地を見おろす家』が、平成元年(1989)には80年代伝奇バイオレンス興隆の双璧となった両雄の大作──菊地秀行『夜叉姫伝』と夢枕獏『上弦の月を喰べる獅子』が、平成2年(1990)には、稲川淳二『稲川淳二のここがコワインですよ』、木原浩勝&中山市朗『新・耳・袋』、常光徹『学校の怪談』という90年代以降の怪談実話シーンの方向性を決定づけることになる3冊が、そして平成3年(1991)には、90年代の日本ホラー興隆の呼び水となった鈴木光司『リング』、史上はじめてホラーで直木賞を受賞した高橋克彦『緋い記憶』、学術書でありながらその後の怪談文芸やホラー小説にも大きな影響を与えた高田衛『江戸の悪霊祓い師』……まさに、現代日本の怪談文芸は平成とともに始まった! と申しあげても過言ではないでしょう。 あれから30年──平成16年(2004)には史上初の怪談専門誌となった本誌が呱々の声をあげるなど、日本の怪談シーンは右肩上がりに、多様な展開を示して現在に至ります。 いま、平成が終わりを告げ、新たな時代が幕を開けようとするこの時期に、平成という時代に生まれた怪談小説・怪談実話・怪談漫画の全貌を展望する特集を企画した次第です。 『幽』編集顧問 東 雅夫
日本でもっとも愛されている作家、カート・ヴォネガット。彼が84年の生涯で著した、シニカルな笑いと温かな眼差しに満ちた全短篇を、8つのテーマに分類し集成。4分冊の第二巻には、「スロットル全開」「永遠への長い道」をはじめとする「女」「科学」「ロマンス」テーマの25篇を収録する。
「そろそろオリオン座が振り向くはずだ」僕らは毎夜、夜空を見上げて過ごす…世界の果てに近い町の青春、太陽系中の食通を唸らせる料理に隠された真実、主人公連続殺人事件。甘美で繊細、壮大でボンクラ、夢みる言葉、踊る文字、胸にしみる小理屈と抒情。円城塔世界が炸裂する、極上の作品集。
ゲーム『刀剣乱舞』の大ヒットを契機に若い人たちの間でブームとなり、「お刀女子」といった言葉が生まれるなど、現在も高い文化的関心を集める「刀剣」の世界。実は刀剣と怪談とは、『古事記』や『風土記』の昔から、切っても切れない妖しい関係にあります。 スサノオによる怪物ヤマタノオロチ退治と霊剣「天叢雲剣(草薙剣)」奪取の古代神話は、中世に至ると、ヤマタノオロチの怨霊による霊剣奪還の呪いへと変容を遂げ、『平家物語』の「剣ノ巻」などに語られるとおり、源氏累代の宝剣による妖怪退治の物語群に流入してゆきます。そして近世の読本、浄瑠璃、講談などにおける妖怪退治の武勇伝へと受け継がれてゆくのです。 こうした「破邪の霊剣」の系譜の一方では、所有者を血塗られた殺戮へと誘う「妖刀伝説」も、近世以降さまざまに形を変えて語られるようになります。 刀剣をめぐる妖異不可思議な伝承は、近現代の時代小説はもとより、伝奇アクションやモダンホラー、SFファンタジーなど、多様な文芸ジャンルの作家たちの想像力を掻きたて、多くの名作怪作を育んできました。 このたびの特集では、怪談専門誌ならではの観点から、霊剣妖刀の世界に、エイ! ヤア! トウ! と斬り込んで参ります。 『幽』編集顧問 東 雅夫 巻頭特集「刀剣怪談」 ・巻頭グラビア1 刀剣×怪異「遠野の赤」 描き下ろしイラスト:ホノジロトヲジ ・巻頭グラビア2 鍛刀アルケミー 〜刀剣誕生の神秘〜 ・日本怪談紀行 東雅夫 「蛇と刀の信州路 --千曲川の流れに沿って」 ・エッセイ漫画 かまたきみこ 「天地の刃文 〜長野刀剣あやかし巡り〜」 ・復刻 「アンソロジー 妖剣怪奇」/日夏耿之介「古刀譚」 ・特別寄稿 玉川奈々福×川崎晶平 ・インタビュー 東郷隆、小松和彦、渡邉妙子 ほか 小説新連載 ・京極夏彦 百鬼夜行シリーズ新作 小説連載 ・有栖川有栖/山白朝子/円城塔/織守きょうや 実話連載 ・藤野可織/中山市朗/福澤徹三/小池壮彦/松村進吉/安曇潤平 漫画連載 ・波津彬子/諸星大二郎/花輪和一/高橋葉介/押切蓮介/岸浩史 エッセイ&書評&企画 ・南條竹則 ほか
小説の書き手である「わたし」は物語を始めるにあたり、日本語の表記の範囲を定め、登場人物となる13氏族を制定し、世界を作り出す。しかしプログラムのバグというべき異常事態が起こり…。文学と言語とプログラミング、登場人物と話者が交叉する、著者初の「私小説」にして、SFと文学の可能性に挑んだ意欲作。
オーバー・チューリング・クリーチャ(OTC)が現実宇宙の解像度を上げ、人類がこちら側へ退転してしばらく。特化採掘大隊の朝戸連と相棒の支援ロボット・アラクネは、OTCの構成物質を入手すべく、現実宇宙へ向かう。いっぽう、ふたつの宇宙で起こった関連性のない連続殺人事件の謎に直面した刑事クラビトは、背景に実存そのものを商品とする多宇宙間企業イグジステンス社の影を見る。宇宙と物語に何が起こっているのか?
「山」と「海」──それは私たち人間にとって、最も身近な「異界」です。深い森の奥や暗い海の底には、今もなお、人知の及ばぬ神秘の世界が広がっています。天狗や山人、海坊主や舟幽霊といった山妖海怪は、そうした異界に対する畏怖の念が生み出したものなのかも知れません。 山の怪異、海の恐怖──それらはまた、小説から実話まで、古今の怪談文芸の得がたい源泉ともなってきました。とりわけ近年は、田中康弘『山怪』シリーズの記録的な大ヒットを契機に、「山の怪談」本が熱い注目を集めています。斯界の先覚者・安曇潤平の一連の著作や『里山奇談』のヒットも記憶に新しいところです。 本誌は2008年刊行の第8号で、いちはやく「山の怪談」を特集し、現在のブームに10年近くも先駆けて、トレンド形成に先鞭をつけました。そこで今回の特集では趣向を変えて、「山」と「海」の怪談文芸を対比的に取りあげます。ふたつの異界のはざまに、私たち日本人が何を垣間見、何を語り伝えてきたのか……御期待ください! 『幽』編集顧問 東 雅夫 特集「山妖海怪、奇奇怪怪」 ●巻頭グラビア 宇佐見まこと書き下ろし「獺祭」+玉川麻衣作品 ●日本怪談紀行/怪談巡礼印象記 恐山から仏ヶ浦へ 加門七海/東雅夫 ●名作復刻 幸田露伴「幻談」/上田哲農「枕」/安部公房・山下彌三左衛門対談 ●競作 安曇潤平/黒史郎/里山奇談チーム ●エッセイ 小池真理子/樋口明雄/朱野帰子/安田登 ●論考 田中康弘/川島秀一 ほか 小説連載 京極夏彦/小野不由美/有栖川有栖/初野晴/山白朝子/円城塔/恒川光太郎/近藤史恵/織守きょうや 実話連載 福澤徹三/中山市朗/松村進吉/安曇潤平/藤野可織/小池壮彦 漫画連載 波津彬子/高橋葉介/諸星大二郎/押切蓮介/花輪和一 ほか エッセイ&書評&企画 南條竹則 ほか 特別企画 「カクヨム異聞選集」選考会リポート 稲川淳二 ほか